安納芋、紅はるかが蜜芋と言われている理由とは?甘さの秘密を解明!蜜芋の特徴と蜜芋品種ランキングを発表!

さつまいもは、食感の特徴によって「ねっとり系」、または「ホクホク系」と表現されることがあります。さらに、ねっとり系のさつまいもの中でも、とくに水分や糖分の多いものを「蜜芋」と呼ぶことも。蜜芋と呼ばれるさつまいもは甘い蜜を含み、ねっとりとやわらかな食感が魅力ですが、なぜさつまいもの中に蜜ができるのでしょうか。こちらの記事では、蜜芋の特徴や蜜の成分、蜜芋と呼ばれるさつまいもの品種について解説しています。また、独自のアンケート調査を行ない、蜜芋の人気ランキングトップ3もまとめました。ぜひ最後までご覧ください!

蜜芋とは?特徴や種類を解説!

蜜芋イメージ

さつまいもの中でも特別な存在の蜜芋。以下では、蜜芋の特徴や蜜の成分について解説します。

「蜜芋」とはねっとり系さつまいものこと

安納芋、紅はるか、シルクスイート

「蜜芋」という言葉は、ねっとり系さつまいものおいしさを表現するために生まれた言葉です。

ねっとり系さつまいもは、加熱後も水分を多く含み、糖分も豊富なことから、まるで蜜を加えたような甘さとなめらかな舌触りを持ちます。中でも、安納芋は水分と糖分を多く含んでおり、家庭でも焼き方を工夫するだけで、割った瞬間に蜜がしたたることもあるほどです。そうした様子から、ねっとり系さつまいものことを「蜜芋」と表現することがあるのです。

蜜の成分は水あめと同じ

水飴イメージ

蜜芋はねっとりとした食感が特徴ですが、その秘密は蜜の成分にあります。

さつまいもの蜜は、水飴の主成分である麦芽糖(マルトース)という糖を多く含んでいます。麦芽糖は、さつまいもを加熱した際、βアミラーゼという酵素が糊化したでん粉を分解することで作られる糖です。生のさつまいもには、麦芽糖はほとんど含まれておらず、加熱の仕方によって作られる量も変化するため、蜜を含む焼き芋を作るには、調理の仕方が重要なポイントになります。

さつまいのでん粉が糊化し、βアミラーゼが活性化する温度は、おおむね60~80℃です。蜜を含んだ甘い焼き芋を作るには、低温からゆっくりと火を通していく必要があります。加熱し始めて30~60分経つと、でん粉の糊化が進んで麦芽糖が急激に増えます。石焼き芋やオーブンで加熱した焼き芋は、長時間かけて作られるため、麦芽糖の量が多くねっとりとした仕上がりになるのです。電子レンジを使ってさつまいもを加熱する場合は、短時間で調理が終わってしまいます。糊化が進まないうちにβアミラーゼの活動が止まってしまうため、充分な量の麦芽糖が作られません。そのため、低温からゆっくり加熱した焼き芋に比べて甘さがおよそ半分程度で、食感もしっとり感がなく、ホクホクとした仕上がりになります。

焼き芋を蜜たっぷりにするには、低温からゆっくりと長時間加熱し、麦芽糖の量を増やすことが重要です。

蜜芋の種類にはどんなものがある?

安納芋、紅はるか、シルクスイートの形状

現在、日本で生産されているさつまいもの品種は、およそ60種類あります。では、その中でも蜜芋と呼ばれるさつまいもには、どのような品種があるのでしょうか。以下は「蜜芋」と表現されることもある、ねっとり系さつまいもの例です。

ねっとり系さつまいもの品種例

  • 安納芋
  • 紅はるか
  • シルクスイート
  • マロンゴールド
  • あまはづき
  • ミエルスイート
  • クイックスイート

安納芋や紅はるかはスーパーでも販売されており、ねっとり系を代表するさつまいもと言えます。ミエルスイートは、安納芋を品種改良して誕生したさつまいもで、濃いオレンジ色とはちみつのようなとろける甘さが特徴です。適度に水分を飛ばすことで、蜜がしたたることもあるほど。

