「仕事がない」は嘘?五島への移住で仕事を見つける5つの方法とリアルな声
監修者プロフィール

仁田美鈴
五島列島で生まれ育って40年。地元の雄大な自然や人の温かさはもちろん、島暮らしならではの「不便さ」さえも愛する生粋の五島人です。幼少期から、小学校のアルバムに食べている写真が残るほどの無類のさつまいも好き。「焼き芋にキムチをトッピング」という通な食べ方をこよなく愛しています。地元民だからこそ知るディープな情報や、観光・出張で訪れる方に本当に役立つ現地のリアルな魅力を、心を込めてお届けします。

美しい自然に惹かれ五島への移住を考えたとき、多くの人が「島には仕事がないんじゃないか」という漠然とした不安に直面します。インターネットで囁かれるそんな声が、憧れの島暮らしへの一歩をためらわせる大きな壁になっているのかもしれません。しかし、結論からお伝えすると、五島で自分に合った仕事を見つける方法は確かに存在します。この記事では、「仕事がない」と言われる本当の理由を紐解きつつ、ハローワークや市の支援を使った探し方はもちろん、スキルを活かしたリモートワーク、未経験で挑戦できる農業や漁業、さらには起業という選択肢まで、具体的な方法を先輩移住者のリアルな声と共にご紹介します。読み終える頃には、五島での働き方が具体的に見えているはずです。

なぜ五島は「仕事がない」と言われるのか その真相

「五島に移住したいけれど、仕事はあるのだろうか」そんな不安を抱えている方は少なくないでしょう。インターネットで検索すると「仕事がない」という言葉を目にすることもあり、移住への一歩を踏み出せない原因になっているかもしれません。しかし、その言葉を鵜呑みにしてしまうのは少し早いかもしれません。実は「仕事がない」という言葉の裏には、いくつかの具体的な理由が隠されています。この章では、なぜ五島が「仕事がない」と言われがちなのか、その真相を紐解いていきます。

都市部との求人内容・求人数のギャップ

都市部との求人内容・求人数のギャップ

五島で「仕事がない」と感じる最も大きな理由は、東京や大阪といった都市部と比べた際の、求人の絶対数と職種内容の違いにあります。都市部には多種多様な企業が集まり、日々膨大な数の求人が生まれます。一方で五島の産業構造は、第一次産業や、観光業、医療・福祉、建設業などが中心です。 そのため、求人もこれらの分野に集中する傾向にあり、都市部で一般的な事務職や企画職、IT関連の専門職などの選択肢は、どうしても限られてしまいます。 ハローワーク五島の有効求人倍率は1倍を超えて推移することもありますが、それは人手を求めている特定の産業があることを示しており、あらゆる職種で求人が豊富というわけではないのです。

希望する職種とのミスマッチ

移住を希望する多くの方が、これまでのキャリアやスキルを活かせる仕事を求めるのは自然なことです。しかし、前述の通り、五島の主要産業と移住希望者の職務経歴が合致しない「職種のミスマッチ」が起こりやすいのが現状です。 特に、これまでオフィスワーク中心だった方が、同じような条件の求人を探しようとすると、「希望する仕事が見つからない」という壁に突き当たることがあります。

移住希望者に人気の職種と実際の求人状況

具体的にどのようなミスマッチが起こりうるのか、下の表で比較してみましょう。これはあくまで一例ですが、都市部での経験をそのまま活かせる求人が限られている現状がうかがえます。

移住希望者に多い前職・希望職種 五島で比較的見つけやすい求人職種
ITエンジニア、Webデザイナー 医療・介護職(看護師、介護福祉士など)
企画・マーケティング職 建設関連(土木作業員、施工管理など)
営業職(法人・個人) 宿泊・飲食サービス業
一般事務・経理 農業・漁業従事者、水産加工業
クリエイティブ職(編集、広告など) 公務員(ただし採用枠は少ない)

もちろん、これは「左側の仕事が全くない」という意味ではありません。しかし、求人数が限られているため、移住のタイミングで幸運にも空きが出ない限り、見つけるのが難しいのが実情です。

