定植した安納芋。その後
思い起こせば2023年4月4日。沢山のお客様が待ち望んでいる有機安納芋の定植スタートという記事を書いてから、ほぼ半年ぶりに五島列島・福江島へやってきた。4月4日に定植をスタートした安納芋達は、その後、どんな感じになっているのか?ちゃんと成長しているのか?今、どんな作業をしているのか?有機安納芋を待っている一般消費者のお客様、そして商社をはじめとする販売をしていただける企業の皆様に変わり、有機安納芋の状況を取材してみた。
みんな待っててよ!有機安納芋の定植は苗切り、液肥へ漬け込みから始まります!2023年度は有機安納芋を70万本!全て人力で定植していきます!
今年は残暑が厳しく…。これは東京に限ったことではなく、五島・福江島でも同じように残暑が厳しい。毎年、これくらい(9月中旬)になると朝晩は涼しく、羽織るものが必要になるというのだが…朝晩、Tシャツでも十分に過ごせる…いや…Tシャツでないと暑いくらいの気温なのだ。五島・福江島は太陽が近い場所とも言われているだけあり、太陽が「まだまだ夏ですよ~」と言わんばかりに照りつけているように思える。要するに真夏じゃない?というくらいの気温ということになる。
有機栽培だから雑草との格闘は半端ではない。
朝7時30分にスタッフ全員でラジオ体操で準備運動をし、その後、朝礼。もう、この時点で太陽は全開!日差しがこれでもか!というくらい降り注いでいる。
朝礼が終わり、その後、数台の車に乗り、目的地(圃場)へ一斉に出動という感じなのだ。その1台の車の後ろを我々も向かうのだが…。窓から入って来る風は、まだまだ夏の香りと湿気を伴ったもの。圃場へ到着し、見渡すと目に入って来るのは、若々しい葉がたっぷり広がっているさつまいも畑。
それも画像では少し分かりにくいのだが、奥行きは、かなりの距離がある。が…さつまいも畑なのに花?腰丈以上に伸びている草?花?が目につくのだ。これが、雑草と言われるもので有機栽培では、この雑草を農薬等を使用して処分、処理が出来ないので1本1本、人間の手で根こそぎ処理をしていかないといけなくなる。ざーと見ただけでもかなりの量の雑草が伸びているのだ。この雑草の種類は「ケイトウ」と「しば草」。
ケイトウとは?
一般的にケイトウと呼ばれるものは、炎のような鮮やかな花色で秋の花壇を彩り、古くから親しまれているなじみのある花です。ニワトリのトサカに似ていることから「鶏頭」と呼ばれ、花房の先端が平たく帯状や扇状に大きく広がり、これがよく目立つのが大きな特徴です。
引用:みんなの趣味の園芸より
こんな感じの見た目は少し美しい…のだが、この雑草は、根から抜いても種が落ちてしまうと、落ちた場所から芽を出し…と言う感じで人間から見れば負の連鎖のように雑草がどんどん育ってしまうとのこと。
全て手作業により雑草を抜いていく作業が目の前で行われているのを見ているだけで、こちらも汗が噴き出てくるような感じでもあるのだ。有機栽培と一言で言ってしまえばそれまでなのだが、有機栽培された作物は、圃場をまるで子供のように手を入れ、細かな作業の繰り返しをし、成長を見届けていくという感じのように思える。
それも1か所ではなく、その場所が終われば、また違う場所へ移動をし、その場所に生えている雑草を刈り取る。この繰り返し。有機栽培は、このような重要且つ細かな作業の繰り返しで成り立っているのは、資料だけ読んでいる、店頭で商品を見ているだけでは全く分からないのかもしれない。
アグリ・コーポレーションのスタッフが書いた記事で「夏は雑草との格闘」という言葉が使われていたのだが、この言葉の意味を理解しているようで理解していなかったことを現場に入って分かったことの一つだったのかもしれない。私たちが知っている雑草は、川や山、自然の豊かな場所に生息している管理された場所で見かけるものがほとんでであり、このように自然と生えて、根を張っている雑草とは全くの別物のようにも思えるのだった。
夏は雑草との格闘。まさにこの言葉の通り、格闘するくらいの雑草の持つ生命のエネルギーと力強さ、それを阻止しようとする人間の力なのかもしれない。有機栽培…そんな簡単なものではないのだ。
中耕があるので行ってみた
収穫を控えたある日の10時過ぎ。中耕をするのでということなので、同行して中耕を自身の目で確認をするために向かってみた。中耕についてはこちらの記事で「中耕」とは?があるので確認していただければと思う。
現在、私がメインで行っている作業の中耕を説明します!そもそも中耕とは?実際、どんな効果があるの?中耕でのトラブルとは?
