焚き火の焼き芋はこれで完璧!失敗しない作り方と絶品に仕上げるコツ

パチパチと音を立てる焚き火を眺めながら、甘い香りが立ち上るのを待つ。そんな焼き芋作りの時間は、アウトドアならではの至福のひとときではないでしょうか。しかし、いざ作ってみると外は真っ黒なのに中は生焼けだったり、期待していた甘さがなくパサパサだったりと、意外と奥が深いものです。この記事を読めば、もうそんな失敗とは無縁になります。美味しいさつまいもの見分け方から、新聞紙とアルミホイルを使った正しい包み方、そして絶品の甘さを引き出すための「熾火」によるじっくり低温加熱の秘訣まで、プロが実践するコツを徹底的に解説します。あなたもこの記事を手に、誰もが唸る完璧な焚き火焼き芋を完成させてみませんか。

焚き火で焼き芋を作る前に知っておきたい基礎知識

焚き火で焼き芋を作る前に知っておきたい基礎知識

焚き火を囲みながらじっくりと火を通した焼き芋の、あの甘く香ばしい味わいはまさに格別ですよね。しかし、せっかくの焚き火で「外は真っ黒なのに中は生焼け…」なんて失敗をしてしまっては、楽しみも半減してしまいます。絶品の焼き芋を成功させるための第一歩は、何と言っても事前の準備にあります。ここでは、最高の焼き芋体験のために欠かせない、さつまいもの選び方から焚き火に必要な道具まで、基本となる知識を丁寧にご紹介します。

焼き芋に最適なさつまいもの選び方

焼き芋に最適なさつまいもの選び方

ひとくちに「さつまいも」と言っても、その品種によって焼き上がりの食感や甘さは大きく異なります。まずは、あなたがどんな焼き芋を食べたいのか、その日の気分や好みに合わせて最高のさつまいもを選ぶことから始めましょう。それが、理想の焼き芋への一番の近道となるのです。

ねっとり系としっとり系の特徴

さつまいもは、加熱後の食感によって大きく「ねっとり系」「しっとり系」「ホクホク系」に分けられます。焚き火で作る焼き芋では、じっくりと時間をかけて加熱することで甘みが最大限に引き出される、糖度が高く水分の多い「ねっとり系」や「しっとり系」の品種が特におすすめです。 それぞれの代表的な品種と特徴を知り、お気に入りの一本を見つけてみてください。

さつまいものタイプ別 食感と甘さの特徴
タイプ 代表的な品種 食感と甘さの特徴
ねっとり系 安納芋紅はるか 水分量が多く、加熱するとまるでクリームのようにネットリとした食感に。糖度が非常に高く、蜜があふれるような濃厚な甘さが楽しめます。冷めても美味しく、スイーツのような感覚で味わえます。
しっとり系 シルクスイート ねっとり系とホクホク系の中間にあたる食感で、その名の通り絹のようになめらかな舌触りが特徴です。上品な甘さで、後味もすっきりとしています。
ホクホク系 鳴門金時紅あずま 昔ながらの焼き芋らしい、粉質でホクホクとした食感が楽しめます。煮崩れしにくいため天ぷらなどの料理にも向いていますが、焚き火でじっくり焼くことで栗のような上品な甘みが引き立ちます。

スーパーで美味しいさつまいもを見分ける方法

スーパーで美味しいさつまいもを見分ける方法

品種を決めたら、次はお店でより美味しい個体を見分ける番です。いくつかポイントを押さえるだけで、甘みをたっぷりと蓄えた「アタリ」のさつまいもを選び抜くことができますよ。 売り場に並んださつまいもをじっくりと観察してみましょう。

まず注目したいのは、その形と重さです。全体的にふっくらと丸みを帯びていて、ラグビーボールのような紡錘形が理想的です。 手に持った時にずっしりと重みを感じるものは、中に水分と栄養がしっかりと詰まっている証拠。 逆に、細長いものや軽すぎるものは繊維質が多かったり、中がスカスカだったりする可能性があります。

次に、皮の状態をチェックします。皮の色が品種ごとに定められた色で均一に濃く、ツヤがあるものを選びましょう。 表面に傷や黒ずみが少なく、ひげ根が少ないものが良品です。 また、皮に黒い蜜のようなものが付着していることがあります。 これは「ヤラピン」という成分が染み出た跡で、甘いさつまいもの目印になるので、ぜひ探してみてください。

