「ふくむらさき」という紫芋をご存知でしょうか?焼き芋好きなら一度は試してみたい、新しい注目の品種です。焼き芋にするとしっとりとした食感と「紅はるか」にも匹敵する甘さが特徴で、まるでスイーツのような味わいが楽しめます。また、焼いたときに現れる濃い紫色は、見た目にも鮮やかで美しく、食卓を華やかに彩ります。栄養面でもアントシアニンやビタミンCを豊富に含んでおり、健康や美容にも嬉しい効果が期待できます。この記事を最後まで読むことで、ふくむらさきの魅力をさらに深く知り、その魅力を存分に楽しむ方法を知ることが出来ます。焼き芋ファン、さつまいも通の方は要チェックです
焼き芋はさつまいもの糖度が重要
結論から言うと、焼き芋に向いているのは、「糖度が高い」品種であると考えられます。理由は2つあります。
1つ目の理由は、風味の良さです。焼き芋のおいしさの幹となるのは、なんといってもほっこりとした甘さです。さつまいも自体の糖度が十分にあることで、加熱により甘味が引き出され、あのほっこりとした焼き芋ならではのおいしさを作り出します。
2つ目は、糖分が香ばしい香りの材料になることです。さつまいもに含まれる糖分は、焼くことで皮の表面がキャラメリゼ(カラメル化)します。そこに特有の香ばしい香気成分が発生します。この現象により、あのこんがりとしたおいしい香りが出るのです。
今回は、紫芋の中でも「糖度の高さ」に注目をして、焼き芋に向いている品種「ふくむらさき」をご紹介したいと思います。
焼き芋にすると絶品「ふくむらさき」
ふくむらさきとは?
2021年に登録された「ふくむらさき」は、紫芋の新しい品種です。高い糖度で人気の「九系255」と、紫芋としてポピュラーな「パープルスイートロード」を交配して作られた紫芋です。ふくむらさきが誕生した背景には、「もっと甘く美味しい紫芋が食べたい」という消費者の需要がありました。そんな期待に応えるかのように、ふくむらさきは、あの「紅はるか」並みの甘さと、肉質はしっとりとした食感を持っています。「そのおいしさで食べた人を幸福な気持ちに」という由来を持つ名前にもうなずけます。こちらの記事でも、ふくむらさきについて詳しく紹介していますので、併せてぜひご覧ください。
ふくむらさきはその名の通り、皮も中身も鮮やかな紫色をしています。この紫色は、アントシアニンというポリフェノールの一種によるものです。今までの紫芋とは異なり、糖度が高く、ねっとりとした食感です。色も黒に近い紫といった感じでアントシアニンもかなり豊富です。アントシアニンはパープルスイートロードの約1.4倍も含まれているのが「ふくむらさき」です。今までのさつまいもの紫芋とは大きく異なり、冒頭でも触れたように、食感はねっとり(今までの紫芋はほくほく系が多い)。安納芋並み、いや安納芋以上の糖度があります。ふくむらさきを以下の項目で詳しく解説をしていきます。
「ふくむらさき」の苗は?
2019年にテスト栽培を始めました。当時は20株しか入手できませんでしたね。その20株から種芋を増やしていって漸く、今年、栽培面積が大きく広がりましたよ。でも同じ苗から出来た種芋ばかりを使用していると色々と問題が出て来るので、ウィルスフリーの苗を購入したりしています。でもまだまだ新しい品種だからホームセンターや苗専門のお店でも取り扱いは無いかもしれません。
「ふくむらさき」の栽培は?
