さつまいもの漬物、聞いたことはありますか?おそらく、多くの方にとって未知の領域ではないでしょうか?。しかし、本記事では、そのさつまいもの漬物に挑戦した筆者の奮闘記を詳しくお伝えします。浅漬けから始まり、加熱後の漬物、そしてぬか漬けまで、さまざまな方法で試行錯誤しました。なぜ??さつまいもは漬物に向いていないのか、その理由を解明し、最終的にたどり着いたのは意外な発見でした。さつまいもを使った新しい味の世界を知りたい方、ぜひ最後までお読みください。
さつまいもの漬物プロジェクト
さつまいもを使った料理は実に様々なものがあります。料理だけでなく、お菓子やパンの世界でも幅広く使われていますが、さつまいもが誇る天然の甘さの効果は絶大で、どのように使っても良くも悪くも無難に美味しく仕上がります。いや、悪くはないのですが、何かはっとするような使い道はないかと常々思っていました。そんなある日、京都を訪れた時のこと。お土産を選んでいると、漬物店の「かぼちゃの漬物」の札が目に留まり、「これだ」と思いました。それは欲しかったという訳ではなく、「かぼちゃが漬物に出来るならさつまいもでも漬物に出来るのではないだろうか」という可能性を感じたからです。こんなぶっ飛んだ発想をするのはコロナ禍も開けて戻ってきた沢山の観光客の中でも著者だけでしょう。そんなわけで東京に戻り、早速、手探りのさつまいも漬物作りが始まりました。
まずは浅漬けに挑戦
京都で売られていたかぼちゃの漬物は浅漬けだったので、先ずは浅漬けから実験スタート。かぼちゃと同じように皮付きのまま極薄く切ります。切り方は輪切りより切る時の安定感があって薄切りしやすい半月切りにしました。浅漬けは野菜の重量に対して2%の塩で漬けるのが基本です。いつもの料理は目分量派ですが、ここはしっかり測って挑みます。うろ覚えですが、かぼちゃの漬物には昆布も入っていたような気がしたので、こちらも入れてみることに。この時になって、何故あの時運命的に出会ったかぼちゃの漬物を買って来なかったのかと激しく後悔しました。買っていれば材料も作り方もかなり参考になったはずです。しかし、時すでに遅し。ここは記憶だけを頼りに進めます。浅漬けの漬け方は様々な方法がありますが、ここでは塩分が均一に混ざりやすいポリ袋での漬け込み方にしました。ポリ袋でもみ込むのは形の崩れやすい食材の場合は不適切な場合もありますが、さつまいもは全く問題なさそうです。浅漬けという位なので、漬け込み時間は浅く、短時間で出来上がるのが特徴です。水分の多い野菜の場合は30分程度で出来上がることもありますが、さすがにさつまいもに30分では塩分が浸透しないだろうと思い、1日漬け込むことにしました。
翌日、浅漬けといいつつ24時間以上漬け込み、深漬けとなったさつまいもの様子をワクワクして確認します。ところが、そのワクワクは一瞬にして打ち砕かれました。ポリ袋の中で待っていた姿は、全く柔らかくなっていないどころか、しょっぱくなったさつまいもだったのです…。
さつまいもの漬物。失敗の原因は?
あまりにも予想とかけ離れた姿に落胆しましたが、当然といえば当然です。さつまいもの漬物など見たことが無いわけですから。もし可能であれば、優秀な料理人たちがとっくに生み出しているでしょう。そう思い、しょっぱくなったさつまいもを洗いながら、このプロジェクトも水に流そうとしました。けれども、なんだか納得がいきません。せめて、何故かぼちゃは商品に出来るほどの漬物を作ることが出来て、さつまいもには出来ないのかを明かそうと思いました。
その答えを導き出してくれたものは数年前にイタリアンで食べたバーニャカウダでした。写真を整理していて出てきた、20種類近い野菜のバーニャカウダ。その時、ウエイターの方が「かぼちゃは生ですが、海外では生で食べることもよくあり、美味しくいただけます。」と説明して下さいました。そのことを思い出し、ようやく失敗の原因が分かったのです。そもそもかぼちゃは生で食べることが出来るけれど、さつまいもは生食が難しい。塩分濃度でも切り方でもなく、非常に単純な理由でした。
今度は、加熱漬物作り
原因が分れば、再度挑戦する他ありません。本来漬物は生の食材を漬けるものですが、煮卵も加熱してから漬け込むし、という勝手な解釈でさつまいもを蒸し器で蒸してから漬け込むことにしました。今回は他の食材でも一般的な1時間で確認することに。今度こそ本当に浅い漬け込み時間です。なので、すぐにやってきた運命の試食タイム。さつまいもの甘さの中に塩がしみ込んでいて、塩キャラメルのよう・・・とはいかず、単刀直入に言ってしまうと不味くなっただけでした。
そんなわけで、次はぬか漬けにしてみることにしました。ぬか漬けは乳酸菌が豊富で腸活に良いと近年話題になり、元々普段から色々な野菜を漬けているため、準備はばっちりです。余談ですが、一からぬか床を作るのは結構手間がかかるので、そのまま漬けるだけでOKというタイプが便利です。
いつもの顔ぶれの野菜の中に蒸したさつまいもを投入します。見たこともない新入りメンバーに白菜やキュウリも驚いているように見えます。
浅漬けは最短でも半日は漬け込みが必要なので、今回も約16時間漬けました。ぬかを丁寧に洗い、いよいよ毒味!と思っていたのですが、ぬか漬けは塩気だけでなく奥深い味わいがあり意外と悪くない仕上がりです。かぼちゃのように商品に出来るかと言えば微妙ですが、新しいさつまいもの味わいとしては悪くなさそうです。
ついに完成!気になる味は??
ぬか床のおかげでなんとか無事に?終わったさつまいも漬物プロジェクト。さつまいもはそのままでも腸活に役立つ成分を豊富に含む食品ですが、ぬか漬けにすることで更に腸活にパワーがアップしているのではないかと思います。味に好き嫌いがあることは前提として、新しいさつまいもの世界をお試ししてみませんか?
さつまいもの漬物まとめ
さつまいもの漬物プロジェクトは、単なる好奇心から始まりましたが、その過程で多くの試行錯誤と発見がありました。まず浅漬けからスタートし、その後もさつまいもを加熱してから漬け込む方法を試しましたが、理想の味には届きませんでした。しかし、最後に、ぬか漬けに挑戦した結果、さつまいも本来の甘さとぬかの深みが調和した新しい味わいが生まれました。さつまいもを漬物にするという発想は一見奇抜に思えるかもしれませんが、本記事を通じて、その可能性と挑戦の楽しさを感じていただければ幸いです。ぜひ一度、新しいさつまいもの世界に挑戦してみてください。