犬にさつまいもは大丈夫?与える量や注意点、アレルギーまで徹底解説

秋の味覚の代表格である、甘くて美味しいさつまいも。その香りに誘われて、愛犬が足元でそわそわ、なんてこともあるのではないでしょうか。こんなに美味しそうに食べる姿を見ると、少しおすそ分けしてあげたいと思うのが親心ですよね。この記事では、そんな飼い主さんの「犬にさつまいもを与えても大丈夫?」という疑問に、あらゆる角度からお答えします。結論からお伝えすると、さつまいもは犬に与えても基本的には問題ありません。ただし、与える量や調理法にはいくつかの大切な注意点が存在します。この記事を最後まで読めば、さつまいものメリットから適切な量、注意点、アレルギーの知識、さらには簡単な手作りレシピまでが分かり、安心して愛犬とのおやつ時間を楽しめるようになります。

犬にさつまいもを与えても基本的には大丈夫

秋の味覚として親しまれている、甘くて美味しいさつまいも。その香りがすると、愛犬がそばに寄ってくるというご家庭も多いのではないでしょうか。飼い主さんとしては「この美味しさを少し分けてあげたい」と思う反面、「犬に食べさせても本当に平気なのだろうか?」と不安に感じる気持ちもあるはずです。

犬にさつまいもを与えても基本的には大丈夫

ご安心ください。さつまいもは犬に与えても基本的には大丈夫な食材です。むしろ、豊富な栄養素が含まれているため、適量であれば愛犬の健康維持に役立つ嬉しいおやつにもなります。ただし、どんな食材にも言えることですが、与え方や量にはいくつかの大切な約束事があります。それを知らずに与えてしまうと、かえって愛犬の体に負担をかけてしまう可能性も否定できません。

まず大切な心構えとして、さつまいもは犬にとって栄養補助やご褒美として与える「おやつ」であると理解しておくことが重要です。総合栄養食であるドッグフードのように、それだけで犬の健康を維持できるものではありません。あくまで食事の楽しみを広げる、特別な食べ物として捉えましょう。



さつまいもを安全に与えるためには、守るべきルールがあります。詳しい理由は後の章で解説しますが、まずは基本となるポイントを一覧で確認しておきましょう。

さつまいもを与える際の基本ルール早見表
項目 基本的な考え方
調理法 必ず加熱する(蒸す・茹でる・焼く)。生のまま与えるのは消化不良の原因になるため厳禁です。
与える部位 実の部分のみを与えます。皮は消化しにくく、芽や緑変した部分には有害物質が含まれる可能性があります。
形状 喉に詰まらせないよう、細かく刻んだり、ペースト状にしたりして与えるのが安全です。
味付け 味付けは一切不要です。人間用に味付けされた加工品(大学芋など)は塩分や糖分が過剰なため与えてはいけません。
おやつやトッピングとして、ごく少量にとどめます。与えすぎは肥満や下痢につながります。
健康状態 健康な犬が対象です。腎臓病や心臓病、糖尿病などの持病がある場合は、与える前に必ず獣医師に相談してください。

これらの基本さえ守れば、さつまいもは愛犬とのコミュニケーションを深める素敵なツールになります。続く章では、さつまいもが持つメリットや具体的な適量、注意点の詳細について、一つひとつ丁寧に解説していきます。

犬がさつまいもを食べる4つのメリット

甘くて美味しいさつまいもは、犬にとっても栄養満点のおやつになります。私たちの食卓でもおなじみの食材ですが、愛犬の健康にどのような良い影響を与えてくれるのでしょうか。ここでは、犬がさつまいもを食べることで得られる4つの主なメリットについて、一つひとつ詳しく見ていきましょう。

豊富な食物繊維で腸内環境をサポート

豊富な食物繊維で腸内環境をサポート

さつまいもの魅力の一つは、なんといっても豊富な食物繊維です。食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、さつまいもにはその両方がバランス良く含まれています。それぞれが異なる働きで、愛犬のお腹の調子を整える手助けをしてくれるのです。

食物繊維の種類 主な働き
水溶性食物繊維 腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えます。便を柔らかくする効果も期待できます。
不溶性食物繊維 便のカサを増やして腸を刺激し、ぜん動運動を活発にすることで、スムーズな排便を促します。

これらの相乗効果によって、便秘がちなワンちゃんのお通じを改善したり、快便な子の腸の健康を維持したりするのに役立ちます。お腹の調子が整うことは、犬の元気と快適な毎日につながる大切なポイントです。

ビタミンCで免疫力維持や抗酸化作用

さつまいもには、皮膚の健康や免疫機能の維持に欠かせないビタミンCも豊富に含まれています。犬は体内でビタミンCを合成できますが、加齢やストレス、病気などで消費量が増えるため、食事から補ってあげることも大切です。さつまいもに含まれるビタミンCはデンプンによって保護されているため、加熱しても壊れにくいという嬉しい特徴があります

また、ビタミンCには「抗酸化作用」という働きもあります。これは、体内で増えすぎると細胞を傷つけてしまう「活性酸素」を取り除く力のことです。この働きにより、細胞の老化を防ぎ、健康な体を維持するサポートが期待できます。特にシニア犬や、日々の健康維持を心がけたい愛犬におすすめの栄養素です。

