五島列島・奈留島への旅行を計画している人にとって、時間を有効に使いながら、魅力的なスポットを効率よく回る方法が知りたいはずです。福江島から船で45分のこの小さな島は、自然豊かな景観や歴史ある教会が楽しめます。しかし、「どこを訪れるべきか」「移動手段はどうするか」など、疑問も多いでしょう。この記事では、レンタカーを活用して、限られた時間でも奈留島を最大限に満喫できるコースを紹介。観光スポットとして人気の江上天主堂や小田河原展望所、ユーミンの歌碑などを巡り、地元の味を楽しむランチや木工体験も網羅しています。最後まで読めば、奈留島を効率的かつ充実して楽しむ方法が見つかるはずです。
故郷・奈留島への旅
私の故郷は、今住んでいる五島列島の福江島から2つ隣の島、北に位置する奈留島です。人口約1,700人の小さな島で、海岸線が複雑に入り組んでいます。福江島から船で約45分かかりますが、福江と奈留を結ぶ船は2種類あり、1日に3往復あるため、他の島に比べてとても便利です。
福岡から行く場合は、フェリー太古丸で乗り換え不要。博多ふ頭を夜11時45分に出発し、翌朝7時25分に奈留島に到着します。
奈留島への久しぶりの訪問
五島に移住してきた友人2人が奈留島に行きたいとのことで、案内することになりました。私も久しぶりに島に帰るので、とても楽しみです。
どこを巡るか日程を練り、レンタカーの手配も行いました。島を1周するにはレンタカーがおすすめですが、台数が限られているため、早めの予約が必要です。奈留島に到着するのは9時頃、福江行きの最終便が出る15時50分までの限られた時間で、効率よく観光するためにコースを計画しました。コース内容は次の通りです。
- 江上天主堂
- 小田河原展望所
- ユーミンの歌碑
- 奈留島世界遺産ガイダンスセンター
- 昼食
- 木工体験
- 美術館
- 宮の浜海水浴場
- カフェ
- 千畳敷
- 奈留島港
結果的に、五島の観光ページに掲載されているスポットをほぼ網羅する形になりました。
江上天主堂の見学
まず訪れたのは、世界遺産に登録された江上天主堂です。個人・団体を問わず、見学する場合は潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンターのページから予約が必要です。見学は無料ですが、マスク着用と手指消毒が求められます。教会は鉄川与助が設計したもので、他の教会とは異なり、信者たちが自ら窓に桜の模様を描いたのが特徴です。
地元のガイドさんが中で待っていました。予算が少なく他の教会のようにステンドグラスの窓は作れなかったため、当時の信者たちが自分たちで桜の模様を窓に描いているそうです。天井は高く綺麗なアーチの木枠が交差してとても綺麗で見入ってしまいます。江上天主堂についての資料などは、奈留小学校跡地にできたガイダンスセンターに展示してあります。9時から開館しているガイダンスセンターに行ってから教会に行くのが道順的にもベストです。今回は教会の見学を先に予約してしまったので前後しました。どちらも見学は無料です。
小田河原展望所とユーミンの歌碑
次に訪れたのは小田河原展望所です。駐車場はありませんが、階段を少し登ると広がる海の絶景を楽しめます。久賀島を望むことができ、夕日の美しさは格別です。
その後、私の母校・奈留高校にあるユーミンの歌碑を訪れました。ラジオ番組を通じて贈られた「瞳をとじて」の歌詞が碑に刻まれており、今でも島民に愛されています。
この日は文化祭が開かれていたため、久しぶりに校舎に足を踏み入れることができました。
