冷やしさつまいもの効率の良い食べ方とは?身体にも嬉しく美味しい冷やしさつまいも。料理研究家が腸活できる冷やしさつまいもの食べ方と冷やして美味しい大学芋レシピ、スムージーを公開

夏も本番。今年の夏は暑すぎませんか?そんな暑い季節は、やはり冷たいものが恋しくなりますね。しかし、人気の冷たい食べ物は、殆ど糖分が高く、逆に体に必要なビタミン・ミネラルはあまり含まれていません。舌は、冷たいと味を感じ取る感覚が鈍くなるので、市販の炭酸飲料やアイスクリームなどは想像以上に糖分を添加して作られています。時々、楽しむのであれば良いのですが、毎日となると体にはあまり嬉しくないものです。そんな時こそオススメしたい食べ物がさつまいも。さつまいもは栄養価が高く、冷やして食べても美味しくいただける、そして詳細は後述にありますが、冷やして食べたほうが身体に嬉しい、正に夏の救世主ともいえる食品です!今回は冷やしてお口にも身体にも美味しいさつまいもの食べ方をお伝えしていきます。

焼き芋ダイエットは「冷やして」食べるのがポイント

焼き芋は、基本的にカロリーや糖質量が多い食材です。ご飯は100g当たり156kcal、糖質35.6gで、焼き芋は100g当たり151kcal、糖質36.7gと、焼き芋はご飯と同程度のカロリーと糖質を含んでいます。そのため、たくさん食べてれば、当然太りやすいです。では、なぜ焼き芋がダイエットに効果的なのでしょうか。その理由は、焼いたさつまいもを冷やして食べることにあります。焼き芋は冷ますことで、さつまいもに含まれているデンプンが、消化されにくいレジスタントスターチに変化します。このレジスタントスターチが、ダイエットに繋がる要因なのです。

レジスタントスターチとは、難消化性のでんぷんのことで、食物繊維と似た作用をします。焼き芋にすることで、食物繊維は生のさつまいもの約1.6倍に増加。さらに、レジスタントスターチとの相乗効果が期待できます。腸まで届いて善玉菌を増やすことで、腸内環境を改善、便秘を解消するほか、血糖値の急上昇を抑制します。また、焼き芋は胃の中で水分を吸って膨張するため、腹持ちが良く、満腹感もアップします。冷やし焼き芋は、ダイエットに最適な条件が揃った食材なのです。

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冷やして腸活パワーをアップさせよう!

さつまいもは冷やして食べると美味しいとお話しましたが、実は美味しさだけでなく、栄養面でも冷やすことで得られる利点があります。さつまいもにはレジスタントスターチと呼ばれる体内で消化されないデンプンが含まれています。難消化デンプンとも呼ばれ、通常のデンプンが小腸で吸収されてエネルギー源とされるのに対し、大腸まで分解されずに届くデンプンです。同じような働きをするものとしては、聞き馴染みのある食物繊維がありますが、食物繊維は水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれ働きが違います。しかし、レジスタントスターチはその両方の性質を持つとされています。食物繊維はどちらも腸活に欠かせない成分。不溶性食物繊維は便のかさとなり、便秘解消に役立ち、水溶性食物繊維は善玉腸内を良好な状態に保つ働きをする善玉菌の餌となります。レジスタントスターチはそのどちらも担うというわけです。

こんなに素晴らしい働きをしてくれるレジスタントスターチは一度加熱してから冷やすことで量が増えることが明らかになってきています。そう聞けば、出来るだけ多くの量を摂れるようにしたいですよね!その為にはレジスタントスターチは時間をかけて徐々に増えていくので、冷ます時間を長くとるようにしましょう。冷凍で急冷するのではなく、常温で粗熱を冷まし、その後冷蔵庫でゆっくり温度を下げていくと効果的です。

冷やすだけで新たなさつまいも料理が誕生する

さて、さつまいものを冷ました方が良いと聞いたところでどう食べたら良いかと悩む方も少なくないと思います。さつまいもの魅力といえばアツアツ、ホクホクといったイメージをお持ちでしたら当然のことでしょう。でも、難しく考える必要はありません。答えは簡単、「温かいさつまいも料理を冷やすだけ」で大丈夫です。さつまいもは他の食材に比べて甘みが強い特徴から、冷ましても「冷めてしまった料理」になるのではなく、また別の料理に生まれ変わります。しかし、より一層合う料理の特徴はありまして、それは「塩味を抑えた料理」と「他の食材があまり使われていない料理」です。しょうゆや塩の風味が強い料理はあたたかい煮物や炒め物の印象が強く、様々な食材が使われている場合は食材によってはあたたかい方が美味しいこともあるからです。逆に甘みの強い料理は冷めていても抵抗を感じることは少なく、これはデザートやフルーツなどで冷たくて甘いものを食べる経験が多いことからくるのではないかと考えられます。

著者が数あるさつまいも料理の中で最も冷ますと美味しいと思う料理は大学芋です。ポイントは最後のあんを通常より長めに加熱して、わざと固めに仕上げること。通常であれば失敗ともされる状態ですが、冷やした時はパリっとする餡がとても美味しく感じられます!要は普通の大学芋より簡単でもあるということです。是非試してみて下さい。

冷し大学芋

〈材料〉2人分

  • さつまいも・・・200g
  • 砂糖・・・大さじ2
  • みりん・・・大さじ1
  • しょうゆ・・・小さじ1
  • 揚げ油・・・適量
  • 黒いりごま・・・適量