ラボ長に移動する車の中で中耕の話を聞きながら中耕を行う現場へ向かう。この日もまさに夏という気温で10時をまわったばかりなのに日差しがこれでもか!というくらい降り注いでいる。もう9月中旬なのにこの夏のような気温は、たまらない。車に乗って移動しているだけなので汗が出て来るのだ。
即戦力の新入社員とは?
中耕をしている現場へ到着すると広いさつまいも畑の奥の方からトラクター用中耕作業機に乗ってこちらへ向かってくるのが見えた。あれ?あの人は?と思ったのは、彼は今年、農業大学を卒業してアグリ・コーポレーションへ入社した鎌田君ではないか?
新入社員は、2名。地元の高校を卒業した松本君と鹿児島県屋久島出身で農業大学を卒業した鎌田君。二人ともこういう場、こういう雰囲気は初めてのようで(当たり前だが)かなり緊張しているように見えるのだ。見ている私も緊張してしまうくらい…その緊張感がひしひしと伝わってくる。
しかも運転技術はたいしたもので…驚いている筆者にラボ長が「彼は、実家が農業をやっていることもあったり、学生時代は農業のアルバイトをしていたので、運転は抜群に上手なのですよ。新入社員というより即戦力の人材ですね」とのこと。
確かに彼が運転しているのを見てみると、圃場から切り返し無しで作業をする畝へ移動していく。時折、曲っていないか?と後ろを確認する程度で、スイスイ進んでいくのだ。慣れてない人の場合、圃場を出て複数回、切り返しをして作業をする畝へ入って行くとのことなので、かなり手慣れた感じの新入社員なのかもしれない。
トンボが飛び交う秋の空
収穫を行いやすくするために、作業を黙々と進めているので話をする機会もほぼ無い状態で作業はどんどん進んでいく。人の声も、車の音も、無い…。本来ならシーンと静まり返っている圃場で、夏のような太陽が力いっぱい降り注いでいる中で聞こえてくるのはトラクター用中耕作業機の刃が土にあたり彫り上げるような音だけ。
そのような中、トラクター用中耕作業機の後ろにはトンボが沢山、飛び回っているのだ。聞いてみると掘り起こされた土や草にいる小さな虫が巻き上がってくるので、それを狙ってトンボが集まってくるとのこと。つばめやカラスも同じようにトラクター用中耕作業機の後ろを歩いて、掘り起こされた虫を食べにやってくることも多いらしい。
空気は、まだまだ夏のような感じなのだが、トンボがこんな感じでトラクター用中耕作業機の後ろに集まり、飛び回る様子を見ると…もう秋にだんだん近づいて行っているような感じなのかもしれない。中耕が終われば、後は収穫を待つばかり。今年の4月に定植をした安納芋がどんな感じで出て来るのか?これはこれで楽しみでもあり、最初(定植)を知っているだけに「鈴なり」の状態を心から祈るのは間違いないのだ。
まとめ
この葉を見ても分かるように、虫は正直なのではないだろうか?先程のトンボもそうなのだが、活きた土で農薬を一切使用しない有機栽培の圃場。葉がこんな状態になっているのは、あまり良いことではないのかもしれないが素人の筆者から見れば、虫も食べない葉は、色々と問題がありそうな感じと思ってしまう。確かにこのようなものだけで有機栽培は語ることは出来ないのだが…。しかし、定植をし、雑草との格闘があり、中耕があり、そして収穫と並大抵では出来ないことということは今回、有機栽培の圃場へ行ってみて分かったこと。このような事を考えたり、トンボが沢山飛び交う風景を思い出しながら飲むお酒はこの秋、一番の美味しさだった。いよいよ次回、収穫になる。楽しみはまだまだ続く。
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地元の人、旅行で福江島へ訪れる人、出張で福江島へ訪れる人、夕食と同じくらい昼食、ランチを食べるのに…福江島のランチ情報まとめがない。「五島商店 佐藤の芋屋」の「福江島のこと」の記事の中にも多数のランチ、ディナー情報の記事があります。この「福江島のこと」の「ランチ情報」だけ抜き出してスピンアウトしたのが、「福江島ランチーズ」なのです。
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