秋の味覚の代表格であるさつまいもは、痩せ地でも育ちやすく手間がかかりにくい作物のため、家庭菜園の初心者におすすめです。今回はさつまいもの栽培方法と収穫の仕方について解説します。
さつまいもの栽培時期
さつまいもの栽培スケジュールは以下の通りです。
早堀り栽培の場合:5月中旬~6月前半に苗を植え付け、10月頃の収穫
普通栽培の場合:6月下旬~7月上旬に植え付け、11月頃の収穫
苗の選び方
さつまいもの苗は、4月下旬頃からホームセンターや種苗店で売られ始めます。以下の良い苗の特徴に当てはまるものを選びましょう。
- 茎が太い
- 葉の色が良く厚みがある
- 節数が4~5つで節間が間延びしていない
苗を購入後、葉が萎れている場合は植え付け前に水に挿して状態を整えておきましょう。
さつまいもに適した土・肥料
さつまいもに適した土は、通気性に富み乾燥した土です。作物を育てる際、栄養がある土の方が良いと思われがちですが、さつまいもは土が肥沃であると茎や葉だけが生育して実であるイモが十分に育たない「つるぼけ」を起こしてしまいます。そのため、養分の少ない痩せた土を使うようにしましょう。
つるぼけを起こさせないためには肥料も最低限に抑えるか、使わないようにするのがおすすめです。もし肥料を使うのであれば、バランスのとれた配合肥料や、イモを肥大させて甘みを増す「草木灰」が良いでしょう。
さつまいもの植え付け方法
植え付けの10日ほど前になったら、土をよく耕して幅約50cm、高さ20~30cm程度の畝を作ります。畝に高さを出すのは、水はけと通気性を高めるためです。畝が出来たら雑草が生えないようにマルチシートをかぶせましょう。
植え付けの際は30cm程度の間隔でシートに穴を開け、10cm程度の植え穴を掘ります。この時、先端がとがった棒や植え付けの補助器具を使うと、手早く苗を植えることができますよ。
さつまいもの主な植え付け方法は3つあり、それぞれ以下の特徴があります。
- 水平植え:苗が短かったり畑が乾燥した状態でも植えられる
- 斜め植え:細長いイモがたくさんできやすい
- 垂直植え:イモの数は少ないが、一つ一つが大きくなる
それぞれメリットがありますが、初心者はより育てやすい斜め植えがおすすめです。どの植え方でも切り口に近い2~3節は必ず土中に埋めるようにします。ただし、この時に葉まで埋めてしまわないように注意してください。また、深く埋めすぎると地面の温度が上がりにくく良いイモがつきにくくなるので、穴の深さにも気を付けましょう。
苗を植えた後、根が張るまで2週間程度かかります。その間に強い風が吹くと苗が飛ばされてしまう危険があります。また、強い直射日光を防ぐことで苗の活着が良くなるので、根が張るまでの間は苗の上に新聞紙などをかぶせて土を乗せ、重しをしておきましょう。
栽培管理のポイント
さつまいもは比較的生育が遅いため、定植から1か月程度は雑草の発生に注意しましょう。2ヵ月程度が経過するとつるが育ち地面を覆うので、雑草の心配はなくなってきます。その代わり、地面に這っているつるは無駄な根が出てイモの養分を取ってしまうので、地面から離してひっくり返し、要らない根を切る「つる返し」が必要となります。
追肥は基本的に必要ありませんが、7~8月頃に葉が黄色くなった場合は追肥するようにしましょう。
さつまいもの収穫方法
植え付けから100~120日程度経った頃が収穫時期です。収穫時期は早すぎると食味が悪く、遅すぎるとイモの形が乱れてしまうので、適期を見極めることが大切です。手で根元を掘り、イモの色目が濃く表面の皮がむけにくい状態であれば、収穫のサインです。収穫はイモを乾燥させるために晴れた日に行いましょう。
収穫の手順は、以下の通りです。
- 株元でつるを刈り取る
- シートをめくり、スコップやクワで掘る。この時、イモが傷付いたりつるから離れたりしないように注意する
- 堀ったイモを並べて半日程度干し、表面が乾いたら保存する
さつまいもの追熟・貯蔵方法
さつまいもは収穫後すぐに食べてしまうよりも追熟させた方が甘みが増すため、貯蔵することをおすすめします。さつまいもを貯蔵する際は、段ボールや木の箱にもみ殻を詰めたり、イモを新聞紙でくるんだりして入れて冷暗所で保存します。保存したイモは翌年の春頃までは持ちますが、10~20%程度消耗してしまうので注意しましょう。
保存の際は12~14℃程度の温度を保つことが重要です。これは、10℃以下の低温では変色や腐敗など低温障害が起きてしまい、15℃以上では芽が出てしまうためです。また、さつまいもは収穫後も生きており、呼吸しています。そのため、密閉した空間で保存すると腐りやすくなってしまいます。箱に入れて保存するのであれば、空気穴を開けておきましょう。
まとめ
さつまいもは栽培に手間がかかりにくく、初心者でも育てやすい作物です。また、さつまいもを使った料理はおかずからスイーツまで幅広いため、収穫後も様々な料理にして楽しむことができます。ぜひ、今回ご紹介した栽培方法やコツを参考にして、美味しいさつまいもを育ててみてくださいね。