さつまいもスイーツで使われているさつまいもの品種は何が多い?

さつまいもスイーツで使用されているさつまいもの人気品種は?ねっとり系・ホクホク系を徹底解説

スイートポテトや焼き芋、大学芋、そして秋冬に人気のモンブランまで。さつまいもを使ったスイーツは、どの季節にも根強い人気がありますよね。ほっこりとした甘みと素朴な香りが広がるさつまいもは、スイーツに使うだけで、どこか懐かしくて心まで温まるような味わいになります。そんなさつまいもスイーツには、どのような品種が選ばれているのでしょうか?一口にさつまいもといっても、その種類は驚くほど豊富で、品種によって甘さや食感、風味がまったく違ってきます。

たとえば、しっとり系のスイートポテトにはねっとり甘い「紅はるか」や「安納芋」、ふんわりと焼き上げる焼き芋にはホクホク感のある「鳴門金時」や「紅あずま」など、それぞれの特徴を活かした使い分けがされているんです。

この記事では、そんなスイーツづくりにぴったりな「スイーツ向けさつまいも品種」を、味の濃さ・食感・糖度といった視点からわかりやすくご紹介していきます。おうちでのお菓子作りに役立ちます。品種の特徴を知っているとぐっとスイーツづくりのさつまいもを選びやすくなりますよ。ぜひ最後まで読んで、お気に入りの「スイーツ芋」を見つけてみてくださいね。

さつまいもスイーツに最適な品種

さつまいもスイーツに最適な品種

さつまいもをスイーツに使うとき、大きく分けて「ねっとり系」と「ホクホク系」という2つのタイプがあることをご存知でしょうか?どちらもそれぞれに魅力があり、作るスイーツの種類や仕上がりのイメージによって、ぴったりの品種を選ぶことができます。

ねっとり系品種

ねっとり系のさつまいもは、加熱することで水分を多く含み、まるでスイーツそのもののような濃厚な甘みとしっとりした口当たりが特徴です。スイートポテトや焼き芋、モンブランなど、しっとり感を活かしたスイーツには、このタイプが相性抜群です。代表的な品種としては、「紅はるか」や「安納芋」、「シルクスイート」などがあり、糖度も高めで、ひと口食べるだけで贅沢な気分にさせてくれます。

紅はるか

紅はるか

紅はるかは、ぱっと見たところではごく普通のさつまいもに見えるかもしれません。ですが、ひとたび焼き上げると、その印象は大きく変わります。まるでスイーツのようにとろける甘さが広がり、まさに“驚きの味わい”を秘めた人気品種です。加熱によって糖度がぐんと上がり、50度を超えることもあるほど。しっとりとした食感と、口に入れた瞬間に広がる濃厚な甘みは、まるで蜜をまとったような贅沢さ。焼き芋といえば「紅はるか」と言われるほど、専門店でも定番として扱われています。

さらに、焼いてから裏ごししたペーストは扱いやすく、スイートポテトやスイートタルト、モンブランの土台など、さまざまなスイーツづくりにもぴったり。しっかり甘いのに、自然でやさしい味わいなので、お子さんから大人まで幅広く好まれる万能タイプです。

安納芋

安納芋

安納芋は、鹿児島県・種子島の特産品として知られる、甘さが際立つさつまいもの代表格です。加熱すると果肉の中から蜜がにじみ出てくるほど糖度が高く、焼き上がりはまるで天然のスイーツのような仕上がりに。しっとりというよりも、ねっとりと濃密で、ひと口食べると濃厚な甘さが舌の上にじんわりと広がります。その極上の食感と甘みは、焼き芋として味わうだけでも十分満足感がありますが、スイーツづくりでも大活躍。とくにプリンやスフレのような、やわらかくなめらかな食感のデザートとは相性抜群です。裏ごしした安納芋を混ぜ込むだけで、風味豊かでどこか高級感のある一品に仕上がります。

