昔ながらの干し芋の魅力とその製法とは?昔ながらの希少な干し芋を手に入れる方法を解説!最近の干し芋と何が違う?昔ながらの干し芋との違いを教えます

さつまいもを干して作られる「干し芋」は、栄養価が高く、長期保存が可能なことから、昔から日本の食文化に欠かせない食べ物です。幼少期の懐かしいおやつや、祖父母の家で干し芋を味わった、あたたかい記憶として残っている方もいらっしゃることでしょう。しかし最近では、昔ながらの干し芋を目にすることがなかなかありません。そこで今回は、その素朴な風味や独特の食感を味わいたい方へ、昔ながらの干し芋の魅力を再確認するとともに、今でも手に入れられるのか、について紹介します。

干し芋とは?

まずは、干し芋の成り立ちや作り方などについて紹介します。

干し芋の歴史

干し芋は保存食

干し芋の起源は古く、平安時代発祥と言われています。収穫期以外でも、さつまいもを一年中楽しむための方法として伝えられてきました。保存性が高く、甘味が特徴的な干し芋は、江戸時代から明治時代にかけては、家庭での保存食として重宝され、食糧難の時代における貴重な食料源とされていたようです。また、栄養価の高さや保存性の良さから、戦場や旅路での携帯食としても利用されていました。現代では日本各地で特産品としても注目されるなど、伝統的な製法で作られる干し芋は、その風味や歴史的な価値から多くの人々に愛され続けているといえるでしょう。

干し芋はこうやって作られる!

干し芋が作られている風景

干し芋は、蒸したさつまいもの皮を剥き、薄くスライスした後、露地などで数日間天日干しにしたり、機械を使用したりしてじっくりと乾燥させていきます。干し芋づくりには手間暇がかかりますが、この丁寧な作業により、さつまいも本来の素朴な味と香りが凝縮、甘くてほくほくした干し芋が完成します。

昔ながらの干し芋と最近見かける干し芋はどう違うの?

昔ながらの干し芋の品種「玉豊」

昔ながらの干し芋の多くは、表面が白い粉でおおわれた見た目をしていますが、この白い粉はさつまいもから出てきた「麦芽糖」です。十分に乾燥させる工程の中で、さつまいもに含まれるでんぷんが糖化して、麦芽糖となり表面に付着します。噛みしめるとしっかりとした歯ごたえがあり、乾燥過程で旨味と甘みが凝縮されているため、素朴な甘さが楽しめます。主に使用されているのは「玉豊」という品種で、出来上がった干し芋は、やや黒っぽい色をしています。

干し芋の白い粉は麦芽糖

一方、近年主流となっているのは水分を多く含んだ、しっとりと柔らかい食感の干し芋です。表面が白い粉で覆われる(でんぷんが糖化する)前の、きれいな黄金色をした状態で販売されていることが多いです。水分量が多いので昔ながらの干し芋に比べると保存期間は短くなりますが、機械化が進み、短期間で大量に生産可能になりました。主に使用されているのは、「紅はるか」「泉」「シルクスイート」などで、品種によって程度の違いはありますが、現在の干し芋の方が全体的に強い甘みを感じられるでしょう。

昔ながらの干し芋の味わい方

昔ながらの干し芋の楽しみ方は焼く

昔ながらの干し芋は、そのまま食べてもおいしいですが、温めたり、焼いたりすると柔らかくなり食べやすくなります。また、チーズやチョコレートをかけてスイーツにしたり、パンやホットケーキの生地に細かく刻んで焼き上げたりするのもおすすめですし、お茶漬けや炊き込みご飯に混ぜ込んで仕上げるなど、様々な料理にも活用できます。さらに、干し芋そのものが郷土料理として受け継がれている地域もあります。茨城県では、各家庭の軒先にさつまいもを干している光景が、冬の風物詩とされるほど地域に根付いており、そのまま食べたり、お雑煮に入れたりして親しまれています。また、愛媛県では「かんころ」と呼ばれる郷土料理があり、干し芋をすりつぶして小豆と合わせて丸めたものが、おやつとして代々作られてきたそうです。

昔ながらの干し芋を手に入れる方法

先述の通り、最近主流の干し芋はしっとりとした黄金色の干し芋であるため、店頭ではなかなか昔ながらの干し芋を見かけることは少ないかもしれませんが、ネット販売を活用すれば、希少な手作りの逸品など、全国から選りすぐりの干し芋を手に入れられます。賞味期限も長いので、ぜひとっておきの一品を見つけてみてはいかがでしょうか。

天然生活「訳あり 昔ながらの平ほしいも1kg」

出典:Amazonより

しっかりとした歯ごたえと素朴な風味が特徴な、完全無添加の身体にやさしい逸品です。茨城県のひたちなか産のさつまいもが使われています。訳あり品と言っても、見た目が白っぽかったり、サイズが小さめだったりなど個体差があるだけで、十分おいしく食べられます。様々な品種の干し芋がランダムに入っているのも、訳あり商品ならではのうれしいポイントです。

長砂農園「有機干し芋 100g」

出典:楽天市場より

老舗干し芋メーカー「長砂農園ほしいも直売場」の有機JAS認証の干し芋です。茨城県産の有機栽培のさつま芋を100%使用した完全無農薬・無添加のオーガニック商品であり、砂糖や保存料も一切使われていません。昔ながらの伝統的な天日干しと燻煙熟成を組み合わせて作り上げた、しっとりとしたやわらかい食感と自然な甘みが特長で、素朴な味わいをお楽しみいただけます。

昔ながらの干し芋のまとめ

噛めば噛むほど美味しさが出て来る昔ながらの干し芋

昔ながらの干し芋は、手間暇をかけた伝統の製法により、素朴な風味と食感があり、噛めば噛むほど芋本来の旨味と香りが口いっぱいに広がる魅力があります。ここまで紹介した商品のように、ネット通販を活用すれば全国から選りすぐりの干し芋が手に入れられます。それぞれの地域に合わせた製法やその土地ならではのさつまいもを使っているので、様々な味や食感が楽しめることでしょう。昔ながらの本物の味をぜひ手に入れて、大切に味わってみてはいかがでしょうか。