焚き火の準備と必要な道具一覧

最高のさつまいもが手に入ったら、いよいよ焚き火の準備です。安全かつスムーズに焼き芋作りを進めるために、必要な道具は事前にしっかりと確認し、忘れ物がないようにしましょう。キャンプ場によっては直火が禁止されている場所も多いため、焚き火台の準備は特に重要です。

必ず用意したい基本の道具

焚き火の準備と必要な道具一覧

これさえあれば、まずは焚き火での焼き芋作りを始められます。安全に関わるものも多いので、ひとつひとつ丁寧に準備を進めてください。

  • 焚き火台:多くのキャンプ場で必須のアイテムです。地面の環境を守るためにも必ず用意しましょう。
  • 焚き火シート:焚き火台の下に敷き、地面への熱ダメージや火の粉が落ちるのを防ぎます。
  • 薪:燃焼時間が長く火力が安定しやすい広葉樹がおすすめです。
  • 新聞紙・アルミホイル:さつまいもを包むために使います。
  • 着火剤・ライター:スムーズに火をおこすために欠かせません。柄の長いライターだと安全です。
  • 耐熱グローブ:熱い薪や焚き火台を扱う際のやけどを防ぎます。軍手ではなく、革製などの厚手のものを用意しましょう。
  • 火ばさみ:燃えている薪の位置を調整したり、焼き芋を火の中に出し入れしたりする際に必須です。
  • 水を入れたバケツや火消し壺:万が一の事態に備える消火用の水と、安全な火の始末のために必ず準備します。

あると便利なキャンプギア

あると便利なキャンプギア

基本の道具に加えて、以下のようなキャンプギアがあると、焚き火や焼き芋作りがさらに快適で楽しいものになります。必須ではありませんが、あなたのキャンプスタイルに合わせて取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • 火吹き棒:弱くなった火にピンポイントで空気を送り込み、効率よく火力を復活させることができます。
  • 鉈(なた)や斧:太い薪を細く割って、火力を調整しやすくするために使います。
  • ダッチオーブン:焼き芋を複数個まとめて、蒸し焼きのようにしっとりと仕上げることができます。 遠赤外線効果で、中まで均一に熱が通ります。
  • トライポッド(焚き火スタンド):ダッチオーブンを焚き火の上に吊るして調理する際に重宝します。
  • ローチェア:焚き火をじっくりと眺めながら、焼き芋が出来上がるのを待つ時間を豊かにしてくれます。

失敗しない焚き-火焼き芋の基本レシピ

焚き火で作る焼き芋は、ただ焼くだけというシンプルな料理だからこそ、一つひとつの手順が仕上がりの味を大きく左右します。ここでは、誰でも絶品の焼き芋を再現できるよう、基本的な作り方を5つのステップに分けて丁寧に解説していきます。この手順通りに進めれば、焚き火ならではの香ばしさと、さつまいも本来の甘みを最大限に引き出した、忘れられない味に出会えるはずです。

手順1 さつまいもの下準備

失敗しない焚き-火焼き芋の基本レシピ-さつまいもの下準備

美味しい焼き芋作りの第一歩は、さつまいもを丁寧に扱うことから始まります。皮ごといただく焚き火の焼き芋は、土や汚れが残らないように、表面をきれいに水で洗い流しましょう。このとき、たわしなどで強くこすりすぎると皮が傷ついてしまうため、指の腹で優しく撫でるように洗うのがポイントです。洗い終わったら、キッチンペーパーなどで水気をしっかりと拭き取っておきます。

手順2 新聞紙とアルミホイルの正しい包み方

失敗しない焚き-火焼き芋の基本レシピ-新聞紙とアルミホイルの正しい包み方

さつまいもを焚き火に入れる前の「包み方」は、焼き芋を成功させるための非常に重要な工程です。 この工程を丁寧に行うことで、さつまいもの水分を保ち、熱を均一に伝えることができます。

まず、準備したさつまいもを、水でたっぷりと濡らした新聞紙で包み込みます。 新聞紙が水分を保持することで、さつまいもは蒸し焼き状態になり、パサつくことなく、中までしっとりと仕上がります。 次に、その上からアルミホイルで隙間ができないように、ぴったりと二重に包んでください。 アルミホイルを一度くしゃくしゃにしてから包むと、熱が直接伝わりにくくなり、よりふっくらと焼き上がります。

