食事としても、おやつとしても美味しく楽しく食べられるさつまいもは、日本人の食生活に馴染み、長く愛されている食品です。さつまいもは痩せた土地でも育つ丈夫な植物でもあるため、昔の日本人の食事を支え、栄養不足を解消するための重要なエネルギー源でもありました。しかし、昔とは違った健康問題を抱える現代においても、さつまいもは健康をサポートする優秀な食品として活躍できる、素晴らしいポテンシャルを持っています。この記事ではそうしたさつまいもの特徴とその健康効果について解説します。
糖質としてのさつまいも:低GI食品は血糖コントロールに最適
私達が生きていくために、エネルギー源となる糖質の摂取は欠かせません。しかし糖質は血糖値を急激に上げやすいため、偏った大量の摂取を続けると度重なる血糖値スパイクにより血管が傷付きやすくなり、動脈硬化や糖尿病のリスクが上昇してしまいます。また、急激に上昇した血糖値をコントロールするために分泌されるホルモン、インスリンの働きにより、血糖が脂肪として体に蓄えられるため、血糖値スパイクを頻繁に起こすような食生活は体重増加の原因にもなるのです。
食品における血糖値の上がりやすさを示す値を「グリセミック指数(GI値)」と呼びます。一般に、精製された穀類を使ったパンやうどん、白米などの「白い食品」よりも、未精製の穀類を使ったパンや蕎麦、玄米などの「茶色い食品」の方が低いGI値を持つため、血糖値の管理に役立つと考えられています。
食品 | GI値 |
---|---|
ご飯(白米) | 88 |
食パン | 95 |
うどん | 85 |
ご飯(玄米) | 55 |
ライ麦食パン | 55 |
蕎麦 | 54 |
さつまいも | 55 |
さつまいもは優秀な糖質の供給源でありながら、食物繊維も豊富であるため、血糖値の上昇が緩やかな「低GI食品」に分類されます。ゆっくりと血糖値を上昇させることでダイエット効果や生活習慣病予防効果が得られるさつまいもは、まさに「健康食品」であると言えるでしょう。
ミネラル供給源としてのさつまいも:カリウムの摂取で血圧をコントロール
さつまいもに多く含まれるミネラルのひとつがカリウムです。カリウムという栄養素の特徴として、血圧を下げる効果を持つことが挙げられます。血圧を上げる原因の一つに塩分の過剰摂取があります。日本人がよく摂取する和食は、味噌や醤油など塩分の濃い調味料で味付けされたものが多く、塩分過多の食事になりがちです。カリウムは体内の余剰な塩分を尿として体外に排出する役割を担うため、日本人には特に重要なミネラルであると言えます。カリウムの塩分排泄効果により血圧が安定することで、心不全や動脈硬化の予防にも繋がります。また、カリウムはストレス時に不足しがちな栄養素でもあります。ストレスにより分泌量が増える「コルチゾール」というストレスホルモンが高濃度になると、カリウムの排泄が促進されてしまうためです。
現代のストレス社会においては体からカリウムが失われやすいため、野菜や果物などから積極的にカリウムを摂取することが重要です。不足しがちなカリウムをさつまいもで補い、良好な血圧管理に努めましょう。
ビタミン供給源としてのさつまいも①:ビタミンB1で効率的なエネルギー補給を
さつまいもは、ジャガイモやサトイモと比較すると糖質が豊富であり、エネルギー補給の手段としても優れています。しかし折角糖質を摂取しても、それをエネルギーに変えることができなければ体はエネルギー不足に陥ってしまいます。私達が食べたものをエネルギーに変えるには、ビタミンB群の働きが不可欠です。特にビタミンB1は糖質からのエネルギー産生をサポートする働きがあるため、豊富な糖質と共に摂取することで、効率的にエネルギーを供給できるのです。エネルギー源となる糖質と、それを体内でエネルギーに変えるためのビタミンB1をどちらも豊富に含むさつまいもは、エネルギー補給に最適であると言えるでしょう。
ビタミン供給源としてのさつまいも②:ビタミンEで酸化ストレスを減らそう
さつまいもにはビタミンEも豊富に含まれています。ビタミンEは「抗酸化物質」として知られており、体内で発生した活性酸素を除去し、体の「酸化ストレス」を低減させる役割を持ちます。酸化ストレスが蓄積すると、血管など体のあらゆる組織がダメージを受けて、糖尿病や動脈硬化、がんにうつ病など、様々な病気のリスクを上昇させることになります。さつまいもを食べることでビタミンEを手軽に摂取できるため、酸化ストレスを低減させてあらゆる病気のリスクを減らす効果が期待できます。
さつまいもの効果的な食べ方
糖質と食物繊維が豊富であり、空腹感を満たしやすいさつまいもは、間食としての摂取に適しています。食事に取り入れる際には主食の量を少し減らすなど、全体としての糖質量が増えすぎないように調整して食べるようにしましょう。さつまいもは皮も食べることができます。抗酸化物質として機能するアントシアニンが皮自体に、腸内環境を整える効果を持つヤラピンなどが皮近くに豊富であるため、皮ごと食べるようにするとさつまいものメリットをより多く得られるでしょう。
さつまいもを食べることによる血糖値の上昇をより抑えたい場合には、加熱したさつまいもを冷やすことをオススメします。さつまいもを冷やすことで、でんぷんの一部が「レジスタントスターチ」と呼ばれる、食物繊維に似た性質を持つものに変化し、血糖値の上昇を抑えたり、腸内環境を整えたりする効果を発揮します。温かいさつまいもを食べたい場合には、一度冷やしてから再加熱するとレジスタントスターチを増やした状態で美味しく食べることができます。
まとめ
さつまいものもたらす健康効果と、さつまいものメリットをより多く得るための食べ方について紹介しました。生活習慣病予防やダイエットのサポートに、是非さつまいもを試してみてください。