紫芋にはどのような効果が期待できるのでしょうか?特に注目したいのは、その鮮やかな紫色を生み出すアントシアニンという成分です。アントシアニンには強力な抗酸化作用があり、体の老化を防ぎ、免疫力を高める働きが期待されています。また、紫芋の品種によって甘さや食感が異なるため、用途に応じた選び方も重要です。例えば、あやむらさきは甘みが控えめで、スイーツの素材として活躍。一方、ふくむらさきは豊かな甘さとしっとり感が特徴で、焼き芋として人気です。この記事を最後まで読めば、紫芋を効果的に取り入れるためのヒントが見つかります。
紫芋とは?どんなさつまいも?
紫芋(むらさきいも)は、その名の通り、紫色の果肉を持つさつまいもです。日本では特に鹿児島県や沖縄県を中心に広く栽培されています。アントシアニンを豊富に含んでおり、これがその独特の色になっています。
紫芋が紫色である理由は、アントシアニンが豊富に含まれているからです。アントシアニンとは、ブルーベリーなどにも含まれるポリフェノールの一種です。元々は、植物が紫外線などの有害な光から身を守るために蓄えられる、天然の成分なのです。アントシアニンが私たちの体の中に入ると、栄養素としてさまざまなメリットをもたらしてくれます。アントシアニンや、紫芋に含まれるその他の栄養素により期待できる健康効果をいくつかあげていきます。
紫芋の抗酸化作用とは?
まず、強い抗酸化作用があげられます。私たちの体内では、エネルギーを作り出すときに活性酸素が生じます。活性酸素は、本来ウイルスなどの外部から侵入した有害なものをやっつける働きを持ちます。ですが、活性酸素が増えすぎると細胞を傷つけ、老化やがん、糖尿病などの生活習慣病の原因となってしまいます。活性酸素は年齢とともに増えやすくなります。また、過剰なストレスや食品添加物の摂取、大気汚染、喫煙、紫外線なども、活性酸素が増える原因に。アントシアニンには、増えすぎた活性酸素を除去する力があります。それにより、アンチエイジング、病気の予防、疲労回復などが期待できるのです。
紫芋は、生食用だけではなくスイートポテト、紫芋チップス、さらには和菓子や洋菓子の材料としても幅広く利用されています。焼き芋や蒸かし芋で食べる場合、どちらかというとほくほく系と言われる食感の品種が多かったのですが、最近では紫芋の品種の中でも「ねっとり系」と言われる濃厚な甘さとねっとりとした食感を楽しめる紫芋も登場してきました。今回は、紫芋の代表格として有名な「あやむらさき」と先程も触れた紫芋でも比較的新しい品種のねっとり系と言われる「ふくむらさき」を解説致します。
あやむらさきの特徴
あやむらさきが旬の季節
あやむらさきは栽培される地域によって多少違いがあるものの、9月下旬ごろから11月初旬ごろが収穫に適しています。収穫してから2週間~3週間ほど熟成させると旨味が増すため、10月中旬ごろから年が明けて1月ごろが食べごろです。温度管理を徹底することで、あやむらさきの美味しさと鮮度をキープできるので、食べごろとされる時期以降も店頭に並ぶことがあります。
あやむらさきに含まれている栄養素
あやむらさきの果肉は鮮やかな紫色をしています。この紫色は、アントシアニンが豊富に含まれている証拠です。アントシアニンは、強い抗酸化作用をもたらす栄養素のひとつです。また、市場に多く出回るポピュラーなさつまいもに比べると、甘みはそれほどないことも特徴のひとつです。
あやむらさきは加工用としての出番が多い
甘みが少ない特徴を活かして、加工用としての出番が多いあやむらさきは、加熱することで果肉の紫色がさらに鮮やかになります。ヘルシーなこともポイントとなり、スイーツなどにおいて、見た目を彩る食材のひとつとして人気があるのも、あやむらさきの強味かもしれません。
あやむらさきの調理のコツ
