皮まで安心して食べられる有機栽培された安納芋を食べたい!有機農産物の定義は?有機栽培された安納芋の産地や栽培方法とは?有機安納芋を調べてみた

化学肥料や農薬を使わずに育てる有機栽培。最近では、スーパーでも有機栽培で育てた野菜を、よく見かけるようになりました。濃厚な甘さで人気の安納芋も、有機栽培で育てたものはあるのでしょうか。そして、どんな風に栽培されているのでしょうか。この記事では、安納芋の有機栽培についてご紹介していきます。

そもそも有機栽培とは?

有機栽培とは、簡単にいうと「化学肥料や農薬を使わない」栽培方法です。家庭菜園での有機栽培としては、このようなイメージで大丈夫ですが、農業の世界では以下のように定められています。

  • 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない
  • 遺伝子組換え技術を利用しない
  • 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する

参考:【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~(農林水産省)

そして、有機農産物として出荷するためには、農林水産省が定めた有機JAS規定をクリアしなくてはなりません。種まきや植え付けの2年、もしくは3年以上前から、化学肥料や農薬を使わずに土づくりをし、栽培することが最低条件です。クリアしたものは「有機JAS認定」を受け、有機JASシールを貼って、有機農産物として出荷されます。厳しい条件をクリアして栽培されているからこそ、安心して食べられるのです。

安納芋の有機栽培はあるの?

結論から言うと、安納芋は有機栽培されています。一般的な栽培方法=慣行栽培されたものに比べる少ないですが、有機栽培をしている生産農家も少なくありません。

有機栽培される安納芋の産地は?

有機栽培される安納芋の主な産地は、長崎県(五島列島)や鹿児島県などです。やはり、もともとの安納芋の産地である場所は、安納芋を栽培するために環境がよい場所です。その上で有機栽培するので、より美味しい安納芋が作れます。もちろん、全国各地でも有機栽培されています。

有機栽培された安納芋はどこで買えるの?

有機栽培された安納芋は、主にネット販売で購入できます。一部の大型スーパーや、有機野菜を専門に扱うお店でも手に入りますが、取扱量はそれほど多くありません。楽天市場などでも購入できますし、最近では生産農家が直接販売サイトを用意し、販売していることも少なくありません。生産農家の販売サイトであれば、作り手の顔が見えて、より安心して食べられるのではないでしょうか。

安納芋の有機栽培の方法は?

有機栽培で育てられる安納芋は、どのように作られているのでしょうか?栽培方法を知れば、より手間をかけて栽培されていることが分かるでしょう。

1.伏せ込み・育苗

まず苗を作るために、親芋を苗床に植え付ける、「伏せ込み」と呼ばれる作業をします。親芋に使うものは、前年に収穫して保存しておいたものです。慣行栽培では伏せ込む前に殺菌剤を使用しますが、有機栽培の場合は熱湯消毒で対応します。親芋の消毒をしたら苗床に伏せ込み、軽く土を被せます。その後は環境にもよりますが、ビニールトンネルやマルチと呼ばれる保温資材、稲わらなどで保温します。育苗中は毎日、温度管理と水やりをし、約40日で苗が出来上がりです。出来上がった苗を切り取ると、次の苗が伸びてくるので、数回繰り返してたくさんの苗を採苗します。

2.土づくり

有機栽培では、多くの農家が使用する化学肥料を使えません。そこで植物由来、動物由来の有機肥料を使用するのです。さらに、肥料の素になった動物に与えた餌に、薬や農薬が使用されていないものを使用しないといけません。苗を植え付ける前に有機肥料を畑にまき、トラクターでよく耕しておきます。有機肥料を畑にまくことで、土の中の微生物が増えて、ふかふかな状態になります。この環境こそが、美味しい安納芋を育てる秘訣なのです。また有機栽培では、除草剤が使用できません。黒色のマルチと呼ばれる資材を張ることで、雑草が生えるのを防ぎます。このマルチを張ることで、太陽の光を吸収して土の温度が上がり、安納芋がよく成長するようになります。

3.定植

育苗していた苗を採苗して、畑に植え付けます。ビニールマルチに等間隔(30~40cm)で穴を開け、苗を挿すように植え付けます。植え付け方は生産者によって少しずつ違いますが、斜めに5節分植えるのが一般的です。浅すぎても深すぎても収穫量に影響があるので、とても大切な作業になります。植え付けた直後の苗は、しばらくぐったりと萎れていますが、2、3日中には活着してピンとなります。雑草対策として、植え付け後に、畝の間に黒マルチや防草シートを張って、雑草対策をすることが多いです。シートを張らない場合は、定期的に除草作業して、草が伸びないようにします。

4.収穫

苗の植え付けから約120日で収穫となります。まずは刈り払い機(草刈り)でつるを刈り取ります。その後、マルチをはがしたら、いよいよ収穫作業です。多くの場合、収穫用の機械に数人が乗って、一気に収穫します。小規模農家の場合、1つずつ手作業で丁寧に掘り上げます。

5.保管・貯蔵

収穫後は、「キュアリング」といって、30~33℃の温度、90~95%の湿度と、高温多湿の環境で数日保管します。キュアリングをすることによって、収穫時にできた傷にかさぶたが出来て、傷が広がらないようになります。また、でんぷんの一部が分解されて糖に変わり、甘味が出てくるのです。その後は出荷まで、13~14℃で管理します。長く保存していると少しずつ熟成されて、さらに甘味が増します。生産農家によっては翌夏まで保存して、熟成安納芋として販売しているところもあります。

安納芋の有機栽培についてのまとめ

有機栽培された安納芋も流通していることが分かりました。有機栽培された安納芋は、化学肥料や農薬を使用していないので、小さなお子さんからお年寄りまで、安心して食べられます。スーパーなどでは取り扱いが少ないですが、ネット販売している農家さんも多いので、ぜひ探してみてください。