3年間で24回の講演を重ねた農業経営者の講演内容とは?長崎県中小企業家同友会で初開催の五島大会で講演してきた!経営者として地域の魅力や実業への魅力への答えは必須なのだ

五島市(福江島)に移住して、株式会社アグリ・コーポレーションを設立して13年目である私は、この数年で講演依頼をいただけるようになった。講演依頼がくるのには様々な理由がある。当社の何をききたいのだろうか??

  • 移住?
  • 農業転身?
  • 有機農業?
  • 六次産業化?
  • 農産物直売所経営?
  • 輸出?

答えは全てとのこと。上であげた講演内容で、それぞれの団体から依頼がくることは非常にありがたいこと。私の講演目的は、人脈形成や未来戦略の整理、プチ旅行、取引先拡大、異業種経営のインプットなどあるが、一番の理由は当社のことを広く知って認知していただくためである。

長崎県中小企業家同友会

長崎県中小企業家同友会とは?

中小企業家同友会は、経営者一人ひとりの悩み・問題意識を出発点に活動しています。経営者として、今、あなたが求めていることは何ですか? 次のようなことをお考えではありませんか?
  • 経営について真剣に考えたい
  • 経営者として刺激を受けたい
  • 経営の悩みを相談できる仲間がほしい
  • 経営の将来への見通しをたてたい
  • 社員も含め、会社のレベルアップをはかりたい
  • 優秀な人材を採用・確保・育成したい
  • 後継者を育てたい
  • 労使関係を改善したい
  • 女性・高齢者を活用したい
  • 異業種・異分野のネットワークを広げたい
中小企業家同友会は全都道府県にあり、約4万7千社の中小企業経営者が加盟している、中小企業経営者の団体です。 一言でいうと、中小企業経営者が自主的に参加し、みんなで運営して、経営体験を本音で語り・学び合い、経営者として・人間として成長する、経営者の学びの場・成長の場です。

今回の依頼のきっかけを作ってくれたのは、長崎県中小企業家同友会に加入しているお米を栽培している農業法人からの紹介であった。

初の五島大会開催とあって、業種問わず伸びている会社、内容が充実している会社など探した結果、当社に白羽の矢が立ったとのこと。当社は同団体に加入しているわけではないため、どういった会社なのか?、どのような内容を講演するのか?を理事会での事前審査もあったが無事通過したとのこと。それほど大変なことだとは、ずーーと後で知ったのだが…通常は団体に加入している会社がこういう場で発表するものらしい。

今回のタイトルは「佐藤流!グローバル農業の未来戦略~離島農業×農産物直売所×輸出=農業無限大~」

何とも大仰な!!タイトルだが、五島支部の方々が決めてくれたこのタイトルに今はしっくりきている。当初は俺流?とかいえるぐらいの会社でもないので気おくれしていたのだが・・・。
全体で参加者は260人。

私は第一分科会を担当させていただき非常に有意義な時間であった。特に、講演後に各テーブルで講演内容のディスカッションがあり、質問コーナー用紙にもぎっしり。講演会をした際によくあるパターンが、講演が終わりすぐに質問コーナーに移って質問者が挙手して係員がマイクを渡して質問が来て答える形式が往々にあるが、このパターンは質問が経験上、少ない。今回のように用紙に書くパターンは深い質問がくることがあるので大好きである。なぜなら、考える時間があるため、まとまりのある回答や中身の濃い返答ができるためである。その分、回答に関しても深く広く丁寧さが必要になってくる。質問を少しだけ抜粋して紹介すると

「五島にきて13年、今の五島の魅力と感じることは」

改めて五島の魅力ってなんだろうか。不満や離島のデメリットは数あるが、魅力・・・。これは良い質問だと思った。自分の中に落とし込んでおかなければいけない、経営者にとって必要な内容である。

私の答えは

「五島は観光資源が弱いです。また観光のインフラも整えられていない。宿泊するホテルは増えていっているが、観光資源である教会はただ立っているだけ。バス、タクシー、自転車などの移動手段、住民が観光客をうけいれる気運、観光客が気になることへの回答がどのWEBをみてもないなど、観光資源は弱い。しかし、魅力的な点は、こと農業の観点でみると、有機農業がやりやすい点があげられる。農業大国ではないため、この時期には除草剤を散布して見た目をきれいにしましょうとか俗に言う「地域あるある」がなかったり、防風林があるため隣の畑がみえない農地が多数あるからだ。通勤が自家用車でできることもそう。駐車場は基本無料なので仕事が終わった後に車で買い物をして帰れるから可処分時間が長いこと。仕事外でいえば、釣りの聖地といわれていること。こんなありがたいことはない。つまり釣りには抜群の知名度があるわけだ。ただ、魚釣りが好きな人以外が釣りをするインフラは全く整備されていないのが残念。また、移住者が多いため、私のような移住者と地元民の距離感がほどよくあって楽なこと。あと、離島っていうイメージがあること。これが五島の魅力ですね」と答えた。

考察したときに、つまり魅力ってどのように活かすかによるものだと思った。もう一つ紹介すると

「有機農法のメリットとは何か」

当社にとって有機商品のメリットが大事だと思っているが、農法自体のメリットを考える機会をもらったことに感謝したい。「日本の肥料の99%は輸入に頼っている。当社は有機農法をするために、五島の牛・豚の糞を堆肥(土づくりのための肥料)にする必要性がありその製造の仕組みが出来たことと、納豆菌や酵母菌など菌資材を自社で製造する技術がえられたことで品質の向上と、コスト削減ができたことが大きな有機農法のメリットです。ガソリンと同じように今後、肥料が安くなることはまず無いと予測しているため自社製造に舵をきれたことは大きい」と答えたが、自分の中での一つの答えが顕在化できたことが大きかった。

今回の講演会で気づきがあったこと

私の講演は以上であったが、本会で講演された株式会社EVENTOSの川中社長の話で気づきを得たことの一つが、今の学生が企業に求めているものは何か?だった。働き方改革は20位以内にも入っていない。残業が少ない、労働時間が短い、休日などホワイト企業であることは前提条件で、一番求めているものは「働き甲斐」であるということ。これは心に刺さった。当社もやっと労働条件などが整えられてきたが、次に進むべき方向を示してくれたような気がした。このような機会をいただいた長崎県中小企業家同友会、五島支部の有限会社ファームランド五島の山下さん、株式会社カネヒロの小柳さんに感謝します。有難うございました。