見た目で楽しめるあやむらさきの特徴を活かしながらも、スイーツのような甘さを必要とする場合には、蜂蜜や砂糖、メープルシロップなどで甘さを補うと良いでしょう。熱を加えてペースト状にしたあとに、甘みを足すことでスイートポテトなどを作ることができます。鮮やかな紫色が目を引き、見た目でも充分楽しませてくれることでしょう。ペースト状にしたあとにスープに入れることで、ポタージュとして楽しむことも可能です。スイーツとしても、食事としても是非楽しんでみてください。
ふくむらさきの特徴
ふくむらさきは新品種
ふくむらさきは、2021年に品種登録されたばかりの比較的新しい品種です。一般の市場では、2019年に種苗会社から苗の供給がスタートしました。果肉が紫色のさつまいもの人気に拍車がかかっている現在、紫さつまいも(紫芋)の主力となっている「パープルスイートロード」と、「9系255」とを配合して誕生したのがふくむらさきです。そのため、パープルスイートロードに比べると、ふくむらさきは紫色が濃いことと、食味が優れている特徴を持ち合わせています。見た目の形状は普通のさつまいもと大きく変わりはなく、凸凹が少ないのも特徴的です。
ふくむらさきはあやむらさきに比べて甘さあり
あやむらさきが甘さ控えめな品種であるのに対して、ふくむらさきは紫さつまいもの中でも糖度が高い品種のひとつです。通常のさつまいもの中でも甘みがあるとされている「べにはるか」に引けを取らない甘さを持ち合わせており、紫さつまいもの中でも、今後さらに広く普及される品種として注目を集めています。
ふくむらさきの気になる食感や味
紫さつまいもの中でも糖度の高いふくむらさきは、熱を加えると食味が優れ、しっとりとした肉質で口の中にさつまいもの旨味と甘さが広がります。ふくむらさきは、旨味と甘みの両方を兼ね揃えている品種なので、焼き芋として食することにも適しています。熱することで果肉の紫色がさらに鮮やかになり、見た目でも楽しめることから、焼き芋として食する方も増えているようです。写真写りが映えるため、スイーツが大好きな方たちの間でもさらに話題を呼ぶ品種となることでしょう。
ふくむらさきが旬の季節
ふくむらさきの収穫に適した時期は10月下旬ごろから翌年の1月ごろと言われています。一般的なさつまいもに比べるとサイズが小さい特徴も持ち合わせているため、早掘りを避けた方が良い品種です。育成する期間を十分に確保することで、食味も甘みも十分に引き出すことができます。
ふくむらさきの主な産地
関東地方には有数の青果用さつまいもの産地があり、特に茨城県でふくむらさきをたくさん栽培しています。2019年の春先から、民間種苗会社を通じてふくむらさきの苗が供給されたことで、茨城県を含む関東地方以外でも広く育てられることでしょう。
まとめ
あやむらさきとふくむらさきの違い、いかがでしたか? どちらもそれぞれに特徴があり、その特徴を活かした食べ方を知ることで、これまでに体験したことのない食を楽しむことができます。紫さつまいもの品種は、一般的なさつまいもに比べて店頭に並ぶ頻度はそれほど多くはないものの、食を楽しむ食材のひとつとして、店頭で見かけた際には手に取ってみてはいかがでしょうか。紫芋は、その独特な色合いと多様な品種により、さまざまな料理に使われる魅力的な食材です。「あやむらさき」は甘みが少なく、加工用としてその鮮やかな紫色を活かしたスイーツ作りに適しています。一方、「ふくむらさき」は、2021年に品種登録された比較的新しい品種で、紫さつまいもの中でも特に甘さが際立つ特徴があります。焼き芋にするとしっとりとした食感と豊かな甘みが楽しめるため、今後さらに人気が高まることが期待されています。それぞれの特徴を活かした調理方法を用いて、紫さつまいもでしか味わえない楽しさをぜひご堪能ください。