さつまいもとじゃがいも、同じ「いも」でもどう違うのか、と気になっている方もいるのではないでしょうか。どちらも身近な食材で、食べる機会が多いので気になりますよね。そこで今回は、管理栄養士の私が、さつまいもとじゃがいもの栄養価やおいしい食べ方、人気品種などをご紹介します。さつまいもがダイエット向きな理由も解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
さつまいもとじゃがいもの栄養価とおいしい食べ方の違い
さつまいもとじゃがいもは、同じ「いも」でもさまざまな違いがあります。さつまいもはヒルガオ科の植物であるのに対して、じゃがいもはナス科の植物です。また、さつまいもは「根」の部分を食べるのに対して、じゃがいもは「茎」の部分を食べるという違いもあります。栄養価や、おいしい食べ方にも違いがあるので、解説していきます。
栄養価
さつまいもとじゃがいもの栄養価を比較してみると、さつまいものほうがエネルギーや糖質量が多いことがわかります。また、水に溶けにくい不溶性食物繊維も、さつまいものほうが豊富です。たんぱく質は、じゃがいものほうが多く含まれています。
エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 食物繊維(水溶性) 食物繊維(不溶性) さつまいも 126kcal 1.2g 0.2g 31.9g 0.6g 1.6g じゃがいも 59kcal 1.8g 0.1g 17.3g 0.4g 0.8g
ビタミンやミネラルを比較してみると、カリウムやビタミンCはさつまいも、じゃがいもともに同じくらい含まれています。
カリウム カルシウム 鉄 ビタミンB1 ビタミンB2 ビタミンC さつまいも 480mg 36mg 0.6mg 0.11mg 0.04mg 29mg じゃがいも 410mg 4mg 0.4mg 0.09mg 0.03mg 28mg
栄養価の高いいもを選ぶなら、じゃがいもよりもさつまいもがおすすめです。
おいしい食べ方
続いて、さつまいもとじゃがいも、それぞれのおいしい食べ方を比較していきましょう。さつまいもは、素材の甘みを生かした調理法がおすすめです。そのまま食べてもおいしく、スイーツの材料としても使われます。
- 大学いも
- 焼きいも
- スイートポテト
- さつまいもご飯
- さつまいもの甘煮
- さつまいもサラダ
- さつまいもの天ぷら
じゃがいもは、味の主張が少ないぶん、あらゆる料理や味付けにも合います。もちろんじゃがバターやポテトフライなど、素材を楽しむ調理法でもおいしく食べられます。
- 肉じゃが
- コロッケ
- グラタン
- じゃがバター
- ポテトフライ
- ポテトサラダ
- カレーライス
さつまいもとじゃがいもの人気品種
さつまいもとじゃがいもの人気品種をご紹介します。スーパーや外食でよく名前を聞く人気品種について、特徴をまとめました。
さつまいも
同じさつまいもでも、食感や甘味の強さで向いている料理が変わります。作りたい料理に適した品種を選んでください。
品種 | 食感 | 甘み | 特徴 |
紅はるか | ねっとり系 | 強い | スイーツのような甘さが特徴。焼きいもやスイーツの材料に向いている。しっとり感と甘みを生かした干しいももおすすめ。 |
安納いも | ねっとり系 | 強い | 種子島産の在来種。甘みとねっとり食感を生かした、焼きいもやスイーツがおすすめ。 |
シルクスイート | しっとり系 | 強い | なめらかな食感を生かしてポタージュやスイートポテト、プリンにするとおいしい。 |
紅あずま | ほくほく系 | 強い | 日本で最も多く生産される、ほくほく系の代表的な品種。繊維質が少なく、程よい甘さが天ぷらや大学いもに向いている。 |
鳴門金時 | ほくほく系 | 控えめ | 栗のようなほくほく食感。焼きいもにするとおいしい。 |
パープルスイートロード | ほくほく系 | 控えめ | 鮮やかな紫いも。生食用としても使われている。サラダやスイーツにおすすめ。 |
じゃがいも
じゃがいもの中でも有名なのが、男爵とメークインです。じゃがいもの中でも、煮崩れしやすいものとしっかりしているものがあるため、調理法に合わせて品種を選びましょう。
品種 | 食感 | 煮崩れ | 特徴 |
男爵 | ほくほく系 | しやすい | 日本で広く栽培されている代表的な品種。粉が吹きやすく、ポテトサラダやコロッケに向いている。 |
メークイン | しっとり系 | しにくい | 煮崩れが少ないため、シチューや肉じゃがなどじっくり火を通す料理向き。 |
きたあかり | ほくほく系 | しやすい | 甘みが強く、中身が黄色いのが特徴。甘みとホクホク感を生かした、じゃがバターや粉ふきいもがおすすめ。 |
インカのめざめ | しっとり系 | しにくい | 小粒が特徴。繊維がなめらかで甘みが強い。フライドポテトやじゃがバターで甘さを楽しむのがおすすめ。 |
ホッカイコガネ | しっとり系 | しにくい | 皮むき後や加熱後の変色が少ない。表面の凹凸が少ないため、フライドポテトに向いている。 |
シャドークイーン | しっかり系 | ふつう | 紫色のじゃがいも。しっかりとした食感で色が飛びにくい。ポテトチップスやサラダ、スープに使うと彩りがよくおすすめ。 |
ダイエット向きなのはじゃがいもよりもさつまいも!
ダイエット向きなのは、じゃがいもよりもさつまいもです。理由は、さつまいものほうがGI値が低いためです。GI値とは、食後血糖値の上がりやすさを表した指標です。この値が高いほど、血糖値が上がりやすいため、血糖値を下げる「インスリン」が大量に分泌されてしまいます。その結果、血液中の糖が脂肪に変えられて身体に蓄えられてしまうのです。
比較してみると、さつまいものほうがGI値が低いことがわかります。
- さつまいものGI値:55
- じゃがいものGI値:90
じゃがいものほうがカロリーや炭水化物が少ないのに、さつまいものほうがダイエット向きなの?と疑問に思う方もいるでしょう。確かにさつまいもは、じゃがいもよりも炭水化物やカロリーが高いです。ただし、GI値が低いさつまいもは、じゃがいもに比べて糖質が脂肪に変換されにくいため、ダイエット向きといえるのです。さつまいもがダイエットに向いている理由について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてくださいね。
管理栄養士がダイエットに向く食べ方を解説します。他の野菜と比較やさつまいもは糖質が高いが健康効果、ダイエットに向く理由も徹底解説します。
まとめ:さつまいもとじゃがいもを比較!ダイエット目的ならさつまいもを
今回は、さつまいもとじゃがいもを比較しました。
栄養価
- さつまいものほうがエネルギーや糖質量、不溶性食物繊維が多い
- じゃがいものほうがたんぱく質が多い
おいしい食べ方
- さつまいもは、焼きいもやスイーツなど素材の甘みを生かした料理に向いている
- じゃがいもは素材の味を生かしたじゃがバターや、カレーなど幅広い料理に向いている
人気品種
- さつまいも:ねっとり系の安納いも、ほくほく系の鳴門金時など
- じゃがいも:ほくほく系の男爵、しっとり系のメークインなど
さつまいもとじゃがいもでは、さつまいものほうがダイエットに向いています。さつまいものほうが、GI値が低く、糖質が脂肪に変換されにくいためです。さつまいもとじゃがいも、それぞれの魅力を生かして、上手に食生活に取り入れていきましょう。