さつまいもを食べたいけれど、糖質が多いから太るのかな?美容によいイメージがあるけれど、ダイエットには不向きなの?と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。さつまいもを食べることで、美容とダイエットの両方を叶えられたら嬉しいですよね。さつまいもは、ビタミンCや食物繊維が豊富な、美容に嬉しい食品です。そして、正しい食べ方を実践すればダイエット向きな食品でもあります。そこで今回は、さつまいもがダイエット向きである理由と、おすすめの食べ方を管理栄養士の私がご紹介します。ダイエット中でもさつまいもを食べてよいのか気になっている方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
さつまいもがダイエット向きの食品である理由
さつまいもがダイエット向きの食品である理由を解説します。
食物繊維やヤラピンのはたらきで腸内環境が整う
さつまいもを食べることによって、腸内環境が整えられることが期待できます。理由は、食物繊維やヤラピンという成分が含まれているためです。食物繊維は、糖質やコレステロールの吸収を抑えて身体の外に排泄するだけでなく、満腹感を与えてくれます。また、さつまいもを切ったときに断面から出てくる白い汁「ヤラピン」には整腸作用があります。腸内環境が整うと、便秘が解消され、腸内にたまった便から不要な栄養素が再吸収されることがなくなるため、結果的に太りにくい身体になります。食物繊維とヤラピンのはたらきにより腸内環境が整うため、さつまいもはダイエット向きの食品と言えるでしょう。
GI値が低く血糖値が上がりにくい
さつまいもはGI値が低いため、ダイエット向きの食品と言えます。GI値は、食品を食べた時の血糖値の上がりやすさをあらわす指標です。ダイエットをしたい人は、血糖値の上昇を緩やかにする必要があります。血糖値が急上昇すると、それを下げようとインスリンが大量に分泌され、血液中の糖を脂肪に変えて身体にため込んでしまうからです。
比較してみると、さつまいもは他の野菜やご飯よりもGI値が低いことがわかります。
● さつまいも:55
● さといも:64
● じゃがいも:90
● 西洋かぼちゃ:65
● ご飯:84
さつまいもはGI値が低く、血糖値の上昇が緩やかなため、ダイエット向きの食品といえます。
さつまいもは高カロリーで糖質が多い。さつまいもと他の野菜を比較
高カロリーで糖質が多いといわれるさつまいも。実際にどのくらいの違いがあるのか、ほかの野菜と比較してみましょう。
他の野菜との比較(100g当たり)
エネルギー (kcal) 炭水化物(g) 食物繊維総量(g) さつまいも 126 31.9 2.2 さといも 53 13.1 2.3 じゃがいも 59 17.3 8.9(1.2) かぼちゃ 78 20.6 1.0 ※じゃがいもの食物繊維総量のみ異なる測定法による結果のため、()内に参考値を記載
さつまいもの糖質
さつまいもの糖質は、100gあたり29.7g(糖質計算値は炭水化物から食物繊維総量を除いた数値)です。こちらはあくまでも計算値ですので、品種により多少前後するように思いますので概算でさつまいもの糖質量は28~32g程度ということになります。スーパー等で販売されているさつまいもは約220gですので、スーパーで販売されているさつまいも1本の糖質は、概算値で60~65g程度になります。さつまいもは調理方法により糖質も大きく変化をします。蒸す、焼く、揚げるといった調理方法によって、糖質の吸収率や含有量が変わります。炭水化物は、エネルギー源として重要な栄養素ですが、過剰に摂取すると体脂肪として蓄積され、体重増加の原因になります。
このように、さつまいもは他の野菜と比べても、エネルギー・炭水化物がともに高いことがわかります。ただし前述したとおり、他の野菜よりもGI値が低いぶん、余分な糖質が脂肪に変わりにくい特徴があります。
次に、ご飯と比較してみましょう。
ご飯との比較
