安納芋の焼き芋は、断面が黄金色で、クリーミーな甘さが特徴です。スプーンですくって、スイーツのようにして食べるのはたまりません。しかし、なぜ安納芋の焼き芋は美味しいのか気になりませんか?実は、安納芋の美味しさを引き出す秘密は、焼き芋という調理法にあります。昔ながらの石焼き芋が、甘みと食感を引き出すカギになっています。この記事では、安納芋の焼き芋の美味しさの秘密についてご紹介します。安納芋の特徴とからめ、焼き芋の魅力や、美味しい焼き芋の作り方についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
安納芋とは?
安納芋は、鹿児島県種子島発祥のさつまいもで、特に甘みが強く、ねっとりとした食感が特徴の人気品種です。切ったときの鮮やかなオレンジ色が印象的で、βカロテンやビタミンCが豊富に含まれていることから、栄養価も高いとされています。焼くと水分が飛びつつもねっとりとしたクリーミーな食感になり、自然な甘さが凝縮されるため、焼き芋としても多くの人に親しまれています。安納芋の甘さは、収穫後しばらく熟成させるとさらに増し、特有の濃厚な甘みが一層引き出されます。また、遠赤外線を使った石焼きやオーブンでじっくり加熱すると、アミラーゼ酵素の働きによってでんぷんが糖に変わり、より深い甘みが感じられるようになります。
安納芋の焼き芋の特徴
さつまいもには、甘みや食感が異なるたくさんの種類がありますが、その中でも安納芋は甘みが強めで粘質系という特徴があります。ほくほく系やしっとり系、あっさりしたさつまいもも美味しいですが、甘み成分が強く、ねっとりした焼き芋にしかない独特な魅力もあります。ここでは、安納芋の焼き芋の特徴を詳しくご紹介します。
バツグンの甘み
安納芋は、さつまいもの中でも甘い品種で、一般的に砂糖の甘さである「ショ糖」が多く含まれています。生のままでも16度ほどの糖度がありますが、加熱して焼き芋にすると、麦芽糖という甘み成分が増えて40度近くにもなります。安納芋はうまく調理すると、蜜が出てきて、何もつけなくても美味しいほど、とろりと濃厚な味が楽しめます。
クリームを食べているような粘り気
安納芋は加熱することによって、スプーンでも食べられるほどの、ねっとりしたスイーツ感が味わえるのが特徴です。2000年ごろは、焼き芋と言えばほくほく系しかなかったのですが、2010年ごろからは安納芋のようなねっとり系がブームで、今も人気が続いています。パサパサしていないので、飲み物を用意しなくても食べられるほど。赤ちゃんやお年寄りなどの、飲み込む力が弱い方にも喉に詰まりにくくて人気です。また、未分解のでんぷんが少ないので、胸やけやお腹の張りも起こりにくいのも嬉しいところです。
冷めても硬くならない
安納芋の焼き芋は、冷めても硬くならないため、時間が経っても柔らかくしっとりとした食感が楽しめます。食べきれない分があれば、冷蔵庫で保存して翌日に楽しむのもおすすめです。また、安納芋の焼き芋は、冷やして食べると甘みがさらに引き立ち、ひんやりとしたおやつとしても人気を集めています。ねっとりとした濃厚な食感と深い甘さが、冷やしてもそのまま堪能できるのは安納芋ならでは。季節を問わず、一年中いつでも異なる楽しみ方ができる、魅力的な焼き芋の一つです。
安納芋を焼き芋にすると美味しくなる理由
安納芋を焼き芋にすると美味しいのは、食感、甘み、風味のバランスがパワーアップするからです。ここでは、焼き芋にした場合の美味しさについての秘密をご紹介します。
加熱すると甘みが出る性質がある
さつまいもには「アミラーゼ」という酵素が含まれており、この酵素がでんぷんを分解して麦芽糖に変化させることで、さつまいも本来の甘さが一層引き立ちます。アミラーゼは特に60℃から70℃の温度帯で活性化し、じっくりと加熱されることで、でんぷんを麦芽糖へと変える力がより強まります。焼き芋の場合、この温度帯でゆっくり加熱されるため、甘みが最大限に引き出されるのが特徴です。低温でじわじわと加熱される過程で、さつまいもがねっとりとした食感と深い甘みを兼ね備える、まさに絶妙な味わいに仕上がるのです。
適度に水分が飛ぶのでベチャベチャにならない
安納芋を焼き芋に仕上げると、加熱により水分が約15~30%ほど飛ぶため、甘さが一層際立ちます。もともとねっとり系の食感を持つ安納芋ですが、蒸しすぎると水分過多で柔らかくなりすぎ、ベタベタとした口当たりになりがちです。しかし焼き芋にすることで、ほどよく水分が抜けて甘みが凝縮され、クリーミーで滑らかな食感が生まれます。さらに、加熱によってさつまいもの形が引き締まり、見た目も美しく仕上がる点が特徴です。こうした特性から、焼き芋という調理法は安納芋の持つ風味や食感を最大限に引き出し、この品種ならではの魅力を存分に楽しめる理想的な方法といえます。
香ばしい香りがする
安納芋をじっくりと焼き上げると、表面にほんのりと焦げ目がつき、香ばしい焼き芋の香りが漂います。この香りが、食欲をいっそうかき立てる美味しさの要素となり、焼き上がるまでの時間も楽しみの一部です。特有の甘さとねっとりとした食感が引き出されると同時に、焼けた表面からはカラメルのような甘い香りが広がり、視覚や嗅覚でも安納芋の魅力が感じられます。焼きたての香ばしさと柔らかな食感が調和した焼き芋は、安納芋ならではのごちそうといえます。
安納芋の焼き芋を美味しく作る方法は?
