家庭菜園で大切に育ててきたさつまいも、いつ収穫すれば一番美味しいのか、収穫のタイミングに迷うことも多いのではないでしょうか?。実は、さつまいもの収穫時期は単に「秋」と一括りにすることはできません。その答えは、紅はるかや安納芋といった「品種」、そしてお住まいの「地域」によって変わってくるのです。この記事では、一般的な収穫目安はもちろん、人気品種ごと、地域ごとの詳しい収穫時期を解説します。さらに、葉の色の変化など収穫を見極めるサインから、芋を傷つけない掘り方、収穫後にぐっと甘みを増す追熟のコツまで、最高のさつまいもを味わうための知識を余すことなくお伝えします。これを読めば、あなたが育てたさつまいもにぴったりの収穫時期がきっと見つかるはずです。収穫のベストなタイミングで最高のさつまいもを収穫しちゃいましょう!春に家庭菜園始めて漸く、収穫!これが楽しみで家庭菜園を行っている方も多いのではないでしょうか?間違わない!収穫のベストなタイミングをお伝えできればと思います。
さつまいもの一般的な収穫時期は9月〜11月
春先に植え付けた苗が夏の太陽をたっぷりと浴びて、土の中でじっくりと芋を太らせていく。そして、朝晩の空気に秋の気配が感じられるようになると、いよいよ待ちに待った収穫の季節がやってきます。さつまいもの収穫は、一般的に9月から11月にかけてが最盛期です。 この時期に掘り出されたさつまいもは、甘みをたっぷりと蓄えており、まさに旬の味わいと言えるでしょう。
ただし、これはあくまで大まかな目安です。さつまいもと一口に言っても様々な品種があり、それぞれに最適な収穫タイミングは異なります。また、お住まいの地域やその年の天候、そして何より「いつ苗を植え付けたか」によって、収穫すべき日は前後します。最適な収穫のタイミングを逃さないためには、いくつかの判断基準を知っておくことが大切です。
植え付けからの日数で見る収穫時期の目安

さつまいもの収穫時期を見極めるうえで、最も基本的で分かりやすい指標が「植え付けからの経過日数」です。さつまいもは、苗を植え付けてからおよそ120日(約4ヶ月)が経った頃に収穫期を迎えるのが一般的です。 そのため、植え付けた日をカレンダーや作業日誌に記録しておくことが、美味しいさつまいもを収穫するための第一歩となります。
もちろん、品種によって生育スピードには違いがあります。下の表に、代表的な人気品種の植え付けから収穫までの日数の目安をまとめましたので、ご自身の育てている品種と照らし合わせてみてください。
| 品種名 | 収穫までの日数目安 |
|---|---|
| 紅あずま | 100日~120日 |
| 紅はるか | 120日~140日 |
| 安納芋 | 120日~150日 |
| シルクスイート | 120日~140日 |
| 鳴門金時 | 110日~140日 |
このように、品種によって20日以上の差が出ることがあります。ご自身の育てているさつまいもが、収穫に適した大きさに育っているかを確認するためにも、次の「試し掘り」が非常に重要になってきます。
家庭菜園では試し掘りが確実

プロの農家と違い、家庭菜園では株ごとの生育にばらつきが出やすいものです。日当たりや土の状態が微妙に違うだけでも、芋の太り方は変わってきます。そこで、ぜひ実践していただきたいのが「試し掘り」です。
試し掘りとは、本格的な収穫の前に、まず一株だけ掘り起こしてみて、芋の大きさを確認する作業のこと。 植え付けから110日~120日ほど経ったタイミングで、生育が良さそうな株を選んで行います。株元から少し離れた場所にスコップを入れ、芋を傷つけないように注意しながら、ゆっくりと土を掘り起こしましょう。掘り出した芋が十分に大きくなっていれば、他の株も収穫時期を迎えていると判断できます。 もし芋がまだ小さいようであれば、無理に収穫せず、土をそっと戻してもう1〜2週間ほど待つのが賢明です。 試し掘りは、収穫の失敗をなくすための最も確実な方法と言えるでしょう。
さつまいもの収穫時期を見極めるための「試し掘り」は、単なる確認作業ではなく、収穫の成功を左右する重要なポイントです。アグリ・コーポレーションの有機安納芋は、今年の栽培方法には昨年から大きな変更があり、苗作りや土壌管理に新たな工夫が施されました。その結果がどう現れるかを確認する「試し掘り」は、今後の収穫作業における重要な判断材料となります。
人気品種別のさつまいも収穫時期