エネルギー (kcal) 炭水化物(g) 食物繊維総量(g) さつまいも 126 31.9 2.2 ご飯 156 37.1 1.5
ご飯と比べると、さつまいもは低カロリーで炭水化物も少ないことがわかりますね。
ダイエット中におすすめ!さつまいもの食べ方
ダイエット中のあなたにおすすめできる、さつまいもの食べ方をご紹介します。
主食(米、パン)をさつまいもに置き換える
さつまいもを主食に置き換えてみましょう。同じ量のご飯と比べると、さつまいものほうがカロリーや炭水化物が少なく、食物繊維が豊富です。具体的には、一日一回、1/2本のさつまいもを主食と置き換えましょう。さつまいもの平均的なサイズは、300〜400gです。ご飯一杯が大体200gだとすると、丸ごと一本は食べすぎになってしまいます。さつまいもでダイエットしようとして太った!とならないよう、主食と置き換えるときは1/2量にしてみてください。
さつまいもは日中に食べる
さつまいもは、日中に食べましょう。夜遅い時間に食べると、BMAL1(ビーマルワン)というタンパク質がはたらき、身体に脂肪をためやすくなるからです。BMAL1は一日の中で増減を繰り返しています。朝から日中にかけて少なくなり、夜から夜中にかけて多くなります。
BMAL1のサイクル
スタート ピーク 増える 19時 22~2時 減る 6時 14~15時
脂肪をため込むようにはたらくBMAL1が少ない、朝か昼にさつまいもを食べるとよいでしょう。
さつまいもは冷やして食べる
ダイエット目的でさつまいもを食べるなら、冷やして食べるのがおすすめです。さつまいもに含まれる糖質の一種「でんぷん」は、加熱後に冷やすことで「レジスタントスターチ」という消化しにくい食物繊維の一種に変わるためです。
レジスタントスターチを摂取することで、次のようなメリットが期待できます。
- 腸内環境が整う
- 満腹感が感じられる
- 血糖値の上昇が抑えられる
ダイエットにうれしいはたらきをしてくれるレジスタントスターチを増やすために、さつまいもは冷やして食べましょう。
さつまいもは焼く(焼き芋)より茹でる
調理法の違いでは、さつまいも自体のカロリーは変わりません。ただし、焼いたり蒸したりするよりも、茹でるほうがレジスタントスターチが増えることが明らかになっています。実際に、「焼く」「蒸す」「茹でる」それぞれの調理法で、レジスタントスターチ量の変化を調査した研究があります。それぞれを比較したところ、レジスタントスターチの量は「茹でる」が最も高く、次に「蒸す」となり、「焼く」は一番低いという結果になりました。レジスタントスターチをより多くとるために、さつまいもを調理するときは茹でることをおすすめします。
まとめ:さつまいもは糖質が多いが健康効果は高い!正しい食べ方で無理なくダイエットを
さつまいもは、糖質は高めですがダイエットに適した食品です。その理由の一つとして、豊富な食物繊維とヤラピンが腸内環境を整えることが挙げられます。これにより、便秘解消や不要な栄養素の再吸収防止が期待でき、結果として太りにくい身体作りに貢献してくると解説しました。また、さつまいもはGI値が低く、血糖値の急上昇を抑えるため、インスリンの過剰分泌を防ぎます。これにより、脂肪の蓄積が抑えられる点もダイエットに有利です。さつまいもは他の野菜やご飯と比較しても、エネルギーと炭水化物が高いですが、GI値の低さがその欠点を補っています。
- 食物繊維やヤラピンのはたらきで腸内環境が整う
- GI値が低く血糖値が上がりにくい
ダイエット中の食べ方としては、主食の一部をさつまいもに置き換えたり、日中に食べることで効果を最大限に引き出せます。また、さつまいもを冷やして食べると、レジスタントスターチが増加し、さらに満腹感を持続させ、血糖値の上昇を抑えます。調理方法にも工夫が必要で、茹でることでレジスタントスターチを最大限に摂取できます。さつまいもは栄養価が高く、適切に摂取することでダイエットの強い味方になります。食事に取り入れ、健康的な体づくりを目指し、無理なくすっきり痩せた美しい身体を手に入れましょう。