さつまいもの料理といえば、大学芋が真っ先に思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。大学芋といえば、外側はカリッと中身はホクホクのさつまいもに、甘じょっぱいあんが絡んでいるものです。誰もが一度は食べたことのある姿を想像するでしょう。スーパーのお惣菜コーナーに並んでいる大学芋も、恐らくこのような大学芋のはずです。しかし、美味しい大学芋はこのような定番のものばかりではありません。この記事では、料理研究家がヤミツキになった、今までの常識を覆す少し変わった大学芋をご紹介していきます。
大学芋の起源は?
大学芋の起源は諸説ありますが、1920年代に東京の大学近くで誕生したと言われています。当時の大学生たちの間で人気となり、やがて広く一般に普及しました。シンプルな材料と作り方から、家庭でも手軽に作ることができ、多くの人に親しまれています。今は、秋、冬だけではなく1年を通して食べられたり、専門店があったりします。
カリカリ大学芋
話を元に戻すと…そんな新種の大学芋の正体とは、大学芋特有のホクホク感の無い、全てがカリッとクリスピーな食感の大学芋です。「ホクホク感が無い」と聞くと、少し美味しくなさそうな印象に聞こえるでしょうか?しかし、これがハマる美味しさのポイントなのです。まずは材料から見ていきましょう。
材料
- さつまいも・・・200g
- 砂糖・・・大さじ2
- みりん・・・大さじ1
- しょうゆ・・・小さじ1
- いりごま(黒)・・・適量
- 揚げ油・・・適量
調味料以外の材料はさつまいもだけ。このシンプルさも魅力的な大学芋です。さつまいもさえ買ってくれば、あとは殆どご自宅にあるものだけで調理可能です。さつまいもの品種は特にこだわりはありません。スーパーで特売になっているようなさつまいもでも美味しく仕上がります。ちなみに、今回は茨城県産の紅あずまを使用しました。
黒いりごまの理由
大学芋には当たり前のように黒いりごまが使われていますが、何故だか疑問を抱いたことはありませんか?実ははっきりとした理由はないのですが、一般的に黒ゴマの方が白ごまより風味がしっかりしているので、ごまの香りを強く利かせたいときに使うと言われています。もう一つは色のアクセントとしての役割もあります。黒が料理に入ると、洋服と同じで締まった印象が与えられるのです。なので、白ごまでも悪いわけではありませんが、白ごまの大学芋って見ないですよね。
作り方
1. さつまいもを切る
さつまいもは皮付きのまま幅5mmほどの棒状に切ります。
さつまいもの料理では、アク抜きのために水にさらすことがありますが、揚げ物の場合は油跳ねや水っぽい仕上がりになる原因になりやすいのでさらしません。その代わり、変色する前に手早く料理することが理想的です。大学芋を作るときは直ぐに調理できるように整えてからキッチンに立ちましょう。今回は棒状にしましたが、分厚くなければ他の切り方でもOKです。輪切りや半月切り、短冊切りなどお好みの形で厚さは5mmを意識してください。
2. 低温で揚げる
160度の揚げ油でカリッとするまで揚げます。
高温で揚げてしまうと柔らかく中まで火が通る前に表面が焦げてしまうことがあるので、さつまいもは低温で揚げることが基本です。一度に全量を入れてしまうと、火どおりが悪く、揚げ油があふれる恐れもあるので数回に分けて揚げるようにしてください。目安は時間にして3分程度ですが、大切なのは時間より目で見る状態です。揚げる音が高音になる、さつまいもが浮き上がっている、揚げ油の気泡が小さくなる、この3点が確認できたら揚げ上がりのサインです。
よく油を切ってバットに取り出します。揚げ油に少量のごま油を入れると、風味が増します。少し勿体ないと感じるかもしれませんが、よかったら試してみてください。ごま油の入った揚げ油は天ぷらに使っても美味しいですよ。
3. あんを作る
小鍋に砂糖、みりん、しょうゆを入れてトロミがつくまで煮詰めます。
火にかける前によく混ぜておきましょう。砂糖が固まったまま加熱すると、焦げてしまいます。全てが焦げやすい材料なので、加熱中もこまめに混ぜるようにしてください。出来上がりの加減は泡が大きくなり、とろみがついてきた位です。冷めてくると少しとろみが強くなるので、理想のとろみの状態の少し手前で火を止めます。そのままコンロに置いていると、余熱でどんどん火が通ってしまうので、火からおろしたら濡れ布巾の上に置くなどして過剰に火が通らないようにしましょう。でも、ぶっちゃけ言ってしまうと、とろみが強くなったキャラメルのようなあんでもまた違う美味しさが楽しめます。失敗してしまったときも、落ち込まなくて大丈夫です。
4. さつまいもを絡める
あんの中に揚げたさつまいもを入れて、よく絡めます。
全体に絡むようによく混ぜます。しっかり混ぜているつもりでも意外とムラが出るもので、特になべ底の淵の周りはあんが残りやすい傾向にあります。しっかりと鍋の形に沿って木べらを動かし、上下を入れ替えるイメージで混ぜてみてください。あまり強い力を加えると、さつまいもが折れてしまうことがあるので、さつまいもにも優しさを忘れずにお願いします。
カリカリ大学芋完成
普段の大学芋を想像していると固く、小さく感じるかもしれません。でも、軽い食感でどんどん箸が進んでしまいます。我が家では子供たちのおやつに出すと秒でなくなるレシピです。さつまいものビタミンCは揚げても壊れにくいともいわれていて、栄養もばっちり。美味しいのに市販のおやつと違って食物繊維やビタミンが豊富に摂れるので、罪悪感なく食べることができます。甘めの味付けがお好きな方はしょうゆの量を控えてみてください。砂糖を足さなくても甘さがアップします。さつまいも料理がマンネリ化してきたら、ちょっと斬新なこんなレシピを作ってみませんか?