さつまいもと一口に言っても、その個性は実にさまざまです。畑の土の中でじっくりと育つ時間は、品種それぞれの甘みや食感、そして香りを作り出す大切な工程。ここでは、家庭菜園でも人気の高い代表的な品種を取り上げ、それぞれの収穫時期の目安や特徴について、私たちの経験も交えながら詳しく解説していきます。
品種ごとの収 ‘穫タイミングを知ることで、さつまいもが持つ本来のおいしさを最大限に引き出すことができるでしょう。
| 品種名 | 収穫時期の目安 | 植え付けからの日数 | 食感の特徴 |
|---|---|---|---|
| 紅はるか | 10月上旬~11月初旬 | 120日~140日 | ねっとり系 |
| 安納芋 | 9月下旬~12月上旬 | 120日~150日 | ねっとり系 |
| シルクスイート | 9月中旬~10月下旬 | 120日前後 | しっとり系 |
| 鳴門金時 | 8月下旬~11月上旬 | 110日~140日 | ホクホク系 |
| 紅あずま | 9月上旬~11月上旬 | 100日~120日 | ホクホク系 |
紅はるかの収穫時期
「紅はるか」は、その名の通り他の品種を「はるかに」しのぐ甘さとしっとりとした食感で、今や焼き芋の代名詞ともいえる存在です。この品種の収穫は、一般的に10月上旬から11月初旬にかけてが適期とされています。 苗の植え付けから数えると、おおよそ120日から140日ほどが目安となります。 収穫したての紅はるかも十分においしいのですが、この品種の真価は収穫後の「追熟」にあります。収穫してから1〜2ヶ月ほど貯蔵することで、でんぷんがゆっくりと糖に変わり、あの蜜が溢れるようなねっとりとした甘みが生まれるのです。
安納芋の収穫時期
ねっとり系の代表格として名高い「安納芋」。そのクリーミーな食感と濃厚な甘さは、一度味わうと忘れられない魅力があります。安納芋の収穫時期は比較的長く、9月下旬から始まり、遅いものでは12月上旬まで続きます。 植え付けからは120日から150日ほど、じっくりと時間をかけて土の中で糖分を蓄えていきます。 特に昼夜の寒暖差が大きくなる秋の終わりから冬にかけて収穫されたものは、甘みが一層強くなる傾向があります。 葉の一部が黄色く変化し始めたら、収穫のサインと見てよいでしょう。
シルクスイートの収穫時期
比較的新しい品種でありながら、その名の通り絹のような滑らかな舌触りと上品な甘さで瞬く間に人気品種の仲間入りを果たしたのが「シルクスイート」です。 この品種の収穫時期は、9月中旬から10月下旬ごろが目安です。 植え付けからは120日前後での収穫が一般的。 しっとり系の食感を持ちながらも後味はすっきりとしており、焼き芋はもちろん、スイーツの材料としてもその個性を存分に発揮してくれます。
鳴門金時の収穫時期
徳島県を代表するブランド芋「鳴門金時」は、美しい紅色の皮と、加熱したときの鮮やかな黄金色が特徴です。 食感は昔ながらのホクホク系で、栗のような上品な甘みがあります。 収穫時期は8月下旬から11月と比較的長く、特に最盛期は9月から10月にかけてです。 植え付けからは110日から140日ほどで収穫のタイミングを迎えます。 収穫後、1〜3ヶ月ほど寝かせることでさらに糖度が増し、より一層おいしくなると言われています。
紅あずまの収穫時期
関東地方を中心に長年愛され続けている「紅あずま」は、繊維質が少なく、ホクホクとした食感が楽しめる昔ながらの味わいが魅力です。 天ぷらや大学芋といった料理にもよく合います。 収穫時期は9月上旬から11月頃まで。 比較的生育が早く、植え付けから100日から120日ほどで収穫できます。 ただし、あまり長く畑に置きすぎると芋が大きくなりすぎて味が落ちてしまうこともあるため、適切なタイミングでの収穫が大切です。 収穫後に2ヶ月ほど貯蔵することで、食べ頃の旬である冬を迎えます。
地域別のさつまいも収穫時期の目安
さつまいもは、その生育に温かい気候を好む作物です。ですから、畑が日本列島のどのあたりにあるかによって、苗の植え付けに最適なタイミングが異なり、それがそのまま収穫時期の違いとなって表れてきます。南の暖かい地域では植え付けも収穫も早まる傾向にあり、逆に北の涼しい地域では、十分に暖かくなるのを待って植え付け、霜が降りる前に収穫を終える、という流れになります。
ここでは、関東を中心とした温暖地と、東北などの寒冷地に分けて、それぞれの収穫時期の目安について詳しく見ていきましょう。
| 地域 | 植え付け時期の目安 | 収穫時期の目安 |
|---|---|---|
| 九州 | 4月下旬~5月上旬 | 9月上旬~10月下旬 |
| 関東・東海など温暖地 | 5月中旬~6月中旬 | 9月下旬~11月上旬 |
| 東北など寒冷地 | 6月上旬以降 | 9月下旬~10月下旬 |
関東など温暖地の収穫時期