給与水準への懸念

給与水準への懸念

「仕事がない」という言葉には、「満足できる給与の仕事がない」という意味合いが含まれているケースも少なくありません。事実として、五島市の平均年収は全国平均や長崎県の平均と比較して低い傾向にあります。 例えば、五島市の平均年収は約363万円というデータもあり、都市部で得ていた収入を維持するのは簡単ではないかもしれません。 ただし、五島は都市部に比べて家賃や物価が安い傾向にあるため、単純に収入額だけで生活水準を判断することはできません。 給与水準の違いを理解し、移住後の生活全体のコストバランスを考える視点が求められます。

情報の探しにくさという課題

都市部では当たり前のように使われている大手転職サイトや求人アプリに、五島の求人情報が十分に掲載されていない、という問題もあります。ハローワークや市の移住支援サイトが主な情報源となりますが、中には地域内の人づてや紹介でしか募集されない「隠れた求人」も存在します。移住者にとって、こうした地域に根ざした情報ネットワークにアクセスするのは容易ではありません。その結果、インターネットで探せる範囲の情報だけを見て「仕事がない」と結論づけてしまうケースも多いのです。

五島での仕事探しの王道 ハローワークと市の支援サイト

五島での仕事探しを始めるにあたり、まず押さえておきたいのが公的機関が提供する信頼性の高い情報です。特に「ハローワーク」と五島市が運営する移住支援サイトは、求人情報の量と質、そこで移住者に寄り添ったサポート体制の面で、仕事探しのまさに王道と言えるでしょう。これらを使いこなすことが、移住成功への確かな第一歩となります。

ハローワークで探せる五島の求人

ハローワークで探せる五島の求人

移住先での仕事探しの基本は、やはりハローワークです。五島市を管轄する「ハローワーク五島」には、島内の様々な企業の求人が集まります。 直接足を運んで相談員の方と話すのも一つの手ですが、まずは自宅のパソコンやスマートフォンから「ハローワークインターネットサービス」を覗いてみるのがおすすめです。 「五島市」と勤務地を指定して検索するだけで、常時400件近い求人情報にいつでもどこでもアクセスできます

実際に掲載されている求人を見ると、医療・福祉関係の専門職から、建設業、宿泊・飲食業、サービス業、さらには事務職まで、多岐にわたる職種が募集されていることがわかります。 どのような仕事が、どのくらいの給与水準で募集されているのか。島の求人全体の傾向を掴むためにも、まずはハローワークの情報をこまめにチェックする習慣をつけることが大切です。

業種 職種例 仕事内容の例
医療・福祉 看護師、介護職員、作業療法士 病院や介護施設での看護業務、利用者の身体介護や生活支援、リハビリテーション業務など。
建設・土木 普通作業員、現場監督 インフラ整備や建築現場での作業、施工管理など。資格取得をサポートする企業も見られます。
宿泊・飲食業 ホテルフロント、調理スタッフ、ホールスタッフ リゾートホテルでの接客業務、レストランでの調理や接客、片付けなど。
サービス業 販売スタッフ、ガソリンスタンドスタッフ スーパーや小売店でのレジ・品出し業務、給油や洗車などのサービス提供。
水産業 養殖作業スタッフ マグロなどの養殖における餌やり、いけすの管理、網の交換など。

五島市移住支援サイト「五島列島 五島の島ぐらし」の活用法

五島市移住支援サイト「五島列島 五島の島ぐらし」の活用法

五島市が公式に運営する移住支援サイト「五島の島ぐらし」は、仕事探しはもちろん、住まいや暮らしに関する情報まで網羅された、移住希望者にとって心強い味方です。 このサイトの最大の魅力は、単なる情報提供に留まらず、移住者一人ひとりの状況に合わせた手厚いサポート体制が整っている点にあります。

サイト内の「仕事の情報」ページでは、ハローワークの求人情報へのリンクはもちろん、市が独自に作成した企業ガイドブックや、事業所の雰囲気が伝わるPR動画などが公開されています。 これにより、求人票だけではわからない企業の魅力や働きがいを知ることができます。 さらに、「求職者向け情報提供申請」に登録すると、市の移住支援員から直接サポートを受けられたり、オンラインでの移住相談や、東京などで不定期に開催される移住セミナーに参加したりすることも可能です。 こうした双方向のコミュニケーションを通じて、仕事に関する不安や疑問を解消しながら、自分に合った働き方を見つけていくことができるのです。

スキルや経験を活かして五島で仕事をする

「五島には思うような仕事がないのでは…」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、あなたがこれまで培ってきたスキルや経験は、この島にとって大きな力となり得ます。特に専門的な知識や技術を持つ人材は、多くの現場でその活躍が待たれているのが実情です。また、場所に縛られない働き方が可能なITスキルがあれば、五島の豊かな自然環境の中で、都会と変わらない仕事を続けることも夢ではありません。

