さつまいもと北海道
近所の駅ビルでふと見かけた北海道銘菓。これはどう見ても焼き芋(さつまいも)の形をしているような?『わかさいも』という名前の銘菓にまつわる北海道民とさつまいもの関係。遠い北の地で長く愛され続けた銘菓とさつまいものお話です。
北海道うまいもの館
コロナ禍では大規模の開催をしていなかったデパートの催事。そんなデパートの催事で人が集まると言われているのは「駅弁祭り」と「北海道物産展」。この辺りではないでしょうか?。特に北海道物産展は情報番組等でも特集を組まれるくらい人気の催事イベントになっています。そんな北海道物産展。買い物終えて、家路に向かう足を止めてしまい、食べ物の独特の香りとイベントの活気に釣られて…ついフラフラと、気付けば両手に沢山の商品を買い求めていた…というようなことはありませんか?そんな北海道物産展のような場所があるのです。JRや私鉄沿線の駅ビルに入っている『北海道うまいもの館』。ここがそうなのです。首都圏近郊でたまに見かけるようになってきました。デパートの催事の「北海道物産展」とまではいきませんが、北海道限定商品に特化した食品店で、北海道の名物・銘菓などが日常的に買えちゃうのです。店舗の広さはアンテナショップには及びませんが、北海道の食品がところ狭しと並んでいます。
そんな商品棚を物色していると…ふと目に止まった『わかさいも』という銘菓…。
これは?これは焼き芋?何?これ?
「わかさいも」とは?
パッケージには「北海道 わかさいも本舗 洞爺湖、WAKASAIMO SINCE 1930」と書いてあります。
そもそもこれはさつまいも?焼き芋?とどこの産地のさつまいもを使っているのか?疑問に思いまして、裏面の商品名や原材料を見てみると…。「名称:生菓子、原材料名:砂糖 てん菜(北海道産)、てぼう豆、大福豆、小麦粉、醤油、鶏卵、加糖卵黄(卵黄、砂糖)、きざみ昆布、食塩、(一部に小麦・卵・大豆を含む)、内容量:2個」ん??さつまいもやさつまいもペーストの表記が…見当たらないのです。更に下を読み進めると注意書きが赤文字で…「餡の中には、いもの筋に見立てたきざみ昆布が入っています」ん?いもの筋に見立てた?さつまいもは一切入っていないということでしょうか?きざみ昆布??と謎は深まるばかりです。
裏面左側の商品紹介には、1930年から変わることなく、味や形、思いまでも守り続ける。北海道民のソウルスイーツ「わかさいも」とな!?「わかさいも」の前身は、北海道の黒松内駅で初代若狭函寿が販売していた創作菓子「やきいも」。当時、さつまいもが獲れなかった北海道で、焼き芋の美味しさを再現して食べて欲しいと誕生したのがきっかけとのことです。1930年、洞爺湖へ店舗を移転したのを機に「わかさいも」と命名し、その味や形、そして「地元北海道の原料を使うことにこだわる」「あくまでも品質を守る」「お客様の信頼が第一」という初代のお菓子作りへの想いは、時代を越えて受け継がれ、今も昔も変わらず北海道民に愛され続けているようです。
北海道民とさつまいも
現在、流通も発達し、日本全国で多種多様なさつまいもやさつまいもの加工食品、スィーツが食べられるようになってきているし…焼き芋を模したお菓子は、果たして売れているのか?人気なの?と半信半疑になり、このモヤモヤ感が残ったままになってしまうので売り場に立っている販売員に事の真相を確認…聞いてみました。
店員に聞いてみた
「北海道は、じゃがいものイメージが強く、さつまいも銘菓がある!?とちょっぴり不思議な感じがするのですが、この商品は人気がある商品なのでしょうか?(失礼な質問で申し訳ないです)。」
「はい、今2個入りが品切れになっているように(確かに棚に無い、かつ品切れ中プレートが!)、実は、お客様のリクエストから、最近仕入れるようになって、店頭に並べ始めたんですよ。そうしたら、お客様が…懐かしい、これこれ!、と買って行かれますね。かなりお菓子の中でも売れ行きが良いですよ。みなさん、子供の頃、食べた味を懐かしんでいただいているみたいですね。」
なるほど…。「今も昔も変わらず北海道民に愛され続けています」パッケージに偽り無し。リクエストで仕入れをして販売⇒人気の為、品切れ。その理由が「な、なつかし~い」と大人買い。確かに「愛されています」。
わかさいもを食べてみた
パッケージを開け、取り出してみると、小ぶりでコロンとした、焼き芋の皮を剥いた状態を創作したようで、焼き目の模様もしっかりと表現されています。縦横にそれぞれ一個づつ割ってみると…確かに「きざみ昆布」が練り込まれています。匂いを嗅いでみると、ほんのりと餡から昆布の香りが…。原材料全てを北海道産で揃えて、かつ品質を守るという表記の通りなのです。使用している白餡は、ほのかな甘味で、くどさは全く無く、噛むと昆布の香りが…後から口の中で広がります。餡菓子であるはずなのに、なんと言えば良いのか??不思議な味わいな菓子なのです。柔らかい豆菓子と言っても良いような…それでいて、しっかり和菓子でもあるような…。これは甘い物を普段食べない人にも、食べやすく、ちょっとした箸休めや小腹を満たすものとして、テーブルに乗っていたら…つい手が伸びる道民の気持ちがわかるような気がしました。
ひとつ食べて、またひとつ…食感も良く、甘さも控えめなので、お腹いっぱいの時でも気付くと口に運んでしまう、そんな感じです。かなりヤバいお菓子とも言えます。要するに、一度食べ始めたら止まらなくなるという感じなのです。しっかり和菓子を食べたというインパクトは無いので、見つけたら、つい買ってしまいそうな、古き良き馴染みのお店のような、そんなノスタルジックを呼び起こす逸品に…道民はつい手に取って行く…。店員さんの話を思い出しながら、2個ともペロリと完食してしまいました。
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まとめ
現在、第4次さつまいもブームと言われ、焼き芋専門店を街中で見かけたり、コンビニ・スーパーマーケットで夏場でも焼き芋が販売されていたり、冷やし焼き芋という新しい食べ方をする商品があったりと…オールシーズン、身近な存在になりつつあるさつまいも。季節感が無くなったと言えば、少し寂しい感じにもなりますが、いつ、どこでも、手軽に美味しいさつまいも、焼き芋が食べられるというのはさつまいも・焼き芋ファンにはたまらないブームなのかもしれません。
さつまいもが、まだ北海道民に浸透していなかった時代から、焼き芋への熱い愛と情熱で、和菓子を創作し、道民の心・記憶・舌に…ソウルスイーツとして刻み込まれていた「わかさいも」。見かけることがあれば「即買い」が宜しいかもしれません。あっという間に完売している棚があったのは事実です。もう一度、見かけたら「即買い」。これが「わかさいも」の買い方かもしれません。
北海道うまいもの館 アトレヴィ大塚店
東京都豊島区南大塚3-33-1 アトレヴィ大塚1階
営業時間:10:00-21:00
Tel.03-6907-0144
公式サイトはこちら
※「わかさいも」の取り扱いは店舗により異なります。HP記載の各店舗にお問い合わせをお願い致します。