なると金時はどんな品種のさつまいも?特徴、苗、栽培、収穫時期やほくほく系さつまいもの代表格!なると金時の美味しい食べ方、栄養成分まで徹底解説します!

さつまいもの産地といえば、鹿児島県や茨城県、徳島県などが有名で、多くのブランドさつまいもがあります。そのなかでも、徳島県の鳴門市や徳島市で栽培される「なると金時」は、海水のミネラルを含んだ砂地畑で育った栄養豊富なブランドさつまいもです。こちらの記事では、なると金時の特徴やおすすめの食べ方について解説します。

なると金時はどんなさつまいも?

なると金時とは、徳島県の一部地域で栽培されるさつまいもの品種のことです。以下では名前の由来や栽培地域、味の特徴などをご紹介します。

なると金時とは

なると金時は、黄金色の果肉とホクホクとした食感、やさしい甘さが特徴のさつまいも。糖度は13度ほどと比較的あっさりした味で、スイートポテトや大学芋などのお菓子作りから、天ぷらやさつまいもご飯などの料理まで、幅広い調理に使われます。栽培地域は徳島県の鳴門市、徳島市、板野郡の3カ所。この地域のさつまいも畑の土は砂地であるため、ミネラルを豊富に含み、水はけが良いという特徴を持っています。

果肉が黄金色をした芋を「金時芋」と呼んでいたことと、栽培している地域名をあわせて「なると金時」の名前が付けられました。特許庁に登録されている名称は「なると金時」ですが、店頭などでは「鳴門金時」と表示されることもあります。「なると金時」は品種名ですが、各地域ではそれぞれ独自のブランド化がされており、鳴門市里浦町では「里むすめ」、徳島市川内町では「甘姫(あまひめ)」、板野郡松茂町では「松茂美人(まつしげびじん)」の名前でなると金時が生産・販売されています。

苗は、種芋を苗床で育て、伸びたツルを苗として育てます。ツルは「挿し穂」として販売されているため、種芋から育てる必要はなく、家庭での栽培も可能です。植え付けは、土の温度が15℃以上になってから行ない、苗の感覚は30〜35センチ、畝をいくつか作る場合は、間隔を75〜80センチほど開けて行ないます。種芋から苗を育てる場合は2月末頃から、挿し穂を使用して育てる場合は4月頃から育成をはじめます。

栄養

なると金時に含まれる栄養成分は、カリウム、食物繊維、鉄分、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンEなどです。また、皮にはポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用を持ち、悪玉コレステロールの酸化を予防するため、動脈硬化を防ぐ効果があるといわれている成分です。糖の吸収を遅くする作用もあるため、さつまいもは皮ごと食べると、食後の血糖値が急激にあがる心配が少なくなります。さらに、さつまいもは小腸で消化・吸収されないでん粉の「レジスタントスターチ(難消化性でん粉)」も含んでいます。でん粉を多く含むさつまいもは、太りやすい野菜と思われる方もいるかもしれませんが、食べ方によって健康への影響は変わります。

収穫時期

なると金時の収穫は、7月〜10月頃に行なわれるのが一般的で、収穫時期によって芋の長さや太さ、味が変わります。7月は、株元に手を入れて芋の育ち具合を確かめる「探り掘り」を行ない、充分に太った芋のみを収穫します。この時期のなると金時は皮が薄くて柔らかく、収穫の際に剥けてしまうことも。夏に収穫したさつまいもの糖度は低いですが、なると金時はほかの品種に比べて甘さが強いことが特徴です。8月から10月にかけてが収穫の最盛期で、水分や甘みを充分に蓄え、品質が安定した芋が収穫できます。11月以降は、最盛期に収穫・貯蔵されたさつまいもが市場に出回ります。さつまいもは収穫後、13〜15℃の温度で貯蔵し、適度に水分を飛ばすことで甘みが増します。そのため、収穫のピークは夏〜秋ですが、食べ頃なのは貯蔵から2カ月ほど経った12〜2月の冬です。

なると金時のおいしい食べ方

鳴門金時は、ほど良い甘さとホクホクとした食感が魅力のさつまいもですが、どのような料理に使うのが適しているのでしょうか?焼き芋や大学芋など、基本の食べ方以外の調理法をご紹介します。

さつまいもサラダ

ホクホクしつつも、しっとりと適度に水分を含んだなめらかな食感のなると金時は、ポテトサラダにピッタリのさつまいもです。すべて潰してもおいしいですが、よく潰した芋のなかに、1センチ程度のサイコロ上にカットした芋を混ぜると、なめらかさとホクホクとした芋の歯ごたえの2通りの食感が楽しめます。サイコロ上にカットするときは、皮付きのまま調理すると、彩りや栄養価がプラスされておすすめです。

さつまいもコロッケ

さつまいもコロッケは、おやつからおかずまでこなせる優秀な一品。コロッケを作る際は皮をむくことが多いですが、ポリフェノールには油分の吸収を遅らせる効果があるため、皮ごと調理するのがおすすめです。さつまいもだけでも充分おいしいコロッケになりますが、脂質と相性の良い「脂溶性ビタミン」を含む人参やほうれん草などの緑黄色野菜を加えると、栄養満点のおかずになります。

さつまいも・レンコン・鶏モモの炒め物

なると金時は形が崩れにくいため、炒め物にするのもおすすめです。なると金時のホクホクとした食感に、レンコンのシャキシャキ、鶏モモ肉のジューシーさが合わさるとご飯が進みます。さつまいも、れんこん、鶏肉は鉄分が豊富な食材で、めまいや疲労感など貧血症状に悩んでいる方におすすめの食べあわせです。

まとめ

なると金時は徳島県を代表するさつまいも。あっさりとした甘みとホクホクとした食感は、栗のようなおいしさです。味だけでなく栄養価にも優れており、カリウム、鉄分、ビタミン類や食物繊維が豊富。皮にはポリフェノールが含まれており、動脈硬化の予防にも役立つと言われています。海水のミネラルと温暖な気候にはぐくまれたおいしさを、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。