関東の隠れた逸品「三島甘藷」って知ってる?三島甘藷を求めて箱根登山鉄道「上強羅駅」へ行ってみた。更に富士伊豆農業協同組合に三島甘藷はなぜ?全国で有名ではないのか?も聞いてみた!

さつまいもの名産地と言えばどこ?

佐藤の芋屋でも、たびたび話題になっている美味しいさつまいもの名産地。最新のデータを元に作成した記事を読んで、日本国内の産地や品種を知ったという方も多いはず!今回ご紹介したいのは、関東の隠れた逸品『三島甘藷』。生産量が多くない、また地産地消をモットーに作られているのか…市場にはあまり出回っていませんが、その品質、味ともに名産地の逸品に引けをとらない地元民推奨のさつまいもです!

箱根西麓三島野菜と三島甘藷

霊峰富士・駿河湾を望む、箱根山の西南に位置する山田〜山中、佐野地区・標高50m以上の高原で採れる坂もの野菜のことを『箱根西麓三島野菜』と総称します。

引用:箱根西麓三島野菜より

坂もの野菜?高原野菜のような物でしょうか?聞き慣れない言葉です。高原野菜が標高1000〜1500mくらいの高原で栽培される野菜であるのに対して、50m以上では平地とあまり差がないようなイメージを持ってしまいます。しかし、坂もの=箱根西麓三島野菜と名乗るためには、ある一定の基準をクリアし、認定されなければならないようです。では、その基準とはどのようなものなのでしょうか。

箱根西麓三島野菜の特徴

箱根西麓地域は、一年を通して地域一帯に霧が立ち込めます。霧が立ち込めることで、野菜にとって適切な湿度が保たれ、野菜の表面が乾燥せずに気孔が開き、光合成速度が上がり良質な野菜が育ちます。また平地と比べて3〜4℃ほど気温が低い西麓地域では、朝晩になると霜が降りるほどぐっと冷え込みます。野菜は昼にたくさんの光を浴び光合成を行い、糖を作ります。そして呼吸をします。呼吸をすると光合成で作り出した糖が消費されますが、冷え込みが強くなると呼吸があまり行われず、糖の消費も抑えられます。西麓地域はその独自の地形状況から、バランスの取れた寒暖差を生み出し、野菜は糖度を溜め込み、栄養価高く身の詰まったものになります。

引用:箱根西麓三島野菜より

三島甘藷を求めて

確かに都心で35℃を超えた8月お盆シーズンでも、箱根強羅界隈は30℃を少し超えた程度の気温で、乗り継ぎの度に暑さが和らいでいくのを体感できました。さらに車内から見たは薄い霧がかかっていたような気がします。平地からたった50mで気候にそこまでの変化はないのでは…といった認識が変わっていくのを感じました。地元の方の話では、これでも例年よりはかなり暑く、いつもは夏場でもクーラーはほぼ必要がないことの方が多いそうです。

その箱根登山鉄道の『上強羅』の駅(箱根登山鉄道は強羅→天雲山間を走っていますが、始発と終点以外は全て無人)で、待合室のガラスに甘藷=さつまいもの文字を見かけた私は、三島甘藷?聞いたことがないぞ、と思わずシャッターを切りました。

さつまいもという文字に反応する習性?が最近身についた私が知らない産地。

実際に販売しているのは、強羅の駅から徒歩1分、中村屋さんというお土産物屋さんです。並びにある他店舗も覗いてみましたが、取り扱いは現在中村屋さんのみのようです。

実際に食べてみたところ、香料・保存料不使用とパーケージにあるように、さつまいもの甘さにバターの香り、芋本来の良さを生かした…これはなかなか美味しいさつまいも菓子で、本格的な洋菓子店に遜色がないレベルで仕上がっています。

これは調べてみようと思い、箱根界隈の友人・知人に当たりをつけてみました。すると、静岡県三島市出身の大学生より有力な情報とHPが送られてきたのです。それを元に冒頭の富士伊豆農業協同組合様に問い合わせてみました。

まず、一番の疑問をさり気なくぶつけてみることにします。

三島甘藷はなぜ?有名ではないのか?聞いてみた

『なぜ三島甘藷は東京、関東、いや全国で有名ではないのですか?』、と。

はっきり言って、静岡県に全く農産品のイメージがなく、お茶とみかん、かろうじて三島大根を知るぐらいなのです。ましてや、関東でさつまいもと言えば、茨城県の独壇場に千葉県が追いかけるといった感じで、そこに全国的なメジャー選手である鹿児島県、徳島県が滑り込む…、といったところでしょうか。

三島甘藷、また関連製品を探し求めネットで調べたところ、現在、東京都内に静岡県単独のアンテナショップはありません。秋葉原駅高架下にあるCHABARA内『日本百貨店』の一部に「静岡県 おいしず」がありますが、そちらもお茶、お酒、海の幸がほとんどなのです。

大多数の方がイメージする静岡の食=海産物、お茶、みかん、そして銘菓のうなぎパイなどが鎮座しています。

珍しいものでは、ご当地独自のパンなどでしょうか。のっぽパンは、静岡県民ならいくどとなく食べている日常使いのパンです。

三島甘藷やさつまいも関連商品は、ごくごくわずかに芋けんぴなどがあるだけで、大体的な三島甘藷もしくは箱根西麓三島野菜をアピールするコーナーなどはありません。

では、ずばりなぜですか?

ご担当者様が言うには…箱根西麓三島野菜の生産量が他県に比べ元々少ないことは、重々承知です。大手の通販サイトに販路を持たないのは、箱根西麓三島野菜が『地産地消』をモットーにした農産品であり、今後も販路の拡大をすぐには考えていません。できれば、老若男女の近隣エリアの方々、もしくは観光で直接、静岡県に足を運んで欲しいという農業協同組合関係者はもちろん、生産者の方々の願いでもある、と。ふるさと納税の返礼品や、道の駅、地元ホテルやレストラン、飲食店など…地域密着で今後も展開し、近隣小学校などとの農業体験交流=『食育』を大切にしていきたいと、教えていただきました。

これから始まる秋のさつまいもシーズンは、ぜひ静岡県に足を運び、駿河湾伊豆での魚釣り、熱海の温泉(神奈川ですと箱根)で遊んで、食べて…東京から日帰りするのも良し、ホテルで泊まり、食べ歩きドライブなどした近隣飲食店で味わい、帰りは道の駅などで三島甘藷や商品を買い求めるのもまた良いでしょう。

私が箱根登山鉄道で三島甘藷の商品を見つけたのは、千差一隅のチャンスであったようです。

箱根、三島が遠い、時間がないという方

ご安心くださいね、生のさつまいもはJAのサイトで収穫に合わせて順次予約販売します。また道の駅『みしまるかん』では、朝農家から運ばれてくる新鮮な箱根西麓三島野菜が、豊富に取り揃えられています。JAタウン内 静岡県 しずおか『手しお屋』『みしまるかん』があります。お店が静岡県内にしかない老舗和菓子屋さんも通信販売をやっています。三島甘藷を使った和菓子はいかがでしょうか。

兎月園
〒411-0858 静岡県三島市中央町3-40
Tel:055-072-2366
営業時間:Web参照
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