さつまいもの試し掘りで収穫時期を見極める!栽培方法を変えた有機安納芋の成果

さつまいもの収穫時期を見極めるための「試し掘り」は、単なる確認作業ではなく、収穫の成功を左右する重要なポイントです。アグリ・コーポレーションの有機安納芋は、今年の栽培方法には昨年から大きな変更があり、苗作りや土壌管理に新たな工夫が施されました。その結果がどう現れるかを確認する「試し掘り」は、今後の収穫作業における重要な判断材料となります。前回の記事「さつまいも栽培で重要なのは苗。さつまいも栽培の成功の秘訣と今年の安納芋の苗の話」で今年と昨年の苗の作り方に大きな違いがあったり、栽培方法を変えたりし、安納芋の定植時の様子を記事にしました。その記事をXに投稿したところ、「試し掘り、楽しみにしています」というコメントを沢山、頂戴しましたので今回は、今年の試し掘り(毎年、行っている)の状況を紹介したいと思います。

さつまいもの試し掘りとは?

さつまいもの試し掘りとは?

つまいもの試し掘りは、収穫時期を見極め、全体の生育状況を確認するために欠かせない大切な作業です。植え付け(定植)からおよそ135日~150日が目安となり、地域や品種によって時期は変わりますが、一般的には4月~6月に定植したさつまいもを8月~10月頃に試し掘りします。今回の安納芋も、4月定植分を8月中旬に掘って状態を確認しました。

試し掘りでは、畑の一部分だけを掘るのではなく、畑全体の中から何か所かを選び、複数の場所で掘っていきます。これは、日当たりや土壌の水はけなど微妙な条件差で生育が異なるため、偏りなく全体の状態を把握するためです。

さつまいもの試し掘り-スコップ、鍬を使用する

掘る際は、スコップや鍬を使って土を丁寧に掘り起こし、さつまいもを傷つけないよう細心の注意を払います。掘り出したさつまいもを手に取り、大きさや形、表皮の状態、色づき具合などを観察します。特に安納芋のようなねっとり系品種では、収穫時期が少し早いと甘みが乗りきらず、遅すぎると表皮が荒れやすくなるため、試し掘りの結果が収穫時期の決定に直結します。

こうして得られた試し掘りの情報をもとに、収穫時期を最終判断します。適切なタイミングを見極めることで、糖度が高く、品質の良いさつまいもを安定して収穫することができるのです。

さつまいも試し掘りの工程

さつまいも試し掘りの工程は以下のような感じになります。

1. 試し掘りの場所を決める
畑全体の状態を把握するため、1か所だけでなく複数の場所を選びます。日当たりや水はけの違いによって生育差があるため、畝の端・中央・日陰部分など条件の異なる場所を掘るとより正確な判断ができます。

2. 道具の準備
試し掘りには以下の道具を準備します。

  • スコップまたは小型の鍬(芋を傷つけないよう小ぶりが安心)
  • 軍手(素手より芋の表面を守りやすい)
  • カゴやコンテナ(掘り出した芋を一時置きするため)

3. 土を丁寧に掘り起こす
茎や葉の付け根を目安に、株の周囲から少し離れた位置にスコップを差し込みます。芋を傷つけないよう、斜めから掘り進めるのがコツです。

4. 芋の状態を確認する
掘り出したさつまいもを観察し、以下をチェックします。

  • 大きさ(商品サイズに達しているか)
  • 表皮の状態(ひび割れや病害がないか)
  • 色づき(品種特有の色が出ているか)

5. 糖度や熟度の判断
見た目だけでなく、必要であれば切断して内部の色を確認することもあります。特に安納芋や紅はるかなどの甘み重視の品種は、熟度が味に直結します。

6. 収穫時期を決定する
複数か所の試し掘り結果を比較し、全体的な平均をもとに収穫時期を判断します。早すぎると甘み不足、遅すぎると品質劣化につながるため、この判断が品質を左右します。

さつまいも栽培で今年と昨年では変更した点

さつまいもの試し掘り-今年の苗

今年と昨年で大きく変わった、変えた点がありますので、まずは前回の記事でも紹介した内容のおさらいとして書いて行きます。さつまいも栽培において、成功の鍵と言いますか?ここが一番重要なのかも?というのは「苗」です。2023年の定植時期(2023年4月)と2024年の定植時期に五島へ行った時、素人の私でもはっきりと分かる違いがありました。あまりに異なる状況だった為に、アグリ・コーポレーションの佐藤社長に「苗、変わりました?品種、変わりました?」と聞くくらいでした。変わった、変えた点はマルチ栽培にした事、昨年までの方法では自家製液肥の酸性濃度が苗に影響していたことが分かり、定植前には使用を中止し、大切に育てた苗の力、土壌の力を信じて定植したこと。大きな変更点はこの2つ。詳しくはこちらの記事にて詳細まで説明をしています。

ということで見た目にも大きく変わった定植後の苗の生育状態。今年はかなり期待できると前回の記事で書いていました。安納芋は定植してから135~150日で収穫が出来る状態になります。今年の状況を確認する上でさつまいもの試し掘りは重要なのです。五島では、それが丁度、お盆明けの時期にあたります。