専門職(医療・介護・建築)の需要と探し方

専門職(医療・介護・建築)の需要と探し方

五島市では、住民の暮らしと安全を支える専門職の需要が常に高く、特に医療、介護、建築の分野では多くの求人が見られます。島の高齢化率は全国平均よりも高く、医療・介護サービスの充実は喫緊の課題です。 同時に、暮らしの基盤となる住宅や公共施設の維持・更新には、建築関連の専門知識を持つ人材が不可欠なのです。あなたが持つ資格や実務経験は、この島の人々の生活を直接支える、やりがいの大きな仕事に繋がります。島には専門職や有資格者が不足しています。例えば、近年増えてきたドラッグストアでは薬剤師の給料が優遇されています。外国語の得意な方は観光ガイドとしても活躍しています。

これらの仕事は、ハローワークや市の移住支援サイトだけでなく、各業界に特化した求人サイトや、社会福祉法人、医療法人のウェブサイトでも直接募集されていることがあります。 積極的に情報を探し、問い合わせてみることが、希望の仕事と出会うための第一歩となるでしょう。

職種 主な仕事内容 探し方のポイント
医療・介護職 医師、看護師、介護福祉士、ケアマネージャー、理学療法士などとして、病院や介護施設、在宅介護サービスで住民の健康を支える。 ハローワークに加え、各医療法人や社会福祉法人の採用ページ、介護専門の求人サイトを定期的に確認することが有効です。
建築・土木職 建築士、施工管理技士などとして、個人住宅の設計・施工、公共インフラの維持管理、空き家のリノベーションなどを担う。 市内の建設会社や工務店のウェブサイトを確認するほか、市の公共事業に関する情報をチェックすることも仕事を見つけるきっかけになります。

ITスキルを活かしたリモートワークという選択

ITスキルを活かしたリモートワークという選択

五島市は、市内のほぼ全域で光回線が整備されており、都市部と遜色のない通信環境が整っています。 このインフラを活かし、近年ではITスキルを持つ移住者がリモートワークで活躍するケースが増えています。エンジニア、デザイナー、ライター、マーケターといった職種であれば、五島の美しい自然に囲まれながら、これまでと変わらないキャリアを続けることが十分に可能です。

また、五島市はIT企業のサテライトオフィス誘致にも積極的で、実際に複数の企業が進出しています。 個人でのリモートワークだけでなく、五島市に拠点を置く企業への就職という選択肢も生まれつつあり、IT関連の仕事の可能性は今後さらに広がっていくことでしょう。 実際に市はワーケーションの推進にも力を入れており、多くのリモートワーカーが五島を訪れ、仕事と余暇を楽しんでいます。

先輩移住者の声 リモートワークで実現した理想の暮らし

「東京のIT企業でWebデザイナーとして働いていましたが、毎日の満員電車と時間に追われる生活に疑問を感じていました。そんな時、休暇で訪れた五島の美しさに心を奪われ、移住を決意しました」と語るのは、3年前に移住したCさん。

移住当初は仕事への不安もありましたが、整備された通信環境のおかげで、以前の会社の仕事を業務委託として継続することができました。 「朝は鳥の声で目を覚まし、仕事の合間には歩いて数分のビーチでリフレッシュする。そんな東京では考えられなかった理想のワークライフバランスが、ここ五島では現実になりました。 通勤ストレスから解放されたことで、仕事の生産性もかえって上がったように感じます」と、その表情は充実感に満ちています。

未経験から五島で新しい仕事に挑戦する

五島列島は、経験者だけを求めているわけではありません。むしろ、島の未来を共に創っていく新しい力を積極的に受け入れています。特に、島の基幹産業である第一次産業や、成長を続ける観光関連の仕事では、未経験者を歓迎し、一から育てる土壌が整っています。これまでとは全く違う分野で、新しいキャリアを築きたい。そんな想いを五島で実現させてみませんか。

農業・漁業への新規就農・就業支援

農業・漁業への新規就農・就業支援

温暖な気候と豊かな自然に恵まれた五島は、農業や漁業を始めるにはうってつけの場所です。しかし、いきなり未経験で飛び込むのは不安も大きいことでしょう。五島市では、そうした不安を解消し、スムーズなスタートが切れるよう、手厚い支援制度を用意しています。高齢化による担い手不足は課題ですが、それは裏を返せば、新しい挑戦者にとって大きなチャンスがあるということです。

