焼き芋に必需品の新聞紙。なぜ?新聞紙でないとダメなのか?新聞紙が最適の理由とは?新聞紙で焼き芋を包む理由と濡らした新聞紙を巻いて作った焼き芋は美味しいのか?検証してみた
焼き芋と言えば、新聞紙で包んでもらうイメージが浮かぶ方も多いのではないでしょうか。石焼き芋を販売する軽トラックでは、おじさんが新聞紙で焼き芋を包んでお客さんに渡す光景がよく見られますよね。焼き芋を作る際は、濡らした新聞紙で包むとおいしくなる、という焼き方が紹介されることもあり、焼き芋にとって新聞紙はなくてはならない存在のようです。では、なぜ焼き芋には新聞紙が必需品とされているのでしょうか。こちらの記事では、新聞紙で焼き芋を包む4つの理由についてまとめました。また、濡らした新聞紙で包んで焼いたさつまいもの味の検証や、焼きあがったさつまいもは新聞紙で包むとどれくらい温かさを保てるのかといった検証も行なっています。ぜひ最後までお読みください。

新聞紙で焼き芋を包む4つの理由

焼き芋を新聞紙で包むようになったのは、手に入りやすいことや丈夫であることなどが考えられます。以下では、その4つの理由について詳しく解説します。

1.安価に手に入る

新聞紙は、販売店であまったものや、お客さんに読んでもらうために新聞紙を置いている喫茶店や飲食店などからもらえる場合があります。未使用の予備紙をまとめて販売している業者もおり、安価で大量に手に入りやすいことが新聞紙の最大のメリットです。手軽に入手できる新聞紙は、焼き芋を包むのにピッタリの素材といえます。

2.保温効果がある

新聞紙をはじめとした紙は、熱伝導率が低いため、温かさが逃げづらい特徴があります。紙を触ったときに温かく感じることがありますが、それは、手の熱が紙に奪われないため、温度があるように感じるのです。この特徴を利用して、災害時にはお腹や足に巻きつけて防寒グッズとして使用されることもあります。焼き芋を新聞紙で包む際も、芋自体の熱が逃げづらくなるため、温かい状態を長く保つことができるのです。

3.水分を吸収する

紙の主成分であるセルロースは、水分を吸収しやすい性質があります。そのため、焼きたてのさつまいもを新聞紙で包んでも、水蒸気で芋がべたついてしまう心配がありません。熱を逃がさず、余計な水分を吸いとってくれる新聞紙は、焼き芋をおいしく保つのに欠かせない存在です。

4.薄くて破れにくい

新聞に使用されている紙は、薄くて大きい上に丈夫であることが特徴です。一般的に新聞紙の厚さはおよそ0.06mmと非常に薄くなっていますが、時速50kmの高速印刷でも破れない耐久性を持っています。ためしに、水で濡らした新聞紙をぎゅっと絞った後、広げてみます。
少し破れたところはあったものの、ゆっくり開いていくと最後まできれいに開ききることができました。
焼き芋をたくさん包むと、水蒸気で新聞紙が濡れてしまうこともあるかもしれません。しかし、新聞紙の丈夫さなら、破れて芋が落ちてしまう心配はほとんどないでしょう。以上、4つの理由から、焼き芋にとって新聞紙が欠かせない存在であることがわかりました。

【検証1】濡らした新聞紙を巻いて作った焼き芋はおいしいのか?食べ比べ

家で焼き芋を作る際、濡らした新聞紙で包むとよりおいしくなる、という噂があります。実際のところ、新聞紙に包んださつまいもと包まなかったさつまいもで味に変化があるのか、検証してみました。大きさが同じ程度のさつまいもを2本用意します。片方は濡らした新聞紙で包んでからアルミホイルで包み、もう片方はそのままの状態でアルミホイルで包みます。
予熱なし、設定温度160℃のオーブンで90分焼きます。
アルミホイルを開いてみると、新聞紙は水分を失ってカサカサに乾いていました。しかし、端だけはさつまいもから出た蜜で少し濡れています。
まず見た目を比較してみます。濡らした新聞紙は皮が乾いているのに対し、アルミホイルのみで包んだ方は部分的に濡れています。
濡らした新聞紙を巻いたので、しっとりと焼きあがるかと予想していましたが、さつまいもから出た水分を新聞紙が吸収、放出したようです。断面も比べてみましたが、見た目に違いはありませんでした。
ただ、手で半分に割ったときの感触には差がありました。濡らした新聞紙で包んだ焼き芋は、割るときに皮がパリッとするのを感じたのですが、アルミホイルのみで包んだ焼き芋はあまりパリッとしておらず、皮に少し水分が残っている感触がありました。食べた時も同じで、果肉の甘みやなめらかさには違いは感じなかったのですが、皮の食感は新聞紙で包んだ方が歯切れがよく、おいしく感じました。アルミホイルのみで包んだ焼き芋も、乾燥している部分の皮は食べやすいのですが、濡れている部分はシャキッとした食感が少し残ります。
検証の結果としては、果肉の味や舌触りに差はなかったけれど、皮ごと食べたいなら新聞紙で巻いた方がおいしい、となりました。皮をむいて食べる場合はどちらの方法でもおいしく食べられますが、石焼き芋のようにパリッとした皮を楽しみたいなら新聞紙で包んでからオーブンで焼くのがおすすめです。

【検証2】新聞紙で包んだ焼き芋はいつまで温かい?

では次に、焼きあがったさつまいもを新聞紙で包んだ場合、温かさが何分ほど持続するのか検証してみましょう。ラップで包んだ場合との温度差も比較します。
20分経過するごとに、温度計を焼き芋に刺して計測します。
計測した結果は以下のようになりました。
20分後  40分後  60分後
新聞紙で包んだ焼き芋  60℃  45℃  44℃
ラップで包んだ焼き芋  60℃  48℃  40℃
40分後では、ラップで包んだ焼き芋の方が温かく、反対に60分後では新聞紙で包んだ焼き芋の方が少し温度が高い結果になったのが不思議です。「長時間置いた場合は新聞紙の方が温かさが残るのか?」と考えましたが、さらに30分経ってから温度を測ってみると、どちらも35℃でした。
検証結果としては、焼きあがったさつまいもを新聞紙で包んだ場合、40分ほど温かさが持続することがわかりました。また、ラップと新聞紙では保温効果に差はほとんど見られませんでした。しかし、食べた際の違いは大きく、ラップで包んだ焼き芋は水蒸気の逃げ場がないため、全体的にべちょっとした食感になってしまいます。一方で、新聞紙で包んだ方は適度にしっとりしていて、皮のパリパリ感も維持されていたため、時間が経ってもおいしく食べられました。

まとめ

薄くて大きく、丈夫さも持つ新聞紙は、焼き芋を包むのにピッタリの素材です。温かさを逃がさないだけでなく、水蒸気を吸収して中の芋がべたつくことも防いでくれます。また、今回行なった2つの検証からも、焼き芋には新聞紙の存在が欠かせないことがわかりました。