手順3 焚き火の火加減と熾火の作り方

失敗しない焚き-火焼き芋の基本レシピ-焚火の火加減と熾火の作り方

焼き芋作りで最も重要なのが火加減の調整です。 燃え盛る炎の中に直接さつまいもを入れるのは絶対に避けましょう。温度が高すぎて表面だけが真っ黒に焦げ、中は生のままという典型的な失敗の原因になります。 焼き芋に最適なのは、薪が燃え尽きて炭のようになり、炎が落ち着いた「熾火(おきび)」の状態です。 熾火は遠赤外線効果で、さつまいもの中心までじっくりと熱を届け、甘みを引き出してくれます。

熾火を作るには、まず薪を組んで火をつけ、薪全体に火が回り、炎が安定するまで待ちます。 その後、新しい薪を追加するのをやめ、薪が白っぽくなり、静かに熱を発する状態になるまでじっくりと待ちましょう。 この状態が、焼き芋調理開始の合図です。

焚き火の状態と焼き芋への影響
焚き火の状態 特徴 焼き芋への影響
良い例:熾火 炎が落ち着き、薪が赤く燃えている状態。遠赤外線が豊富。 さつまいもの中心までじっくりと火が通り、甘みが最大限に引き出される。
悪い例:燃え盛る炎 炎が高く上がり、温度が不均一で高すぎる。 表面だけが焦げてしまい、中まで火が通らず生焼けになりやすい。

手順4 焼き芋を焚き火に入れる最適なタイミングと時間

失敗しない焚き-火焼き芋の基本レシピ-焚火に焼き芋を入れる最適なタイミングと時間

見事な熾火ができたら、いよいよさつまいもを投入します。火ばさみなどを使って熾火を少し広げ、中央にスペースを作って、そこに包んださつまいもを置きます。 熾火の中に埋めるのではなく、周りの熱で優しく加熱するイメージです。

焼き時間はさつまいもの大きさや熾火の火力によって異なりますが、中くらいのサイズ(200〜300g程度)で40分から60分が目安です。 ただし、これはあくまで目安であり、放置は禁物です。均一に熱が加わるように、15分から20分おきにトングなどで転がし、さつまいもの向きを変えてあげましょう。 このひと手間が、焼きムラを防ぎ、全体をホクホク、あるいはねっとりと仕上げるための秘訣です。

手順5 絶品の焼き加減を見極める方法

失敗しない焚き-火焼き芋の基本レシピ-絶品の焼き芋の見極め方

焼き芋が最高の状態に仕上がったかを見極めるには、いくつかのサインがあります。最も確実な方法は、さつまいもの一番太い部分に竹串や金串を刺してみることです。 スッと抵抗なく串が通れば、中までしっかりと火が通っている証拠です。 まだ硬い感触が残っている場合は、もう少し時間をかけて焼きましょう。

他にも、アルミホイルの隙間から甘く香ばしい香りが漂ってきたり、指で軽く押したときに全体がふっくらと柔らかく感じられたり、ホイルの隙間から蜜がじゅわっと滲み出てきたりしたら、それらも焼き上がりの合図です。 これらのサインを見逃さず、最高のタイミングで焚き火から取り出しましょう。

焚き火の焼き芋がもっと美味しくなる3つのコツ

いつもの焚き火で作る焼き芋が、まるで専門店の逸品のように生まれ変わる秘訣。それは、ほんの少しの手間と自然の力を借りることにあります。ここでは、さつまいものポテンシャルを最大限に引き出し、焚き火ならではの風味を加えるための3つのコツをご紹介します。これらのポイントを押さえるだけで、味わいの深さが格段に変わるはずです。

コツ1 さつまいもを追熟させて糖度を上げる

焚き火の焼き芋がもっと美味しくなる3つのコツ-さつまいもの糖度を上げる為の熟成期間

収穫されたばかりのさつまいもは、まだ本来の甘さを隠し持っています。その甘みを引き出す工程が「追熟」です。さつまいもは収穫後、一定期間寝かせることで、でんぷんがゆっくりと糖に変わり、甘みが増していくのです。 スーパーで購入したさつまいももある程度は追熟されていますが、ご家庭でさらにひと手間加えることで、驚くほど濃厚な甘さに変わります。

追熟の方法は至って簡単です。土がついたままのさつまいもを1本ずつ新聞紙で包み、風通しの良い冷暗所(13〜15℃が理想)で保存します。 期間はさつまいもの種類によって異なりますが、2週間から1ヶ月ほどが目安です。この「待つ時間」こそが、美味しい焼き芋作りにおける最初の重要なステップと言えるでしょう。

