現在、全国で栽培されているさつまいもの主要な品種は、約60種類もあるとされています。そのうち品種別の作付けシェアは、1位コガネセンガン、2位紅はるか、3位に紅あずまと続きます。紅あずまは、日本で広く親しまれているサツマイモの代表的な品種ですが、その特徴を詳しく知っていますか?食卓に並ぶ焼き芋や天ぷらに使われる紅あずまは、鮮やかな赤紫色の皮とホクホクとした食感が魅力です。この記事では、紅あずまの特徴を詳しく解説しますが、まずはその選び方や調理法に注目してみましょう。紅あずまは、全体的にふっくらとした形状で、重さがしっかりと感じられるものが甘くて美味しいとされています。皮の色が鮮やかでハリがあるかどうかも重要なポイントです。さらに、紅あずまの特性を活かした焼き芋や大学芋の作り方も紹介しているので、最後まで読むことで、自宅で最高の紅あずま料理を楽しむヒントが得られますよ。
紅あずまの特徴
紅あずまは、日本で広く栽培されているサツマイモの品種の一つで、見た目の美しさと食感の良さから、多くの家庭や商業用途で愛用されています。この品種は1960年代に、日本の青果用品種「関東85号」と、肥大しやすい「コガネセンガン」を交配して育成されました。その結果、紅あずまは鮮やかな赤紫色の皮と、細長い形状が特徴的な品種として誕生しました。
果肉は鮮やかな黄色で、繊維質が少なく滑らかな食感を持ち、蒸したり焼いたりするとホクホクとした粉質の食感が際立ちます。このホクホク感こそが紅あずまの最大の特徴であり、甘さは控えめで上品な味わいです。糖度は生の状態で14度前後、加熱すると30度前後に達し、栗のようなほのかな甘さと香りが楽しめます。
紅あずまは、ビタミンCや食物繊維、カリウムを豊富に含んでおり、栄養価の高さも魅力です。特にビタミンCは加熱しても壊れにくいため、焼き芋や蒸し芋にしても健康的な食材として重宝されます。料理の用途も幅広く、焼き芋や天ぷら、煮物、さらには和菓子にも使われ、その上品な甘さとホクホクした食感が、多くの人々に親しまれています。
紅あずまの主な産地と栽培時期
農林水産省が公表した「令和4年度いも・でんぷんに関する資料」によると、「紅あずま」の作付け面積は全国で3,153.5ヘクタール、作付けシェアは9.9%です。作付け面積が多い都道府県は、1位が茨城県で1,379.4ヘクタール、2位は千葉県で1,160.5ヘクタールです。このように、主に関東で多く栽培されていて、西の「高系14号」に対して東の「紅あずま」と言われています。
「紅あずま」の収穫時期は、9月上旬から11月中旬頃です。苗を植えてから120日ほどで収穫時期を迎えるため、逆算して苗は5〜6月に植えるようにしましょう。なお、植えてから150日を超えると大きくなりすぎるので、注意が必要です。大きくなり過ぎたさつまいもは、色や形が悪く、甘みも少なくなり美味しくありません。「紅あずま」は、収穫後2ヶ月ほど貯蔵することで、デンプンが糖に変わって甘みが強くなり、美味しくなります。そのため、「紅あずま」の食べ頃は12月から2月頃までです。貯蔵方法は次の通りです。家庭でさつまいもを栽培する方は、参考にしてください。
天日干し
収穫したさつまいもを2〜3日かけてよく乾燥させます。乾燥したら表面に着いている土を落として、さらに1週間ほど陰干しをすると日持ちします。
新聞紙で包んで保存する
さつまいもは収穫後も呼吸をしているので、ビニール袋などに入れて密閉すると腐りやすくなります。1本1本新聞紙で包んで、ダンボールのような通気性のある箱に入れて保存しましょう。温度が低すぎると低温障害を起こして傷みやすくなるため、冷蔵庫に入れるのはNGです。適温は10〜15℃ぐらいです。20℃を超えると発芽が始まります。
美味しい紅あずまの見分け方とおすすめの食べ方
美味しい紅あずまを見分けるためには、まず皮の状態に注目することが大切です。紅あずまの皮は、ハリがあり鮮やかな赤紫色をしているものが新鮮で良質です。皮がしっかりとしていて、色が濃いものほど、内側の果肉も充実していることが多いです。
また、形や重さも重要なポイントです。全体的にふっくらと太く、手に持ったときにずっしりとした重さを感じる紅あずまが、甘くて美味しいものの目安になります。逆に、形が細かったり、ひげ根が多く残っているものは、繊維質が多く、食感が硬くなる可能性がありますので、避けるほうが賢明です。これらの特徴を参考にしながら選ぶと、より美味しい紅あずまを手に入れることができるでしょう。