関東地方以西の比較的暖かい地域では、霜の心配がなくなる5月中旬から6月中旬頃が植え付けの適期とされています。 この時期に植え付けたさつまいもは、夏の太陽をたっぷりと浴びて、地中でじっくりと芋を太らせていきます。収穫は9月下旬から始まり、11月上旬頃まで続きます。 温暖地では生育期間を十分に確保できるため、品種ごとの本来の大きさに育てやすいのが特徴です。ただし、収穫が遅れすぎると芋が大きくなりすぎてしまい、食味が落ちたり、ひび割れの原因になったりすることもあるので注意が必要です。
東北など寒冷地の収穫時期

東北地方や北海道、標高の高い冷涼な地域では、地面の温度が十分に上がるのを待ってから植え付けを行う必要があります。一般的に6月上旬以降が植え付けの目安となります。 生育期間が温暖地に比べて短くなるため、収穫は9月下旬から10月上旬にかけて行われるのが一般的です。 寒冷地でのさつまいも栽培で何よりも気を付けなければならないのは、霜が降りる前に必ず収穫を終えることです。 さつまいもは寒さに非常に弱く、一度でも霜に当たってしまうと、芋が傷んで腐りやすくなり、せっかく育てても長期保存がきかなくなってしまいます。 そのため、天気予報をこまめに確認し、初霜の便りが聞こえてくる前に、すべての芋を掘り上げる心づもりが大切です。
さつまいもの収穫時期が来たことを見極めるサイン
土の中で育つさつまいもは、中の様子を直接見ることができないため、収穫のタイミングに迷うことも少なくありません。しかし、地上部の葉や茎の変化、そして畑をとりまく季節の移ろいが、土の中の芋が十分に育ったことを教えてくれます。ここでは、さつまいもが発する収穫のサインを3つのポイントに分けて詳しく解説します。これらのサインを見逃さず、最高の状態で収穫しましょう。
サイン1 葉が黄色く枯れてきた

夏の間、青々と茂っていた葉が黄色く色づき始め、ところどころ枯れたようになってきたら、それは収穫が近づいている大切なサインです。 これは、葉で作られた栄養分が、根にある芋へと十分に蓄えられたことを示しています。 光合成の役目を終えた葉は、その勤めを終え、自然と枯れていくのです。全ての葉が完全に枯れるのを待つ必要はありません。全体の緑色が薄くなり、黄色い葉が目立つようになった頃が、収穫開始の目安となります。 ただし、病気や水不足で葉が枯れることもあるため、後述する霜の時期や植え付けからの日数を併せて判断することが重要です。
サイン2 霜が降りる前

