突然ですが、なぞなぞを出題します。
問題:焼き芋にあって干し芋にはない。大学芋にあるけど干し芋にはない。その答えとは?
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正解は、「皮」です。今回は、さつまいもの皮にスポットを当てたお菓子の話です。最後までぜひご覧ください。
干し芋作りの闇?
一部では皮付きの干し芋を目にする機会もあると思いますが、一般的な干し芋には皮が付いていないことがほとんどだと思います。なぜならば干し芋を作る工程において、さつまいもを蒸した後、その皮を剥くからです。干し芋を自作したことがある方ならわかると思いますが、蒸されたばかりの熱々のさつまいもの皮を手で剥くのはとても大変な作業です。
それほどまでに大変な思いをしてまで皮を剥くのは、完成時の美しさのため、というのが主な理由のようです。皮が残っていると干し芋が黒ずんでしまい、人々を魅了する綺麗な黄金色にならないからです。では、剥かれた皮はどうなるのでしょうか。日本国内の干し芋の、なんと9割を生産している茨城県では、年間2,000トンもの皮が廃棄されているらしいです。容易には想像もつかない量ですね。世の中には皮付きの干し芋も販売されていますが、全ての干し芋が皮付きにならない限り、干し芋を作れば作るほど皮の廃棄量が増える、と言えるでしょう。
さつまいもの皮が持つ栄養
美しく美味しい、黄金色の干し芋を作るために取り除かれている、年間2,000トンものさつまいもの皮。そんな皮には、実は、捨ててしまうにはもったいないほどの栄養がたっぷり詰まっています。どのような栄養素が含まれていて、どういった効果が期待できるのか、以下にご紹介します。
- 食物繊維…腸の働きを促し消化を助け、便秘対策が期待できます。また、血糖値の上昇を抑制したり、血中コレステロール濃度を低下させたりする働きがあるとされています。
- アントシアニン…ポリフェノールの一種であるアントシアニンには、活性酸素から身体を守る抗酸化作用があります。
- クロロゲン酸…アントシアニン同様、ポリフェノールの一種です。抗酸化作用や、脂肪の蓄積を抑えたり、血糖値の急激な上昇を抑えたりする効果が期待できます。
- カルシウム…骨や歯を作る栄養素です。さつまいもは、芋類の中ではトップクラスのカルシウム含有量を誇ります。
干し芋の、ねっとりとした食感を最大限に楽しむことを考えると、皮が無い方がよいのかもしれませんが、こうしてさつまいもの皮が持つ栄養素を見てみると、大量に廃棄されてしまうのがなんだかもったいないと思ってしまいますね。
皮の救世主、その名は「皮いいね」
たくさんの栄養があるにも関わらず、廃棄されてしまうさつまいもの皮。そんな皮をアップサイクルすることで廃棄量を減らし、また、その栄養を余すことなく頂いてしまおう、という救世主のようなお菓子。それが、今回ご紹介する「皮いいね」なのです。「Peel:皮+Good:良い=皮いいね」という意味から名づけられています。製造しているのは、「株式会社東京バル」という、茨城県つくば市にある会社。飲食店の運営や、プラントベース、グルテンフリー、アップサイクルなどの食品を開発・製造しています。皮いいねの他にも、肉の替わりにこんにゃくを使用した「こんにゃくジャーキー」や、酒粕で作られたパルメザンチーズの代替食品などを販売していますので、気になる方はこちらの公式サイトをチェックしてみてください。
皮いいねに使用されている原材料について、パッケージには「さつまいも(茨城県産)」と「米ぬか」、この2つだけが記載されています。そのシンプルさに驚きます。さて、さつまいもの皮以外の原材料である米ぬかですが、米の栄養素の95%は米ぬかに詰まっている、と言われています。米ぬかに含まれる主な栄養素を見てみましょう。
- フィチン酸…肌の酸化の原因となる余分なミネラルを体外へ排出し、保湿効果が期待できます。
- ビタミンE…抗酸化作用によって体内の脂質を酸化を抑え、細胞の健康維持を助けるとされています。
- イノシトール…中性脂肪の燃焼を促し、動脈硬化や脂肪肝などの生活習慣病を防ぐと言われています。また肌の保湿効果も持っています。
- フェルラ酸…「お米のポリフェノール」とも呼ばれるフェルラ酸は、紫外線から肌を保護してくれる、抗酸化作用が期待できます。
なお、皮いいねに使用されている米ぬかは、秋田県産だそうです。さつまいもの皮と同様に、米ぬかも精米の過程で捨てられてしまうことが多いものです。捨てられがちなもの同士が組み合わさって、強力なバディを結成したようです。砂糖不使用なので、砂糖の摂り過ぎを気にしている方でも安心して食べられるでしょう。さらには油も使用していないヘルシーな皮いいね、作り方が気になりますね。
「皮いいね」ってどんな味?
化学調味料はもちろん、砂糖も油も使わず、さつまいもの皮と米ぬかだけで作られた皮いいねは、一体どのような味なのでしょうか。袋を開けてみると、少し香ばしさのある甘い匂いがします。見た目はスティック状のスナック菓子ですが、太いものや細いものなどが混ざっていて、太さはまちまちです。食べてみると、自然な甘みの素朴な味わいです。なんだか温かみがあるような優しさが感じられます。どちらかと言えば、やや固めのサクサク食感のお菓子です。甘さはあっても、べたつかないので手も汚れません。1袋15g入りで手軽に食べられる量だと思いますよ。まさに、他にはない自然派スナック。その素朴さゆえに、子供から大人まで幅広い年代に長く愛されそうな商品ですね。
ここからは、もしかしたら自然派スナックに対する冒涜ではないかと自問自答しながら行ったことなのですが…、筆者はヴィーガンではないのでこんな楽しみ方もアリかと思い試してみました。ちょい足しです。焼き芋や干し芋などに、何かをちょい足しして楽しむことがあると思いますが、皮いいねをバニラアイスと一緒に食べてみました。冷たいバニラアイスと、温かみのある皮いいねの相性はとても良く、素朴な味わいなのにもかかわらず、バニラアイスの甘さに負けない皮いいねの存在が際立ちました。さつまいもスイーツ店などでも、アイスやパフェのトッピングに皮いいねを採用すれば良いのではないかと思いました。
まとめ
今回は、SDGsにも貢献する自然派スナック「皮いいね」をご紹介しました。さつまいもの皮と米ぬかだけで作られているのに甘くて、栄養もあるお菓子です。小さくて可愛らしいスタンドパックに入っているので、持ち歩きにも便利です。ヴィーガンであろうと、そうでなかろうと、さつまいも好きにとっては嬉しいお菓子だと思います。入手方法は、さきほどご紹介した公式サイトや、茨城県土浦市のふるさと納税返礼品として、または、茨城県の焼き芋専門店「芋やす」、栃木県のさつまいも専門店「いも家kaneki」にて店頭販売もしているようです。近くやお店に立ち寄った際には、ぜひチェックしてみてください。