栄養士・乳幼児食指導士が教えるさつまいもで作る離乳食とは?育児の悩みトップ3にも入る赤ちゃんの食事、離乳食問題。赤ちゃんがさつまいもが好きな理由や調理方法も解説

旬の季節を迎えたさつまいも。料理にもお菓子にも大活躍ですよね!皆大好きなさつまいもですが、実は赤ちゃんにとってもさつまいもは喜ばれる食材であることはご存知でしょうか。赤ちゃんの食事、いわゆる離乳食はいつの時代も育児の悩みトップ3に入る問題です。その中でも特に多い「食べない」といったお悩み。そんな悩めるママさんたちを救ってくれるものこそがさつまいもなのです。それでは早速、さつまいもが離乳食に最適な理由から実践編までをお伝えしていきます。

離乳食とは

離乳食とは母乳やミルクだけから栄養を摂取していた赤ちゃんが食事から栄養を摂取できるように移行する期間の食事のことです。簡単に言うと食事の練習です。大体生後5か月から1年半位の間の期間となります。離乳食は体や口の中の発達状況を目安に大きく分けて4段階に分かれていますが、この時期は個人差が大きいのであくまでも目安となっています。
さつまいもはこの4段階の最初の段階から与えることが出来る食材でもあります。つまり世の中で初めて母乳やミルク以外の食べ物を口に入れる時期の赤ちゃんにも好ましい食材であるということです。

赤ちゃんもさつまいもが好きな理由

赤ちゃんが生まれて初めて口にするものは母乳かミルクになりますが、これらは甘みを帯びた味をしています。このことから本能的に赤ちゃんは「甘み=生命維持のためのエネルギー源」と感じるようになっており、甘味を好むと考えられています。

一方で栄養があるからと親が食べさせたがる野菜はどうでしょうか。甘いというよりは苦みや酸味が強いのではないかと思います。人間は本能的に「苦み=毒を持っている」「酸味い=腐敗している」と感じ取るようになっているといわれています。後々の経験や知識の習得の積み重ねで「これは苦くても身体に良い」「これは酸味があっても有害ではない」と分かっていくのですが、生まれて間もない赤ちゃんには理解するのがまだ難しいことです。野菜を食べさせたいのに食べてくれないといったトラブルはこの矛盾から生じるともいわれています。
しかし、さつまいもは野菜の中でも甘みがあり、逆に苦みや酸味はありません。赤ちゃんにとって非常に好ましい味といえます。そのうえ、ビタミンやミネラル、食物繊維も豊富です。
離乳食の大きな目的の一つは栄養を補うことですが、この役割も十分に果たしてくれます。

「茹でる」より「蒸す」で調理しよう

「さつまいも離乳食」実践の仕方をお伝えする前に、前提としてお伝えしておきたいことがあります。それは「茹でる」より「蒸す」の方がさつまいもの栄養を逃さずに作ることが出来るということです。

離乳食は赤ちゃんが食べやすい柔らかさに調整するので、大人の食事に比べて非常に柔らかく仕上げます。言い換えれば、柔らかくなるまで加熱する時間が長く必要になります。多くの離乳食のレシピでは、長時間茹でて柔らかくしたものを成長段階にあわせた大きさや硬さにしますが、茹でると茹で汁にたくさんの‘栄養が溶け出てしまいます。せっかく含有されている豊富な栄養素が沢山流出してしまうのは勿体ないことです。そこでお勧めの方法が「蒸す」です。元々さつまいもはふかし芋が定番であるほど、蒸すことには適しています。さつまいもはビタミンCが多い点が特徴ですが、ビタミンCは水に溶け出てしまう性質です。これも蒸すことで防ぐことが出来るので、さつまいもが持つ栄養をより多く摂取できるようになります。ビタミンCは風邪の予防にも効果的といわれる成分でもあります。離乳食がスタートする時期の乳児はちょうど母親からもらった免疫が無くなり、風邪などをもらいやすい時期でもあります。蒸しさつまいも離乳食でさつまいもの持つ栄養を最大限に届けましょう。

さつまいもは乳児のおやつナンバーワン

月齢が進むと、乳児にもおやつを与えてもよくなります。乳幼児にとってのおやつは、大人でいうデザートではなく「補食」という位置付けです。補食とは食事で足りない栄養を補うという意味です。おやつだかからと安易にお菓子を与えてしまうのは理想的ではありません。そこで大変理想的なおやつこそがさつまいもなのです。自然な甘みと、豊富な栄養素が詰まったさつまいもは正に乳幼児の補食にぴったりです。多くの離乳食テキストでも乳幼児の理想的なおやつとしてふかし芋や焼き芋をはじめ、さつまいもを使ったおやつが推奨されています。
忙しい乳児のお世話中は手作りのおやつと聞くと、躊躇してしまいがちですよね。実際に手の込んだおやつを用意することは大変だと思います。

しかし、さつまいもなら蒸すだけ、焼くだけで手作りおやつの完成です。でも、離乳食用の野菜と共に蒸したり、お昼寝中や家事の合間にオーブンに入れて焼いておくだけ、と思えば、出来そうな感じがしませんか?現代はかわいいキャラクターのお菓子や、乳幼児向けのお菓子も多く販売されているので、つい買ってしまいがちです。勿論たまに楽しむことは良いのですが、乳幼児期は味覚の形成時期としてとても大切な時期であり、この時期に過度に甘いもしくは塩辛い味のおやつに慣れてしまうと、おやつばかりになって食事が進みにくくなってしまい、正しい食習慣や味覚が形成しにくくなってしまいがちです。このような乱れは将来的に肥満や生活習慣病を招きやすくなるので、注意が必要です。このような面からもさつまいもであれば、自然な甘みで安心です。乳児は便秘になりやすいのですが、補食としてさつまいもは食物繊維が豊富なので補食として摂取することで便秘解消にも繋がります。