さつまいもは熱帯地域が原産の作物で、寒さに非常に弱い性質を持っています。 そのため、本格的な冬の寒さが訪れ、霜が降りる前には収穫を終える必要があります。 霜に当たってしまうと、地上部の葉やツルが傷むだけでなく、土の中の芋自体も低温障害を起こし、腐りやすくなってしまいます。 味が落ちるだけでなく、せっかく収穫しても長期保存がきかなくなる原因となります。天気予報をこまめに確認し、最低気温がぐっと下がる日や、霜注意報が出る前には、収穫作業を済ませてしまいましょう。たとえ葉がまだ青々としていても、霜が降りる予報が出た場合は収穫を優先するのが賢明です。
サイン3 植え付けから120日以上経過

さつまいもの生育には一定の期間が必要です。品種やその年の気候によって多少の差はありますが、一般的に苗を植え付けてから120日から150日程度が収穫時期の目安とされています。 5月中旬に植え付けたのであれば9月中旬以降、6月上旬であれば10月上旬以降が収穫カレンダー上の目安となります。この日数は、芋が十分に肥大し、でんぷんを蓄えて甘くなるために必要な時間です。収穫が早すぎると、芋が小さかったり、甘みが不足したりする原因になります。 逆に遅すぎると、芋が大きくなりすぎて形が悪くなったり、筋っぽくなったりすることもあります。 植え付けた日を手帳やカレンダーに記録しておき、収穫時期の計画を立てる際の参考にしましょう。
| 植え付け時期 | 収穫時期の目安(120日~150日後) |
|---|---|
| 5月中旬 | 9月中旬~10月中旬 |
| 5月下旬 | 9月下旬~10月下旬 |
| 6月上旬 | 10月上旬~11月上旬 |
| 6月中旬 | 10月中旬~11月中旬 |
初心者でも簡単 さつまいもの正しい収穫方法
待ちに待った収穫の日は、まさに家庭菜園の醍醐味と言えるでしょう。土の中からごろごろと姿を現すさつまいもを掘り上げる作業は、子どもから大人まで夢中になる楽しさがあります。しかし、ただ力任せに掘れば良いというわけではありません。この収”収穫”という最後の仕上げが、さつまいもの味や保存性を大きく左右するのです。いくつかのポイントを押さえるだけで、初心者の方でもお店で売っているような、きれいで美味しいさつまいもを収穫できます。
収穫はよく晴れた日に行う

さつまいもの収穫は、数日間晴天が続いた、土がよく乾いている日の午前中に行うのが最も理想的です。 なぜなら、土が乾いていると作業がしやすいだけでなく、収穫した芋の表面がすぐに乾き、保存性が格段に向上するからです。 雨の日や雨上がりの湿った土壌で収穫すると、芋が泥だらけになるばかりか、余分な水分によって皮が傷つきやすくなり、そこから腐敗菌が侵入して腐りやすくなってしまいます。 収穫後のさつまいもを長く美味しく楽しむためにも、天気予報をよく確認し、最高のコンディションで収穫に臨みましょう。
まずはツルを刈り取る

芋掘りを始める前に、まずは地表に広がったツル(蔓)を処理する必要があります。このひと手間で、芋の場所が分かりやすくなり、格段に作業がしやすくなります。収穫日の1週間ほど前に、地際から5cm~10cmほどの長さを残して、鎌や丈夫なハサミで刈り取っておくのがおすすめです。 なぜ株元を少し残すのかというと、それが土の中に埋まっているさつまいもの位置を示す目印になるからです。刈り取ったツルは畑の外に運び出しておきましょう。 ちなみに、刈り取ったツルの柔らかい部分は、きんぴらや佃煮にすると美味しく食べられますので、試してみてはいかがでしょうか。
芋を傷つけないように周りから掘る