〈作り方〉

  1. さつまいもは皮付きのまま大き目の乱切りにする。水にさらして5分程度おき、キッチンペーパーで水気をよく拭き取っておく。
  2. 揚げ油を160℃に熱し、低温から4~5分かけてじっくり揚げる。
  3. フライパンに砂糖、みりん、しょうゆを入れてよく混ぜる、中火にかけ大きな泡が出る程度まで煮詰める。
  4. 3に2を加えて全体にあんが絡むようによく混ぜる。あんにとろみがつき、多少糸を引くくらいになったら火を止める。
  5. 暖かいうちに個々にばらし、黒いりごまをまぶす。粗熱をとり、冷蔵庫に入れて冷やす。

暑い季節こそさつまいものパワーを

冷たい食べ物が嬉しい季節にさつまいもを食べることは実はとても理に適っているのです。それは、さつまいもには夏に必要な成分が沢山詰まっているから。

まずはさつまいもに含まれるビタミンC。ビタミンCは紫外線を浴びることで肌表面に生み出された活性酸素を除去する働き、抗酸化作用に優れた成分です。抗酸化作用を持つ成分は他にもありますが、シミやそばかす、日常の日焼けによる着色を抑制する働きはビタミンC特有の働きです。

そしてもう一つ、ビタミンCには夏に嬉しい働きがあります。猛暑が続くと、食欲が低下したり、口当たりの良いものばかりを好んで摂取してしまったりといったご経験、誰もが一度はあるのではないでしょうか?肉や魚といったタンパク質が主体のおかずを食べなくなってしまうと、特に女性は鉄分が不足してしまい、体力が低下、いわゆる夏バテ症状になってしまいます。鉄分は通常時でも適切量を摂取することが難しいのですが、ビタミンCと共に摂取すると体への吸収が良くなります。

また、皮にも有効成分がたくさん詰まっています。皮の紫色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによる色素です。アントシアニンはビタミンCと同様に抗酸化作用に優れた成分ですが、なんとなく「目に良い」といったイメージがあるのではないかと思います。アントシアニンには目の視覚を担う網膜に存在しているタンパク質、ロドプシンの再合成を促進する働きがあるため、目の機能改善が期待出来るとされています。普段、目に対しての紫外線対策は顔や手足に比べて意識が低くなりがちですが、目は思っている以上に紫外線のダメージを受けているもの。その割には日焼け止めも塗れず、スキンケアは難しいので、インナーケアがとても重要です。著者もさつまいもの記事を書く時は、レシピの試作でさつまいもを食べてからパソコンに向かうことが多いのですが、必ず皮ごと食べるようにしています。

夏にオススメの最強さつまいも

さつまいもは準完全栄養食品と呼ばれるだけあって、どの種類もとても栄養価が高いですが、冷やして美味しく、暑い季節に嬉しい栄養がぎゅっと詰まった種類があります。それが紫芋です。紫芋というと料理よりお菓子に使用されているものを見たことがある方の方が多いのではないでしょうか。元々が焼き芋やふかし芋のようなあたたかい食べ物といった印象が低いので、冷やして食べても抵抗なく受け入れられます。紫芋はさつまいもの一種ですが、皮だけでなく中身まで紫色をしています。著者も初めて調理した時はどこまでが皮なのか分からず戸惑ったほどです。言い換えればそれだけ中身にもアントシアニンが豊富に含まれているということ。加熱しても、水にさらしても色は落ちないので、パウダーとして製菓コーナーにも売られています。夏にオススメとお話しましたが、ハロウィンシーズンにも重宝する食材です。紫色の食材というものは案外少ないので、ハロウィンカラーの料理を作りたい時に大活躍します。そして肝心の味ですが、よく通常のさつまいもより甘いのかと聞かれますが、答えは逆です。これもきっとお菓子に使用されているイメージが強いからでしょう。紫芋の甘みは一般的なさつまいもと比較すると控えめで味もあっさりしています。それだけに癖がないので、比較的どんな食材とも合わせやすいです。通常のさつまいもより低温に弱いので、加熱する前は冷蔵庫に入れず、冷暗所での保管をお勧めします。

さつまいもは飲み物

さて、最後にご紹介するのはいちいち料理をするのは面倒くさい!でも暑くても美味しくさつまいもを味わいたい!といった方へのオススメの食べ方です。それはドリンクにすること!さつまいもが飲み物になると聞くと、違和感があるかもしれませんが、近年では大手カフェチェーンやファストフード店でもさつまいもを使ったドリンクメニューが売られていたほどです。ドリンクにするのであれば、下処理をしてミキサーにかけるだけなので、とっても簡単。さつまいもには食物繊維が豊富に含まれているので、腹持ちも良く、置き換えダイエットにも最適です。

焼き芋のスムージー

まずは糖類不使用でも美味しい、焼き芋を使ったスムージー。焼き芋は市販の物でも、ご自宅で作った物でもOKです。取り除いた皮は是非そのまま食べることを推奨します。

〈材料〉2人分

  • 焼き芋・・・250g(中サイズ1本)
  • 牛乳・・・200ml
  • 氷・・・80g

〈作り方〉

  1. 焼き芋は皮を除く。
  2. 牛乳、氷をミキサーにかける。

紫芋ミルク

次は紫芋を使った最強美肌ドリンク。紫芋が手に入らない場合は通常のさつまいもでも美味しくいただけます。

〈材料〉2人分

  • 紫芋・・・120g
  • 豆乳・・・300ml
  • はちみつ・・・大さじ1

〈作り方〉

  1. 紫芋は竹串が抵抗なく刺さる程度の柔らかさになるまで蒸す。熱いうちに皮を除き、粗熱を冷ます。
  2. 豆乳、はちみつをミキサーにかける。

これなら料理の腕に自信がないという方でも簡単に作ることが出来ますよ。焼き芋は今やスーパーでも年間通して販売されているので、これを活用すれば忙しくても手間知らず。早速明日から腸活に、夏バテ対策に「冷やしさつま」を取り入れてみてはいかがでしょうか。