さつまいもの種類別 追熟期間の目安
さつまいもの系統 代表的な品種 追熟期間の目安 特徴
ねっとり系 紅はるか、安納芋、シルクスイート 3週間~1ヶ月 追熟により糖度が格段に上がり、蜜が多く食感もより滑らかになります。
ほくほく系 紅あずま、鳴門金時 2週間程度 上品な甘さが増し、栗のようなほくほくとした食感がより際立ちます。

コツ2 じっくり低温加熱で甘みを引き出す

焚き火の焼き芋がもっと美味しくなる3つのコツ-低温加熱で甘みを引き出す

焼き芋の甘さの鍵を握っているのは、さつまいもに含まれる「β-アミラーゼ」という酵素です。この酵素は、でんぷんを甘い麦芽糖に変える働きを持っています。 そして、β-アミラーゼが最も活発に働くのが60℃から70℃の温度帯なのです。 焚き火の燃え盛る炎は数百℃にも達するため、直接火に投入してしまうと、この大切な酵素が十分に働く前に高温で失活してしまいます。

そこで重要になるのが、炎が落ち着き、薪が赤く燃えている「熾火(おきび)」の状態でじっくりと加熱することです。 熾火は安定した遠赤外線効果で、さつまいもの中心まで穏やかに熱を伝えます。 アルミホイルで包んださつまいもを熾火の近くや灰の中に置き、時々転がしながら40分から90分ほど、さつまいもの大きさや種類に合わせて時間をかけて焼き上げましょう。 急がば回れ。この低温での長い加熱時間こそが、さつまいものでんぷんの糖化を最大限に促し、蜜が溢れ出すほどの甘さを生み出すのです。

コツ3 焚き火ならではの香ばしさをプラスする

焚き火で作る焼き芋の醍醐味は、その独特の香ばしい風味にあります。この香りを最大限に引き出すためには、アルミホイルで包む前の下準備がポイントです。さつまいもを濡らした新聞紙やキッチンペーパーで包んでからアルミホイルを巻くことで、内部は蒸し焼き状態になり、しっとりと仕上がります。 同時に、外側からの熱を和らげ、焦げ付きを防ぐ効果もあります。

さらに、焚き火ならではの燻製の香りをまとわせるのも一興です。熾火の中に、桜やナラ、クヌギといった広葉樹の落ち葉やチップを少量加えると、その煙が焼き芋に移り、風味豊かなスモーキーな香りがプラスされます。この一手間が、単なるおやつではない、五感を満たす特別なごちそうへと昇華させる最後の仕上げとなります。焼き上がりの直前にアルミホイルを少しだけ開き、皮の表面を軽く火で炙ると、香ばしさが一層引き立ち、食欲をそそる最高の焼き芋が完成します。

よくある失敗例と解決策

丹精込めて準備した焚き火での焼き芋作り、期待に胸を膨らませて火から取り出したものの、思い通りの出来栄えにならなかった経験はありませんか。ここでは、焚き火の焼き芋で陥りがちな失敗例と、その原因を紐解きながら具体的な解決策を丁寧にご紹介します。これを読めば、次こそは誰もがうなる絶品の焼き芋にたどり着けるはずです。

外は真っ黒なのに中は生焼け

よくある失敗例と解決策-外は真っ黒なのに中は生焼け

楽しみにしていた焼き芋をアルミホイルから取り出すと、表面は炭のように真っ黒。それなのに、いざ割ってみると中心部分はまだ硬く、生焼けでがっかり…というのは、最もよく聞かれる失敗談のひとつです。これは、さつまいもの表面と内部の加熱温度に大きな差が生まれてしまうことが主な原因です。勢いよく燃え上がる炎は、実は焼き芋作りには強すぎるのです。

この失敗を防ぐ鍵は、「熾火(おきび)」を上手に使うことにあります。熾火とは、薪が燃え尽きる手前で、炎を上げずに芯の部分が真っ赤に燃えている状態のことです。 この状態は炎が出ている時よりも温度が安定しており、遠赤外線効果でじっくりと、さつまいもの中心まで均一に熱を届けてくれます。 燃え盛る炎の中に直接投入するのではなく、炎が落ち着いてできた熾火の近くに置くか、灰の中に埋めるようにして間接的な熱で加熱するのが、失敗しないための鉄則と言えるでしょう。