市では、農業や漁業に挑戦したい移住希望者向けに、研修制度や助成金を用意しています。これらの制度を活用することで、技術や知識を学びながら、安定した収入を得て、島の暮らしに慣れていくことが可能です。

また、「五島市地域づくり事業協同組合」では、人材を必要としている島の企業と、五島で働きたいと考えている人の橋渡しとして、職員の派遣をしています。

お試しで農業、漁業、製造業、福祉などいろいろな企業で実際に働き、自分に合った仕事を見つけることができます。

産業分野 主な支援内容 ポイント
農業 農業法人などでの実践的な研修(最長2年間)、研修期間中の手当(月額最大12.5万円)、住居手当(上限あり) 肉用牛、アスパラガス、ブロッコリー、さつまいも(かんころ餅の原料)など、多様な品目の栽培技術を学べます。 研修終了後も、農地の紹介などでサポートが受けられます。
漁業 独立・自営を目指すための漁業研修、漁船・漁具の導入支援、ながさき漁業伝習所の活用 一本釣りから定置網まで、多様な漁法が存在します。地域の漁業者と連携し、後継者として地域に定着できるよう支援する体制が整っています。

先輩移住者の声 未経験から農業を始めたDさんの事例

先輩移住者の声 未経験から農業を始めたDさんの事例

「都会でのデスクワーク中心の毎日から一転、今は太陽の下で土に触れる日々です」と語るのは、3年前に移住し、農業を始めたDさん。コロナ禍をきっかけに、食の大切さと自らの手で何かを生み出す仕事への興味が湧き、五島市の研修制度を利用して移住を決意しました。

私たちの仕事場には、冷房の効いた室内もありますが、やはり一番の舞台は畑です。春とは名ばかりで、最近では5月にもなると夏のような日差しにさらされることも増えてきました。そして真夏ともなると、もう覚悟が必要なレベル。照りつける太陽に加えて、土からの照り返しがあることで、体感温度はおそらく40℃を超えているんじゃないかと思うほどです。「最初は体力的についていくのがやっとでした」とDさんは笑います。しかし、自分が育てた作物が少しずつ育っていく姿や、収穫の喜び、そして「おいしい」という購入者の声が何よりのやりがいになっていると言います。 移住当初は地域に馴染めるか不安もあったそうですが、研修先の農家さんや近所の方々が親身に相談に乗ってくれ、今ではすっかり島の一員です。

観光業やサービス業で働く魅力

観光業やサービス業で働く魅力

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産がある五島は、国内外から多くの観光客が訪れる人気の観光地です。そのため、ホテルや旅館、飲食店、土産物店、観光ガイドなど、観光・サービス業の仕事の選択肢も豊富にあります。 これらの業界は、未経験者を歓迎する求人も多く、人と接することが好きな方にとっては大きな魅力となるでしょう。

この仕事の醍醐味は、何と言っても五島の魅力を自分の言葉で直接伝えられることです。お客様の「ありがとう」「また来たい」という言葉は、日々の励みになります。 島の美しい自然や温かい人々との交流を通じて、お客様に感動を届ける。それは、単なる労働にとどまらない、自分自身の暮らしをも豊かにしてくれる仕事だと言えるでしょう。 実際に、リゾートホテルで働きながら島の暮らしを学び、将来は自分の宿を持つという夢を追いかけている移住者もいます。 都会の喧騒から離れ、訪れる人々を温かく迎え入れる側として、五島での新しい一歩を踏み出してみるのも素晴らしい選択です。

五島で「仕事をつくる」起業という選択肢

五島への移住を考えたとき、「仕事を探す」だけでなく「仕事をつくる」という道も、実は非常に現実的な選択肢として存在します。国境の島である五島市は、人口減少という課題に立ち向かうため、移住者の新たな挑戦を力強く後押ししています。 特に、地域に新しい雇用を生み出し、島の経済を活性化させる力を持つ「起業」に対しては、驚くほど手厚い支援制度が用意されているのです。 都会の喧騒から離れ、この美しい島で自分の夢を形にしたい。そんな想いを抱く人にとって、五島はまさに可能性に満ちたフィールドと言えるでしょう。

