さつまいもの未来をAIに聞いてみた。スマート農業で変わる持続可能な農業への道

梅雨…まだ明けてないのに、この暑さは何?どういうこと?ここ数年、夏の異常な暑さを経験し、まさに2024年7月、この言葉通りの暑さが全国..関東地方を襲っています。昨今言われている課題は、さつまいも栽培だけではなく、農業全般に言われる事ですが、気候変動や農業人口の減少が大きな問題となっています。これらの問題にどう対応するかが、今後のさつまいも栽培のカギになっていくと思います。今回は、AIを使用し、さつまいも栽培の現在の状況と各種データからさつまいも栽培の未来を予測させました。本記事を読むことで、未来のさつまいも栽培の方向性や現在の課題への対応策を知ることができ、さつまいも栽培を含む農業の現在地と未来のさつまいも栽培を考えるきっかけになればと思っています。少し長めですが、最後までお付き合いいただければと思います。

さつまいも・焼き芋ブームから定番へ

さつまいも博も冬だけではなく夏も開催し、こちらも大盛況の様子を別の記事で紹介しました。現在のさつまいも、焼き芋ブームは、平成の時代から続くブームの延長で、もはやブームが定着し、ひとつのカテゴリのようになってきているのではないでしょうか?ブームから定番へ。それが今のさつまいも、焼き芋のような気がします。その証拠に、新しいさつまいもの品種登録も増え、生食用だけではなく、加工用、加工品向けのさつまいも品種も新品種として登録されてきています。これは、さつまいもが生食用だけではなく、加工品としても利用、使用される幅が増えてきていることからのような感じなのです。

夏のさつまいも博2024へ初日に行ってきた!混雑必須の夏のさつまいも博の対策はこれだ!

今回のさつまいも博…夏のさつまいも博は、どちらかというとさつまいもの旬の時期ではなく、早生種のさつまいもですらも収穫前だったりする季節の開催で、さつまいもの生食用の主戦場でもある「焼き芋」での出店という感じではなく、さつまいも、焼き芋を加工したスイーツ、ドリンク、お酒といった感じの出店者が多いような気がしました。これもさつまいもは焼き芋だけではなく、多種多様なものに変化ができ、美味しさの幅も広がったということからなのかもしれません。

さつまいも、焼き芋ブームは、第4次さつまいも、焼き芋ブームと言われ、平成から続くものであり、この第4次ブームは、さつまいもの品種と焼き芋の機械化が牽引していると言われています。このさつまいもの品種は、第4次ブーム前は、ほくほく系…いや、そもそもこの「ほくほく系」という表現は、この第4次ブーム前は無かったように思えます。東の紅あずま、西の高系14号と言われるさつまいもの品種は、ほくほくとした食感とさつまいもらしいほのかな甘さと香りがあり、今でも人気であるのはご存じの通りです。このほくほく系品種に、この第4次ブームで入ってきた品種は、現在で言う「ねっとり系」という品種です。この「ねっとり系」の品種で出て来たのが、紅はるかや安納芋…このあたりの品種で、焼き芋の食感や甘さを大きく変えてしまっただけではなく、加工品で言えば、干し芋も、以前の干し芋は「玉豊」という品種だったものが、現在では、紅はるかを使用した「ねっとり」、「柔らかい」という干し芋が誕生していたりします。

そして、もう一つ変わったのが、引き売りをしていた焼き芋から大型店舗でも焼き立てが販売できるようになった電気での機械や熱伝導での焼き芋の焼成方法です。第3次ブームから第4次ブームに広がり、現在もそのブームが続いていると言われているさつまいも、焼き芋ブーム。品種と新しい焼成に必要な機械が大きく牽引していると言われるまでになっています。さて、そのようなさつまいも、焼き芋ブームはいつまで続くのでしょうか?ブームから定番になったと言われている今だからこそ、この先の未来を知りたい!と思うのはさつまいも、焼き芋に関わる人だけではないのではないはずです。過去の焼き芋ブームと言われる頃のデータと現在、そしてこれからの気象データ、今後の農業人口の推移等を元にAIを使って10年後、20年後、30年後のさつまいもの品種、さつまいもの市場、さつまいも農業の在り方を分析してみました。

