他にはないねっとりとした食感と、まるでスイーツのような甘さを持つ安納芋。おいしいさつまいもといえば安納芋、と連想する人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな安納芋がどのような品種のさつまいもなのか、その特徴やおすすめの食べ方などをご紹介します。
安納芋の特徴
安納芋の品種
一口に安納芋といっても実は様々な品種が栽培されており、皮の赤みが特徴である「安納紅」や、皮が白っぽい「安納こがね」などがあり、さらに果肉の色が赤っぽい「安納もみじ」や果肉がオレンジっぽい「安納みつき」などがあります。安納芋とは、これらのさつまいもの総称を指しますが、一般的に安納芋といえば安納紅を指すことが多いようです。
安納芋の産地
安納芋は、かつて鹿児島県の種子島でのみ栽培されており、種子島の安納地域を中心に栽培されていたところからその名がつきました。第二次世界大戦後に、スマトラ島北部のセルダンから兵隊が種芋を持ち帰り、栽培を始めたのがこちらの地域だったためです。しばらくの間、種子島以外の土地で安納芋を栽培することは禁止されていましたが、2014年以降解禁され、全国で栽培されるようになりました。
安納芋の苗と栽培方法
安納芋の苗は、一般的なさつまいものものよりも葉の色が濃く、茎が太いのが特徴です。2月頃から苗床の準備をし、春から夏にかけ、よく耕した土地に植え付けを行います。植え付けに適した土地の条件は、日当たりが良いことや水はけが良いこと、そして意外かもしれませんが、痩せた(栄養のない)土地であることです。痩せた土地で栽培を行う理由は、あまりに肥沃な土地で栽培を行うとつるばかりが伸びる「つるボケ」という現象が発生し、果肉に甘みが乗らないためです。
植え付けから3~4ヶ月で収穫を行い、よく乾燥させます。その後1ヶ月以上低温貯蔵することで安納芋のデンプン質が糖へ変化し、より甘みが増すといわれています。
安納芋の糖度
糖度とは100gあたり何gの糖分が含まれているかを表す数値です。安納芋は生の状態でも糖度が16%あり、加熱すると40%以上にもなるといわれています。安納芋の特徴であるスイーツのような濃厚な味わいはこの糖度の高さからきているのです。先人たちの品種改良技術や種子島の独特の気候が、安納芋の糖度や品質を高めた要因といわれています。
安納芋の味わい
安納芋の味わいの特長は、なんといってもその濃厚な甘みと、ねっとりとした舌触りにあります。安納芋の甘みに関しては先述の通り、一般的なさつまいもとは一線を画す糖度を誇っているため、何も味を加えなくてもまるでスイーツを食べているかのような濃厚な甘みを楽しめるでしょう。また、一般的なさつまいもよりも水分含有量が高く、繊維も少ないことから、あのねっとりとした舌触りが生まれるのです。
安納芋の美味しい食べ方
ここでは、安納芋の味わいを最大限に引き出してくれるおいしい食べ方をご紹介します。
焼き芋
安納芋のおいしさを味わうのなら、まず絶対に食べていただきたいのが焼き芋です。焼き芋を食べずして、安納芋のおいしさを語ることはおそらくできないでしょう。おいしい焼き芋に仕上げるコツは「低温でじっくりと焼き上げること」です。オーブンで焼く際は余熱はせずに、160℃程度の温度で90分以上かけて焼いてみてください。アルミホイルなどで包むかどうかは、出来上がりの水分量や、皮をパリッとさせたいかどうかなどお好みの焼き上がりに合わせて決めてみてくださいね。じっくりと火を通すことで安納芋に含まれるデンプン質が糖へ変化し、まるでスイーツのような味わいとなります。焼き芋の概念が覆されるおいしさですので、安納芋を購入した際はぜひ一度お試しください。
焼き芋アイス
安納芋のねっとりとした舌触りを生かして、焼き芋アイスとして味わうのもおすすめです。作り方はとても簡単で、先ほどご紹介した焼き芋を冷凍庫で凍らせたら完成です。糖度の高い安納芋の焼き芋は、凍らせてもカチカチになりすぎず、シャリシャリした食感やなめらかな舌触りも味わえる極上のスイーツとなります。半解凍の焼き安納芋アイスにバニラアイスクリームを添えて、大きなスプーンですくって頬張れば、言い表せないほど幸せな気持ちになることができますよ。
ジャム
安納芋はジャムにするのもおすすめです。安納芋は高い糖度を持っているため、砂糖をほとんど入れなくても十分に甘味を感じられ、安納芋ならではのねっとりとした舌触りを生かすこともできるためおすすめです。トーストはもちろん、ヨーグルトやお餅にもよく合います。とろけるチーズとともに薄切り食パンに挟み込み、ホットサンドにするとあまじょっぱい味わいがやみつきになるおいしさです。ぜひ一度お試しださいね。
まとめ
いかがでしたか?近年のさつまいもブームにより、多種多様なさつまいもの品種が日の目を見るようになってきました。今回は、そんなさつまいもブームのパイオニアとも呼べる存在である安納芋について、その品種や栽培方法、おいしい食べ方などをご紹介しました。様々な新種のさつまいもが取りざたされる中で、不動の人気を誇る安納芋。今まで食べたことがなかった方も、「さつまいもの王様」の名を冠するにふさわしいその圧倒的なおいしさを、ぜひ一度味わってみてくださいね。