冷たいさつまいもデザートは美容、健康効果をアップ!紫外線対策にも。乳製品と合わせると冷たい完全栄養食品に!さつまいもの皮は捨てずに使用すると生活習慣病の予防に!冷たいさつまいもデザートのレシピを紹介します

身体にも美味しい冷さつまいもデザート

すっかり桜が満開となり春の陽気となりました。今年の春はとても暖かく、既に初夏のような日もありましたね。だんだん暖かくなるにつれて食べたくなるものが冷たいデザートではないでしょうか?。さつまいもといえば真っ先に思い浮かぶイメージは、秋の味覚、焼き芋やふかし芋といった温かくてホクホクしたものではないかと思います。でも、実は暖かい季節に冷やして食べてもとても美味しく頂けます。それどころか、冷した方がさつまいもの健康・美容効果のアップするのです。冷やすことによって、レジスタントスターチというさつまいもに含まれる成分が増えるとも言われています、この成分は腸内細菌の餌となり、腸の働きの活性化を手助けしてくれる成分です。腸は第2の脳とも呼ばれているほど全身の健康を担っている臓器なので、レジスタントスターチが増えると全身の活性化に繋がることが期待できます。さつまいもを冷やして食べる方法は、味は勿論のこと体にとっても美味しい食べ方なのです。

紫外線対策にもさつまいも

さて、冷たい食べ物が美味しい季節になると本格的に必要になってくる紫外線対策。さつまいもは内側からのUVケアとしても大活躍します。紫外線対策には日焼け止めなどの外側のケアだけでなく、内側のケアもとても大切です。中でもビタミンCの摂取は効果的といわれています。ビタミンCと聞くと、レモンなどの酸っぱい食べ物が浮かぶのではないかと思いますが、さつまいもにも豊富に含まれています。さつまいもに含まれるビタミンCは熱に強いので、加熱しても壊れにくい点もとても魅力的です。さらには美肌に欠かせないベータカロチンも含まれています。これは安納芋にはより豊富に含まれています。暑い日にはアイスクリームではなく、さつまいものアイスクリームで美味しく紫外線ダメージのケアはいかかでしょうか。

相性の良い乳製品で完全栄養食品に

さつまいもと非常に相性の良い食品が乳製品や大豆製品です。料理ですと煮物や天ぷら等の揚げ物に使われることが多いさつまいもですが、乳製品とも相性が良く、組み合わせると美味しいデザートが出来ます。さつまいもは準完全栄養食品と呼ばれているほど栄養価の大変高い食品ですが、唯一足りないといわれる成分がタンパク質です。しかし、乳製品や大豆製品にはタンパク質が豊富に含まれているので、さつまいもと組み合わせると完全栄養食品となります。デザートで体に必要な栄養がバランス良く摂れるとは嬉しい限りです。勿論市販でもバランス良く栄養補給が出来る食品は沢山ありますが、人工甘味料や食品添加物、質の悪い油脂が使われている物も少なくありません。手作りであれば無添加で安心して食べることが出来ます。

さつまいもの甘みで砂糖要らず

突然ですが、溶けたアイスクリームを食べたことはありますか?経験したことのある方は、きっと固まっている状態よりも凄く甘く感じたのではないかと思います。これは人間の甘みの感じ方によるものです。甘みを最も感じる温度は体温に近い35℃前後であり、そこから遠ざかるに従って甘みの感覚は鈍くなっていきます。その為、アイスクリームやジュース等は冷たくても美味しく感じられるように甘みを強く作っています。しかし、冷たいデザートであってもさつまいもを使用していれば、さつまいもが元々持っている甘みを利用出来るので、砂糖の使用量を抑えることが出来ます。安納芋のように更に糖度の高い種類であれば、砂糖や糖類を添加しなくても違和感がないほど美味しく仕上がります。さつまいもは甘くても血糖値の上昇も緩やかです。血糖コントロールをされているかたのデザートにも積極的に取り入れていただきたいです。

安納芋のアイスクリーム

〈材料〉
安納芋・・・100g
きび砂糖・・・大さじ2(無くても可)
牛乳・・・200ml
生クリーム・・・80g
卵黄・・・1個分

〈作り方〉

  1. 安納芋は蒸し器で柔らかくなるまで蒸す。
  2. ボウルに卵黄ときび砂糖を入れて、よく混ぜる。
  3. 2に1を裏ごしして加え、よく馴染まぜる。
  4. 鍋に牛乳と生クリームを入れて火にかけ、軽くクツクツいう程度まで火にかける。
  5. 3に4を少しずつ加えて混ぜ、馴染ませる。
  6. 5を冷凍庫で冷やし固める。時々取り出してホイッパーで全体を混ぜる。

