さつまいもの試し掘りと五島のお盆事情とは?その後の安納芋を緊急レポート

さつまいも栽培を手がけている方々にとって、「試し掘り」は欠かせない作業です。しかし、何のために行うのか、どのように行うべきかを理解していない方も多いのではないでしょうか?さつまいもの収穫時期を見極めるための「試し掘り」は、単なる確認作業ではなく、収穫の成功を左右する重要なポイントです。アグリ・コーポレーションの有機安納芋は、今年の栽培方法には昨年から大きな変更があり、苗作りや土壌管理に新たな工夫が施されました。その結果がどう現れるかを確認する「試し掘り」は、今後の収穫作業における重要な判断材料となります。前回の記事「さつまいも栽培で重要なのは苗。さつまいも栽培の成功の秘訣と今年の安納芋の苗の話」で今年と昨年の苗の作り方に大きな違いがあったり、栽培方法を変えたりし、安納芋の定植時の様子を記事にしました。その記事をXに投稿したところ、「試し掘り、楽しみにしています」というコメントを沢山、頂戴しましたので今回は、今年の試し掘り(毎年、行っている)の状況と毎年、試し掘りを行う時期は、お盆休み明けですので、五島のお盆事情も紹介したいと思います。

今年と昨年では何が変わった?

さつまいもの試し掘り-今年の苗

今年と昨年で大きく変わった、変えた点がありますので、まずは前回の記事でも紹介した内容のおさらいとして書いて行きます。さつまいも栽培において、成功の鍵と言いますか?ここが一番重要なのかも?というのは「苗」です。2023年の定植時期(2023年4月)と2024年の定植時期に五島へ行った時、素人の私でもはっきりと分かる違いがありました。あまりに異なる状況だった為に、アグリ・コーポレーションの佐藤社長に「苗、変わりました?品種、変わりました?」と聞くくらいでした。変わった、変えた点はマルチ栽培にした事、昨年までの方法では自家製液肥の酸性濃度が苗に影響していたことが分かり、定植前には使用を中止し、大切に育てた苗の力、土壌の力を信じて定植したこと。大きな変更点はこの2つ。詳しくはこちらの記事にて詳細まで説明をしています。

ということで見た目にも大きく変わった定植後の苗の生育状態。今年はかなり期待できると前回の記事で書いていました。安納芋は定植してから135~150日で収穫が出来る状態になります。今年の状況を確認する上でさつまいもの試し掘りは重要なのです。それが丁度、お盆明けの時期にあたります。

さつまいもの試し掘りとは?

さつまいもの試し掘りとは?

さつまいもの試し掘りは、収穫のタイミングや収穫するさつまいも生育状況を確認する為に行われる作業です。さつまいもの試し掘りのタイミングは、さつまいもの植え付け(定植)から135日~150日が目安になります、地域や品種により異なりますが、一般的には8月~10月の時期(定植したのが4月~6月)に行われます。今回の安納芋は、4月に定植したものを8月中旬に行っています。本来、試し掘りは、収穫のタイミングや収穫するさつまいもの生育状況を確認する為に行いますので畑全体の中から適当な場所を選び、複数の場所で掘ることでさつまいも全体の収穫タイミングや生育状況が把握できます。

さつまいもの試し掘り-スコップ、鍬を使用する

さつまいもの試し掘りは、スコップや鍬を使用し、さつまいもを傷つけないように注意しながら土を掘り起こしていきます。掘り出したさつまいもが充分な大きさに育っているか?等の生育状況の確認をし、さつまいもの試し掘りの結果をもとに、最適な収穫のタイミングを判断していきます。これにより品質の良いさつまいもを収穫することができるのです。

有機安納芋の試し掘り

さつまいもの試し掘り-有機安納芋苗の今年の方法と昨年の方法

今回の試し掘りの状況は、前回と同様、ラボ長に説明していただきました。試し掘りをした畑は、昨年と同様に苗を作って定植(植え付け)をした場所と今年、改良した方法で苗を作って定植(植え付け)をした場所の畑。要するに前回、分かりやすい画像で説明をしたこの場所の畑を中心に試し掘りをしてみました。

さつまいもの試し掘り-110日経過するとこんな状態

毎年、試し掘りをするのは定植してから135~150日の安納芋ですが、今回は110日という少し定植してから短い期間になってしまいますが、この生育期日の畑を試し掘りしています。ではでは、どんな状況だったのでしょうか?まずは画像を見ていただければと思います。

さつまいもの試し掘り-試し掘りの成果(今年と昨年の違い)

