ビタミンCが壊れにくい理由とは?美容・腸活・むくみ改善に効く成分と食べ方のコツ

さつまいもには、食物繊維をはじめ、良質な糖質やビタミン、ミネラルがたっぷり詰まっています。普段の食卓で何気なく食べている食材なのに、その中には美しさや若々しさを支えてくれる力がいくつも隠れていて、体をやさしく整えてくれる存在です。自然な甘さで満足感が得られやすいこともあり、無理なく続けられる点も魅力のひとつと言えるでしょう。さつまいもに含まれる成分を少しずつ見ていくと、腸の流れを助けるもの、美肌づくりに関わるもの、日々の健康維持に役立つものなど、その働きの幅広さに驚かされます。どの成分も生活の中にすっと取り入れやすく、忙しい日でも無理なく体を整えるきっかけになります。

ここからは、さつまいもが秘めている美容や健康面での魅力を、やさしく丁寧に紐解いていきます。読み進めるうちに、日々の食事で活かしたくなるヒントがきっと見つかるはずです。

熱に壊れにくい特別製のビタミンC

熱に壊れにくい特別製のビタミンC

コラーゲンは、肌のしなやかさや骨のしっかりとした強さを支える大切な成分です。
体の中ではたんぱく質を材料にしてつくられますが、その働きをスムーズに進めるにはビタミンCや鉄が必要だとされています。ただ、このビタミンCは繊細な性質をもっており、水にさらすと流れ出しやすく、熱にも弱いため、日常の調理で十分に摂るのが意外とむずかしい栄養素です。

ところが、さつまいもに含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくいという、少し特別な特徴があります。さつまいもに火を通すと、内部のでんぷん質が糊化し、とろりとした膜のような状態になります。この膜がビタミンCを包み込むことで守ってくれるため、熱にさらしても逃げにくいと言われています。

加熱調理が前提の野菜でありながら、ビタミンCをしっかり取り入れやすいというのは、さつまいもならではの魅力です。焼いても蒸しても栄養が損なわれにくいため、普段の食卓で無理なく取り入れやすい存在になります。

手軽に食べられるうえに、美容と健康の両面をサポートしてくれる。
そんな力が秘められていると思うと、さつまいもを選ぶ時間が少し楽しく感じられるかもしれません。

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく含む

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく含む

食物繊維には「不溶性」と「水溶性」の2種類があり、さつまいもはそのどちらもほどよく含んでいる珍しい食材です。
このバランスが、腸内の環境を整えるうえで役立つといわれています。どちらの食物繊維も腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やす働きを持っていますが、お通じへの関わり方には少し違いがあります。

不溶性食物繊維 (g) 水溶性食物繊維 (g) 食物繊維総量(g)
さつまいも(皮なし) 1.6 0.6 2.2
さつまいも(皮つき) 1.8 0.9 2.8

引用:「文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より

不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸って膨らみ、便の量を増やすことでスムーズな排出へつなげてくれる存在です。一方、水溶性食物繊維は水分を含んだときにとろみを帯び、便をやわらかく整える役割があります。不溶性ばかりだと便が固くなりやすいため、水溶性を一緒に取り入れることが大切だとされています。

便秘対策として理想的といわれる摂り方は、不溶性:水溶性=2:1 の割合。実は、さつまいもに含まれる食物繊維の比率がちょうどこのバランスに近く、自然と理想的な組み合わせになる点が注目されています。腸の流れをととのえたい時、さつまいもが心強く感じられるのはこの組み合わせのおかげです。日常の食卓に取り入れるだけで、無理のない形でお腹の心地よさへつながっていきます。

皮に含まれるアントシアニンは強力な抗酸化物質

皮に含まれるアントシアニンは強力な抗酸化物質

さつまいもの皮には、アントシアニンと呼ばれる紫色の色素成分が含まれています。このアントシアニンはブルーベリーなどのベリー類にも多く含まれ、強い抗酸化作用をもつことで広く知られている成分です。

抗酸化物質は、体の中で生じた活性酸素を無害化し、酸化ストレスをおさえる働きがあります。酸化ストレスが減ることで、血管がダメージを受けにくくなったり、代謝がスムーズに進みやすくなったりと、体のさまざまな部分に嬉しい変化が期待できます。その結果、肌の調子を保ちやすくなったり、血管年齢を若い状態に保つサポートになるとも言われています。

