疲れない。無理をしない。家庭で作る離乳食を栄養士・乳幼児食指導士がさつまいもを使って離乳食レシピで作ってみた!生後5か月~生後1歳半頃までを段階を追って解説します!

さつまいもで美味しい栄養満点離乳食

ビタミン・ミネラル・食物繊維の体に嬉しい成分が詰まっているさつまいも。自然な甘みと柔らかい食感は赤ちゃんにもとても食べやすい食材です。毎日、育児テキストに書かれている通りには進まないものが離乳食ですが、さつまいもを食べていれば大部分の栄養が摂れるので、ママも一安心です。なんていったって昔は多くの人々を飢餓から守ってくれた食べ物ですからね!それでは早速さつまいも離乳食を実践していきましょう!

離乳食 前期(生後5か月から6か月ごろ)

この時期はまだ歯も生えていないことが多く、咀嚼して食べるというより、舌の前後運動で食べ物を飲み込みます。生まれて初めての母乳やミルク以外の食事なので、大人であれば全然気にならないような粒でも、少し入っているだけで全て口から出してしまうということも’少なくない時期です。口に入ったらそのまま飲み込める滑らかなペースト状が目安になります。初めのころはまだ慣れていないので、いつものミルクにほんの少しとろみがついた程度の固さから始めます。徐々に慣れてきたら水分を少し減らしてペーストくらいの濃度にしていきます。調味料はまだ使用しません

ここでまたまたさつまいもの良い点をお話ししますと、初期の離乳食はとろみをつける工程が多く、その際には水溶き片栗粉をよく使用しますが。これが意外と手間であったりするのですが、さつまいもであればでんぷん質が多いので、裏ごすだけ、潰すだけ。でとろみ付けの材料も不要であれば工程もいりません。味だけでなく、調理工程からも離乳食にはぴったりなのです。

さつまいもペースト

<材料・1食分>

・さつまいも・・・15g
・だし汁・・・適量

<作り方>

①さつまいもは皮を除いて蒸す。
②ざるで裏ごす。

③だし汁でゆるめのポタージュスープ位の固さにのばす。

少し慣れてきたら、他の食材と組み合わせていき、少しずつ少しずつ食事に近い形にしていきます。さつまいもは繰り返しお伝えしている通り栄養価の高い食品ですが、唯一足りない成分がタンパク質です。なので、高タンパク質の食品と組み合わせると、完全栄養食品といっても過言ではないほど栄養価の高い離乳食になります。離乳食を手作りすると思うと、負担に感じるかもしれませんが、さつまいもに高タンパク質の食品を混ぜるだけで全ての栄養が摂れると思うと、離乳食作りも現実的な気がしてくるのではないでしょうか。
タンパク質を多く含む食品は肉や魚といった大人の食事でメインディッシュになるようなものですが、この時期はまだ食べられないものも多いので注意が必要です。白身魚、豆腐、ヨーグルト、鶏ささみなど、アクや油分が少ない食品を選ぶようにします。

さつまいもと豆腐のペースト

<材料・1食分>

・さつまいも・・・15g
・絹ごし豆腐・・・10g
・だし汁・・・適量

<作り方>

①さつまいもは蒸して裏ごしにする。
②絹ごし豆腐はさっと茹で、裏ごしする。
③①と②を混ぜ合わせ、だし汁でペースト状になるまで伸ばす。

離乳食 中期(生後7か月~8か月ごろ)

この時期になると、歯も生え始めてきます。それに伴い上あごや歯茎を使って食べ物を潰すことが出来るようになるので、粒々のある形状に進みます。粒といっても、固いものはまだ咀嚼出来ないので、下ごしらえとして柔らかくなるまで加熱してから粒状にします。硬さの目安は指で簡単に押しつぶせる程度です。調味料もごく少量使うことが出来る時期になり、より料理らしい形に近付いてきます。味付けの目安は大人の味付けの約1/4程度の薄さが理想的です。

この時期の粒状にする作業はみじん切りが基本なのですが、さつまいもはわざわざみじん切りにしなくても、潰すだけで大きさを調節出来ます。包丁要らずで作れるので他の野菜に比べてとても楽に作れるところも魅力的です。小さなことですが、乳児の育児に追われる生活の中では、少しでも楽な方法が物凄く助かることもありますよね。

さつまいもごはん

<材料・1食分>

・7倍がゆ・・・40g
・さつまいも・・・10g
・湯
・塩・・・少々

<作り方>

①さつまいもは蒸して、皮を除き、マッシャーなどで少し粒が残る程度まで潰す。
②7倍がゆと1のさつまいもを混ぜ合わせ、食べやすい濃度まで茹で伸ばす。
③塩で味を整える。

「蒸す」と簡単に言うけれど、蒸し器を出してくるのも腰が重いという方、少なくないと思います。そんな方にオススメしたいアイテムが炊飯器です。ごはんを炊く時に、炊飯器の中に蒸したい野菜をアルミホイルに包んで一緒に入れてしまいます。これなら楽ですよね!さつまいもごはんであれば、アルミホイルで包まずに直に入れてもOK!皮を除き、1cm幅に切って、水にさらしたさつまいもをお米と一緒に炊飯器に入れて炊きます。炊きあがったごはんと水を鍋に入れて、月齢に合わせたおかゆにします。これを潰すだけで簡単に離乳食の完成です!。

忙しい平日でも重宝する!?