卒業以来、初めて校舎に入ることができました。当時と全く変わっていませんでした。2階の(当時の)2組教室から眺める海と夕日がお気に入りでした。ユーミンもこの風景をこの窓から見て、すぐ歌詞が頭に浮かんだそうです。数年前、50周年記念式典の際、サプライズで来校したときのサインも飾られていました。そして、昨年ドラマ撮影で福江島に来ていた長濱ねるさんも、ここに立ち寄りサインを残していました。少子化で高校存続が厳しいなか、この歌碑のためにも島の高校を失くしたくないと、寮を作り、離島留学生の受け入れもやっています。ちょっと寄り道し、高校の裏の道を下がっていき、鈴の浦海岸に寄りました。高校の教室から見える海です。意外と2人が一番歓声を上げていたのはここの海で、あまりにも綺麗さに思わず靴を脱いで海に浸かっていました。完全プライベートビーチです。思いつきでここに連れてきましたが、喜んでもらってよかったです。
昼食はみかん屋食堂で
ガイダンスセンターを訪れた後、少し早めに昼食をとることにしました。街の中心部にある「みかん屋食堂」は、唐揚げちゃんぽんが有名で、観光客にも人気のお店です。3人とも唐揚げちゃんぽんを注文し、そのボリュームと味に大満足でした。
予想以上の唐揚げの大きさで3個ものっています。小皿を持ってきてくれ、2個は皿にとり出して普通に食べて、残り1個はスープをしみこませてから食べるのがおススメだそうです。唐揚げが本当に美味しくて御飯が欲しくなります。ちゃんぽんは熱々具だくさん、汗を流しながら食べるのがまた美味しいです。おばちゃんが「どこから来たの?」と話しかけてくれるのも嬉しいです。ちゃんぽん以外もアジフライ定食など美味しいメニューがたくさんあります。
第1・第3日曜日はお休みなのでご注意ください。駐車場は3台ほど向かいの空き地に止めることが可能です。
みかん屋食堂
長崎県五島市奈留町浦409-1
TEL:0959-64-2079
営業時間:11:00~18:30
定休日:第1・第3・第5日曜日
三兄弟工房での木工体験
食事の後は、「三兄弟工房」で木工体験を楽しみました。町の中心部の教会のある樫木山地区に木工品の制作体験ができる工房があります。作業場にはいろんな作品が飾られており、購入することができます。
催事であちこち飛び回っているそうです。ストラップ作り、コースター作りなど数種類の中から選ぶことができます。制作時間はそれぞれ30分や90分、1000円~となっています。時間の関係で、私はストラップ、友人2人はバターナイフを選びました。木は椿の木を使用。葛島さんに教わりながらさっそくチャレンジ!
ストラップのメインになる小さい丸太の板に鉛筆で好きな絵や字を下書きし、はんだごての先がペンになっているもので、線を焼き付けていきます。力加減を調節することで線の太さが変わり面白かったです。板に穴を開け紐を通したら完成です。
バターナイフは原型まではカット済で、そこから機械で少し削り、自分の好みの角度、厚さにひたすら紙やすりでこすっていきます。けっこう夢中になって時間を忘れてしまいます。最後に名前を焼き入れて完成です。ナイフは一度油で揚げて油をしみこませてから使うと長持ちするそうです。工房のすぐ近くでかどもちという民宿もやっていますのでぜひ宿泊にもご利用下さい。
三兄弟工房
長崎県五島市奈留町浦253
TEL:0959-64-4066(インスタのDMで予約もOK)
体験は要予約・時間応相談
公式Instagramはこちら
笠松宏有記念館の訪問
三兄弟工房の先の山を越えて下ったところにキャンプ場があり、その隣にあるのが私の母校、旧船廻小学校です。廃校後は、奈留島出身の画家の作品などを展示する記念館として生まれ変わりました。1階は奈留島の昔の風景写真が展示されています。
2階が受付で笠松氏の作品が展示されています。五島市民は無料、それ以外は入場料100円です。笠松氏は10代で絵画で賞をとっています。作品の半分は本当に大きなキャンパスに描かれており、プライベートでの悲喜こもごもが絵に反映しているとされており、人生そのものを現した作品とも見てとれます。時にはふるさと奈留島、時には戦争を思い起こすような暗い影を描いていたりしています。笠松氏の娘さんである常喜氏がその意志を受け継ぎ、この記念館の運営をしています。
