離島の魅力を再発見したい方におすすめ!離島の文化のひとつ「凧」

都会の暮らしの中で「離島」と聞いても、なんとなく遠い存在に感じてはいませんか?日本には6,800を超える島があり、その中には息をのむほど美しい自然と、知られざる文化が今も息づいています。中でも凧文化は、単なる遊びではなく、家族の願いや地域の誇りを空に託す象徴的な風習です。五島列島のバラモン凧や壱岐の鬼凧、対馬の八日凧など、島ごとに個性豊かな凧が空を舞い、その背景には何世代にも渡って受け継がれた物語があります。この記事では、そうした離島の凧文化に触れながら、都市では感じにくくなった「土地に根ざす暮らしの豊かさ」を紐解いていきます。最後まで読めば、離島が少しだけ身近に感じられるかもしれません。

離島特有の文化のひとつ

東京に生まれ、東京に住んでいて、日々の仕事に追われていると日本の他の地域を知らずに、知ったような気持ちになるだけで、実はあまり知らないということも多いように思えます。北海道を始め、東北、関東、信越、近畿、中国、四国、九州、沖縄と色々なエリアが存在しますが、一生のうちに全てを回るようなことはなかなか無いようにも思えます。ましてや離島に関しては、ほぼ知らないという方がほとんどでは無いでしょうか?日本には6,800を超える離島があります。そのうち、人が住んでいる有人島と言われる離島は、約400島程度で残りは無人島です。有名な離島?名前は聞いたことがあるような離島は、佐渡島、屋久島、壱岐、対馬、小笠原諸島、そして五島列島ではないでしょうか?

離島の魅力のおすすめ-五島列島

五島列島は、約140の島々があり、主要な島は5つです。これが五島列島の由来とも言われています。五島列島最大の島で五島市の中心部で空港もあるのが福江島(ふくえじま)、久賀島(ひさかじま)、奈留島(なるしま)、若松島(わかまつじま)、中通島(なかどおりじま)になります。この5つの島が全て五島市ではなく、福江島、久賀島、奈留島は五島市、中通島、若松島は新上五島町になります。五島商店佐藤の芋屋の記事の中にもある「フェリーで五島列島・福江島へ。船酔いが酷い筆者がフェリーで博多港から福江港まで行ってみた!飛行機で行くより断然安く、これで快適なら申し分ないのだが…まとめてみた
のようにフェリー太古を使うと福岡県博多港を深夜に出発し、宇久島、小値賀島、中通島、奈留島を経由して福江島に翌朝8時台に到着します。そんな五島列島をはじめとする離島と言われるエリアには、離島特有の文化があります。五島商店佐藤の芋屋メディアの中にも、複数回と出て来る「バラモン凧」。今回は、離島の文化のひとつ「凧」について書いてみたいと思います。まずは日本の凧文化について少しだけ触れておきます。

日本の凧について

離島の魅力のおすすめ-日本の凧文化

最近は、凧あげもだいぶ減ってきているのかもしれません。昭和、平成の頃は、正月と言えば凧をあげている子供が沢山いたように思えます。そんな日本の凧ですが、奈良時代~平安時代頃に中国から飛来したという説が今は1番有力とされています。元々、凧は、占いや祈祷、戦の道具として使用されてきましたが、江戸時代に入り、庶民の娯楽として定着し、年中行事となったようです。

離島の魅力のおすすめ-凧の絵柄

凧の絵柄は、主に「武者絵」や「龍」、「虎」と言った魔除けを意味したものや「七福神」、「恵比寿大黒」を絵柄にして凧があがるにかけて商売繁盛を意味したもの、「鯉」を絵柄にして凧があがっていくので鯉の滝登りを連想させ、物凄い勢いで出世するを意味したものがあったりします。冒頭に少し触れましたが凧あげの時期は、全国的みると正月が多く、中には男児の節句の五月に鯉のぼりと一緒に凧あげをする地域もあるようです。正月の風物詩のひとつの凧あげも最近ではあまり見なくなりましたが、明治や昭和の頃には電線に引っかかるとして凧あげが禁止や制限された場所もあるくらい正月=凧あげだったのかもしれません。そう考えると少し日本独特の文化が衰退してしまったのは寂しい感じでもありますよね。

離島の凧文化

日本の凧文化について触れてきましたが、日本の離島には、土地独自の文化や風習が今も変わらず根付いており、少しだけ触れましたが五島列島の「バラモン凧」のような少し変わった凧やユニークな凧文化を持っている地域があります。少しずつ見て行こうと思います。

五島列島(長崎県)バラモン凧

離島の魅力のおすすめ-福江島

五島商店佐藤の芋屋のオウンドメディア内にも「バラモン凧」を紹介した記事は複数本あります。バラモン凧はNHK連続ドラマ「舞いあがれ!」で一躍有名になり、バラモン凧の職人が悲鳴をあげるくらい注文殺到しているようです。詳しくはこちらの記事で紹介しています。

