元スナックママが一人で営む、優しさあふれる路地裏食堂「酒居屋」
今日ご紹介するのは「呑食処 酒居屋(さかいや)」さん。場所は福江商店街の裏路地、焼肉店「喜楽」の目の前、お隣はスナックや、以前紹介した「もとんとこ」があるあたりです。少し薄暗い路地の中、ひときわ目立つ黄色い壁のお店。ドアだけが見える外観で中の様子はわかりません。

おそるおそるドアを開けてみると、意外にも広い店内。カウンターには3人のお客さんが座っていて、右手には広めのテーブル席が2台。カラオケルームのような雰囲気も感じられます。壁にはたくさんの手書きメニューが並び、ご飯ものや麺類も豊富で期待が高まります。

カウンターに腰かけると、店主の酒井さんはちょうどテイクアウトの調理中。「これが終わったら注文聞くね」と声をかけてくれました。常連のお客さんによると、配達にも出ているそうで、料理が遅れるのは承知の上で来る人がほとんどだとか。
人気料理は?

すぐに出せるメニューは枝豆とバターコーン。人気料理は出汁巻き卵、焼きうどん、オムライスだそう。今回は、出汁巻き卵と焼きうどんを注文しました。

奥のキッチンから香ばしいソースの香りが漂ってきます。出てきた焼きうどんは、野菜たっぷりで鰹節が踊る、素朴ながらも食欲をそそる一皿。ボリュームもしっかり。甘辛いソースが絶妙で、熱々のうちにいただくと、思わず笑顔がこぼれます。

続いて登場した出汁巻き卵は、驚きの大きさ。そしてその横には、同じくらいの量のサラダが!居酒屋でここまでしっかりしたサラダがついてくるとは驚き。マヨネーズもクリーミーで卵と好相性。ふんわりとした食感に、塩味のきいたやさしい味わい。焦げ目のない美しい焼き色で、まさに職人技です。これぞ「五島一」の出汁巻き卵かもしれません。
お腹いっぱいで、焼きうどんの半分は持ち帰ることに。翌朝、家でも美味しくいただきましたが、やはり出来立ての感動には敵いません。ぜひお店でシェアして楽しんでください。
もんじゃ焼きは幻メニュー?

気になるのはメニューの中でひときわ高額な「もんじゃ焼き(1,200円)」。理由は、ホットプレートいっぱいに広げて焼くスタイルで、とても1人では食べきれない量だからだそう。忙しい時には注文を断ることもある、まさに「幻のメニュー」。次回はぜひ挑戦してみたいところです。
実は店主の酒井さん、若い頃は東京で生活していた経験があり、五島に戻ってからはこの場所でスナックを経営。その後、体調を崩したことを機に、昨年、居酒屋としてリニューアルオープンしました。店内の明るい照明や大きなテーブルには、その名残が感じられます。
深夜まで営業
他店が早めに閉店する中、深夜まで営業しているのも大きな魅力。お腹がすいた時の駆け込み寺として、若い女性や男性も気軽に訪れるようです。酒井さんの温かい人柄と気さくな接客も、多くの人を惹きつけてやまない理由。まさに「みんなのお母さん」的存在です。

カウンター横には娘さんが手掛けたアクセサリーも並んでおり、こちらもぜひ手に取ってご覧ください。
「いたって普通の料理だけどね」と笑う酒井さん。でも、その一品一品から感じられるのは、家庭のぬくもりと人情味。だからまた来たくなる。そんな魅力が詰まった、ほっとするお店です。
なお、すべてを一人で切り盛りされていますので、料理の提供に少し時間がかかることも。どうぞゆったりとした気持ちで、訪れてみてください。
吞食処 酒居屋
長崎県五島市栄町4-13
TEL:0959-72-4820
営業時間:18:00~2:00
定休日:月曜日
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