AIで10年後のさつまいもの未来を調べてみた

10年後、さつまいもの未来はどうなっているのでしょうか?4つの項目が出てきました。初めに「品種の適応性の強化」。現在も長雨や干ばつ、そして気温、気候変動が大きいというのは最近では10年に一度という言葉を使用されながら気候、気温、異常気象が起こる度に言われています。10年後は、更に顕著になるとの予想で気候変動に対応するため、干ばつや高温に耐える、耐えることが出来る品種が開発されてくるのではないか?との予想です。地球温暖化の更なる進行により、日本の夏がより暑く、乾燥する可能性が高いと指摘をしています。その為、水不足や高温に強いさつまいもの品種開発が必要とされ、この品種改良により、水の利用効率を高めることができ、環境ストレスに強いさつまいもの栽培、生産が可能になるとしています。また、気温の上昇と湿度の変化が病害虫の活動を活発化させるとのことで、特に、さつまいも特有の病気や害虫に対する耐性を持つ品種の開発が必要になり、この品種により農薬の使用を極限まで減らし、より持続可能な栽培方法へと少しづつ今のさつまいもの栽培方法が変わっていくのではないか?と予想をしています。更に消費者ニーズの多様化に応じて、短期間で収穫できるさつまいもの需要が急激に伸びるのではないか?ともしており、この影響から早く収穫が可能な品種であれば、気候変動が激しい時期を避けて栽培することが可能になるという予測も出ていました。

そして「栄養価」に関しても現在の状況を更に深くした感じの状況になります。消費者の健康志向に応える為、特定の健康効果を提供する栄養豊富な品種が開発される可能性があるとのことです。消費者の健康意識の高まりに対応するため、更にビタミンやミネラルが豊富で、食味も優れた品種開発が進められると予測され、特に抗酸化成分を多く含む品種や甘み、食感が今以上に向上した品種も出て来る為、新たな市場の開拓にもつながる可能性まで指摘をしています。例えばですが、糖質が高めと言われているさつまいもですが、もしかすると低糖質に特化したようなさつまいもが出て来るかもしれません。

更に「テクノロジーの活用」がキーワードになってくるようです。大型、精密農業が更に進み、現在も農業に少しづつ取り入れてきている技術のドローンやAIを利用した栽培管理が広く一般化されるとのことです。既に栽培技術にドローンやAIを利用していると「な~るほど」となるのかもしれませんが、どんな感じで栽培技術に取り入れて行くのか?も説明をしていたので書いておきます。ドローンを使用する場合は「監視とデータ収集」、「精密農薬散布」、「灌漑管理」、「作物の成熟度評価」とこのあたりで使用されて行っているようです。「監視とデータ収集」では、ドローンは畑全体の高解像度画像を撮影するのに使用され、これにより作物の状態や成長の進行を監視し、ドローンからの画像を解析することで栄養不足、日照不足、病気の初期兆候を迅速に検出ができ、対応が可能になってきているようです。「精密農薬散布」では、必要な場所を正確に農薬や肥料をピンポイントで散布ができたり、「灌漑管理」ではドローンに取り付けた土壌の湿度センサーにより水不足のエリアが特定できたり「作物の成熟度評価」では、収穫の最適なタイミングをドローンで撮影した画像を元に分析をし、収穫作業の計画を立てられるという感じのようです。

最後は「市場のグローバル化」です。現在のさつまいもの品種は日本に合った食べ方と加工に向いている品種が中心ですが、国際需要の増加に応じて、さつまいも使った新しい料理法や海外の食文化に適したさつまいもの品種が開発されると予測をしています。

AIで20年後のさつまいもの未来を調べてみた

更に10年後…20年後のさつまいもの品種と市場動向についてもAIは予測しています。20年後の世界では、気候変動は更に加速すると予測されています。気候変動の進行は、農業に大きな影響を与え、極端な気候に耐えられるさつまいもの品種が必要になってくるとのことでした。

干ばつや高温、更に洪水などの異常気象に強い品種の開発が進むと予測されています。農業技術の進化もさつまいも栽培に変革をもたらしそうです。遺伝子編集技術の進歩により、現在と比べるとより効率的に目的の特性を持つさつまいもの開発することが出来るかもしれません。一言で農業技術と言っても多種多様な技術の中で目覚ましく発展しそうなのが遺伝子編集ツールを使用して、特定の形質(病害虫耐性、気候適応性、栄養価等)を持つさつまいもを効率よく開発する技術と気候変動の影響を予測して、その状況からさつまいも栽培の戦略を立てるような、高度な気候モデリング技術です。

さつまいもを購入する消費者の嗜好の変化も変わりそうです。今後20年で、より健康志向や倫理的な消費が推奨される可能性があり、オーガニック栽培や環境へ配慮した生産方法で育てられたさつまいもが「かなり重要視」される可能性があると予測もしています。更にこの辺りから予測に入って来るのが「農業人口の減少」という言葉です。農業人口が減少した場合、AIはどのような予測をしているのでしょうか?農家人口の減少と高齢化により作業の効率化は急務です。その為、収穫や栽培が機械化しやすい形状やサイズのさつまいもの品種の開発が推進される可能性があり、一定の大きさた形で均一に成長しやすい品種が求められるとのことです。農業従事者が少なくなる中で、管理が容易な品種(病害虫に強く、気候変動に対しても強い耐性を持つ、少ない人手でも効率よく栽培が可能)が優先されるようになっていきます。労働力の確保が難しい状況を考えるとより短期間で収穫ができる品種が開発される可能性が高く、成長が早い品種は、労働力の負担を軽減し、複数の作物を年間を通じて栽培することも可能になるとのことです。人手不足に対応するため、収穫や定植、除草などの農作業を自動化するロボット技術開発が目覚ましく発展する可能性があります。これにより労働集約的な作業を効率化し、コストも削減することが可能になりそうです。