バラモン凧には専門の職人が存在しており、福江島を中心とする五島列島で、伝統的な技法を守りながら今も凧作りを続けています。和紙と竹を用いた完全な手作業によって制作されるバラモン凧は、力強い武者絵や鬼、龍などの絵柄が特徴で、それぞれの図柄は職人の手で一つひとつ丁寧に描かれています。風を受けると「ビュービュー」と鳴る仕掛けが施された鳴り口は、竹を巧みに細工して作られており、凧が空を舞う際に独特の音を響かせます。凧絵師と呼ばれる専門の絵師もおり、職人たちは地域の祭りや学校行事などを通じて、子どもたちに凧作りの体験を提供するなど、伝統の継承にも力を入れています。

離島の魅力のおすすめ-五島列島のバラモン凧

現在、バラモン凧は五島の代表的な伝統工芸として高く評価されており、観光客向けに体験教室や販売も行われています。名前入りの凧を注文して記念品とする人も多く、贈り物や祝い事にも用いられています。年始や祭礼の際には、職人たちが手がけた大凧が空高くあがり、五島の風景に彩りと迫力を添える風物詩として多くの人に親しまれています。

壱岐島(長崎県)鬼凧(おんだこ)

離島の魅力のおすすめ-壱岐島

同じく長崎県の離島の壱岐島では、「鬼凧(おんだこ)」と呼ばれる伝統的な凧が今も受け継がれています。この凧には、鋭い目つきや大きな口を持つ鬼の顔が描かれており、見る者に強い印象を与える迫力のある姿が特徴になっています。鬼の表情には、災厄を追い払い、家族や地域を守るという願いが込められており、古くから魔除けの意味を持つものとして親しまれてきました。

主に端午の節句(5月)などの行事に凧あげがあり、男の子の健やかな成長や強さを願う心が重ねられています。家族の願いを乗せて大空を舞う鬼凧は、季節の風物詩としてだけでなく、壱岐島の人々の思いを映し出す大切な存在となっているようです。

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宮古島(沖縄県)宮古凧

離島の魅力のおすすめ-宮古島

宮古凧(みやこだこ)は、沖縄県宮古島に伝わる伝統的な凧で、地元の言葉で「カビゥトゥ」と呼ばれています。「カビゥトゥ」は「紙の鳥」を意味し、文字通り風を受けて空を舞う姿が、島の自然と調和した芸術のようです。ブゥーンと独特な音が特徴になっています。凧の形状や種類も豊富で、代表的なものに「マッタクー(真の凧)」や六角形の「ルッカクー」、八角形の「ハッカクー」、蝶のような形をした「シャクシメー」などがあります。

これらの凧は、正月や特別な行事の際に揚げられ、子どもの健やかな成長を願うと同時に、地域の伝統として代々親しまれてきました。ただし近年は、凧を作る職人や経験者が減少しており、文化の継承が課題になっています。そうした中、宮古ライオンズクラブなど地域団体が主催する「親子宮古凧作り教室」や「新春親子凧揚げ大会」などを通じて、凧作りの技術や精神を次世代に伝える活動が行われています。宮古凧は、単なる遊び道具ではなく、島の自然・文化・信仰が織り込まれた民俗的価値の高い存在であり、宮古島の誇るべき文化遺産のひとつです。

離島の凧文化のまとめ

離島の魅力のおすすめ-離島の凧文化

日本には6,800を超える離島があり、人が住んでいる有人島と言われる離島は、約400島程度です。その中でひと際変わった凧文化について調べてみました。離島に息づく凧の文化は、どこか懐かしく、同時にとても力強いものだと感じさせられます。五島列島のバラモン凧をはじめ、壱岐の鬼凧、宮古島の宮古凧など、それぞれの土地に根ざした絵柄や行事が今も受け継がれているというのは、実に豊かで奥深いことです。2024年のTBSドラマ「不適切にもほどがある」が大ヒットしたのは、昭和と令和のギャップの面白さや悩み、違いをコミカルに演出したことではないかと思います。昭和が良かった、令和のほうが良いということもあるかと思いましたが、かつては空に凧をあげるだけで、家族の願いや地域の想いを込められた時代がありました。こうした文化が離島では今も自然なかたちで残り続けているのを見ると、日本の暮らしの本質が、こうした営みの中に息づいているようにも思えてきます。現地の空を実際に見上げる機会があれば、きっとその意味をもっと深く感じられるのではないでしょうか。最近の風潮では伝統は壊すものということが多いなか、伝統は守るものとして考えさせられる凧文化のように思えました。