紅乙女(ベニオトメ)ってどんな品種?さつまいもの品種「紅乙女」の特徴や産地、美味しい食べ方について解説します!紅乙女が向いている料理や調理方法は?

さつまいもの「紅乙女(ベニオトメ)」という品種をご存知でしょうか。「紅あずま」や「紅はるか」は馴染みがあると思いますが、紅乙女という名前は初めて聞く方も多いのではないでしょうか。今回はさつまいもの品種の一種、紅乙女(以下、ベニオトメ)について、特徴や産地、美味しい食べ方について解説していきます。

紅乙女(ベニオトメ)とは?

紅乙女(ベニオトメ)は、1990年にかんしょ農林43号として品種登録されました。皮の色は赤紅色をしており、果肉は黄白色をしています。紅色の果皮と、すらりとした乙女のように芋の形が良いことから「紅乙女(ベニオトメ)」と名付けられました。

紅乙女(ベニオトメ)は多収性と耐病虫性に優れている

紅乙女(ベニオトメ)は多収性に優れた「九州88号」と耐病虫性に優れた「九系7674−2」を交配して生まれました。そのため収穫量も多く、農作物に被害を与える主要病害虫のひとつである、ネコブセンチュウに抵抗性があります。

紅乙女(ベニオトメ)の産地は九州

紅乙女(ベニオトメ)は九州農林試験場で生まれ、九州の食用かんしょ栽培地帯に適している品種のため、主な産地は九州となります。紅乙女(ベニオトメ)は品種登録された年に、長崎県と鹿児島県で奨励品種に指定されました。その後、他の産地にも広がり、1999年には全国225haで栽培されていたようです。しかし現在は、奨励品種に指定されているのは長崎県のみとなりました。また、農林水産省のデータによると、令和2年度における全国の栽培面積は長崎県の19.5haと鹿児島県の0.8haの2県のみでしか生産されておらず、希少性が高いものとなっています。

紅乙女(ベニオトメ)の収穫時期は10〜11月

紅乙女(ベニオトメ)は一般的に5月上〜中旬にかけて植付け、収穫は10〜11月頃となります。紅乙女(ベニオトメ)は貯蔵性が高いため、1月頃まで美味しくいただけます。

紅乙女(ベニオトメ)の味や食感は?

紅乙女(ベニオトメ)の歴史や産地はわかったけど、肝心の味はどうなのか気になりますよね。

ここからは、紅乙女(ベニオトメ)の味や食感について解説します。

紅乙女(ベニオトメ)はホクホクとしっとりのいいとこどり

紅乙女(ベニオトメ)は、ホクホク系の代表格である紅あずまから派生していることもあり、どちらかというとホクホク系のさつまいもです。ただし、粉っぽさが強いわけではなく、「ホクホク」と「しっとり」の中間の食感を味わうことができます。粉っぽさが苦手な方にもおすすめです。甘さについては、紅はるかや安納芋ほどこっくりした甘さはありませんが、しっかりとした甘さを感じることができます。

紅乙女(ベニオトメ)は1ヶ月熟成させるのが良し

紅乙女(ベニオトメ)は貯蔵性が高く、収穫後1ヶ月ほど貯蔵した方が甘みが増して美味しくなります。自宅で保管する場合は、洗わずに1本ずつ新聞紙で包み、紙袋や段ボールの中に入れ、直射日光の当たらない風通しの良いところで保存しましょう。

紅乙女(ベニオトメ)はどうやって手に入れる?

希少な品種の紅乙女(ベニオトメ)。食べてみたいけど、どのように手に入れればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。

ここでは紅乙女(ベニオトメ)の入手方法について2つ紹介します。

紅乙女(ベニオトメ)は通信販売で購入が可能

紅乙女(ベニオトメ)を買うなら通信販売がおすすめです。紅乙女(ベニオトメ)は生産量が少なく、希少性が高くなっているため、スーパーで見かけることはほとんどありません。通信販売であれば確実に購入することができます。インターネットで通信販売を探す際は「紅乙女 さつまいも」と検索しましょう。実は「紅乙女」という同じ名前の焼酎があります。「紅乙女」の単語のみだと検索結果の上位に焼酎が出てくるため、「紅乙女 さつまいも」で検索しましょう。

家庭菜園で一から育てることも!

紅乙女(ベニオトメ)は苗の通信販売も行われています。そのため、興味がある方は家庭菜園で一から育てるのも良いでしょう。紅乙女(ベニオトメ)は前述した通り、多収性と耐病虫性に優れた品種のため、家庭菜園に慣れていない方でも育てやすい品種です。

ただし、育てる際には以下の点に注意しましょう。

  • 弱い巻つる性(植物の茎が、他の物に巻きつく習性)があるため、採苗時期が遅れないようにする
  • ミナミネグレセンチュウの抵抗性はやや弱いので気を付ける

紅乙女(ベニオトメ)のおいしい食べ方3選

ここからは紅乙女(ベニオトメ)のおいしい食べ方について3つ紹介します。

  • 焼き芋
  • 天ぷら
  • 炊き込みご飯

それぞれ詳しくみていきましょう。

焼き芋

紅乙女(ベニオトメ)のホクホク感を味わうなら、やはり焼き芋がおすすめです。1ヶ月貯蔵したものを使用すれば甘さも際立ち、より紅乙女(ベニオトメ)のおいしさを味わえるでしょう。

天ぷら

紅乙女(ベニオトメ)は食感がしっかりあるので、天ぷらにするのもおすすめです。よりホクホク感を味わうなら、いつもより厚めにカットして揚げるのも良いかもしれません。ぜひお試しください。

炊き込みご飯

紅乙女(ベニオトメ)で炊き込みご飯を作るのはいかがでしょうか。ホクホク系のさつまいもは加熱時に型崩れしにくいため、紅乙女(ベニオトメ)は炊き込みご飯に向いています。ごま塩をかけて食べれば塩のしょっぱさで甘みが引き立ち、よりおいしくいただけることでしょう。

まとめ

紅乙女(ベニオトメ)は「ホクホク」と「しっとり」の中間の食感を味わえる、しっかりした甘みのある品種です。主な産地は九州となっていますが、現在は生産量が少ないためスーパーなどで見かけることはほとんどないでしょう。しかし、通信販売があるため購入することは可能です。紅乙女(ベニオトメ)が手に入ったら、焼き芋やおかず系の料理にするのがおすすめです。気になった方はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。