笠松宏有記念館
長崎県五島市奈留町船廻937-1
TEL:0959-64-2209
開館時間:9:00~17:00
定休日:月曜日・水曜日
宮の浜海水浴場とカフェでの休憩
奈留島を代表する海水浴場「宮の浜海水浴場」では、透明度の高い美しい海を楽しみました。
シャワーやトイレも完備されており、観光客にもおすすめです。船の時間まで少し休憩したくて、あぶらうりという喫茶店に行きました。
港から車で2分なので行きやすく、火曜定休以外はほぼ営業しているので本当に助かります。昼は五島うどんなど、軽食も食べることもできます。
ケーキセットのケーキは手作りでおばちゃんの手作りで、とても美味しいです。チーズケーキおすすめです。漁師さんの網小屋を改装しているので、見た目は喫茶店ぽくないですが中はカウンター以外に座敷にテーブルが2台あり、パッチワークで作った座布団などがあり、ホッとします。同級生と会う時はここです。地元に愛されているお店です。
あぶらうり
長崎県五島市奈留町泊205-11
TEL:0959-64-4211
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜日
福江行きの船で帰路に
あぶらうりでゆっくりお茶を飲んでいたら、あっという間に時間が過ぎ慌てて港へ。残念ながら千畳敷を見に行けませんでした。あと10分あればよかったのですが。レンタカーの鍵をカウンターに返し、切符を購入していたら船が到着しました。ターミナル内の売店でお土産を買う予定でしたが、それも叶わず時間配分がダメだったと猛反省。帰りは、また同じ船で福江島に戻ります。帰りはもうちょっと遅い便があればゆっくりできるのですが、それには2次離島ならではの理由があります。飛行機に乗るには福江港からバス、またはタクシーで空港に向かえば、最終の飛行機に間に合います。長崎に帰る場合は、16時半に福江港に到着し、16時50分発の長崎行きのフェリー最終便にぎりぎり間に合います。切符を買い2階のフェリー乗り場にダッシュして行くのが大変ですが。。。
帰りの船、オーシャンという船ではゆったりとくつろげました。帰りの船ではデッキに出てから左のほうをぜひ見てください。
運が良ければ引き潮の時に現れる前島と小島を結ぶ天然の道、有名なトンボロが見えます。今回は見れて、案内できてよかったです。
一人で訪れていた外国人女性の方とは行きの船で会い、教会で会い、笠松記念館でも会いました。皆行くところは一緒ですね。その方はタフで、レンタル自転車で回っていました。一人旅にはちょうどいいかもしれませんね。子どもの頃は自転車で色々なところへ行ったものです。今日は、自分の母校に久しぶりに入れて本当に良かったです。でも1日だけでは全部回り切れなかったところがたくさんあります。いずれまた紹介したいと思います。
奈留島での注意点
奈留島を訪れる際には、いくつかの注意点があります。まず、レンタカーでの運転時は、細い道が多いため、対向車との譲り合いが必要です。島民は道に慣れていてスピードを出すことが多いため、慎重な運転が求められます。また、急にお店が休業することもあるので、事前の確認が必要です。そして、島民はとても親切なので、わからないことがあれば気軽に尋ねると良いでしょう。
まとめ
奈留島は、自然豊かな景観と歴史的な教会、そして地元の味覚を楽しむことができる魅力あふれる島です。福江島から船で45分というアクセスの良さもあり、限られた時間でも効率よく観光できます。観光スポットとして人気の江上天主堂や小田河原展望所、ユーミンの歌碑を巡り、地元の食堂でのランチや木工体験で特別な思い出を作ることができます。美しい海を眺めながらのひとときや、カフェでのリラックスタイムも忘れられない瞬間になるでしょう。奈留島での一日を、心地よい空間と地元の人々の温かさに包まれて過ごしてみませんか?