「紅あずま」は、ホクホク系のさつまいもを代表する品種です。ホクホク系のさつまいもにおすすめの食べ方を紹介します。
焼き芋
焼き芋はどの品種でも定番の食べ方です。しっとりやホクホクなど食感の好みによって品種を選ぶのがおすすめです。「紅あずま」は、粉質でホクホクした食感で昔懐かしい焼き芋になります。甘さはしっかりありますが、「べにはるか」や「安納芋」「シルクスイート」などに比べると甘さが控えめなため、甘すぎるのは苦手という方は「紅あずま」を選ぶと良いでしょう。
大学芋
「紅あずま」のようなホクホク系のさつまいもは、大学芋にするのもおすすめです。油で揚げて加熱することで、甘みやうま味が増します。同様に、天ぷらやコロッケにも向いています。
他にも、「紅あずま」は繊維質が少ないので、お味噌汁やスープ、サラダ、スイーツにしても美味しく頂けます。
紅あずまと紅はるかの違い
品種名が似ている為、同じようなさつまいもと思われる方も多いと思いますが、紅あずまと紅はるかは大きく違います。紅あずまと紅はるかの違いをまとめてみました。紅あずまと紅はるかは、どちらも日本で人気の高いサツマイモの品種ですが、その違いは主に糖度と食感にあります。これらの違いについて、さらに詳しく説明します。
糖度の違い
糖度はサツマイモの甘さを決定する重要な要素です。「紅あずま」と「べにはるか」では、糖度に大きな差があります。
紅あずまは、生の状態: 糖度は14度前後。加熱後: 糖度は30度前後になります。特徴としては、 紅あずまは加熱することで甘みが増しますが、それでも糖度は30度前後と控えめで、上品な甘さが特徴です。このため、甘さが強すぎないサツマイモが好みの方にはぴったりです。
紅はるかは、生の状態: 糖度は30度前後と、生の状態から非常に甘いのが特徴です。加熱後: 糖度は50〜60度にも達し、非常に強い甘みを持ちます。特徴としては、紅はるかは、加熱することで驚異的な甘さを発揮し、スイーツのような濃厚な味わいが楽しめます。特に焼き芋にすると、糖がカラメル化してさらに甘みが増し、デザート感覚で楽しめるほどです。
食感の違い
さつまいもの食感は、料理の仕上がりや好みに大きく影響します。「紅あずま」と「べにはるか」では、この点でもはっきりとした違いがあります。
紅あずまの食感は、ホクホクとした食感が特徴です。まるで栗のような食感で、しっかりとした口当たりが楽しめます。この食感は、焼き芋や天ぷら、煮物などに向いており、崩れにくく、形を保ちながらも柔らかく仕上がります。
紅はるかの食感は、しっとりとした食感が特徴です。口の中でとろけるような滑らかさがあり、ねっとりとした舌触りが楽しめます。特に焼き芋にした場合、このしっとり感が際立ち、スイートポテトのようなクリーミーな食感を楽しむことができます。
風味と用途の違い
紅あずまは、さっぱりとした甘さとホクホク感が特徴のため、伝統的な和食やシンプルな料理によく合います。また、天ぷらや煮物など、素材の風味を活かす料理に最適です。紅はるかは、強い甘さとしっとりとした食感を活かし、スイーツ作りや焼き芋に最適です。その甘さと滑らかさから、スイートポテトやパイ、デザートの素材としても多く使われます。紅あずまは、上品な甘さとホクホクした食感が特徴で、伝統的な料理に適しています。一方、紅はるかは、驚異的な甘さとしっとりとした食感が魅力で、スイーツや焼き芋として楽しむのに最適です。このように、糖度や食感の違いを理解して使い分けることで、さつまいもの料理がより豊かに楽しめます。
まとめ
紅あずまは、日本で広く愛されるサツマイモの一つで、その魅力は鮮やかな赤紫色の皮とホクホクとした食感にあります。この品種は、甘さが控えめで上品な味わいが特徴で、焼き芋や天ぷら、大学芋などにぴったりです。茨城県や千葉県などの関東地方で多く栽培され、収穫後にしっかりと貯蔵することで、さらに甘みが増すのもポイントです。選ぶ際は、ハリのある皮とずっしりとした重さが目安となり、美味しい紅あずまを見つける手助けになります。この特徴を活かして、家庭でさまざまな料理に挑戦してみると、紅あずまの魅力を存分に味わえるはずです!