紫芋の特徴、産地、品種や紫芋の歴史、栽培、収穫時期とは?

最初に紫芋を見た時、これ?さつまいも?と悩みませんでしたか?さつまいもと言えば果肉は黄色やオレンジ色なのに…。紫芋の果肉ははっきりとした色合いの紫色をしていますが、どのように作られたさつまいもなのでしょう?他のさつまいもより目立つ色をしているので、「日本に元からあった種類じゃないよね?」と、どこから入ってきたのかも気になります。本記事では、紫芋が鮮やかな色をしている理由や、日本に入ってきたルーツを解説します。また、紫芋の市場規模の大きさ、産地、紫芋の代表的な品種についても紹介します。

紫芋はアントシアニン豊富なさつまいも

ポリフェノールのイメージ

中身が黄色い他のさつまいもとは違う紫芋の特徴として、アントシアニン成分が豊富です。紫色が出る理由は、紫芋にたっぷりと含まれたアントシアニンという成分によるものです。ポリフェノールの一種であるアントシアニンは天然色素で、この成分を多く含む作物は紫色系統になります。紫芋は濃い紫色をしているので甘味がありそうですが、実は普通のさつまいもよりも甘さは控えめです。きれいで目立つ色は加工に向いていることから、お菓子・パン・焼酎などの材料にも活用されています。

紫芋はいつ収穫される?

紫芋畑

紫芋の収穫時期は普通のさつまいもと同じ頃になり、秋である9月~11月頃に土の中から掘り出します。一般的にさつまいもは5月〜7月頃に種芋の植え付けを行い、4ヶ月ほど過ぎたあたりで収穫していきます。ただし、おすすめの食べ頃の時期は収穫時期とずれていて、賞味するのは10月~1月頃が最適です。掘り出してしばらく貯蔵しておくと、芋のでんぷんが甘味の元、糖分に変化するのでより甘くなるためです。

紫芋はどうやって日本に入ってきた?

さつまいもの一種である紫芋は日本原産の作物ではなく、外国から入ってきて栽培されるようになりました。どこをルーツとして日本に入ってきたのか、大まかな流れを解説します。

ルーツは熱帯アメリカ

紫芋のルーツ

紫芋の品種としてのルーツははっきりしていませんが、紫芋もさつまいもの一種なので、熱帯アメリカが発祥だと考えられています。熱帯アメリカは、現在のメキシコ中央部からグアテマラあたりの地域です。歴史的にさつまいもはメキシコで、紀元前3000年以上も前から栽培されていました。紀元前2000年頃には南アメリカにも栽培方法が広がり、コロンブスによってヨーロッパに伝えられました。

日本へは中国経由

紫芋は中国から日本へ

中国にはヨーロッパの貿易を通して16世紀頃にさつまいもの栽培方法が伝わり、日本へは中国を経由して入ってきました。江戸時代に「琉球王国」と呼ばれていた沖縄は、当時「明」であった中国との結びつきが深い国でした。日本で最初にさつまいもが伝えられたのは、中国に直接使者を派遣するほどの交流があった沖縄です。琉球から中国に派遣された使者が福建で栽培方法を知り、1605年に琉球に帰国してさつまいもを伝えました。

沖縄と鹿児島で栽培が盛んに

紫芋は鹿児島や沖縄で盛んに栽培された

琉球であった沖縄は1609年に薩摩藩に征服され、さつまいもの栽培方法も鹿児島に伝わりました。琉球からもたらされた品種の中に、紫芋も含まれていたのでしょう。日本全国にさつまいもが広がっていく中で、沖縄と鹿児島では紫芋の生産が盛んになりました。沖縄には紫芋に似ている「紅芋」がありますが、こちらはヤムイモと呼ばれる種類でさつまいもとは別のものです。

紫芋の代表的な品種と産地

紫芋は新しく品種改良もされているので、流通している種類は多いです。主な種類と産地について紹介しましょう。

種子島紫

種子島紫

皮全体が白っぽい見た目をしていますが、加熱するとはっきりとしたきれいな紫色になります。種子島が産地なので品種名も、そのまま名付けられました。甘さは控えめなので加工用に向き、焼酎やお菓子の原料によく使われています。

あやむらさき

紫色が濃く出るように品種改良されたもので、紫色の種類の中でもひときわ色が鮮やかです。主な産地は沖縄県と鹿児島県です。甘味がほとんどない紫芋なので、そのまま食べるよりは加工用に使われることが多いです。

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なかむらさき

他の種類は皮の色が紫色をしていませんが、なかむらさきは皮までまるごと見事な紫色です。主な産地は沖縄県と鹿児島県で、収穫できる量は他の種類より少ないです。

パープルスイートロード

パープルスイートロード

紫芋の中では甘味が強い種類になり、焼き芋にして食べるとおいしいです。パープルスイートロードは千葉県が主な産地で、青果用としての普及が注目されています。パープルスイートロードをさらに品種改良した「ふくむらさき」という紫芋もあり、色合いと味もこちらが一段上です。

今後、期待される生食用・加工用での市場規模増加

さつまいも市場の中で、紫芋が占める規模はどの程度か正確には出せませんが、青果用・加工用で増加する可能性が高いです。青果用・加工用の新しい品種の育成において、紫色の種類にも力が入れられています。

紫芋のまとめ

ふくむらさき

紫芋は、アントシアニンが豊富なため美しい紫色を呈し、ポリフェノールの一種として注目されています。他のさつまいもより甘さが控えめですが、その鮮やかな色が加工用として魅力的で、お菓子や焼酎の原料として広く活用されています。収穫時期は9月から11月で、特に10月から1月にかけてが最も美味しい時期とされています。紫芋は熱帯アメリカが発祥とされ、紀元前から栽培が行われてきました。日本には16世紀頃、中国を経由して伝わり、沖縄や鹿児島で広く栽培されるようになりました。特に沖縄と鹿児島では紫芋の生産が盛んで、各地域特有の品種が育まれています。代表的な品種として、種子島紫、あやむらさき、なかむらさき、パープルスイートロードなどがあり、それぞれの特徴と産地があります。紫芋は生食用・加工用の両方で需要が高まっており、市場規模の拡大が期待されています。紫芋の新しい品種の育成も進んでおり、今後ますます注目されることになり、注目されるさつまいもになることは間違いないのではないでしょうか?。