万能に使えるさつまいもペーストの冷凍ストック

さつまいものデザートを作る過程で欠かせない工程が、「柔らかくなるまで加熱する」作業です。アイスクリーム等の原形をとどめないデザートには「裏ごしする」作業も必要になります。いくら冷たくして食べるといっても、そのまま冷やして食べることは出来ませんが、これらの作業は調理工程の中で一番手間がかかります。どうしても面倒になってしまう、なかなか手作りから遠ざかってしまうという原因はここにあるのではないかと思います。

しかし、この手間を解決する良い手段があります!それはさつまいもを加熱して裏ごしした「さつまいもペースト」を作り、冷凍しておくことです。一度に多めの量を作り、1回分の使用量ずつに分けて冷凍保存しておきます。この方法なら作る度に加熱や裏ごしをする必要が無いので、随分と負担が軽減出来ます!このさつまいもペーストはデザート作り以外にもとても万能で、ポタージュスープやスムージー等のお料理にも活躍します。著者はこのペーストが離乳食作りで大活躍しました。さつまいもは自然な甘みがあるので小さなお子様も食べやすく、ストックしておくとお腹の空いた子供たちにすぐにご飯を作りたい時に大変便利です。目安として冷凍で約1か月ほど保管出来ます。小分け保存する際には清潔な製氷トレーがお勧めです。そのまま容器に入れたまま解凍したい方はジップロックのような密閉容器も使いやすいです。いずれの場合も調理に使用する際は一度解凍してから使用して下さい。冷凍された状態のまま調理に使うと、ムラが出る原因になってしまいます。

冷凍焼き芋でもっと簡単に冷さつまいもスイーツ

それでもやっぱり面倒くさい!そんな方にはもっと手軽な究極の時短テクニックがあります。それは「焼き芋をそのまま冷凍する」方法です。最近は年中を通してコンビニやスーパーでも焼き芋が売られるようになり、いつでも購入できるようになりました。中には冷凍食品としても売られているお店もあります。焼き芋はとても柔らかくなるまで加熱されているので、裏ごししなくても潰すだけで滑らかな触感が得られます。実はさつまいものプロともいえる焼き芋屋さんでも「一度冷凍して再度加熱する」という方法を導入しているお店もあるそうです。これは冷凍することで余分な水分を除き、甘みを凝縮しているそうです。冷凍した焼き芋はデザート作りにも向いていますが、そのまま半解凍の状態で食べると、それだけでもアイスクリームのようでとても美味しいです。砂糖も添加物も一切不使用の天然アイスクリーム、是非一度お試し下さい。

捨てないで!栄養の宝庫、さつまいもの皮

さて、さつまいもの裏ごしの際に除いた皮ですが、そのまま捨てようとしてはいないでしょうか?それはまさに宝を捨てているようなもの!なぜなら、さつまいもの栄養は実にも勿論ありますが、皮により沢山詰まっており、中には皮にしか含まれていない栄養もあるからです。まず、皮の紫色をつかさどる「アントシアニン色素」は眼精疲労の回復、生活習慣病を引き起こす活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用があります。また、同じく抗酸化作用を持ちながら、脂肪の吸収を抑える働きをする「クロロゲン酸」、皮膚の炎症を抑制する働きがある「ビオチン」、丈夫な骨の形成に働きかける「カルシウム」等が実よりも多く含まれています。こんなに健康や美容に嬉しい栄養が詰まった皮は是非捨てずにとっておきましょう!さつまいもの皮はさつまいもの千切りに混ぜてさつまいものきんぴらにすると無理なく美味しく食べられます。皮が多く入ることで色鮮やかになり、お弁当の一品としても彩りをプラスすることに役立ちます。また、皮を素揚げして軽く塩をまぶしてチップスにしたり、アイスクリームなどのトッピングに使うと見た目としても味覚としてもアクセントになります。皮を食す際は土が残らないようにしっかりと洗ってから使って下さい。

