人気の無いさつまいもの品種ってあるの?作付面積からみた人気のさつまいもの品種や作付下位のさつまいもの品種、さつまいもの人気品種にも潜む不人気要素も調べてみた!

さつまいもには、紅はるかや安納芋などのたくさんの人気品種がありますが、人気のない品種もあるのでしょうか?また、どういった品種が人気がないのでしょうか?沢山作られているさつまいもが人気の品種だとするならば、作付面積の少ないさつまいもが不人気ということになるのでしょうか?また、人気品種であっても、その特徴は不人気の要素は不人気要素につながることもあるようです。不人気要素を知り、より深くさつまいもを知ることで、好みの品種を探すのに役立ててください。

作付面積からみた人気の品種は?

さつまいもは、農林水産省の品種登録データベースによると、2023年12月の段階で130品種もあります。その中でも2019年にはおよそ60種ほどが栽培されているようです。昔は人気があって、多く栽培されていた品種でも、消費者の好みや保存条件、加工条件の変化によって栽培される品種やその量は少しずつ変わっていきます。まずは、作付面積から見た人気品種を紹介します。次に、作付面積が少ない品種について、その理由を見ていきましょう。

作付面積の上位品種5品種は?

令和3年産のさつまいもの作付けシェアを品種ごとに比較した表です。

順位 品種名 作付けシェア
1位 コガネセンガン 21.3%
2位 紅はるか 21.1%
3位 紅あずま 9.9%
4位 高系14号(なると金時、紅さつまなど) 9.3%
5位 シルクスイート 8.2%

引用:農林水産省 かんしょの品種別、都道府県別作付面積(令和3年産、概算値)より

コガネセンガンは焼酎に加工される品種で、そのほとんどが鹿児島と宮崎で生産されています。かりんとうなどの加工食品やデンプン用としても使用でき、活用の幅が広い品種です。紅はるかは令和2年18.2%だったシェアが令和3年には21.1%となり、年々増えているようです。上位5品種でおよそ70%を占めており、栽培される品種は一部の人気品種に集中していることがわかります。味はもちろん、栽培のしやすさや形がそろいやすいなどの特徴も作付面積上位品種の重要なポイントです。

作付面積の下位品種にはどんなものがある?

作付面積が少ない品種の多くは、限られた地域のみで生産されている品種です。例えば、令和3年には茨城県でのみ生産されている『紅こがね』や、長崎県でのみ生産されている『タマオトメ』『農林一号』などがあげられます。他にも、醸造酒や焼酎の原料としてこだわって作られている、『ジョイホワイト』や『タマアカネ』などがあります。このことから、栽培地域が少ないことや、作付面積が小さいからといって、人気がない品種と言い切ることはできないでしょう。土壌との相性や気候によって育てられる地域が限られている場合や、育てにくい品種でもこだわりで育てている場合もあるようです。

人気品種にも潜む不人気要素

人それぞれ味の好みがあるように、人気品種として全国的に多くの地域で生産されている品種にも不人気の要素は潜んでいます。不人気として挙げられる要素は、品種ごとの特徴や長所である場合も多いです。

なると金時

なると金時の味の特徴は、ほくほくとした食感と栗のような香りと表現されます。そのため、現在の流行である、ねっとりとした食感や濃厚な甘みを求める方からは、あまり選ばれないことがあるようです。

紅あずま

なると金時と同様にほくほく系のさつまいもである紅あずま。昔ながらの品種なので、紅あずまの味や食感に懐かしさを感じる方は多いのではないでしょうか。懐かしさを感じる一方、現在のねっとり系を好むファンからは支持されにくい傾向にあります。数年ほど前までは主力品種でしたが、紅はるかに押されるように生産量は減少してきています。

安納芋

ねっとり系焼き芋のブームを作り出した立役者ともいえる安納芋ですが、好みによっては「甘すぎる」「ねっとりしすぎている」といった声もあるようです。ほくほくした焼き芋が主流だった頃は、糖度の高くねっとりとした焼き芋は蜜芋と呼ばれ、好まれていませんでした。今では蜜いもは、依然と異なり人気を得ています。生産の段階で味や甘みにばらつきが出やすい品種でもあるため、美味しくない安納芋に当たってしまった場合の失望感は大きいのかもしれません。

アヤムラサキ

紫芋の一種であるアヤムラサキは紫色が濃く、ほくほくとした食感が特徴です。紫芋は普通のさつまいもと比べても甘味が少ない傾向にあります。その中でも、アヤムラサキは特に甘味がほとんど感じられない品種のため、そのままの食用には向かず、製菓などの加工用に使われている品種です。そういった特徴をしらずに、焼き芋やふかし芋として食べてしまった場合は、アヤムラサキに対して良いイメージを持てないかもしれません。

さつまいもの用途、特徴は様々

一般消費者である私たちの目に触れるさつまいもの品種は、野菜コーナーに売られているものか、焼き芋や干し芋等になっているものがほとんどです。しかし、これまで紹介してきたようにさつまいもは焼き芋の他にも、焼酎やデンプンに加工されるもの、製菓の材料になるものなどがあります。例えば先ほど紹介したアヤムラサキは、濃い紫色が特徴のため、ジュースやスイーツなどの加工品として重宝されています。一つの品種に偏らず、さまざまな特徴のさつまいもが栽培されることによって、私たちは豊かなさつまいもライフを楽しむことができていると言えるでしょう。

好みの味のさつまいもを見つけよう

さつまいもの品種の人気・不人気は、時代にも大きく影響を受けますが、一人一人の好みにもよります。安納芋のような人気品種であっても、その特徴が強すぎるためにネガティブなイメージを抱かれる場合もあります。世間ではあまり人気がない品種と言われても、自分の好む味を楽しめることが一番良いようです。また、限られた地域でしか生産されない品種や生産量の少ないものの中にも、好みの味があるかもしれません。色々なさつまいもを試して、好みのさつまいもを見つけてみてくださいね。