また、抗酸化物質は美容だけでなく、日々の健康管理や生活習慣病対策にも役立つとされている心強い成分です。アントシアニンをしっかり取り入れたい時は、皮ごと食べるのがおすすめ。皮の部分に多く含まれているため、さつまいもの魅力をより効率よく活かすことができます。美味しさと一緒に、美容と健康のための成分も自然に取り入れられるのは、さつまいもならではの良さと言えます。

腸内環境を整えるヤラピンで内側からキレイに

腸内環境を整えるヤラピンで内側からキレイに

さつまいもの皮のすぐ近くには、「ヤラピン」と呼ばれる特徴的な成分が含まれています。
さつまいもを切ったとき、皮のあたりからにじむ白い液体を見たことがある方も多いと思いますが、あれがまさにヤラピンです。加熱しても失われにくい、とても安定した性質を持っているのが嬉しいところです。ヤラピンには、腸のぜん動運動をゆるやかに促す働きがあり、それによって便がやわらかく整い、スムーズな流れにつながりやすくなります。さつまいもに豊富な食物繊維と組み合わさることで、その働きがさらに高まり、負担の少ない自然なリズムをサポートしてくれるのです。毎日の心地よさをそっと支えてくれる成分が、さつまいもの皮のすぐそばにしっかり詰まっています。

カリウムの摂取でむくみ解消

美容面で気になる悩みのひとつが「むくみ」。
その背景にはいくつか理由がありますが、中でも大きな原因とされているのが「塩分の摂りすぎ」です。体は塩分濃度を一定に保とうとするため、食事から塩分を多くとると、その濃度を薄めようとして水分を体内に溜め込みます。その結果、余分な水がうまく出ていかず、足や顔などが重だるく感じる“むくみ”につながってしまいます。ここで注目したいのが、さつまいもに豊富なカリウムです。カリウムには体の中に溜まったナトリウム(塩分)を水分と一緒に外へ出す働きがあり、塩分をとりがちな食生活の強い味方になってくれます。特に和食はしょうゆや味噌など塩分の多い調味料を使うため、知らないうちに摂取量が増えやすく、日頃からカリウムをしっかり取り入れたいところです。

さらにカリウムは、ストレスが続くと不足しやすいという性質もあります。忙しい毎日を送っていると、気づかないうちに体の中のバランスが崩れがちになるため、さつまいもでカリウムを補っておくことが心のケアにもつながります。

無理なく食べられるうえに、むくみ予防にも役立つ。
そんな嬉しい特徴を持っているのが、日常の食卓に取り入れやすいさつまいもです。

「皮ごと調理後、冷やして」食べよう!

さつまいもは「皮ごと調理後、冷やして」食べよう!

さつまいもに含まれる豊かな栄養をしっかり取り入れたい時は、皮ごと調理するのが効果的です。
皮の部分にはアントシアニンが多く含まれているほか、ヤラピンや食物繊維も皮に近い層に集中しているため、そのまま食べることでより多くの栄養を無駄なく取り入れられます。

さらに、加熱したさつまいもを一度冷やすことで、栄養面でうれしい変化が起こります。冷える過程で、加熱によって糊化したでんぷんの一部が「レジスタントスターチ」と呼ばれる食物繊維のような性質を持つ成分に変わります。このレジスタントスターチが増えることで、腸内環境を整えたり、お通じをスムーズにしたりといった働きがより発揮されやすくなります。また、レジスタントスターチは糖の吸収をゆるやかにする性質があるため、さつまいもを食べたあとの血糖値の上がり方が穏やかになります。その結果、次の空腹感が抑えられやすくなり、健康管理やダイエットの面でも役立つと考えられています。

うれしいことに、一度冷やしてレジスタントスターチが増えたさつまいもは、再加熱してもその成分が失われません。「やっぱり温かいさつまいもを食べたい」という場合でも、軽く温め直すだけで栄養もおいしさもどちらも楽しめます。

皮ごと、そして一度冷やしてから食べる。この少しの工夫で、さつまいもの可能性がぐっと広がります。

まとめ

これまで、さつまいもに含まれる栄養がどのように美容や健康を支えてくれるのかを紹介してきました。豊富な食物繊維やビタミン、ミネラル、そして皮に多いアントシアニンやヤラピンなど、体づくりに役立つ成分がぎゅっと詰まっていることが分かると、いつもの一皿が少し頼もしく感じられるはずです。

食事の一品として使うのはもちろん、軽いおやつ代わりに取り入れるのも気分よく続けられる方法です。自然な甘さが楽しめて満足感も得やすく、無理なく習慣にしやすいのが魅力です。

さつまいもを上手に活用しながら、内側から健やかで若々しい体づくりを目指してみてください。日々の小さな積み重ねが、心地よい変化につながっていきます。