シルクスイート

シルクスイート

シルクスイートは、その名のとおり、まるでシルクのようにきめ細やかでなめらかな舌触りが魅力のさつまいもです。加熱するとしっとり感が際立ち、口に入れた瞬間にほろっとほどけるようなやさしい食感が広がります。甘さはしっかり感じられますが、紅はるかのように濃厚すぎることはなく、どちらかというと上品であっさりとした味わい。そのため、甘さを重ねるよりも、生クリームやミルクといった乳製品と組み合わせることで、素材の風味が一層引き立ちます。

裏ごししたペーストは扱いやすく、ムースやモンブランなどの軽やかなスイーツにもぴったり。スイートポテトに仕上げると、やさしい甘みとふわっとした口溶けで、ついもう一口と手が伸びてしまうような美味しさになります。

ホクホク系品種

ホクホク系は、蒸したり焼いたりするとホロっとほどけるような食感で、どこか懐かしい素朴な味わいが魅力です。甘さは控えめながら、素材らしさをしっかり感じられるため、大学芋や芋ようかん、芋けんぴなどに向いています。「紅あずま」や「鳴門金時」などが代表で、季節の和菓子にもよく使われています。

紅あずま

紅あずま

紅あずまは、昔ながらのさつまいもらしい風味をもつ、親しみやすい定番品種です。どこか懐かしさを感じさせる味わいで、長年にわたり多くの人に愛されてきました。加熱すると、表面はほんのり香ばしく、中はホクホクとした食感に仕上がります。最近人気の「ねっとり系」と比べると甘さはやや控えめですが、その分さつまいも本来の素朴な風味が際立ちます。この特徴を活かして、大学芋や芋けんぴといった、カリッとした食感と香ばしさを楽しむスイーツとの相性が抜群です。油との相性もよいため、揚げ菓子にもぴったり。蜜を絡めると、ほんのりとした甘みがより引き立ち、飽きのこない味わいに仕上がります。

鳴門金時

鳴門金時

鳴門金時は、徳島県を代表するさつまいものブランドとして知られ、その美しい紅色の皮と、ほっくりとした食感が特徴です。加熱しても煮崩れしにくく、断面もきれいに仕上がるため、見た目の美しさを大切にした料理やスイーツにぴったりの品種です。味わいは、やさしい甘さと素朴な風味が調和していて、どこか懐かしさを感じるのも魅力のひとつ。しっかりとした食感が残るので、大学芋や芋けんぴのように形を活かすスイーツにも最適です。また、天ぷらなどの揚げものにしても、水分が多すぎないためべたつかず、外はカリッと、中はホクホクと仕上がります。

さつまいも品種ごとのスイーツ適性

さつまいもをスイーツに使うとき、どの品種を選ぶかによって、仕上がりの味わいや食感に大きな違いが生まれます。なんとなく手に取った品種で作るのも悪くありませんが、スイーツの種類や目的に合わせてさつまいもを選び分けると、ひと味違った仕上がりが楽しめます。

ねっとり系品種のスイーツ

スイートポテト

スイーツづくりで口当たりの良さを大切にしたいなら、紅はるかやシルクスイートを選ぶと、仕上がりにぐっと差が出てきます。この2つの品種は、加熱するととろけるようななめらかさが生まれ、まるでクリームのように濃厚でリッチな味わいに。

スイートポテト

紅はるかは、焼くだけで驚くほど甘みが引き出され、まるで蜜をまとったような仕上がりになります。一方のシルクスイートは、より繊細で上品な甘さが魅力で、軽やかさとしっとり感のバランスが絶妙。どちらも裏ごしするととてもなめらかになり、バターや生クリームともよくなじむため、コクのある洋菓子と相性抜群です。

焼き芋

甘さにとことんこだわりたいなら、安納芋はまさに理想のさつまいもです。焼き上がったときにじゅわっとあふれる蜜のような甘さは、まるで天然のスイーツ。ひとくち頬ばれば、その濃厚さに思わずうっとりしてしまうほどです。

焼き芋

安納芋の魅力は、ただ甘いだけではありません。加熱することで生まれるねっとりとした舌触りが、スイーツのような贅沢な口どけを演出してくれます。焼き芋にしただけなのに、まるで手間ひまかけたデザートのような仕上がりになるのが、安納芋ならではの特長です。さらに、焼いたあとにしっかり冷やせば、その甘みと密度が一層際立ち、スイーツ感がより深まります。

