
秋から冬にかけて、さつまいもがおいしい季節になりました。スーパーなどで見かけると、ついつい手に取ってしまいますよね。しかし、さつまいもはどれを買っても大して変わらないと思っていませんか?実は栽培されている品種は約60種類もあり、甘さや食感、適した調理方法など、それぞれに特徴があります。今回は、栽培される機会が多く、食味も非常に良いことで知られている「高系(こうけい)14号」についてご紹介します。この記事を読むと、高系14号の栽培時の特徴や、味・食感、どんな料理に向いているかなどが分かります。ぜひ最後までご覧ください。
高系14号とは?
高系14号は、「ナンシーホール」と「シャム」という品種を掛け合わせて、1945年に生み出された品種です。デビューから80年ほどが経ちますが、今では「東のベニアズマ、西の高系14号」と言われるくらい代表的な品種で、鹿児島県、徳島県、宮崎県などの西日本を中心に広く栽培されています。高系14号という品種自体はあまり耳なじみが無いかもしれませんが、高系14号から派生した品種はとても有名です。例えば「なると金時」や「ベニサツマ」などがあります。こういった呼び名であれば、みなさんも一度は見たり、もしかすると召し上がったりしたことがあるのではないでしょうか。
高系14号の特徴①:収穫までが早く貯蔵性が良い
全国で栽培される作付面積を品種別に見ると、高系14号は4位(9.3%、令和3年度概算値)と、非常に人気のある品種です。人気の秘密を調べるために、まずは栽培に関する特徴について見ていきましょう。
収穫までの期間
一般的なさつまいもの栽培期間は約120〜140日程度を要しますが、高系14号は肥大が早く、収穫まで100日程度と、栽培期間が短いことが特徴です。
貯蔵性
さつまいもは収穫したてよりも貯蔵して時間をおいた方が、芋の中に含まれるデンプンが酵素によって糖化され甘くなります。しかし一方で、糖化が進みすぎても収穫後の期間による品質のブレが大きくなってしまうという問題もあります。高系14号は時間をおいても過度に糖化が進まないため、収穫後の品質が安定しており、貯蔵性が良い品種といえます。
食べ頃は11月〜2月が最適
地域にもよりますが、高系14号は概ね5月〜6月頃に植えられ、9月頃から収穫が開始されます。収穫から2ヶ月程度経過した11月以降が、程よく追熟が進み、食べ頃になります。
高系14号の特徴②:甘みがあり、ホクホク&ねっとり感のバランスが絶妙
これまで栽培に関する特徴を見てきましたが、一番気になるのは、高系14号は結局おいしいさつまいもなのか?という点ですよね。結論として、高系14号はとてもおいしいさつまいもだということができます。味や食感についてどのような特徴があるのか、見ていきましょう。
糖度
高系14号の糖度は公表されていませんが、高系14号から派生した品種である「なると金時」の糖度が13度であることから、それに近しい糖度であることが考えられます。さつまいもの品種別の糖度は下記の通りです。
シルクスイート | 8度 |
なると金時 | 13度 |
紅あずま | 14度 |
安納芋 | 16度 |
紅はるか | 40度 |
糖度で言えば13度はそこまで高い数値ではありません。しかし、甘いさつまいも=必ずおいしい、という訳ではなく、好みの問題となってきます。最近流行りのスイーツのような甘さではなく、ほっこりとしたさつまいも本来の素朴な甘さに魅力を感じる方にはおすすめの品種といえるでしょう。
食感
さつまいもの食感は、よく以下の3つで表現されることが多くあります。
- ホクホク系
- ねっとり系
- しっとり系
高系14号は、ホクホク系に分類されながらも、程よくねっとり感もあってバランスが良いことが特徴となっています。また、繊維質が少なく滑らかであり、ペーストなどへの加工にも適しています。さつまいもらしいホクホク感から、滑らかなペーストまで、多様な調理方法に適していることが人気の理由です。
高系14号のおいしい食べ方3選
高系14号をおいしく食べるための、おすすめ調理方法について3つご紹介します。
焼き芋
やはり、芋そのもののおいしさを味わうなら、焼き芋が1番。65〜75℃でじっくりと加熱することで、さつまいもの持つ甘味を引き出すことができます。
さつまいもの天ぷら
ホクホク感とねっとり感がちょうど良いバランスの高系14号は、天ぷらにも最適です。150〜160度の低温でじっくり中まで火を通すように揚げると、おいしく仕上がります。
スイートポテト
甘み・食感の両方を活かせる料理に、スイートポテトがあります。繊維質が少なく滑らかな食感に仕上がる高系14号にとって、スイートポテトは相性抜群の料理です。
まとめ
高系14号について、その特徴や、おいしい食べ方などについて解説してきました。さつまいもの品種として世に出て80年弱が経った今でも、広く愛されている高系14号の魅力が少しでも伝わっていれば幸いです。スーパーで見かけた際にはぜひ手に取って、召し上がってみてくださいね!