いよいよ土の中のさつまいもを掘り出していきます。ここで最も大切なことは、スコップやクワで芋を傷つけないことです。 さつまいもは皮が薄く、少しの傷でもそこから腐り始めてしまうため、細心の注意を払って作業を進めましょう。
まず、残しておいた株元から30cm〜40cmほど離れた場所に、スコップを垂直に深く差し込みます。そして、テコの原理を利用するように、株全体の土をゆっくりと大きく持ち上げます。 周りの土がほぐれたら、あとは手で優しく土を掘り進めていくのが確実です。 芋の姿が見えてきたら、芋が連なっている根元を掴み、慎重に土から引き抜きます。 ひとつの株にたくさんの芋が連なっている様子は、感動もひとしおです。
| 道具 | ポイント |
|---|---|
| スコップまたはクワ | 株元から十分に離れた位置に差し込み、芋を直接傷つけないように注意する。 |
| 鎌または園芸用ハサミ | 事前にツルを刈り取っておくために使用する。 |
| 軍手 | 手の保護はもちろん、芋を優しく扱うためにも必須。 |
| コンテナや段ボール箱 | 収穫した芋は投げ入れず、丁寧に並べて運ぶ。 |
土の中に芋が残っていることもあるので、掘り終わった後も手で土の中を探ってみましょう。 思わぬ大きさの芋が見つかることもあり、宝探しのような楽しさがあります。
収穫したさつまいもを甘くする追熟と保存方法
収穫したばかりのさつまいも、すぐにでもその味を確かめたい気持ちはよく分かります。しかし、掘りたてのさつまいもはまだ本来の甘さを隠しています。その理由は、さつまいもの甘みの主成分である糖が、この時点ではまだデンプンの形で蓄えられているからです。収穫後に適切な環境で寝かせる「追熟」という時間を設けることで、デンプンがゆっくりと糖に変わり、ねっとりとした食感と濃厚な甘みが引き出されるのです。ここでは、その追熟のコツと、甘くなったさつまいもを長く楽しむための保存方法について詳しく解説します。
追熟で糖度をアップさせるコツ

さつまいもの追熟とは、収穫後のさつまいもが持つ酵素「β-アミラーゼ」の働きを利用して、デンプンを麦芽糖(マルトース)という甘い糖に変える工程のことです。 この働きを最大限に引き出すためには、温度と湿度の管理が非常に重要になります。適切な環境を整えてあげることで、さつまいもの糖度は収穫時の2倍近くまで上がることもあるのです。
追熟を成功させるための手順は以下の通りです。
- 土は洗い流さない
さつまいもの表面についた土は、無理に洗い流したりせず、手で軽く払う程度にします。収穫時にできた小さな傷を土が保護してくれる役割もあります。収穫後すぐに水洗いするのは禁物です。 水分は腐敗の原因となり、長期保存には向きません。 - 表面をしっかり乾かす
土を軽く払ったら、直射日光の当たらない風通しの良い場所で2〜3日ほど陰干しし、さつまいもの表面の水分をしっかりと飛ばします。 - 適した環境で寝かせる
表面が乾いたら、1本ずつ新聞紙で包み、段ボール箱などに入れて寝かせます。この時、さつまいも同士が呼吸できるよう、ぎゅうぎゅうに詰め込まず、ゆとりを持たせることが大切です。
追熟に最適な環境は、次の表の通りです。この条件を保つことで、さつまいもはゆっくりと糖度を増していきます。
| 項目 | 最適な条件 |
|---|---|
| 温度 | 13℃~15℃ |
| 湿度 | 85%~90% |
| 期間 | 2週間~2ヶ月程度 |
| 場所 | 直射日光の当たらない風通しの良い冷暗所 |
ご家庭では、暖房の影響を受けない北側の部屋や、床下収納などが保管場所として適しています。 追熟期間は品種や大きさによって異なりますが、スーパーで売られているものはある程度追熟が進んでいる場合もあるため、2週間ほどで十分甘くなることもあります。
新聞紙と段ボールで長期保存