表1: 生焼けの主な原因と解決策
原因 解決策
強すぎる火(炎)で焼いている 炎が落ち着き、薪が赤く燃えている「熾火」の状態でじっくりと焼く。
火に近すぎる 熾火から少し離した場所に置いたり、熱い灰の中に埋めたりして火加減を調整する。
加熱時間が短い さつまいもの大きさにもよりますが、最低でも40分~1時間程度は時間をかけて加熱する。時々転がして向きを変えることも大切です。
焼き加減の確認不足 竹串などを刺してみて、スッと抵抗なく通るかどうかで中心部の火の通り具合を確認する。

焼き芋がパサパサになってしまう

もうひとつの残念な失敗が、焼き上がった芋の食感がパサパサで、期待していたようなねっとりとした甘さが感じられないケースです。これは、加熱中にさつまいもの水分が失われすぎること、そしてさつまいものでんぷん質を糖に変える酵素が十分に働かなかったことが考えられます。さつまいもは、60℃から75℃の温度帯でじっくり加熱されることで、でんぷんを分解する酵素「β-アミラーゼ」が活発に働き、甘み成分である麦芽糖が生成されます。 このプロセスを経ることで、あの蜜があふれるような、しっとりとした食感が生まれるのです。

この失敗を避けるためには、まず品種選びが重要です。「紅はるか」や「安納芋」といった、もともと水分量が多く糖度が高い「ねっとり系」のさつまいもを選ぶと成功しやすくなります。 そして調理の際には、さつまいもを濡らした新聞紙やキッチンペーパーで包んでからアルミホイルで覆うことで、加熱中の水分の蒸発を防ぎ、蒸し焼きのような状態を作り出すことができます。 これにより、β-アミラーゼが働く温度帯を長く保ち、さつまいも本来の甘さを最大限に引き出すことが可能になるのです。

表2: パサパサになる主な原因と解決策
原因 解決策
さつまいもの水分不足 濡らした新聞紙やキッチンペーパーで包んでからアルミホイルで覆い、水分の蒸発を防ぐ。
加熱温度が高すぎる 熾火を使い、急激に高温で加熱するのではなく、60℃~75℃の温度帯を意識してじっくりと時間をかけて加熱する。
品種の選択 「紅あずま」などの粉質系(ホクホク系)よりも、「紅はるか」や「安納芋」などの粘質系(ねっとり系)の品種を選ぶ。
追熟が足りない 収穫したてのさつまいもは甘みが少ないため、新聞紙に包んで10℃~15℃の場所で2~3週間ほど追熟させると糖度が増す。

焚き火で焼き芋を楽しむ際の注意点とマナー

焚き火で作る焼き芋は格別ですが、火を扱う以上、安全への配慮と周囲への気配りが欠かせません。自然の中で気持ちよく楽しむためには、ルールとマナーを守ることが何よりも大切です。ここでは、焚き火を楽しむために必ず知っておきたい注意点とマナーを詳しく解説します。

焚き火が許可されている場所を確認しよう

まず大前提として、焚き火はどこでもできるわけではありません。 許可されていない場所で火を扱うと、火災のリスクだけでなく、法律や条例に触れる可能性もあります。 事前に必ずルールを確認しましょう。

キャンプ場や専用スペースが基本

焚き火で焼き芋を楽しむ際の注意点とマナー、キャンプ場

最も安心して焚き火ができるのは、キャンプ場やバーベキュー場など、管理者が許可している場所です。 これらの施設では、多くの場合、安全に焚き火ができるように区画が整備されています。ただし、施設ごとに細かいルールが定められているため注意が必要です。

  • 直火禁止の確認: 地面で直接火を焚く「直火」は、自然環境への負荷が大きいため、禁止されているキャンプ場がほとんどです。 その場合は、必ず焚き火台と、地面を熱から守る焚き火シートを使用しましょう。
  • 利用時間の確認: 安全のため、焚き火が可能な時間帯を定めている場合があります。 就寝前には必ず消火するなど、キャンプ場の指示に従ってください。
  • 施設のルール遵守: その他、薪の販売場所や灰の処理方法など、各キャンプ場のルールを事前にウェブサイトで確認したり、受付で質問したりすることが大切です。

河川敷や海岸での焚き火は要注意

焚き火で焼き芋を楽しむ際の注意点とマナー、河川敷や海岸では要注意

河川敷や海岸は公共の場所であることが多く、焚き火を禁止しているケースが少なくありません。 管理している自治体や国の機関によってルールが異なるため、「看板がないから大丈夫だろう」と安易に判断するのは危険です。 必ず管理者に問い合わせて、許可されているかどうかを確認してください。

