さつまいも好き必見!普段使いもできる!さつまいもの季語と有名な俳句を解説します!何気なく使っている「甘藷」「薩摩薯」は秋の季語って知ってましたか?「焼芋屋」「石焼芋」は冬の季語です。

俳句とさつまいもが好きな方必見!「さつまいもと焼き芋の季語は違うの?」「芋と薯の違いは?」と気になる方も多いはず。今回は、さつまいもの俳句と、さつまいもに関する季語を紹介します。さつまいもの俳句を詠んで、季節感や情感を楽しみましょう。

さつまいもの季語は?

さつまいもは、秋の季語です。さつまいもは、秋のなかば「仲秋」の季語で、仲秋は陰暦の8月頃を指します。俳句では、さつまいもを「甘藷」と表記することが多いです。他にも、唐藷、薩摩藷、紅薯などが、さつまいもを意味する言葉として使われています。さつまいもの他にも、秋の季語として、秋茄子、小豆、南瓜、茸、栗、銀杏などがあります。

また、同じさつまいもでも、焼き芋の季語は異なります。焼き芋は、冬「三冬」の季語で、陰暦の10月〜12月頃。俳句では、焼き芋を「焼薯・焼芋」と表記することが多いです。

さつまいも関連の季語

さつまいもと言っても、俳句での表記はさまざまあります。ここでは、さつまいも関連の季語を紹介します。

• 甘藷(さつまいも・かんしょ)
• 藷(いも)
• 唐藷(からいも)
• 琉球薯(りゅうきゅういも)
• 薩摩薯(さつまいも)
• 蕃薯(ばんしょ)
• 紅薯(こうしょ・べにいも)
• 甘藷掘(いもほり)
• 甘藷畑(いもばたけ)
• 藷蔓(いもづる)
• 甘藷の秋(いものあき)
• 干藷(ほしいも)

これらは全て秋の季語です。

冬の季語である「焼き芋」に関連する言葉を紹介します。

• 焼薯(やきいも)
• 焼芋(やきいも)
• 焼芋屋(やきいもや)
• 石焼芋(いしやきいも)
• 壺焼芋(つぼやきいも)

どれも、同じさつまいもや焼き芋を意味する言葉ですが、選んだ表現によって、作品の雰囲気や伝わる情景が変わってきます。情景描写を具体的にイメージして、どの表現を使うか選んでみてください。

「芋」と「藷」の違い

季語の甘藷(さつまいも)は、なぜ「芋」ではなく、「藷」という表記なのか、不思議に思っている方も多いはず!ここでは「芋」と「藷」の違いについて紹介します。

俳句の「芋」と「藷」

「いも」には、さつまいもやじゃがいも、里いも、長いも、山いもなど、たくさんの種類があります。

俳句ではそれぞれ漢字の表記が異なります。

いもの種類 俳句の表記
さといも
さつまいも
じゃがいも 馬鈴薯
長芋 薯蕷
山芋 自然薯

俳句で「芋」と表記すると、里芋を意味するため、甘藷(さつまいも)は「藷」と書きます。それぞれの漢字を覚えたら、俳句を詠むときに情景を描きやすくなるので、参考にしてみてください。

さつまいもの俳句

さつまいもや焼き芋に関する有名な俳句を紹介します。自分好みの俳句があるか見つけてみてください。

俳句 俳人
はつ冬や太白といふさつまいも 久保田万太郎
焼芋やばったり風の落ちし月 久保田万太郎
焼藷や髪二三本たちそよぐ 岸本尚毅
うつくしきもの献饌の走り藷 黒田杏子
土われてべにあかこえる藷畠 飯田蛇笏
焼芋の固きをつつく火箸かな 室生犀星
焼芋や月の叡山如意ヶ岳 日野草城
火の粉撒きつつ来るよ青年焼芋屋 山田みづえ
鉤吊りに焼芋菩薩壺を出づ 皆吉爽雨
帝劇の灯を借りてゐし焼芋屋 大牧広
焼芋を買ひ宝くじ買つてみる 逸見未草
詩貧し掌に焼芋の熱さのせ 成瀬桜桃子
焼藷屋来て去るまでの厠かな 鈴木鷹夫

百合山羽公のさつまいもの俳句

百合山羽公(ゆりやまうこう)は、静岡県浜松市出身の俳人です。さつまいもに関する俳句をいくつも詠んでいるので紹介します。

• 晩紅を汚して藷を掘りつくす
• 春の甘藷くすべて炉火のなほつゞく
• るいるいと生きゐる藷を掘りおこす
• 藷畑のへりの土はや秋深む

殿村菟絲子のさつまいもの俳句

東京都深川出身の俳人「殿村菟絲子(とのむらとしこ)」のさつまいもに関する俳句を紹介します。

• 甘藷凍つをわが罪の如隠し棄つ
• 藷蔓を抱きよろめくを免かれずや

河野静雲のさつまいもの俳句

福岡県福岡市出身の俳人、「河野静雲(こうのせいうん)」のさつまいもに関する俳句を紹介します。

• あかつきの甘藷蔓焚火鶴を待つ
• しろしめす国土の恩甘藷太る

高澤良一のさつまいもの俳句

「高澤良一(たかざわよしかず)」は、多くのさつまいもに関する俳句を詠んでいます。一部を紹介します。

• 割ってみて知れりお藷の甲乙丙
• 藷の付く頃を猪よく知れり
• 藷の葉に大いなる穴開けし奴
• 藷堀の意を強うせる風が吹き
• 雨降嶺晴れ藷の長畝もっこりと
• 襤褸くそに云はれ折らるる蒸し藷
• ふかし藷あてがはれをり留守居役
• いいとこどりして立つ句評ふかし藷
• 人前をもう憚らぬふかし藷
• ふかし藷皮の赤さの切なけれ

記事のまとめ

今回は、さつまいもの俳句と、さつまいもに関する季語を紹介しました。お気に入りのさつまいもの俳句は見つかりましたか?「さつまいも」と言っても、さまざまな表現があり、俳句によって伝わってくる情景が異なります。表現したい雰囲気や、光景をイメージしてぴったりの表現を選びましょう。是非色々な俳句に触れて、自分でもさつまいもの句を詠んでみてください。