ホクホク系の「紅あずま」ってどんな品種のさつまいも?紅あずまの特徴や向いている食べ方、主な産地、栽培時期、美味しい紅あずまの見分け方を徹底解説します

現在、全国で栽培されているさつまいもの主要な品種は、約60種類もあるとされています。そのうち品種別の作付けシェアは、1位コガネセンガン、2位べにはるか、3位に紅あずまと続きます。この内、コガネセンガンは焼酎用の品種で、べにはるかと紅あずまが青果用です。今回は青果用の主要品種である紅あずまに注目して、特徴や産地、食べ方などをご紹介します。

紅あずまの特徴とべにはるかとの違い

「紅あずま(ベニアズマ)」は、形や皮の色が優れた青果用の品種「関東85号」と、肉質が良好で肥大しやすい、焼酎の原料として有名な「コガネセンガン」を組み合わせて育成した品種です。皮の色はきれいな濃い赤紫色で、形は長紡錘形をしています。果肉は黄色く粉質で繊維質が少なく、蒸したり焼いたり加熱するとホクホク系の食感になり、しっとりとした甘さがあります。

一方で、作付けシェア2位の「べにはるか(紅はるか)」は、いもの形や大きさの揃いが良い「九州121号」と、紅あずま並に食味が良い「春こがね」を交配した品種です。皮は鮮やかな紅色をしており、果肉は黄色。しっとりとした食感で糖度が高く、蜜のような甘さがあります。

「紅あずま」と「べにはるか」の一番大きな違いは糖度です。「紅あずま」は生の状態で糖度は14度前後、加熱すると30度前後。「べにはるか」は甘みが強く、生の状態でも糖度は30度前後、加熱すると50〜60度にもなります。そして、「紅あずま」のホクホクに対して、「べにはるか」はしっとりとした食感です。

紅あずまの主な産地と栽培時期

農林水産省が公表した「令和4年度いも・でんぷんに関する資料」によると、「紅あずま」の作付け面積は全国で3,153.5ヘクタール、作付けシェアは9.9%です。作付け面積が多い都道府県は、1位が茨城県で1,379.4ヘクタール、2位は千葉県で1,160.5ヘクタールです。このように、主に関東で多く栽培されていて、西の「高系14号」に対して東の「紅あずま」と言われています。

「紅あずま」の収穫時期は、9月上旬から11月中旬頃です。苗を植えてから120日ほどで収穫時期を迎えるため、逆算して苗は5〜6月に植えるようにしましょう。なお、植えてから150日を超えると大きくなりすぎるので、注意が必要です。大きくなり過ぎたさつまいもは、色や形が悪く、甘みも少なくなり美味しくありません。

「紅あずま」は、収穫後2ヶ月ほど貯蔵することで、デンプンが糖に変わって甘みが強くなり、美味しくなります。そのため、「紅あずま」の食べ頃は12月から2月頃までです。貯蔵方法は次の通りです。家庭でさつまいもを栽培する方は、参考にしてください。

天日干し

収穫したさつまいもを2〜3日かけてよく乾燥させます。乾燥したら表面に着いている土を落として、さらに1週間ほど陰干しをすると日持ちします。

新聞紙で包んで保存する

さつまいもは収穫後も呼吸をしているので、ビニール袋などに入れて密閉すると腐りやすくなります。1本1本新聞紙で包んで、ダンボールのような通気性のある箱に入れて保存しましょう。温度が低すぎると低温障害を起こして傷みやすくなるため、冷蔵庫に入れるのはNGです。適温は10〜15℃ぐらいです。20℃を超えると発芽が始まります。

美味しい紅あずまの見分け方とおすすめの食べ方

美味しい「紅あずま」の見分け方は次の通りです。購入する際の参考にしてください。

・皮:ハリがあって鮮やかな赤紫色をしている。

・形や重さ:全体にふっくらと太く、ずっしりとした重さがある。形が細いものや、ひげ根が多く残っているものは、繊維質が多い場合があるので避けましょう。

「紅あずま」は、ホクホク系のさつまいもを代表する品種です。ホクホク系のさつまいもにおすすめの食べ方を紹介します。

焼き芋

焼き芋はどの品種でも定番の食べ方です。しっとりやホクホクなど食感の好みによって品種を選ぶのがおすすめです。「紅あずま」は、粉質でホクホクした食感で昔懐かしい焼き芋になります。甘さはしっかりありますが、「べにはるか」や「安納芋」「シルクスイート」などに比べると甘さが控えめなため、甘すぎるのは苦手という方は「紅あずま」を選ぶと良いでしょう。

大学芋

「紅あずま」のようなホクホク系のさつまいもは、大学芋にするのもおすすめです。油で揚げて加熱することで、甘みやうま味が増します。同様に、天ぷらやコロッケにも向いています。

他にも、「紅あずま」は繊維質が少ないので、お味噌汁やスープ、サラダ、スイーツにしても美味しく頂けます。

まとめ

しっかりした甘みと、ホクホクとした食感が美味しいさつまいも「紅あずま」について、特徴や主な産地、見分け方、おすすめの食べ方などについて紹介しました。焼き芋や大学芋、天ぷらなどの料理に合うので、「紅あずま」の料理に挑戦してみて下さい。