クイックスイートやあまはづきは、低温でも糊化する性質のでん粉を含んでおり、比較的短時間の調理でも甘い焼き芋になります。一般的には、60~80℃で加熱するとでん粉が糊化して麦芽糖が作られます。しかし、クイックスイートやあまはづきでは、それよりも20℃ほど低い40~60℃の温度ででん粉の糊化が進みます。そのため短い時間で甘い焼き芋を作りやすいのです。

100人にアンケート!ねっとり系さつまいも人気ランキングトップ3

蜜芋と呼ばれるねっとり系さつまいもで人気の品種を調査するため、アンケートを実施しました。以下では、人気ランキングトップ3を発表します。

【1位 安納芋】49票獲得の圧倒的トップ

安納芋

アンケート結果の第1位は「安納芋」!
100人中49人と、およそ半数の人が「安納芋が一番好き」と回答しました。ねっとり系さつまいもの代表とも言える安納芋ですが、その独特の食感や濃厚さや蜜が魅力、との声が多く寄せられました。焼き芋以外の食べ方を伺ったところ、ペーストにしてパンに塗る、ポタージュにするなどアレンジして楽しむ方もいましたよ。

安納芋に投票した方の声

”ねっとり系の中でも一際甘くて濃厚だと思います。焼き芋にしたら最高に美味しいし干し芋にしても甘くてしっとりして美味しく食べられます。”

”ねっとり感が半端なく、蜜があふれでているところが好き。焼き芋で食べるのが一番おいしい。”

”蜜が溢れるような感じで、甘さが強いのがとても良いです。また、ねっとり系の中でもクリーミーな食感が好きです。”

【2位 紅はるか】芋らしい食感が魅力

紅はるか

アンケート第2位は28票を獲得した「紅はるか」。ねっとりとした甘さが好き、という意見のほか、しっとりしつつも芋らしい食感もあるのが魅力、との声も集まっています。安納芋は加熱するだけでペーストに近い柔らかさになりますが、紅はるかはさつまいもらしい食感もあり、バランスの良さが人気のカギとなったようです。

紅はるかに投票した方の声

”ほくほくとしっとりが一緒に楽しめるような食感だし、甘くて美味しいです。”

”ねっとり感とホクホク感もあり、甘みも十分にあるバランスの良い所が好きです”

”焼き芋にして食べると甘くてスイートポテトを食べているくらいの糖分を感じます。ねっとり感もあって本当にふっくらと美味しいです!”

【3位 シルクスイート】自然な甘さが人気の理由

シルクスイート

アンケート第3位は21票を獲得した「シルクスイート」。紅はるかとは、わずか7票差でした。シルクスイートのファンからは「甘すぎない自然な味わいが好き」との意見が多く上がっています。また、シルクスイートの名前の由来にもなっている、なめらかな舌触りを好きなポイントとして上げている方もいました。

シルクスイートに投票した方の声

”甘みがあって滑らかな感じが好きです。また、甘すぎないので食べやすいと思います。”

”裏ごししたような滑らかな舌触りと、ちゃんと甘みはあるんだけどベタベタ甘すぎない上品な味わいとしっかりサツマイモ独特の繊維の風味が感じられるところが、他のねっとり系にはない魅力だと感じています。”

”焼き芋にしたとき、繊維質がほとんどなくて、スイートポテトのように甘くて滑らかな舌触りが最高。”

安納芋、紅はるか、シルクスイートのほか、紅優甘と金蜜芋と回答した方も1人ずついました。どのさつまいもにも、「ねっとり系」と一括りにはできない個性と魅力があり、甲乙つけがたいですね。

まとめ

蜜が溢れる焼き芋

「蜜芋」はねっとり系さつまいものことで、水分や糖分を多く含み、蜜を持っているかのようなさつまいもに対して使われる言葉です。さつまいもから蜜を引き出すには、低温から長時間かけて加熱していくことが重要です。家でも蜜たっぷりの焼き芋を作りたい方は、時間をかけて調理してみてくださいね。