正直、難しいかもしれません。まず、苗がまだ大きく流通していないので、種芋を育てるところから始まると思うのですが、寒いうちは、芽が出てこないのです。安納芋はそのようなことは全くないのですけど「ふくむらさき」は、目で分かるくらい寒いときの成長は遅いですよね。ハウスでも成長が遅いです。でも温かくなってくると成長スピードの早い品種なのかもしれません。正直、温かくなると成長が早く、先に成長していた安納芋に追いついてしまうくらいですから。
後は、土の固さによって「ふくむらさき」の形が変わってしまうところでしょうか?五島(福江島)の粘土質の土だと、形状は丸くなるのですが、鹿児島の黒土や五島(福江島)でもサラサラしている土では、「ふくむらさき」の形状は、細長い感じになってしまうようです。それと、「ふくむらさき」は大きくなる品種ではないのかもしれません。安納芋を長年、作ってきたから分かるのですが、大きくするには私たちが行っているような改良を色々行わないと難しいかもしれませんよ。でも、この「ふくむらさき」は、焼き芋にすると抜群に甘く、ねっとりとするので、あまり大きくなると焼き芋には向かなくなってしまうかもしれませんね。
アグリ・コーポレーションでも有機栽培技術で作り始めたのでラボ長にふくむらさきの特徴、苗、栽培、収穫時期、味、糖度、食べ方、美味しいふくむらさきの見分け方を聞いてみた
ふくむらさきの色にも注目
従来からある紫芋の品種・パープルスイートロードよりも、アントシアニンを多く含むのがふくむらさきです。そのため、生の時点でも黒っぽい紫色をしています。焼き芋にしたときに、とても濃く美しい紫色が出るのが特徴です。焼き芋としてそのまま楽しむのはもちろんのこと、スイートポテトなどのお菓子作りに活用したり、サラダにしたり、ご飯に混ぜて紫芋ごはんにしたりと、その色味を存分に楽しむ方法はたくさんあります。
ふくむらさきは糖度が高く、焼き芋向き!
農研機構の発表によると、ふくむらさきを焼き芋・蒸し芋にした時の糖度は「紅はるか」並と明記されています。紅はるかは「蜜芋」とも呼ばれるほど甘く、加熱した際の糖度は50度前後にもなるものもあります。これは数あるさつまいもの品種の中でもトップクラスです。ちなみに糖度40度オーバーというのは、市販のジャムとほぼ同等の甘さです。ジャムに負けず劣らずの甘さ、と考えると、ふくむらさきがどれだけ甘いのか想像がつきやすいのではないでしょうか。
さつまいも全般に言えることですが、収穫して、追熟して出荷をするのですが、収穫したばかりの頃は安納芋より糖度は高いです。追熟していくと安納芋はどんどん糖度が上がって最終的には「安納芋」と「ふくむらさき」の糖度の差はあまり無くなるのですけど。「ふくむらさき」は収穫したばかりの時でも糖度10度くらいありますよ。
収穫したての「ふくむらさき」の糖度
焼き芋にした「ふくむらさき」の糖度
ふくむらさきの栄養価にも注目
ふくむらさきには、アントシアニンとビタミン類が多く含まれています。濃い紫色があると言うことは、色素成分であるアントシアニンが豊富である証です。アントシアニンは、ブルベリーなどにも含まれているポリフェノールの一種です。ポリフェノールがもつ抗酸化作用により、美肌やアンチエイジングの効果、生活習慣病予防の効果が期待できる注目の成分です。ふくむらさきはビタミンCを多く含むのも特徴です。ストレス社会、添加物が多い現代に生きる私たちにとっては、ビタミンCは必要不可欠な栄養素です。また、β-カロテンというビタミンAの仲間の栄養成分も含みます。免疫力を高めたり、抗酸化作用を持つ栄養素です。感染症に強い体づくり、若々しさを保つには、とても大切な栄養素とも言えます。
ふくむらさきの入手方法は?
関東と九州地方の一部の地域では、スーパーや地元の農協などで購入できますが、一般的には店舗で見かける機会は多くないようです。確実に簡単にふくむらさきを入手するなら、通販がおすすめです。「ふくむらさき 通販」と検索をすると、購入ページが出てきます。気になる方はチェックしてみてくださいね。
まとめ
「ふくむらさき」は、焼き芋好きにぜひ試してほしい紫芋の新しい品種です。2021年に誕生したこの品種は、「紅はるか」に匹敵するほどの甘さと、しっとりとした食感が特徴で、焼き芋にするとまるでスイーツのような味わいが楽しめます。また、ふくむらさきの焼き芋は、濃い紫色が美しく、見た目も鮮やか。アントシアニンやビタミンCを多く含んでおり、健康や美容にも嬉しい効果が期待できます。この記事を参考に、ふくむらさきの焼き芋を試して、その魅力をぜひ味わってみてください。今年の秋、冬におすすめの紫芋の品種です!