体に良くて、赤ちゃんも喜ぶ味のさつまいも離乳食。そうは分かっていても、やっぱり疲れ切って作る気になれない日も休みの無い乳児のお世話の日々の中にはありますよね。そんな日のために用意しておくと助かるものが「冷凍さつまいも」です。さつまいもは1食分ずつ蒸すのではなく、1本まるごと蒸して「潰しさつまいも」や「裏ごしさつまいも」のストックを沢山作っておくと便利です。離乳食の1食分はとても少ない量なので、毎回小さく切ってから蒸すよりも、丸ごと1本蒸して分ける方がむしろ手間もかかりません。時間に余裕のある時やお休みの日にまとめて作って冷凍しておくと、忙しい平日に重宝します。この冷凍さつまいもは離乳食のみならず、大人のご飯にも使えます。ポタージュスープやマヨネーズと合わせてさつまいもサラダなど、朝食やお弁当作りの面でも助けてくれるでしょう。

離乳食は特に衛生管理には気を付けていただきたい料理です。冷凍をするときは保冷材などで急冷し、なるべく早く冷凍庫に入れて下さい。また、密閉容器を使用する際はきちんと消毒した綺麗なものを使うようにしょう。月齢の低いうちは製氷皿に入れて冷凍するのも便利です。使い捨ての容器を使うのも衛生的かつ洗い物の手間も省けるので良いでしょう。

離乳食 後期(生後9か月~11か月頃)

離乳食にもだんだん慣れてくる頃です。今までは母乳やミルクからの栄養摂取がメインでしたが、この時期になるとそれが逆転して食事からの栄養摂取の割合が多くなってきます。そして、自分で食べようとする意識が強くなり、「手掴み食べ」が始まります。手掴み食べはスプーンなどを使って食べることに繋がっていく大切な成長過程なので、積極的にさせてあげるようにしたいものなのですが、ごはんなどを手掴みされると親は片付けが大変であるのも事実です。そんな時にもさつまいもは大活躍。さつまいもは調理次第では色々な形に変形させられるので、成長段階に合わせて色々なメニューが作れます。手で触ってもベタベタしないので、赤ちゃんからしても食べやすいはずです。食事の練習にもなり、必要な栄養素も沢山とれるとはいいことずくめですよね。油も少量であれば使えるようになり、メニューの幅もますます広がっていきます。

マッシュさつまいもソテー

<材料・1食分>

・さつまいも・・・15g
・砂糖・・・少々
・片栗粉・・・小さじ1/2
・サラダ油・・・少々

<作り方>

①さつまいもは蒸して皮を除き、潰す。
②片栗粉、砂糖を加えて混ぜ、スティック状に成型する。
③フライパンに油を熱し、2の表面をさっと焼く。

離乳食 完了期(生後1歳~1歳半頃)

いよいよ離乳食も終わりが近づいてきました。この頃には、前歯も生えそろい、噛み切る力もアップしてきます。スプーンやフォークを使って食べることも出来るようになってくるので、その練習になるような形状の料理をどんどん食べさせてあげたい時期です。固さと味の濃さに注意をすれば、大人とほぼ同じようなものが食べられるようになってきます。幼児食に向けて色々な料理に慣れしてあげましょう。

さつまいも入りオムレツ

<材料・1食分>

・卵・・・1/2個
・さつまいも・・・15g
・にんじん・・・10g
・玉ねぎ・・・10g
・塩・・・少々

<作り方>

①さつまいも、にんじん、玉ねぎは蒸して柔らかくしてから皮を除き、1cm角に切る。
②卵をよく溶き、1と塩を加えてよく混ぜる。
③フライパンに油を熱し、2を入れて大きく混ぜ、円形にして中央に寄せる。蓋をして弱火で3分焼く。
④食べやすい大きさに切る

疲れない。無理をしない。離乳食まとめ

これまで手作りのさつまいも離乳食の作り方をご紹介してきましたが、必ずしも手作りしなければいけないわけではありません。市販のものを上手に活用することも立派な方法の一つ。何よりママが笑顔でいることが大切です!さつまいもは元々乳児にも食べやすい食品なので、「さつまいもがゆ」や「さつまいもポタージュ」といった完成品の離乳食としてもよく売られています。よりオススメなのは市販のさつまいもペーストです。これを使うと好みの料理に色々アレンジ出来ます。ここでご注意いやだきたいのは、さつまいもペーストでも油脂や糖類が添加されているものは離乳食には不向きなので選ばないようにして下さい。最近はさつまいもバターも流行り始めていますが、この時期に過度な甘みに慣れてしまうと、薄味の離乳食は受け付けなくなってしまうこともあります。余談ですが、大人にとってはとても美味しいですよ!焼きたてのトーストに乗せると、最高の朝食になります。

大人も赤ちゃんもさつまいもで美味しく健康を維持しましょう。もしかしたら、赤ちゃんも心の中でこの世の中にはこんな美味しい食べ物があるんだなと、さつまいもの美味しさに感動しているかもしれないですね!全世界の小さな命が健康に育っていくことを陰ながら願っています。