芋けんぴって知ってる?昔から国民に愛されるさつまいものおやつ。使用する品種により味わいや食感が異なる芋けんぴ。芋けんぴに使用される品種や食感を徹底レポートします!

日本では、昔から国民に愛されるサツマイモのおやつとして、芋けんぴが有名です。しかし、芋けんぴで使うさつまいもにもさまざまな系統があり、使う品種によって味わいや食感が異なることをご存じでしょうか。この記事では、芋けんぴの原料として使われるさつまいもの種類や、品種による味の違いについて解説します。

芋けんぴとは?

芋けんぴとは、細長くカットしたさつまいもを油で揚げ、砂糖やはちみつを絡めて味付けをしている和菓子です。平安時代から土佐に伝わる干菓子の「けんぴ(堅干)」から派生したものといわれ、高知県の郷土菓子としても知られています。生のさつまいもよりも歯ごたえを楽しめる上、コンビニやスーパーなどでも安く購入できるため、手軽に食べられるおやつとして老若男女に愛されています。

芋けんぴで使うさつまいもの種類

一口に芋けんぴといっても、使うさつまいもによって味や食感が異なります。食べたい芋けんぴをイメージした上で、さつまいもの種類を選ぶようにしましょう。一般的に芋けんぴで使われるさつまいもには、大きく分けて2種類あります。

カリッとした食感を楽しみたいならホクホク系

カリッとした食感を楽しみたいなら、ホクホク系のさつまいもがおすすめです。ホクホク系のさつまいもは、でんぷん質が多く、油との相性が良いという特徴があります。そのため、カリッと食べごたえのある食感はもちろん、素朴でやさしい甘みを求める方にもぴったり。

ホクホク系の代表的な品種は以下の通りです。

・紅あずま
・なると金時
・紅さつま
・宮崎紅
・高系14号

昔ながらの芋けんぴが食べたいという方は、ホクホク系のさつまいもを使った芋けんぴを探してみることをおすすめします。

ムチムチの食感を楽しみたいならネットリ系

ムチムチの食感を楽しみたいという方は、ネットリ系のさつまいもを使った芋けんぴがおすすめです。水分を多く含んでいるため、噛むほどに広がる濃厚な甘さと、粘り気ある口溶けを楽しめるでしょう。

ネットリ系の代表的な品種は以下の通りです。
・安納芋
・紅はるか

ネットリ系のさつまいもを使用した芋けんぴの中には、本来の甘みを活かすために、砂糖やはちみつの分量を控えて味付けしているものも販売されています。

芋けんぴで使う代表的な3つの品種

現在、日本国内では約60種類以上ものサツマイモが栽培されており、使う品種によってさつまいもの噛み心地が異なります。最後に、芋けんぴで使う代表的な3つの品種について紹介します。

コガネセンガン

芋けんぴの原料として特に使われているのが、コガネセンガンです。白い見た目の、ホクホク系のさつまいもで、鹿児島県や宮崎県で多く栽培されています。

コガネセンガンの特徴は、以下の通りです。
・果肉が黄金色
・やさしい甘み
・軽い食感でサクサク系の芋けんぴが多い

育つスピードが早い上に収量が多く、早掘りしても品質が落ちないのも特徴です。秋から冬にかけてが旬のさつまいもで、ふわっと広がるやさしい甘みや舌触りの良さから、芋けんぴに使われる他、芋焼酎にも欠かせない存在です。

紅あずま

紅あずまは全国的に普及しているものの、特に茨城県や千葉県などで多く栽培されています。

紅あずまの特徴は、以下の通りです。

・果肉の色がほんのり紫がかった濃い黄色
・さっぱりとした甘さ
・カリゴリ食感の芋けんぴが多い

上品な甘さとなめらかな喉越しは、紅あずまならではの食感です。また、加熱することで果肉の色が濃くなるため、焼き芋にした際は、「これぞ、昔ながらの焼き芋」と言われるほどきれいな黄色に仕上がります。紅あずまの収穫時期は、早いところで8月末ごろから始まりますが、収穫後は貯蔵するため、市場に出回るのは12月〜2月ごろとなります。

なると金時

関西で人気のホクホク系といえば、なると金時です。徳島県の鳴門市大毛島(おおげじま)が発祥といわれ、現在では鳴門市を中心に、徳島市や板野郡などで栽培されています。

なると金時の特徴は、以下の通りです。

・果肉の色がクリーム色
・栗のような柔らかい甘み
・カリカリ系の芋けんぴが多い

温暖な気候と、ミネラルたっぷりの砂地で育ったなると金時は、芋けんぴはもちろん、天ぷらや大学芋などの素材としても人気です。加熱後に栗のようなホクホク感を味わえるのは、なると金時ならではの味わいでしょう。収穫時期は7月下旬頃から始まり、収穫後は貯蔵して、春先頃まで随時出荷されます。水分が抜けるほど甘みが増すため、特に11月から2月ごろに市場に出回るものは、熟成した分、甘みが強くなるといわれています。

まとめ

芋けんぴは、絶妙な歯ごたえが癖になる昔ながらのお菓子です。ホクホク系やネットリ系など、使用するさつまいもはもちろん、細切りなど切り方の違いでも食感が変わります。はちみつ味や塩味など、味付けの種類も豊富にあるため、さまざまな味を試しながら自分好みの芋けんぴを探してみてはいかがでしょうか。