AIで30年後のさつまいもの未来を調べてみた

そして30年後のさつまいも栽培はどんな未来になっているのでしょうか?ここもAIが予測をしています。データ不足の部分がありますが…。現在の状況と比較してみると分かりやすいかもしれませんので現在の状況と30年後の状況を比較してみました。味に関しては、現在のさつまいもはホクホク系、ねっとり系、しっとり系など多様な食感と甘みを楽しめることが特徴です。30年後は、味や栄養成分に特化した品種が開発されることが期待され、例えば特定の食感や甘みが強化された品種やビタミン、ミネラルもある一定の栄養素が強化された品種が広く普及される可能性があります。

栽培方法に関しては、現在の場合は、広く土壌を利用した伝統的な栽培方法が主流であり、一部で有機栽培等も行われています。30年後の予測としては、精密農業技術や自動化技術が進化し、AIやドローンを活用した農地管理が一般的になり、広く使われている状況であり、効率的且つ環境に配慮した、環境にやさしい栽培方法が主流になっているとのことです。

さつまいもの大きさも現在は、市場や調理、料理法に合わせた様々な大きさ、サイズがありますが、30年後の予測としては、栽培技術の進化と品種改良により、均一な大きさで収穫が容易になる可能性が高く、収穫の完全自動化に適した形状に変化している可能性もあるとのことです。価格に関しては現在の状況は、地域や品種によって価格が異なり、一般的で手頃な価格で提供されていますが、30年後の予測としては、生産効率の向上と自動化によりコストが削減される可能性がある一方で、特殊な栄養成分をもつ高付加価値の品種はプレミアム価格で販売される可能性もあるとのことです。AIは最後にこういう感じでしめています。これらの予測は、技術革新、消費者のニーズ、気候変動などの要因が大きく左右される為、実際の要因はこの3点により大きく変化します。30年後のさつまいもは、現在のものと比べて、より多様で持続可能な特性を持つ可能性が高いとなっています。

10年、20年、30年とAIに予測をさせましたが、気になったことは、気候変動がこれから大きくなるのは10年後、20年後、30年後でも触れられていたこと。そして、農業人口が高齢化と減少するというのは、現在もまさにその状況ではありますが、より進むものであり、栽培方法に最新テクノロジーを利用していかないとコスト削減だけではなく生産、栽培に影響が出て来る可能性があるという点でした。ブームから定番に変わりつつあるさつまいも、焼き芋ですが、将来の栽培に関しても光があたればと思う次第です。あくまでもデータを元にAIの分析ですので信憑性に関しては現時点ではなんとも言いようがありませんが、さつまいもの未来のひとつの形ということで頭の片隅にでもおいていただけると幸いです。

さつまいもの未来まとめ

さつまいも栽培の現在地と各種品種データ、考えられる気象データ、農業人口等の農業データからAIがさつまいも栽培の未来を予測させました。文中にも出てきましたが、さつまいも栽培の未来を見据えると、気候変動や農業人口の減少という大きな課題に直面しています。これに対して、気候変動に強い品種の開発や、ドローンやAIを活用した栽培管理技術の導入が必要になるとAIは予測しています。これにより、高温や干ばつ、病害虫への耐性が強化され、効率的かつ持続可能な栽培が実現するともAIは予想しています。

また、AIが分析した消費者の健康志向に応じた栄養価の高い新品種の開発や市場の多様化も今後、期待されると予測しています。10年、20年、30年後のさつまいも栽培の方向性や課題への対応策を知ることで、さつまいも栽培の最前線に立つための具体的なアプローチが見えて来る可能性があります。技術革新や消費者ニーズの変化に対応し、持続可能な農業を実現するためには、今からの準備が欠かせません。この記事を通じて、さつまいも栽培の未来に向けた新たな視点のひとつになり、農業全体の発展に貢献するためのヒントを得ていただければ幸いです。折しも2024年6月30日に岸田文雄首相が人工知能(AI)やデジタル技術を活用したスマート農業を支援する為、農業生産者を対象とする交付金制度を創設すると表明したこともあり、ますます、農業×IT技術、AIは加速をして行くかもしれません。スマート農業が当たり前の世界になる前に準備を始めてみてはいかがでしょうか?