さつまいもはどこで生まれた?どうやって日本にやってきた?そもそも、なんで?さつまいもっていうの?子供の頃に習った歴史を紐解きます!日本史、そして世界史まで

みなさんは、どんなさつまいも料理が好きですか?焼き芋や大学芋、スイートポテト…。どれも甘くておいしいですよね。毎年秋になると登場する、期間限定スイーツやドリンクを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。ところで、私たちが普段食べているさつまいものルーツについて、疑問に思ったことはありませんか?

本記事では、以下について徹底調査します。

  • さつまいもはどこで生まれた?
  • どうやって日本にやってきた?
  • そもそも、なんで「さつまいも」っていうの?

子供の頃に習った「歴史」を織り込んだ内容となっております。さつまいもを中心とした世界史・日本史を、是非最後までお楽しみください。

さつまいもの歴史 ~誕生から世界へ広まるまで~

さつまいもは紀元前800~1000年頃に、熱帯アメリカで誕生しました。「熱帯アメリカ」とは、メキシコから南米ペルーあたりを指します。根拠として、紀元前200~600年にペルー北側で栄えた「モチーカ文化」のものとされる、さつまいも型の土器が発見されています。

15世紀後半には、あの有名な探検家「コロンブス」がさつまいもをヨーロッパに持ち込みました。しかし、ヨーロッパの寒冷な気候がさつまいもの栽培に向かず、あまり普及しませんでした。その後、ヨーロッパが植民地にしていた暖かい国(インド、アフリカ、東南アジア)へ渡り、全世界へ広まったとされています。

さつまいもが日本にやって来た

さつまいもは、1600年頃に中国福建省から琉球大国(沖縄)へ伝わりました。その後、1705年に「前田利右エ門」という船乗りによって、薩摩(鹿児島)へ持ち込まれたといわれています。※諸説あり

大ピンチ!「享保の大飢饉」を救ったさつまいも

1732年、「冷夏」と「害虫」の影響で米の大凶作が起こり、日本全土で多数の餓死者が出ました。
江戸四大飢饉である「享保の大飢饉(きょうほうのだいききん)」です。しかし、西日本の一部地域では既にさつまいも栽培が普及定着し、救荒作物として人々を飢えから救っていたといいます。

日本でさつまいもを普及させた人物「青木昆陽」

京都で儒学を学んでいた青木昆陽は、さつまいもが人々を救うと知り、江戸幕府に栽培奨励を提案しました。8代将軍・徳川吉宗にさつまいも栽培の提案が認められ、現在の千葉市花見区で試作が始まり、その後全国へと普及しました。後に青木昆陽は、その功績から「甘藷(さつまいも)先生」と称され、目黒区の瀧泉寺にある墓には「甘藷先生墓」と刻まれています。また、試作が行われた千葉市花見区には昆陽神社が建てられ、「芋神様」と祀られています。

名前の由来

さつまいもは時代や地域によって、様々な呼び方をされてきました。名前の由来と共に紹介していきます。

薩摩芋(さつまいも)

さつまいもは漢字で書くと「薩摩芋」です。
中国から、琉球大国を経て薩摩に伝わったことが由来です。

唐芋(からいも・とういも)

現在も九州の一部地域では、さつまいもを「からいも」や「とういも(といも)」と呼んでいます。
「唐(中国)から伝わった芋」という意味が由来です。

琉球芋(りゅうきゅういも)

現在はあまり呼ばれていませんが、琉球から薩摩に伝わったことから一部でそう呼ばれていました。

甘藷(かんしょ)

中国語で「さつまいも」を意味する言葉です。あまり馴染みがないですが、さつまいもの別名として使われています。

八里半(はちりはん)・十三里(じゅうさんり)

街で焼き芋屋が繁盛していた江戸時代、さつまいも(焼き芋)は八里半という商品名で売られていました。同じ秋の味覚、「栗」と比較した「栗にはわずかに及ばないが、おいしいよ」という売り文句が理由です。

「八里半=九里(栗)にわずかに及ばない」
江戸時代の人は、洒落好きだったみたいですね。

その後、ある焼き芋屋が「栗より(九里四里)うまい」という売り文句で出したことで評判となり、十三里(九里+四里)と呼ばれるようになりました。また、江戸から十三里(約51㎞)程離れた、現在の埼玉県川越市あたりがさつまいもの名産地だったから、という説もあります。十三里にちなんで、1987年「川越いも友の会」が10月13日を「さつまいもの日」に制定しました。

国内のさつまいも生産量ランキングBEST3

第1位 鹿児島県

さつまいも生産量ランキング堂々の第1位は「鹿児島県」です。
鹿児島県は火山噴出物からなる「シラス台地」が本土面積の約6割を占めています。

  • 温暖な気候
  • 水はけが良い
  • ミネラルを多く含む

以上の3つの条件がそろった鹿児島県のシラス台地は、さつまいも栽培に適した環境といえます。

第2位 茨城県

茨城県は栽培面積・生産量共に第2位です。

県内の約1/3が「関東ローム層」という砂と粘土が混ざった土壌に覆われており、保水性・透水性・通気性に優れ、さつまいも栽培に適しています。濃厚な甘みの「紅はるか」や、ほくほく食感の「紅あずま」、しっとり食感の「紅まさり」などが栽培されています。2017年に茨城県行方市産のさつまいもが農業の最高栄誉、農林水産省「天皇杯」を受賞しました。

第3位 千葉県

落花生が有名な千葉県ですが、中部から北部にかけて関東ローム層に覆われており、さつまいもの生産地としても有名です。青木昆陽によるさつまいもの試作地としても知られています。また、千葉県成田市で偶然発見され「奇跡のさつまいも」と称された「紅娘」も話題です。「紅娘」は、成田市特産の「大栄愛娘」を栽培していた際に偶然できた、味も色味も食感も全く異なる新品種です。生産量が少なく、ほとんど市場に出回らないという希少なさつまいも「紅娘」是非1度、食べてみたいですよね。

まとめ

ここまでさつまいものルーツについてご覧いただきました。要点をまとめると以下の通りです。

  • さつまいもは熱帯アメリカ生まれ
  • 探検家「コロンブス」や、世界情勢により日本に上陸した
  • 「享保の大飢饉」と「青木昆陽」によって日本中に広まった
  • さつまいもは歴史的背景から、様々な呼び名がある

私たちが普段口にしているさつまいもには、様々なドラマがありました。本記事の内容を思い出すことで、さつまいもをより一層味わい深く感じられるのではないでしょうか。最後までご覧いただき、ありがとうございました。