追熟が終わったさつまいもは、引き続き適切な環境で保存することで、数ヶ月にわたっておいしさを保つことができます。基本的な保存方法は追熟時と同じで、ここでも新聞紙と段ボールが活躍します。
長期保存のポイントは以下の通りです。
- 1本ずつ新聞紙で包む: 新聞紙が適度な湿度を保ち、さつまいもを乾燥や寒さから守ってくれます。
- 段ボール箱に入れる: 通気性を確保するため、箱にいくつか空気穴を開けておくと良いでしょう。 さつまいも同士が傷つけあわないよう、隙間に丸めた新聞紙を詰めるのも効果的です。
- 冷暗所で保存する: 追熟時と同様に、13℃~15℃の温度が保てる場所が理想です。
最も注意すべき点は、冷蔵庫に入れないことです。 さつまいもは寒さに非常に弱く、10℃以下の環境に置かれると「低温障害」を起こしてしまいます。 低温障害になると、甘みが失われ、食感が悪くなるだけでなく、腐敗しやすくなってしまいます。 そのため、冷蔵庫の野菜室であっても長期保存には適していません。 必ず常温の冷暗所で保存するようにしましょう。
さつまいもの収穫時期に関するQ&A
さつまいもの収穫は、まさにクライマックスと言える楽しい作業です。しかし、そのタイミングを間違えてしまうと、せっかくの苦労が水の泡になってしまうことも。ここでは、収穫時期にまつわるよくある疑問にお答えします。
収穫が早すぎるとどうなる?

収穫への期待感から、つい早く掘り出してしまいたくなる気持ちはよく分かります。しかし、収穫タイミングが早すぎると、いくつかの問題が生じます。
まず、芋が十分に大きく育っておらず、収穫量が少なくなってしまいます。 また、見た目だけでなく、味にも大きく影響します。さつまいもの甘さの源であるデンプンが十分に蓄積されていないため、収穫後に追熟させても期待通りの甘さにならないことが多いのです。 さらに、水分が多い状態で収穫することになるため、長期保存にも向かず、腐りやすくなる傾向があります。 最適な収穫時期まで、じっくりと土の中で育て上げることが、美味しいさつまいもへの一番の近道です。
収穫が遅すぎるとどうなる?

「長く置けば置くほど大きくなるのでは」と考え、収穫を遅らせすぎるのも考えものです。確かに芋は成長を続けますが、品質の面でデメリットが生じることがあります。
一つは、芋が大きくなりすぎて、表面がデコボコになったり、スジが多く入って食感が悪くなったりすることです。 また、畑に長く置きすぎると、コガネムシの幼虫など、土の中にいる害虫による食害のリスクも高まります。最も注意すべきは「霜」です。霜が降りて地温が下がりすぎると、さつまいもが低温障害を起こし、貯蔵性が著しく低下してしまいます。 葉が枯れ始めるなどのサインを見逃さず、本格的な冬が来る前に収穫を終えることが大切です。
収穫タイミングによる影響の比較
| 収穫タイミング | 主な影響 |
|---|---|
| 早すぎる場合 |
|
| 適切な時期 | 大きさ、味、保存性のバランスが良い。 |
| 遅すぎる場合 |
|
まとめ

さつまいもの収穫は、秋の畑仕事の中でも特に楽しみな作業ではないでしょうか。一般的な収穫時期は9月から11月にかけてですが、美味しいさつまいもを掘り出すための結論は、品種や地域、そして天候に合わせた見極めが何より重要だということです。紅はるかや安納芋など、育てる品種ごとの目安日数を参考にしつつ、葉が黄色く枯れてきたら収穫のサイン。霜が降りる前に作業を終えるのが鉄則です。収穫した芋は、追熟させることで驚くほど甘みが増します。土からの恵みを最高の状態で味わうためにも、この記事で紹介した収穫のタイミングと方法をぜひ実践してみてください。








