何も手を加えなくても、さつまいもの美味しさを即座に味わうことができる干し芋。一昔前まではわりと珍しい食べ物でしたが、最近ではスーパーでもコンビニでも必ずといっても過言ではないほど売り場で見かけるようになりました。その理由は、さつまいもの美味しさと体に良いということが多くの人に受け入れられてきているからでしょう。雑誌やSNSに溢れるダイエットの話題でも、ダイエット中におすすめのおやつとして頻繁に登場しています。しかし、カロリーを見ればお世辞にも低カロリーとは言い難いのも事実。果たして本当に干し芋はダイエットに良いのでしょうか?栄養士の著者が解説していきます。
注目すべきは血糖値
さつまいもは芋類であるため他の野菜に比べると糖質の高い食品です。糖質は1gあたり4kcalあります。そう言うと大したカロリーに感じないかもしれませんが、ほとんどカロリーがないとされるビタミンやミネラル、食物繊維に比べると圧倒的に高く、それが集まれば当然カロリーは高くなります。そのため、ほとんど糖質が含まれず、食物繊維や水分で構成されている葉野菜などの野菜と比べると、カロリーも高めです。しかし、痩せやすさというのはカロリーだけでは推し量れません。糖質の「質」も関係があります。その代表的な指標として用いられるものにGI値というものがあります。ダイエットや血糖コントロールを意識したことがある人であれば一度は聞いたことのある言葉なのではないでしょうか。
GI値とはグリセミック・インデックスの略であり、食後の血糖値の上昇を示す指標のことで、100に近いほど急激に上昇し、低いほど緩やかな上昇具合であることを示します。血糖値とダイエットには密接な関係があり、GI値の低い食品を選ぶことは痩せやすい体質作りに繋がります。なぜなら、急激に血糖が上がると余分な糖分を中性脂肪として蓄える働きをするインスリンというホルモンが大量に分泌されるからです。その点で干し芋はGI値が55と低GI食品に分類されており、ダイエットの面でもおすすめできる食品になります。100が上限の中で55とは中央値より上であるのに、低GI食品となるのは干し芋贔屓では?と思われた方もいるのではないでしょうか。確かに干し芋の記事ではありますが、忖度は全くなく、そもそもGI値には70以上が高GI食品、69から56は中GI食品、55以下は低GI食品と元々定義があります。低GI食品の中では確かに高めの数値ではありますが、それでは他の食品と比較してみると如何でしょうか。さつまいもと同じく糖質の多い穀類、イモ類の代表的なGI値を見てみると、食パンは95、精白米は88、うどんは85、じゃがいもは90と高GI食品が多く、干し芋が同類の食品に比べて血糖値の上昇が緩やかであることが分かります。
豊富な食物繊維で満足度アップ
もう一つ注目すべきは食物繊維です。干し芋は食物繊維が豊富な食品ですが、食物繊維は消化に時間がかかるため、胃の中の滞在時間が長く、満足感が長く続きます。また、噛み応えがあることも満足感の高さに一役買っています。満足感が高いと食べ過ぎの防止に繋がります。さらに食物繊維には腸内環境を整え、便秘解消に導く働きがあります。便秘になると、お腹がぽっこりして見た目としても良くないですが、代謝も下がりやすくなり、痩せにくい体質になる可能性があるので油断大敵です。干し芋の原料となるさつまいもには主に腸内細菌の餌となり良好な腸内環境を作る働きの水溶性食物繊維と便のカサを増し、スムーズな便通を整える不溶性食物繊維の両方が含まれています。
簡単干し芋レシピ
干し芋はおやつといった印象が強いのではないでしょうか。もちろん、上記の理由からダイエット中のおやつとして召し上がっていただくのもおすすめです。しかし、おやつだけというのももったいないというのが正直なところです。高GI値である主食に上手に使用すると、日々の食事でも痩せ体質を目指すことができます。
干し芋ごはん
高GI値のご飯に干し芋を加えることで、GI値を抑えたご飯に変身!
材料・4人分
- 干し芋・・・100g
- 米・・・150g
- 水・・・180ml
- いりごま(黒)・・・適量
干し芋ごはんの作り方
干し芋は1cm角に切る。
干し芋は平たい形もあるので、その際は拍子切りなど食べやすい大きさで大丈夫です。あまり大きいと食べにくいですし、炊飯時の火通りが悪くなるので注意してください。
炊飯器もしくは鍋に米と水を入れ、上から干し芋を散らす。
干し芋を加えた後に全体を混ぜたくなりますが、そのまま炊くようにしましょう。混ぜてしまうと炊飯時に火加減にバラツキが生じてしまいます。
蓋をして炊く。
鍋の場合は始めは強火、沸騰したら弱火に落として10分が目安です。
器に盛り付け、いりごまを散らす。
美味しくて、ダイエットにも健康にも優れている干し芋。高GI値の砂糖や小麦で作られたおやつの代わりに、ご飯やパンに混ぜたり、半量を置き換えるだけでも血糖値の急激な上昇を抑え、痩せやすい食生活に近づくでしょう。早速、食生活に取り入れて、健康的で美しい体作りを始めませんか?
まとめ
干し芋の人気が急上昇している背景には、その美味しさと健康効果が挙げられます。特に、ダイエット中のおやつとして注目されることが多い干し芋ですが、高カロリーであることも事実です。しかし、注目すべきはカロリーだけでなく、血糖値に対する影響です。干し芋は低GI食品に分類され、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。GI値が低い食品を選ぶことで、痩せやすい体質作りに役立ちます。さつまいもを原料とする干し芋のGI値は55で、これは食パンや白米などの高GI食品と比較すると、血糖値の上昇が緩やかです。また、干し芋には食物繊維が豊富に含まれており、満足感が長続きするため、食べ過ぎ防止にも繋がります。食物繊維は消化に時間がかかり、腸内環境を整え、便秘解消にも効果的です。これにより、代謝が上がり、痩せやすい体質になる可能性もあります。
干し芋はおやつとしてだけでなく、主食に取り入れることでも効果を発揮します。今回、紹介した、「干し芋ごはん」は高GI値のご飯に干し芋を加えることで、GI値を抑えた食事に変えることができます。干し芋の1cm角切りと米、水を炊飯器に入れて炊くだけで、簡単に美味しく健康的な食事が完成します。さらに、いりごまを散らすことで風味も増し、満足感のある一品となります。干し芋は、健康的で美しい体作りをサポートする食品としてオススメです。ダイエット中のおやつや、日々の食事に取り入れることで、無理なく血糖値のコントロールができ、痩せやすい体質に近づけます。美味しさと健康効果を兼ね備えた干し芋を、ぜひ積極的に食生活に取り入れてみてください。健康的で美しい体作りを始める絶好の機会なるはずです。