有機安納芋の試し掘り

さつまいもの試し掘り-有機安納芋苗の今年の方法と昨年の方法

今回の試し掘りの状況は、前回と同様、ラボ長に説明していただきました。試し掘りをした畑は、昨年と同様に苗を作って定植(植え付け)をした場所と今年、改良した方法で苗を作って定植(植え付け)をした場所の畑。要するに前回、分かりやすい画像で説明をしたこの場所の畑を中心に試し掘りをしてみました。

さつまいもの試し掘り-110日経過するとこんな状態

毎年、試し掘りをするのは定植してから135~150日の安納芋ですが、今回は110日という少し定植してから短い期間になってしまいますが、この生育期日の畑を試し掘りしています。ではでは、どんな状況だったのでしょうか?まずは画像を見ていただければと思います。

さつまいもの試し掘り-試し掘りの成果(今年と昨年の違い)

右側が昨年と同様に苗を作って定植したもの。左側は今年、改良した方法で苗を作って定植したもの。

試し掘りまでの期間が短い中でも左側(今年の方法)はLサイズが主流になっており、ひとつのツルで実(安納芋)の数も沢山、出来ていた。右側(昨年の方法)と比べて見ても一目瞭然。それとマルチ栽培をしたことも大きいかったようです。

さつまいもの試し掘り-マルチ栽培の利点

マルチ栽培をすると土壌の水分が抜けて無い状態になっており、雨が降らなくても水分を吸えるので安納芋が大きくなるという状況になっていたようです。試し掘りの時点で安納芋が細長いとそのまま大きくなるので太く、大きくならないので今年の試し掘りの成果は、良好だったようです。

さつまいもの試し掘り-今年は茎が太い

また、今回の試し掘りで着目した点が、画像でもお分かりのように茎の太さです。試し掘りで掘った安納芋だけではなく、今年の方法で苗を作り、定植した安納芋、全てがそうなのですが、直径で言えば2cm~3cmの太さになっており、茎が太いと栄養が茎を通して安納芋へ行くことから、これだけ太い茎になっているので栄養を逃がさず、凄い量で安納芋へ流れて行くことが想像できます。今年は期待できる内容になる可能性が大きいです。

今年の収穫は?

さつまいもの試し掘り-今年の収穫時期予想

8月下旬と言っても残暑…いや…まだ酷暑という言葉がネットニュースを中心に天気予報にも沢山、残っている2024年8月下旬。ラボ長曰く、ここ数年の夏の暑さは尋常でないくらい暑いとのこと。以前の記事で有機栽培ならではの苦労として「夏は雑草との格闘」というのがありました。有機安納芋を中心に生産、販売を行っているアグリ・コーポレーションの熱中症対策としては、「ちょっとでも体調が悪くなったら即座に作業を中止して自宅へ戻ってもらう」を徹しており、麦茶を毎日30リットル以上、準備をして臨んでいるとのことです。

今年の夏を表現するなら「畑作業に慣れている、畑作業を何年も行っている人でさえ、熱中症の初期症状を訴えるくらい暑いし、湿度が高い」らしいのです。

さつまいもの試し掘り-熱中症対策

まだまだ残暑が厳しい8月26日から今年の収穫が始まります。同時に「雑草との格闘」を続くわけです。今年の方法で行った苗のこと、そして試し掘りの成果のことは、一部のスタッフしか知らない為、収穫をするスタッフの驚いた顔を見るのが今から楽しみとのことです。ラボ長自身も「ここまで差が出る(昨年の方法と今年の方法)とは思っていなかった」と驚いているらしく、昨年は、収穫した安納芋を箱に入れてトラックに乗せて移動していたのですが、箱が一杯、トラックに乗せる箱が一杯になるまでトラックが移動できない為、どうしても待ち時間が多かったみたいですが、今年はまったくそのようなことが無さそうで、逆に大きめのトラックの手配をしたくらいとのこと。ラボ長の話を聞いて、画像や動画を見せていただいた私も昨年の方法と今年の方法ではこれほど違うのか?と思うレベルでしたので、これは収穫するスタッフも「昨年とは全く違う」と驚くことは間違いないはずです。既に予約注文も沢山いただいているので、店頭には9月下旬~10月上旬には少しづつ並び始めるはず。今年のアグリ・コーポレーションの有機安納芋、昨年以上に充実していますのでお楽しみに!

まとめ:さつまいもの試し掘り

さつまいもの試し掘り-安納芋試し掘りまとめ

今年のさつまいも栽培は、昨年から大きく変更した苗作りや土壌管理が功を奏し、試し掘りの結果でも明らかに違いが出ました。特にマルチ栽培による土壌水分の維持が、安納芋の生育に良い影響を与え、試し掘りの段階で大きく育ったことが確認されました。今夏の過酷な暑さにもかかわらず、改善された栽培方法により、昨年よりも豊かな収穫が期待されています。今回の試し掘りが示す通り、今年の安納芋は品質も量も昨年を上回る見込みです。収穫が始まり、これから店頭に並び始める有機安納芋、是非、ご確認いただければと思います。