右側が昨年と同様に苗を作って定植したもの。左側は今年、改良した方法で苗を作って定植したもの。

試し掘りまでの期間が短い中でも左側(今年の方法)はLサイズが主流になっており、ひとつのツルで実(安納芋)の数も沢山、出来ていた。右側(昨年の方法)と比べて見ても一目瞭然。それとマルチ栽培をしたことも大きいかったようです。

さつまいもの試し掘り-マルチ栽培の利点

マルチ栽培をすると土壌の水分が抜けて無い状態になっており、雨が降らなくても水分を吸えるので安納芋が大きくなるという状況になっていたようです。試し掘りの時点で安納芋が細長いとそのまま大きくなるので太く、大きくならないので今年の試し掘りの成果は、良好だったようです。

さつまいもの試し掘り-今年は茎が太い

また、今回の試し掘りで着目した点が、画像でもお分かりのように茎の太さです。試し掘りで掘った安納芋だけではなく、今年の方法で苗を作り、定植した安納芋、全てがそうなのですが、直径で言えば2cm~3cmの太さになっており、茎が太いと栄養が茎を通して安納芋へ行くことから、これだけ太い茎になっているので栄養を逃がさず、凄い量で安納芋へ流れて行くことが想像できます。これは、本当に今年は期待できる内容になる可能性が大きいです。

今年の収穫は?

さつまいもの試し掘り-今年の収穫時期予想

8月下旬と言っても残暑…いや…まだ酷暑という言葉がネットニュースを中心に天気予報にも沢山、残っている2024年8月下旬。ラボ長曰く、ここ数年の夏の暑さは尋常でないくらい暑いとのこと。以前の記事で有機栽培ならではの苦労として「夏は雑草との格闘」というのがありました。有機安納芋を中心に生産、販売を行っているアグリ・コーポレーションの熱中症対策としては、「ちょっとでも体調が悪くなったら即座に作業を中止して自宅へ戻ってもらう」を徹しており、麦茶を毎日30リットル以上、準備をして臨んでいるとのことです。今年の夏を表現するなら「畑作業に慣れている、畑作業を何年も行っている人でさえ、熱中症の初期症状を訴えるくらい暑いし、湿度が高い」らしいのです。

さつまいもの試し掘り-熱中症対策

まだまだ残暑が厳しい8月26日から今年の収穫が始まります。同時に「雑草との格闘」を続くわけです。今年の方法で行った苗のこと、そして試し掘りの成果のことは、一部のスタッフしか知らない為、収穫をするスタッフの驚いた顔を見るのが今から楽しみとのことです。ラボ長自身も「ここまで差が出る(昨年の方法と今年の方法)とは思っていなかった」と驚いているらしく、昨年は、収穫した安納芋を箱に入れてトラックに乗せて移動していたのですが、箱が一杯、トラックに乗せる箱が一杯になるまでトラックが移動できない為、どうしても待ち時間が多かったみたいですが、今年はまったくそのようなことが無さそうで、逆に大きめのトラックの手配をしたくらいとのこと。ラボ長の話を聞いて、画像や動画を見せていただいた私も昨年の方法と今年の方法ではこれほど違うのか?と思うレベルでしたので、これは収穫するスタッフも「昨年とは全く違う」と驚くことは間違いないはずです。既に予約注文も沢山いただいているので、店頭には9月下旬~10月上旬には少しづつ並び始めるはず。今年のアグリ・コーポレーションの有機安納芋、昨年以上に充実していますのでお楽しみに!

安納芋の試し掘りまとめ

さつまいもの試し掘り-安納芋試し掘りまとめ

今年のさつまいも栽培は、昨年から大きく変更した苗作りや土壌管理が功を奏し、試し掘りの結果でも明らかに違いが出ました。特にマルチ栽培による土壌水分の維持が、安納芋の生育に良い影響を与え、試し掘りの段階で大きく育ったことが確認されました。今夏の過酷な暑さにもかかわらず、改善された栽培方法により、昨年よりも豊かな収穫が期待されています。今回の試し掘りが示す通り、今年の安納芋は品質も量も昨年を上回る見込みです。収穫が始まり、これから店頭に並び始める有機安納芋、是非、ご確認いただければと思います。

ここまではさつまいもの試し掘りを解説してきました。毎年、安納芋の試し掘りの時期は、お盆の時期と重なります。勿論、今年もそうでした。私も驚いた!五島のお盆事情も少しだけ触れたいと思っています。本当にところ変われば…です。ラボ長も「ケンミンショー」で初めて自分達のお盆の過ごし方とその他の地域のお盆の過ごし方が違う!?ということに気が付いたそうです。では五島のお盆事情を解説致します。

お盆の過ごし方の違いとは?