安納芋の焼き芋を美味しく作るには、温度と水分がポイントになります。甘い麦芽糖を作る酵素アミラーゼは、芋の中心温度が70℃のときに最も活発に働くので、じっくり低温で温めるのがコツです。また、ねっとりした食感を出すために、適度に水分をとばすことが重要です。
ナンバー1の美味しさ|石焼き
石焼きで加熱すると、焼き芋の外側は250℃もの高温になりますが、内部は70℃程度に保たれるため、さつまいもがじっくりと均一に火が通り、甘みが引き出されます。石が発する遠赤外線により、電動熱よりも効率的にさつまいも全体を包み込むように温められるため、表面は香ばしく、内部はしっとりとした理想的な食感が生まれます。じっくり時間をかけて火を通すことで、さつまいもが持つ自然な甘さが一層引き立ち、風味も豊かに仕上がります。このような石焼きの手法によって完成した焼き芋は、ねっとりとした舌触りと深い甘みが重なり、最高の味わいが楽しめる逸品となります。私もこの感じで作られた焼き芋が大好きです。
火の暖かさも堪能できる|たき火
アルミホイルで包んでじっくりと焼き上げる焚き火も、香ばしくて美味しい焼き芋作りには最適です。外で食べる焼き芋は格別で、自然の中で味わうとさらに美味しさが増すものです。キャンプ用の焚き火台を使えば、手軽に火を起こして焚き火を楽しみながら焼き芋を作れ、アウトドア気分も満喫できます。焚き火では直接火に触れると焦げてしまうため、さつまいも全体をアルミホイルでしっかり包み、火力が弱めの焚き火台の端に置いて、こまめにひっくり返しながらじっくりと焼き上げましょう。こうしてじっくり火を通すことで、さつまいもの甘さとしっとりとした食感が引き出され、風味豊かな焼き芋が完成します。キャンプやアウトドアで作る焼き芋は自宅で作る焼き芋や買ってきた焼き芋とは全く違う…なんと言いますか?別物の焼き芋に仕上がると感じるのは私だけでしょうか?キャンプやアウトドアで焚火を囲んだ時の必須アイテムかもしれませんよ。
お手軽にじっくり焼ける|オーブン
オーブンがあれば、自宅でも簡単に本格的な焼き芋を楽しめます。まず、さつまいもをアルミホイルで包み、オーブンを160℃~180℃に設定してじっくりと時間をかけて加熱すると、さつまいも内部がしっかりと火が通り、甘みがぐっと引き出されます。オーブンなら火力も安定しているため、焦げる心配が少なく、しっとりとした焼き上がりが期待できます。焼き終えたら、そのままオーブンの余熱でゆっくり冷ますことで、さらに甘さが深まり、ねっとりとした食感が生まれます。オーブンで丁寧に焼き上げた焼き芋は、手軽ながらもまるで専門店のような味わいを楽しめるます。このメディアでも色々な焼き芋の焼き方を紹介しています。以下、参考にして自宅で焼き芋を焼いてみてください。
焼き芋に便利な調理器具|グリル
グリルを使えば、石焼きやオーブンよりも短い時間で香ばしい焼き芋が楽しめます。アルミホイルでしっかり包み、グリルの火力を活かしながら、30~40分ほどじわじわと焼き上げると、しっとり甘みが引き出されます。焼いている間はときどきひっくり返すことで、均一に火が通り、外はほんのり香ばしく、内側はねっとりとした食感が生まれます。切らずにグリルに収まる小ぶりなさつまいもを選ぶのが美味しく仕上げるコツで、焼きムラも防ぎやすくなります。グリルならではの手軽さと短時間で仕上がる焼き芋は、おやつや軽食にもぴったりの一品です。先程も書きましたがグリルで焼き芋を美味しくするポイントは小さめの安納芋を選ぶに限ります。サイズで言えば「Sサイズ、2Sサイズ」といった小ぶりなものがベストです。MサイズやLサイズでは少し大きくグリルを使用するには向かないかもしれません。
安納芋の焼き芋の秘密を知って美味しい焼き芋を食べよう
今回は、安納芋の焼き芋の美味しさの秘密についてご紹介しました。
- 安納芋はねっとりした食感と甘みが特徴。
- 安納芋は冷めても硬くならないため、冷やして食べるのもおすすめ。
- さつまいもの中心温度を70℃ほどで長時間熱すると、麦芽糖が増えて甘みが増す。
- 粘質性の芋は、焼き芋にすると水分が適度にとんで食感が良くなる。
- じっくり加熱できる石焼き・焚火・オーブンなどの方法で焼き芋を作ると特に美味しい。
ぜひ皆さんも、美味しい安納芋の焼き芋を楽しんでくださいね。