ホクホク系品種のスイーツ

大学芋

紅あずまや鳴門金時といったホクホク系のさつまいもは、素朴ながらもしっかりとした存在感があり、昔ながらの定番スイーツ作りに欠かせない品種です。特に、これらをカリッと揚げて甘ダレを絡めた大学芋は、子どもから大人まで幅広い世代に愛されるおやつのひとつ。

大学芋

外はカリッと、中はホクホク。ひと口食べるたびに、香ばしさとさつまいもの自然な甘みが絶妙なバランスで広がります。この“食感のコントラスト”こそが、ホクホク系ならではの魅力。紅あずまの控えめで優しい甘さや、鳴門金時のしっかりとしたホクホク感が、素朴な甘ダレとよく合い、懐かしさを感じる味わいに仕上がります。

さつまいもスイーツに最適な品種:プロのパティシエはこう見る

さつまいもスイーツに最適な品種:プロのパティシエはこう見る

都内の洋菓子店勤務のパティシエ・岡本さんは、さつまいもスイーツづくりにおいて品種の選び方が仕上がりを大きく左右すると話します。

「ねっとり系のさつまいもは、素材自体の甘みがしっかりしていて、さらに水分も多いので、ペーストにしたときのまとまりがよく、口当たりもとてもなめらかになります。とくに紅はるかや安納芋は、加える砂糖の量を控えめにしても、十分な甘さが出るので、素材の味を大切にしたいレシピにはぴったりなんです。スイートポテトやモンブランのように、さつまいもそのものの風味が主役になる洋菓子におすすめですね」

一方で、ホクホク系の品種についてはこう続けます。

「紅あずまのようなホクホク系は、加熱すると香ばしさが出やすく、表面に焼き色をつけたり、揚げたりすることで、より味わいが深まります。大学芋のように外はカリッと中はほっくりとした食感を楽しむお菓子や、焼きタルトのフィリングなどには向いていますね。ほどよい甘さで、素材を引き立てる仕上がりになりますよ」

さつまいもスイーツをより一層おいしく仕上げたいなら、目的に合わせて品種を選ぶことが、おいしさの鍵になるようです。プロの声を参考に、いつものお菓子をワンランクアップさせてみてはいかがでしょうか。

まとめ

さつまいもスイーツで使用されているさつまいも品種は何が多い?まとめ

さつまいもスイーツをとことん楽しみたいなら、まず最初にこだわりたいのが【品種選び】。どれを選ぶかによって、甘さの感じ方や食感、香りの立ち方までが大きく変わり、同じレシピでも仕上がりにぐっと差が出てきます。濃厚でリッチな味わいに仕上げたいなら、やっぱりねっとり系のさつまいもがおすすめ。紅はるかや安納芋、シルクスイートなどは、焼くことでまるでスイーツのような甘さが引き出され、ペーストにしてもなめらかで、口どけの良さが際立ちます。砂糖やバターを控えめにしても満足感があるので、自然派スイーツにもぴったりです。

一方、ホクホク系の紅あずまや鳴門金時は、しっかりとした食感が魅力。香ばしさが出やすく、揚げたり焼いたりして形を活かしたお菓子作りに最適です。大学芋や芋けんぴなど、素朴で懐かしい味わいに仕上げたいときに活躍してくれます。

そして、折角なら季節の移ろいに合わせて、その時に一番美味しい旬のさつまいもを選ぶのもおすすめ。秋冬は糖度が高まり、焼くだけで驚くほど甘くなる品種が多く出回ります。どんな風味を表現したいか、どんな食感を楽しみたいか?プロのパティシエの声も参考にしながら、さつまいもという素材の魅力を考えてみるのも面白く、楽しいはずです。今日のお菓子は、どんなさつまいもで作ってみましょうか? 季節の恵みを味わいながら、あなただけの【さつまいもスイーツ】を見つけてみてください。