幼児食は一生の味覚の土台となる大切な食事なのです。料理研究家が離乳食卒業から幼児食の大切さを徹底解説!さつまいもで作る幼児食とは?さつまいもが幼児食を救うのはなぜ?

幼児食とは

乳幼児の成長は個人差が大きいですが、大体生後5か月から6か月頃に離乳食を開始してから約1年で離乳食卒業を迎えます。卒業の目安は栄養の8割以上を食事から摂取出来るようになり、肉団子や卵焼きのような硬さの食べ物を噛んで食べられるようになった頃です。この頃になると、実はほとんど大人と同じような食事が出来るようになります。とはいえど、まだ顎も歯も発達途中なので、大人と全く同じ硬さや大きさのものを食べるのは現実的ではありません。

この離乳食卒業から大人と同じ食事が食べられるように移行していく期間の食事のことを「幼児食」と呼びます。

幼児食は一生の味覚の土台となる

幼児食には大人と同じ食事が出来るようにするということ以外にもう一つ重要な役割があります。それは「味覚の土台を作ること」です。

1歳から5歳までの幼児期は味覚の土台を形成するとても大事な期間です。この時期に習得した味覚は一生ものとも言われています。そのため、早くから濃い味付けに慣れてしまうと、大きくなってからも味の濃いものしか受け付けなくなり、肥満や生活習慣病に繋がる恐れがあります。薄味の調理で、素材の持つ味がを分かる食習慣を身につけることが大切です。
しかし、この時期は自我が芽生え始め、好き嫌いが激しくなる時期でもあります。

食事以外の面でも、何でもかんでも嫌がり、気に入らないことがあると激しく癇癪をおこすといった「イヤイヤ期」に突入する時期です。そのような状態になると、ついついお菓子で機嫌をとってしまったり、食べやすいものだけを与えてしまうことがよくみられますが、残念ながら幼児が好むようなお菓子はパッケージが可愛かったり、美味しいだけで体良い成分は殆ど含まれていないことが多いのが現実です。さらには一度美味しいお菓子の味を覚えてしまうと、なかなか薄味の物や素材の味を生かしたものは食べなくなってしまうことがよくあります。確かに子供は喜ぶのですが、長い目で見ると子供にとって喜ばしくないことをしてしまっていることになります。

さつまいもが幼児食を救う

それならば、我が子には幼い頃から体に良いものを食べさせよう!と意気込んでいても、これがまた難しいところで、子供は素直には食べるとは限りません。なぜなら人間は本能的に甘み、塩味、うま味を好み、苦みや酸味を避ける傾向にあるからです。幼児はとても素直なので、嫌なものは受け付けません。では、さつまいもはどうでしょうか。栄養価は準完全栄養食と呼ばれる程高いですが、苦みや酸味はなく、逆に甘みがあります。幼稚園の頃を思い出してみましょう。秋になると芋堀に出かけませんでしたか?沢山のさつまいもを手に喜んだ思い出があるのではないかと思います。そう、幼児はさつまいもの甘い味が大好きなのです。大好きな味なのに、栄養が賄えるとは素晴らしい限り。おまけにさつまいもは焼き芋やふかしいもにするだけでも十分に美味しいように、薄味どころか味付け無しでも美味しく食べることが出来ます。正に幼児食にはもってこいの食べ物です。

子供の体調不良を救うさつまいも

幼児はとにかくよく体調を崩します。体調不良の時は消化機能が落ちているので、胃に優しく消化の良い食事を心がけます。そんな時にもさつまいもは大活躍です。さつまいは茹でたり、蒸したりして加熱をしてから潰すと、食べやすい状態になります。体調不良時は栄養面に偏りが出やすいですが、さつまいもは体に必要な栄養素もしっかり摂取出来ます。風邪にはビタミンCとよく言われますが、そんなビタミンCもさつまいもは豊富です。加熱しても壊れにくいビタミンCなので、柔らかくなるまで加熱しても摂取量が著しく減らないところも嬉しいところです。おかゆのアクセントに混ぜるのも良いでしょう。

また、幼児は便秘になりがちですが、さつまいもは食物繊維が豊富なので便秘解消にも最適です。便秘解消に沢山野菜を食べましょう!と言っても幼児には難しいところがありますが、さつまいもであれば甘くて美味しいので自然と箸が進むでしょう。

食育も担うさつまいも

近年は食育に対する意識も高まり、教育施設でも積極的に食育を行うようになってきました。食育とは「食べる力」=「生きる力」を育むことで、様々な経験を通して食に関する知識とバランスの良い食を選択する力を身に付けることです。食育は生涯学習でもありますが、特に幼児期においては「食への好奇心や知識を身に付けること」を目標としています。幼児期に食に関する体験を通して「食べることって楽しいな」「食べ物を作ってくれる人に感謝しよう」という気持ちを育てることがとても大切です。そこで、幼稚園や保育施設では野菜の栽培や収穫を実践することが多いですが、さつまいもはこの学習にも最適です。なぜなら、天候にあまり左右されず、沢山収穫出来るからです。そして何より出来上がったさつまいも自体が美味しいところ。焼き芋づくりをしたり、最後まで楽しむことが出来ます。みんなで美味しいねと笑顔で食べること、これこそが幼児の食育で一番大事な経験であり、この経験を全国の教育機関でさつまいもが支えています。