「あやむらさき」と「パープルスイートロード」の違いとは?甘さの違い、成分、品種、産地の違いをまとめてみた。美味しい食べ方や向いている料理も調べてみた。

紫芋にはさまざまな種類があります。その中でも、あやむらさきとパープルスイートロードは代表的な紫芋です。両者は似ているようで、品種や食べ方などいくつか異なる点があります。この記事では、あやむらさきとパープルスイートロードの違いについて詳しく解説します。両者の違いについて興味を持ったときには実際に食べ比べて、その違いを確かめてみてください。

あやむらさきとパープルスイートロードの違い

パープルスイートロードとあやむらさきの違いは、おもに品種と食べ方です。両者の特徴をご紹介する中で、それぞれの違いについて解説します。

見た目の違い

あやむらさきの見た目は紡錘形で、濃い赤紫色が特徴です。一方、パープルスイートロードの見た目も同じく見事な赤紫色です。どちらも違いはないように見えますが、中身の色が若干違います。あやむらさきの方が濃い紫色で、パープルスイートロードの方が少しだけ薄紫色です。どちらもあざやかな色をしていますので、青果店やスーパーで見比べてみてください。

甘さの違い

あやむらさきの糖度は12~14度ほどで甘さひかえめです。ジュースやパウダーなど加工品に使われることが多く、食感はホクホクしているため、食べているとほんのりとした甘さとともにやさしい気持ちになります。ひかえめな甘さは、あやむらさきの大きな特徴のひとつです。

パープルスイートロードの糖度は12度と、あやむらさきと同じく甘さが抑えられています。同じさつまいもと比べてみると、紅はるかの糖度は30度、安納芋は20度ほどで、パープルスイートロードの糖度は他のさつまいもより低いのが特徴です。しかしながら、糖度が低い分あっさりとしていて、心地よい天然の甘さを楽しめます。

成分の違い

あやむらさきにはアントシアニンが含まれています。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリーや紫キャベツ、赤じそ、なすに含まれている成分です。抗酸化作用の他にも、目にやさしい成分として栄養機能食品に取り入れられています。特にあやむらさきは、アントシアニンの含有量が他の紫芋に比べて極めて高く、濃い紫色をしているのもアントシアニンの強い影響を受けているためです。アントシアニンを多く含むため、健康維持のためにあやむらさきを食することは理にかなっているといえます。

パープルスイートロードにもアントシアニンが多く含まれています。パープルスイートロードとあやむらさきの含有量の違いをみると、あやむらさきの方がアントシアニンを多く含んでいて、この点も大きな違いのひとつです。

生まれの違い

あやむらさきが生まれたのは1994年で、農研機構によって開発されました。30年近く愛され続け、いまやロングセラーともいえる人気を誇るまでに至っています。パープルスイートロードも同じく農研機構によって開発され、初めて披露されたのは2002年と比較的新しい品種です。

品種の違い

あやむらさきとパープルスイートロードはどちらも同じ紫芋の一種ですが、交配されているさつまいもの種類に大きな違いがあります。あやむらさきは別名「農林47号」とも呼ばれ、「九州109号」と「サツマヒカリ」を交配させたものです。パープルスイートロードに比べると、交配されている品種が少ないように思えます。しかし、「九州109号」と「サツマヒカリ」、どちらも素晴らしいさつまいものため、まさに究極の交配がされているのです。つまり、あやむらさきは紫芋のエースともいえます。

パープルスイートロードは、紫さつまいも「九州119号」を母本として「関東85号」、「関東99号」、「関東103号」、「九州105号」、「ベニオトメ」の多交配から生まれた品種です。このようにパープルスイートロードも、他のさつまいもの良いところを兼ね備えた品種です。

産地の違い

パープルスイートロードとあやむらさきの産地は少し異なります。

あやむらさきの産地は南九州や沖縄です。一方、パープルスイートロードの産地は千葉県や茨城県で、九州でも栽培されています。九州で栽培されたものは焼酎に使われることが多く、紫芋として食卓に並ぶものは千葉県といった関東圏で栽培されたものが一般的です。

あやむらさきとパープルスイートロードの収穫時期は9月下旬から11月初旬で、ほぼ同時期に収穫されます。この時期は焼きいもの季節でもあり、おいしい焼きいもを味わうのにはうってつけの収穫時期であるといえます。

あやむらさきのおいしい食べ方

あやむらさきは、焼きいも、ふかしいものほかにスイートポテトやさつまいもチップス、いも羊かんなど、お菓子にするとおいしく召し上がれます。サラダにもよく合います。あやむらさきは焼酎にも使われています。焼酎といえば鹿児島の特産品のひとつです。九州産まれ、九州育ちで地元にゆかりの深いあやむらさきが、焼酎として愛され続けているのもうなずけます。

パープルスイートロードのおいしい食べ方

パープルスイートロードは焼きいも、モンブランといったお菓子の他にも、お味噌汁の具材にするとおいしく召し上がれます。甘さが控えめな分、他の食材との相性が抜群です。もし甘さが足りないと思ったときには、生クリームや砂糖を加えてみましょう。

ただ、パープルスイートロードは紫芋の中でも甘味がある部類です。砂糖を加えて楽しむ方法もひとつですが、パープルスイートロードが本来持つ、ほどよい甘さをそのまま味わうことをおすすめします。その他にも炊き込みご飯にしてみたり、ジャムにしてみたりと、あらゆる方法でおいしくいただける点がパープルスイートロードのよいところです。

まとめ

今回はあやむらさきとパープルスイートロードの違いについて、両者の生まれや甘さ、おいしい食べ方などを比較しました。あやむらさきとパープルスイートロードは同じ紫芋の仲間で、さつまいもと同じ分類に入ります。見た目は見事な紫色で中身の色も鮮やかです。他のさつまいもに比べると糖度が低く甘さも控えめですが、その色鮮やかさを活かしてお菓子に使われることが多く、スイートポテトやモンブランなど、あらゆるお菓子に登場する貴重な存在です。

交配された品種が違うものの、どちらも素晴らしい紫芋であることに変わりありません。紫芋をはじめとして、さつまいもにはさまざまな品種があります。さまざまなさつまいもを食べ比べて、その甘さや食感などをじっくりと味わってみてはいかがでしょうか。