人気のさつまいもを家庭菜園で作ろう!さつまいもを本格的に育てる秘訣と栽培方法とは?プランター選びから苗選び、つる返し、そして収穫まで徹底解説

広大な敷地でのびのびと育てられるイメージのあるさつまいもですが、実は庭先の小さな畑やプランターでも育てることができます。この記事ではさつまいもを栽培するためのコツについて、準備から植え付けを経て収穫するまでの流れを追いつつ紹介します。

プランターと土を選ぶ

プランターや土を選ぶコツは「水はけのよいものを選ぶ」ことです。さつまいもは乾燥に強く、逆に過剰な水分のもとでは枯れやすくなってしまいます。そのため水分が長時間貯め込まれないような環境を作る必要があります。

プランターは通気性や排水性がよい、素焼きのものが理想ですが、さつまいもを育てられる丁度いい幅や深さのものはなかなか見つからないかもしれません。幅60cm以上、深さ30cm程度のものをさつまいも栽培の目安とするとよいでしょう。プラスチック製のプランターであれば簡単に手に入るためオススメです。ただしプラスチックは保湿性に優れた素材であるため、底には鉢底石を敷き詰めて通気性を高めておくことが重要です。

土はシンプルな培養土を使用すれば問題ありません。粘土質のものは水はけが悪くなってしまうため避けましょう。

最近では土のう袋に培養土を詰めて、プランターの代わりにする栽培方法もよく行われています。土のう袋は通気性が良く余計な水分を溜め込まない素材で出来ているため鉢底石も不要で、さつまいもの栽培に適しています。またさつまいもが大きく育った場合に、プランターであれば固い壁に生育が阻まれて大きく育たなかったり変形したりといったトラブルが生じますが、柔らかい土のう袋であればさつまいもを圧迫せずに済むため、形のよい綺麗なさつまいもが育ちやすいと言われています。

さつまいもの苗を選ぶ

さつまいもは種を撒くのではなく、苗の状態で植え付けることによって栽培します。ポット苗と呼ばれる土に植えられた苗や、種イモと呼ばれるさつまいもから芽を出している苗が売られていることもありますが、どちらもプランターへ植え付けを行うまでに苗を育てる必要があるため少し手間が掛かります。初めてさつまいもを栽培する場合には、すぐに土壌へ植え付けが可能な、つるが長く緑の葉が出ている状態で売られているものを選ぶとよいでしょう。

植え付けを行い、水やりをする

さつまいもの苗を植える時期は5月中旬から6月下旬と言われています。その時期に苗の植え付けを行い、日当たりのいい場所へプランターを置きましょう。

さつまいもの植え方には垂直植え、斜め植え、水平植えの三種類があります。

垂直植え:苗を真っ直ぐ立てるようにして根本だけを植える
斜め植え:根本から3~4節まで土に差し込む
水平植え:先以外の全ての根を土に植え付ける

プランターや土のう袋で育てる場合には、垂直植えか斜め植えがオススメです。数は控えめですが、大きなさつまいもが実りやすい植え方であり、限られた場所での栽培に適しています。幅60cmのプランターであれば、苗を2~4本ほど植えることができます。つど畑など、地植えが行える環境であれば水平植えをしてみましょう。

どの植え付け方であっても、深く底の方まで土に収めてしまうのはよくないやり方です。日光に当たるつるの部分が少なくなり、栄養が行きわたらずさつまいもが育ちにくくなってしまうため、浅めに植え付けるのがポイントです。

水やりをあまりしなくてよいことで知られるさつまいもですが、苗を植えてから根が土壌へ定着するまでの1~2週間は毎日水やりを行う必要があります。根が定着すればあとは土の様子を確認し、表面が乾いていれば水をやる、といった形での管理で問題ありません。畑などに直接植え付けている場合には自然の雨のみで十分とも言われています。

つる返しを行う

根さえ張ってしまえば水やりの手間がほとんどかからないさつまいもですが、大きなさつまいもを育てるために、伸びすぎたつるに対して一工夫行う必要があります。

伸びてきたつるが地面に新しく根を張ってしまうと、そこから小さなさつまいもが複数できます。これらの新しいさつまいもの生育に養分を取られてしまうと、元々育てていたはずのさつまいもが大きく育ちません。立派なさつまいもを収穫するため、これらの「不定根」と呼ばれる余分な根は切っておくことが重要です。

このとき、伸びてきたつるごと切ってしまわないようにしましょう。伸び茂った葉を失うと、これまで育ててきたさつまいもへの栄養供給の手段が減ってしまいます。余分に伸びたつるは切らずに、地面に潜らないよう引き上げて、不定根だけを切るようにしましょう。

不定根を切り、伸びすぎたつるを地面から引き上げて根付かないようにする。この作業を「つる返し」と呼びます。夏、さつまいもが急成長する時期に起こりやすい現象であるため、注意して様子を観察してみてください。

収穫する

緑色に生い茂っていた綺麗な葉が薄い色になり、赤っぽく、あるいは黄色っぽく変わり始めるといよいよ収穫時期です。さつまいもは湿度に弱いため、土がしっかり乾いている晴れの日に行うのが理想です。

肥料について

さつまいもは「痩せた土地」の方が育ちやすいと言われています。肥料の三大要素として「窒素・リン酸・カリウム」は有名ですが、さつまいもの場合はこれらを充実させずとも十分に育ちます。逆に肥料がよく効いた肥えた土地では、さつまいもの葉ばかりが茂って根が太らないという「つるボケ」という状態に陥りやすくなってしまいます。市販の肥料は使わず、そのままの状態で育てた方がよいでしょう。

ちなみに、つるボケを防ぎつつさつまいもを大きく実らせるためには、「窒素」が少なく、かつ「カリウム」を多めに含んだ土壌にするとよいと言われています。ただこうした肥料の調整は難易度が高いため、初回時の導入には向いていません。よく茂った葉にたっぷりの太陽光を浴びさせることで、十分に立派なさつまいもを育てることができるため、一年目は土壌の加工なしで育ててみることをオススメします。

手間がかからず作りやすいさつまいもは、家庭菜園の入門として最適です。プランターからでも土のう袋からでも庭先の小さな畑からでも始められるので、是非美味しいさつまいもを作ってみてください。