さつまいもの試し掘りはお盆の時期

お盆は、日本の伝統的な行事で、亡くなられた祖先の霊を迎え入れ、供養する期間にあたります。一般的には、8月13日~16日の4日間が「お盆」とされていますが、東京や一部の地域では7月13日~16日で行われることもあります。仏壇や墓前にお供え物をしたり、迎え火や送り火もあります。お盆の期間にはお墓参りをして家族が集まって先祖を供養することが一般的で、盆踊りもお盆の行事の一部で、地域の祭りとして行われることもあります。そんなお盆ですが、五島(長崎県)は少し違うと言いますか?派手と言いますか?家族の絆が強い感じをラボ長の話を聞く限り、思いました。

五島のお盆事情

五島のお盆事情-お墓参り

まず、五島ではお盆の期間は16時を過ぎると人が消えると言いますか?雨が降らない限り買い物へ行く人がまったくいなくなる。いるのは観光客だけという状況になります。お盆の期間は、大抵、17時には、お墓参りへ行き、提灯にろうそくを付けて火が消えるまでお墓にいます(大体1時間くらい)。その間に、墓地の敷地内のお墓(自分の家のお墓以外も)に線香をあげるのが当たり前で、線香を何束も持っている人もいるくらい。他所のお墓に線香をあげると、御礼と言いますか?「これでも飲んで」とビールをもらうこともよくあります。

五島のお盆事情-五島のお墓は派手

因みに、筆者は関東、東京なのですが、お墓の文字で、金色というのに少し驚き、そしてお墓の大きさ、ゴージャスさに2度驚き、最後は、お墓に提灯(多いところでは20個とか30個)これにも驚きました。ラボ長は五島のお盆事情の話を続けます。

五島のお盆事情-お盆はBBQが多い

五島のお盆事情-BBQは五島ならではの食材

お盆の期間は家族や親戚が沢山集まるので、BBQを行うことが多く、これも五島ならではの食材(新鮮な魚介類が豊富)で賑やかに行うのがお盆の風景とのことです。

五島のお盆事情-お墓で花火

最後の方で、お墓で花火をするので暗くなってからでは危ないので16時~18時くらいにお墓へ行くことが多く、スーパーではお盆が近づくと花火セットが売り出され、5,000円~10,000円くらいを一家庭で購入をしているので日本一、花火にお金を使う県(長崎県)もしくは市(五島市)ではないか?と話していました。

五島のお盆事情-五島は日本一花火を消費する市

ラボ長の話を聞きながら筆者が思ったことは、お盆の期間には、島外へ出ている人の約9割は帰省をしてくるということは凄いなぁ~と感じました。確かに8月に入ると「フェリーで五島列島・福江島へ。船酔いが酷い筆者がフェリーで博多港から福江港まで行ってみた!飛行機で行くより断然安く、これで快適なら申し分ないのだが…まとめてみた」と「初心者必見!五島へ行くならフェリーが断然オススメ!車の持ち込み方法も」の2つの記事のアクセスが大幅に上がったのでなんでかな?と思っていたのは事実ですし、子供の頃から先祖を大切にすると家族にしっかりと教えられ、それがちゃんと今もしみついているという点。

五島のお盆事情-花火イメージ

テレビ等の番組では、長崎県や五島市のお盆は花火をするということだけ切り取って面白く、楽しく、初めて知った!という感じに番組を構成するのは仕方がないと思いますが、本来の伝えないといけないのは、花火ではなく、お盆にはしっかりと帰省をして先祖を大切にする気持ちがしっかりと受け継がれているという点ではないかと思います。

五島のお盆事情-花火イメージ2

そのような五島でも子供たちが少なくなったので花火をすることも少なくなったかもと寂しそうにラボ長は話をされていました。

今回の記事では前回の記事「さつまいもは苗が重要」の記事に掲載した有機安納芋の苗の作り方、栽培方法を変えて定植したものがどうなったのか?という事から「さつまいもの試し掘り」で分かったことを書きました。毎年、さつまいもの試し掘りは行う時期は、お盆の時期の前後ということから「五島(長崎県)のお盆事情」も少し触れています。次回の記事では、今年の安納芋はどうだった?ということを書いてみたいと思っていますのでこれはこれでお楽しみに!