五島市の開業支援制度と補助金

五島市で起業を目指す上で、最大の追い風となるのが「特定有人国境離島地域社会維持推進交付金」を活用した創業支援事業です。 これは、島の雇用機会を増やすことを目的に、創業や事業拡大にかかる経費の最大4分の3、上限額にして450万円(創業の場合)もの補助が受けられるという、非常に手厚い制度です。 対象となる経費も、店舗の改修費や設備費はもちろん、広告宣伝費や人件費まで幅広くカバーしており、起業初期の資金的なハードルを大きく下げてくれます。

具体的にどのような支援があるのか、主な制度を表にまとめました。

制度名 概要 補助上限額・補助率
雇用機会拡充事業(創業支援) 五島市内で新たに雇用を生む創業を行う個人や法人を支援する制度。事業承継も対象に含まれます。 補助対象経費600万円に対し、上限450万円(補助率3/4)
雇用機会拡充事業(事業拡大支援) 既存の事業者が、新たな雇用創出を伴う事業拡大を行う場合に利用できます。 設備投資を伴う場合、上限1,200万円(補助率3/4)
空き家バンク 改修・家財処分補助金 空き家バンクに登録された物件を購入または賃借して活用する際の改修費用などを補助します。 移住者の場合、上限50万円

これらの補助金は、単に資金を援助するだけではありません。申請にあたっては、市の商工雇用政策課などで事業計画に関する個別相談を必ず受けることになっており、専門の担当者から具体的なアドバイスをもらいながら、計画をブラッシュアップしていくことができます。 一人で悩みながら進めるのではなく、行政と二人三脚で夢の実現を目指せることも、五島での起業が持つ大きな魅力の一つなのです。

移住者の起業事例紹介

こうした手厚い支援制度を活用し、多くの先輩移住者が五島で新たなビジネスを花開かせています。その活躍は、飲食店や宿泊業、クリエイティブな仕事まで、実に多岐にわたります。

例えば、福岡での生花店勤務の経験を活かし、Uターンして「泊まれる花屋」というユニークなコンセプトのゲストハウスを開業した女性がいます。 彼女は市の創業支援制度を利用して450万円の補助金を受け、実家で空き家となっていた一軒家を改装。 島の暮らしを体験できる宿と、島では手に入りにくかった種類の花を扱う花屋を組み合わせることで、観光客と地元住民の両方から愛される場所をつくり出しました。

また、夫婦で移住し、念願だった自分たちの飲食店を開いた方々もいます。 都会でのホテル勤務で培った経験を活かし、島の食材の豊かさに魅了され、この地でレストランを開くことを決意したのです。 このように、これまでのキャリアや個人の「好き」という想いを、五島の豊かな資源と結びつけることで、成功を収めている事例が数多く生まれています。

他にも、ウェブデザイナーが首都圏の仕事を受けながら五島に拠点を移し、デザイン会社を設立したケースもあります。 地元の主婦を雇用し、化粧品のプロモーションや特産品のブランディングなどを手がけることで、島の外から仕事と資金を呼び込み、新たな雇用を生み出すという理想的な循環を実現しています。 これらの事例は、五島での起業が、業種や経験を問わず、多様な可能性に満ちていることを物語っているのではないでしょうか。

五島移住の仕事に関するリアルなQ&A

移住を考えるとき、一番の気がかりはやはり仕事のことではないでしょうか。理想の暮らしを思い描いてはみるものの、現実的な収入や働き方について具体的なイメージが湧かず、一歩を踏み出せない方も少なくありません。ここでは、五島への移住と仕事にまつわる、よくある疑問や不安にQ&A形式でお答えしていきます。

実際のところ、年収はどのくらいになりますか?

実際のところ、年収はどのくらいになりますか?

正直なところ、多くの場合、都市部で働いていた時と同じ水準の年収を維持するのは簡単ではないかもしれません。求人情報サイトの統計によると、五島市の平均年収は約363万円というデータがあり、これは長崎県全体の平均と比較すると低い傾向にあります。 しかし、これはあくまで全体の平均値です。専門的なスキルや経験が求められる職種、例えば医療・介護の専門職や管理職、または公務員などでは、平均を上回る給与水準の求人も見られます。 逆に、未経験から挑戦できる職種の場合、初任給は低めに設定されていることが多いのが実情です。

