「あやむらさき」と「ふくむらさき」の違いとは?あやむらさきの旬の時期、美味しい調理法、調理のコツやふくむらさきの糖度、食感、美味しい調理法まで徹底解説

ほくほくとした食感や、とろけるような甘みが特徴的なさつまいもには色々な品種があります。おやつとしても、食事の副菜としても出番が多いさつまいも。その中でも今回は「あやむらさき」と「ふくむらさき」にスポットをあててみました。果肉部分が紫色をした珍しいさつまいも、一度は食べて見たくなること間違いありません。

あやむらさきの特徴

出典:酢飯屋

あやむらさきが旬の季節

あやむらさきは栽培される地域によって多少違いがあるものの、9月下旬ごろから11月初旬ごろが収穫に適しています。収穫してから2週間~3週間ほど熟成させると旨味が増すため、10月中旬ごろから年が明けて1月ごろが食べごろです。温度管理を徹底することで、あやむらさきの美味しさと鮮度をキープできるので、食べごろとされる時期以降も店頭に並ぶことがあります。

含まれている栄養素

あやむらさきの果肉は鮮やかな紫色をしています。この紫色は、アントシアニンが豊富に含まれている証拠です。アントシアニンは、強い抗酸化作用をもたらす栄養素のひとつです。また、市場に多く出回るポピュラーなさつまいもに比べると、甘みはそれほどないことも特徴のひとつです。

加工用としての出番が多い

甘みが少ない特徴を活かして、加工用としての出番が多いあやむらさきは、加熱することで果肉の紫色がさらに鮮やかになります。ヘルシーなこともポイントとなり、スイーツなどにおいて、見た目を彩る食材のひとつとして人気があるのも、あやむらさきの強味かもしれません。

調理のコツ

出典:酢飯屋

見た目で楽しめるあやむらさきの特徴を活かしながらも、スイーツのような甘さを必要とする場合には、蜂蜜や砂糖、メープルシロップなどで甘さを補うと良いでしょう。熱を加えてペースト状にしたあとに、甘みを足すことでスイートポテトなどを作ることができます。鮮やかな紫色が目を引き、見た目でも充分楽しませてくれることでしょう。ペースト状にしたあとにスープに入れることで、ポタージュとして楽しむことも可能です。スイーツとしても、食事としても是非楽しんでみてください。

ふくむらさきの特徴

ふくむらさきは新品種

ふくむらさきは、2021年に品種登録されたばかりの比較的新しい品種です。一般の市場では、2019年に種苗会社から苗の供給がスタートしました。果肉が紫色のさつまいもの人気に拍車がかかっている現在、紫さつまいも(紫芋)の主力となっている「パープルスイートロード」と、「9系255」とを配合して誕生したのがふくむらさきです。そのため、パープルスイートロードに比べると、ふくむらさきは紫色が濃いことと、食味が優れている特徴を持ち合わせています。見た目の形状は普通のさつまいもと大きく変わりはなく、凸凹が少ないのも特徴的です。

あやむらさきに比べて甘さあり

あやむらさきが甘さ控えめな品種であるのに対して、ふくむらさきは紫さつまいもの中でも糖度が高い品種のひとつです。通常のさつまいもの中でも甘みがあるとされている「べにはるか」に引けを取らない甘さを持ち合わせており、紫さつまいもの中でも、今後さらに広く普及される品種として注目を集めています。

気になる食感や味

紫さつまいもの中でも糖度の高いふくむらさきは、熱を加えると食味が優れ、しっとりとした肉質で口の中にさつまいもの旨味と甘さが広がります。ふくむらさきは、旨味と甘みの両方を兼ね揃えている品種なので、焼き芋として食することにも適しています。熱することで果肉の紫色がさらに鮮やかになり、見た目でも楽しめることから、焼き芋として食する方も増えているようです。写真写りが映えるため、スイーツが大好きな方たちの間でもさらに話題を呼ぶ品種となることでしょう。

ふくむらさきが旬の季節

ふくむらさきの収穫に適した時期は10月下旬ごろから翌年の1月ごろと言われています。一般的なさつまいもに比べるとサイズが小さい特徴も持ち合わせているため、早掘りを避けた方が良い品種です。育成する期間を十分に確保することで、食味も甘みも十分に引き出すことができます。

ふくむらさきの主な産地

関東地方には有数の青果用さつまいもの産地があり、特に茨城県でふくむらさきをたくさん栽培しています。2019年の春先から、民間種苗会社を通じてふくむらさきの苗が供給されたことで、茨城県を含む関東地方以外でも広く育てられることでしょう。

まとめ

あやむらさきとふくむらさきの違い、いかがでしたか? どちらもそれぞれに特徴があり、その特徴を活かした食べ方を知ることで、これまでに体験したことのない食を楽しむことができます。紫さつまいもの品種は、一般的なさつまいもに比べて店頭に並ぶ頻度はそれほど多くはないものの、食を楽しむ食材のひとつとして、店頭で見かけた際には手に取ってみてはいかがでしょうか。甘さ控えめな品種のあやむらさきと、充分な甘さを持つふくむらさき、それぞれの特徴を活かした調理方法を用いて、紫さつまいもでしか味わえない楽しさをぜひご堪能ください。