さつまいものジェラート

〈材料〉
さつまいも・・・100g
はちみつ・・・20g
牛乳・・・100ml

〈作り方〉

  1. さつまいもは蒸し器で柔らかくなるまで蒸す。皮を除き、裏ごしする。
  2. ボウルに1とはちみつを入れて混ぜ、牛乳を少しずつ加えて馴染ませる。
  3. バットに2を流し入れて冷凍庫で冷やす。
  4. 3をミキサ=で攪拌し、再びバットに戻して冷やし固める。

冷たく食べられても冷たい場所は嫌い

さつまいもを美味しく食べるためには、調理もですが、保存の仕方も大切です。寒い時期に多く出回るため意外かもしれませんが、さつまいもは比較的温暖な気候で育ちやすい性質のため、気温の低い場所を苦手としています。著者も冬場にお買い得だった大容量のさつまいも買ってきて常温で保管していたら、ある日全て傷んでいたことがあり落ち込んだことがあります。さつまいもの保管で気を付けたいことの一つに「低温障害」があります。一般的にさつまいもは5℃以下になると低温障害をおこすといわれています。低温障害というのは温度が低すぎることが原因で、さつまいも内の細胞が死んでしまうことです。低温障害が起こると、さつまいもは黒く変色します。するとさつまいもの甘みが無くなり、苦みが出てしまいます。適温は10℃から15℃といわれているので、冬は直接暖房の当たらない、寒すぎない場所で保管するようにしましょう。逆に20℃以上になると発芽すると言われているので、夏場の常温保存は注意が必要です。直射日光の当たらない冷暗所か、冷暗所が無い場合は冷蔵庫に保管することがお勧めです。冷蔵庫を利用する際は野菜室を利用して下さい。野菜室は他の場所より少し温度が高めの10℃弱に設定されていますが、他の所はもっと温度が低く、低温障害の原因となる可能性があります。

もう一つ、さつまいもが苦手とするものが湿気です。さつまいもは湿気に弱いので風通しの良い所で保管するようにしましょう。これから梅雨の時期に入っていきますので、こんな季節こそ前述の「さつまいもペースト」や焼き芋での保管は長持ちもしてお勧めです!

昔から愛されるさつまいも

さつまいもは洋菓子だけでなく、和菓子に使ってもとても美味しいデザートになります。さつまいも餡に代表されるようにさつまいもを使った和菓子も数多く売られています。そもそも、さつまいもは昔から日本人に愛されてきた食品でした。最後は美味しいデザートのお供にさつまいもの歴史を少しお話しさせていただきたいと思います。

さつまいもが日本に初めて伝わったのは今やリゾート地として大人気の沖縄・宮古島といわれています。そこから鹿児島に入り、九州へと広がっていきました。全国的に広がったのは江戸時代。ここに大きく関わった人物に「暴れん坊将軍」として知られる徳川吉宗がいます。吉宗が将軍であった時代、西日本では害虫や冷夏の影響で米の収穫が著しく減少し、深刻な飢餓で1万人以上が命を落とす事態となりました。しかし、さつまいもの生産が広がっていた九州ではほとんど死者がいなかったことから、吉宗はさつまいもの栽培に着目しました。そして町奉行からさつまいもの研究をしていた学者・青木昆陽を紹介されます。この時、昆陽が吉宗に献上した書物の中にも「さつまいもは天候不順や荒れた土地、病院にも負けずに育ち、そのうえ栄養価も高い」と記されていたそうです。昔からさつまいもが準完全栄養食品であったことは認められていたようです。それから吉宗は昆陽に関東でも栽培できるように試作をすることを命じ、のちに関東全域にさつまいもの栽培が定着していきました。こうしてさつまいもが世に出回るようになると、さつまいもに関する書物も売られるようになりました。中でもさつまいもが多くの人に好まれていたことが分かる書物が1805年に著された「包丁里山海見立相撲」で、鰻、すっぽんと共に最高評価の「横綱級」としてさつまいも料理が載せられたそうです。

現代ではどこのスーパーに行っても売られているさつまいもですが、こうして当たり前のようにたべることが出来る背景には昔の人達の偉大な功績と努力があると思うと、より一口が有難く思えるのではないでしょうか。

さつまいもの水ようかん

〈材料〉
さつまいも・・・200g
水・・・300ml
砂糖・・・大さじ2
粉寒天・・・小さじ1

〈作り方〉

  1. さつまいもは蒸して皮を除き、裏ごしする。
  2. 鍋に1,水、砂糖、粉寒天を混ぜながら入れて火にかける。沸騰してから更に1分加熱して火を止める。
  3. 容器に移し、冷ます。粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やし固める。