私有地でも許可が必要な場合がある

たとえ自分の所有地であっても、自由に焚き火ができるとは限りません。火災と紛らわしい煙や火炎が上がる場合、消防法や自治体の条例によって消防署への届け出が必要になることがあります。 また、煙や匂いが近隣の迷惑になる可能性も十分に考えられます。 周囲への配慮を忘れず、必要であれば事前に声をかけておくと良いでしょう。

知っておくべき法律と条例

知っておくべき法律と条例

焚き火に関連する法律や条例は複数存在します。知らなかったでは済まされないケースもあるため、基本的な知識を持っておきましょう。

焚き火に関連する法律・条例と内容
法律・条例名 関連する内容
廃棄物処理法 家庭ゴミなどを野外で焼却(野焼き)することを原則禁止しています。焚き火で燃やして良いのは、薪として販売されている木材などです。ゴミを燃やすと悪臭や有毒ガスが発生する可能性があり、マナー違反であると同時に法律違反になる場合があります。
消防法 消防署員が火災予防のために危険だと判断した場合、焚き火の中止を命じることができます。また、火災警報が発令されている際には、火の使用が制限されることがあります。
軽犯罪法 相当な注意をしないで、建物や森林など燃える危険のある物の近くで焚き火をしたり、その他火災の危険がある行為をしたりすることが禁じられています。
自然公園法など 国立公園や国定公園などの特別保護地区では、焚き火が厳しく制限されています。指定された場所以外での火の取り扱いはできません。
各自治体の条例 地域によっては、火の取り扱いについてさらに厳しい条例が定められている場合があります。自宅の庭などで焚き火を検討する際は、事前にお住まいの自治体に確認することをおすすめします。

火の始末と後片付けを徹底する

焚き火を楽しんだ後は、来た時よりも美しい状態にして帰るのがキャンパーとしての最低限のマナーです。 特に火の始末は、安全に関わる最も重要なプロセスです。

焚き火の完全な消火方法

焚き火の完全な消火方法

「火が消えたように見える」状態と「完全に消火した」状態は全く違います。 熾火(おきび)は内部に高い熱を持っており、風が吹くと再び燃え上がる危険性があります。水をかけて「ジュッ」と音がするのは、まだ火種が残っている証拠です。以下の手順で、安全かつ確実に消火しましょう。

  1. 薪を燃やし尽くす: 焚き火を終える時間を逆算し、薪を追加するのをやめて、できるだけ完全に燃焼させ灰の状態に近づけます。
  2. 火消し壺を活用する: 最も安全で推奨されるのが、火消し壺(またはそれに代わる金属製の蓋付き容器)に燃え残った炭や薪を入れ、密閉して酸欠状態にし消火する方法です。 この方法でできた消し炭は、次回の火起こしに再利用できます。
  3. 水で消火する場合: バケツなどに汲んだ水を、火種に直接かけるのではなく、少しずつかけて温度を下げていきます。 薪や炭を一本ずつ水に浸して確実に消火するのも良い方法です。大量の水を一気にかけると、高温の水蒸気が発生して火傷の危険があるほか、灰が舞い上がって周囲を汚してしまいます。
  4. 最終確認: 完全に火が消えたか、手で触れられるくらいの温度になったかを確認してから後片付けに移ります。

灰の正しい処理方法

燃え残った炭や灰は、自然に還ることはありません。 地中に埋める行為は、土壌環境に悪影響を与えるだけでなく、ゴミの不法投棄とみなされる場合があります。 灰は必ず持ち帰るか、キャンプ場指定の「灰捨て場」に捨ててください。 灰捨て場がない場合は、完全に冷めたことを確認してから、厚手のゴミ袋や空になった薪の袋などに入れて持ち帰り、自治体のルールに従って処分しましょう。

まとめ

焚き火で絶品の焼き芋の作り方まとめ

焚き火を囲んで味わうアツアツの焼き芋は、まさに格別な体験と言えるでしょう。美味しい焼き芋を作る一番の秘訣は、強い炎で一気に焼くのではなく、穏やかな熾火でじっくりと熱を通すことに尽きます。さつまいもに含まれる酵素が、低温で時間をかけて加熱されることででんぷんを糖に変え、あの蜜のような甘さを生み出すのです。この記事でご紹介した、さつまいもの選び方から火加減のコツまでを実践すれば、きっと忘れられない味に出会えるはず。ルールとマナーを守って、最高の焚き火時間をお楽しみください。