ここで大切になるのが、年収の額面だけで判断するのではなく、支出、特に生活費とのバランスで考える視点です。五島市は都市部に比べて家賃が安い傾向にあり、市営住宅や空き家バンクを活用すれば、住居費をかなり抑えることが可能です。 また、新鮮な魚や野菜が安価で手に入るため、食費も工夫次第で節約できます。年収が下がったとしても、手元に残るお金や、自由に使える時間は増えたという移住者の声も少なくありません。

職種 年収の目安 備考
医療・介護(専門職) 400万円~ 資格や経験年数により変動。需要は高い傾向。看護師も不足しているので、トラベルナースで五島を訪れ、実際に移住を決めた人も。
市役所職員(大卒・行政職) 311万円~599万円 年齢や役職による。例えば33歳主査クラスで約446万円、40歳係長クラスで約599万円というモデルケースがあります。
宿泊・飲食サービス業 250万円~400万円 未経験からでも始めやすいが、季節による繁閑の差も。夏が比較的忙しい。
建設・土木技術者 350万円~600万円 経験者や有資格者は優遇される傾向。

副業やアルバイトは見つかりますか?

はい、副業やアルバイトの求人は見つかります。特に、観光シーズンである夏場は、ホテルや飲食店、土産物店などで短期・単発の募集が増える傾向にあります。 時給は1,000円を超えるものも少なくなく、短時間勤務や週1日からOKといった柔軟な働き方ができる求人も見られます。 また、農業や漁業の繁忙期に、一時的な人手として手伝いを募集することもあります。

一方で、冬場は観光客が減るため、夏場に比べると求人数は落ち着くのが正直なところです。しかし、スーパーのレジ打ちや清掃、介護施設の補助など、年間を通して安定した募集がある仕事もあります。 加えて、最近ではリモートワークの普及により、五島に暮らしながら島外の企業の仕事を請け負うという働き方も現実的な選択肢となっています。自分のスキルを活かして、オンラインで副収入を得ている移住者もいます。

車の運転は必須でしょうか?

車の運転は必須でしょうか?

結論から言うと、五島での快適な暮らしと仕事のためには、車はほぼ必須と言えるでしょう。 福江島の中心市街地だけで生活が完結するのであれば、スーパーや病院、飲食店などがそろっているため、自転車や徒歩でもなんとかなるかもしれません。しかし、多くの職場は郊外に点在していますし、美しい海岸や絶景スポットを訪れるにも車がなければ不便を感じる場面がほとんどです。

路線バスも運行していますが、都市部のように本数が多いわけではありません。 移住者の多くは、中古の軽自動車などを購入して島での足として活用しています。仕事の面接に行くにも、通勤するにも車が必要となるケースがほとんどですので、移住を計画する段階で、運転免許の取得や車の購入予算も視野に入れておくことを強くお勧めします。

冬場の仕事は減ってしまいますか?

冬場の仕事は減ってしまいますか?

この質問は、特に観光業や一次産業への就業を考えている方からよくいただきます。確かに、海水浴やマリンスポーツが盛んな夏に比べ、冬は観光客が減少し、それに伴って宿泊施設や飲食店、関連するサービス業の仕事が少なくなる傾向はあります。漁業も、魚種によっては閑漁期に入ることがあります。

しかし、すべての仕事がなくなるわけでは決してありません。医療や介護、福祉の現場は季節に関係なく常に人手を必要としていますし、建設業や公共事業も年間を通して動いています。 島民の生活を支えるスーパーや小売店、インフラ関連の仕事も同様です。むしろ、冬の落ち着いた時期を利用して、資格取得の勉強をしたり、翌年の繁忙期に向けた準備や新たな事業の計画を練ったりと、時間を有効に使うチャンスと捉えることもできるのではないでしょうか。複数の仕事を組み合わせる「マルチワーク」を実践し、季節変動のリスクを分散させている移住者もいます。

まとめ

五島への移住で「仕事がない」は嘘?まとめ

都会の求人情報と同じ感覚で探すと、五島の仕事は見えにくいかもしれません。それが「仕事がない」と言われる一つの理由なのでしょう。しかし、ハローワークや市の支援サイト「五島の島ぐらし」をじっくりと見れば、専門職の需要や、農業・漁業といった一次産業への道が開かれていることに気づくはずです。ネット環境の整備により、リモートワークや起業という選択肢も、今や決して特別なことではありません。視点を変えれば、この豊かな自然に囲まれた島全体が、あなたの新しい仕事の舞台になるのです。