カリウムで体内の塩分バランスを調整

カリウムで体内の塩分バランスを調整

カリウムは、体内の細胞の浸透圧を調整するのに必要なミネラルの一種です。主な働きとして、体内に摂りすぎたナトリウム(塩分)を尿と一緒に排出するのを助ける役割があります。この働きにより、血圧を正常に保ち、体内の水分バランスを適切に維持することにつながります。

普段、総合栄養食のドッグフードを食べていれば不足することは稀ですが、手作り食を与えている場合や、おやつとして栄養バランスを考えたい場合には嬉しい成分です。ただし、後述しますが腎臓や心臓に持病がある犬にとっては制限が必要な場合もあるため、注意が必要です。

ヤラピンが便通を促進

ヤラピンが便通を促進

「ヤラピン」という成分を耳にしたことはありますか。これはさつまいも特有の成分で、芋を切ったときに出てくる白い乳液状の液体です。このヤラピンには、胃の粘膜を保護したり、腸のぜん動運動を促進したりする働きがあると言われています。

先に紹介した食物繊維との相乗効果で、お腹の動きを活発にし、よりスムーズなお通じを力強くサポートしてくれます。ヤラピンは皮のすぐ下の部分に多く含まれているため、この効果を期待する場合には皮の扱い方もポイントになりますが、犬に与える際の注意点も踏まえる必要があります。

犬に与えても良いさつまいもの一日の適量

さつまいもは栄養満点で、愛犬のおやつとしても魅力的な食材ですが、与える量には注意が必要です。甘くて美味しいからといって、愛犬が欲しがるままに与えてしまうと、かえって健康を損なうことにもなりかねません。ここでは、愛犬の健康を守るための、さつまいもの適切な量について見ていきましょう。

一日の摂取カロリーの10パーセント以内が目安

愛犬におやつを与える際の基本的な考え方として、おやつやトッピングは、一日に必要な総カロリーの10%以内に抑えるというルールがあります。これは、栄養バランスが計算された主食のドッグフードの効果を妨げず、肥満を防ぐための大切な指標です。さつまいももこのルールに則って与えるようにしましょう。

さつまいも(蒸し)のカロリーは100gあたり約130kcalほどです。普段与えているドッグフードのパッケージに記載されている給与量やカロリーを参考に、おやつとして与えるさつまいもの量を計算してみてください。

超小型犬から大型犬までの体重別目安量

超小型犬から大型犬までの体重別目安量

犬の体重ごとに、一日に与えても良いさつまいもの目安量を表にまとめました。ただし、これはあくまで健康な成犬の場合の目安です。個々の犬の年齢や運動量、避妊・去勢の有無によって必要なカロリーは変わってきますので、愛犬の様子を見ながら調整することが何よりも大切です。

犬の体重別・さつまいもの一日の目安量
犬の分類(体重) 一日の目安量(蒸したさつまいも)
超小型犬(〜4kg) 約15g〜20g(親指1〜2本分ほど)
小型犬(〜10kg) 約25g〜40g
中型犬(〜25kg) 約55g〜80g
大型犬(25kg〜) 約90g〜100g

初めてさつまいもを与える際は、この目安量よりもさらに少量から始め、便の様子や体調に変化がないかを確認してください。もし他の種類のおやつも与える日には、その分のカロリーを差し引いて、さつまいもの量を減らすなどの調整を忘れないようにしましょう。

犬にさつまいもを与える際の7つの注意点

栄養豊富で愛犬が喜ぶさつまいもですが、与え方を間違えると健康を損なう危険性もはらんでいます。愛犬の健康を守るために、ここでご紹介する7つの注意点を必ず守るようにしてください。

①必ず加熱して与える

必ず加熱して与える

さつまいもを犬に与える際は、生のままではなく、必ず加熱調理することが大前提です。さつまいもに含まれるでんぷんは、生の状態(βでんぷん)では犬の消化酵素でうまく分解できず、消化不良を起こしやすくなります。加熱することででんぷんがアルファ化し、消化しやすく、甘みも増して嗜好性も高まります。

生で与えることのリスク

生のさつまいもを食べてしまうと、消化不良による嘔吐や下痢といった症状を引き起こす可能性があります。また、硬いため喉や食道に詰まらせるリスクも高まります。愛犬の胃腸に負担をかけないためにも、蒸したり茹でたりして、十分に火を通してから与えましょう。

②皮は消化に悪いので基本的にはむく

皮は消化に悪いので基本的にはむく

さつまいもの皮には食物繊維が豊富に含まれていますが、犬にとっては硬く消化しにくい部分です。消化不良や便秘の原因となったり、腸に詰まってしまったりする恐れがあるため、基本的には皮をむいてから与えるのが安全です。特に胃腸が弱い子犬や老犬には、必ず皮を取り除いてあげてください。

③喉に詰まらせないよう小さくカットする

喉に詰まらせないよう小さくカットする

犬は食べ物をよく噛まずに丸飲みしてしまう習性があります。加熱して柔らかくなったさつまいもであっても、ある程度の大きさがあると喉に詰まらせ、窒息してしまう危険が伴います。窒息事故を防ぐため、愛犬の口の大きさに合わせて細かく刻むか、マッシャーなどで潰してペースト状にするのが最も安全な与え方です。

④さつまいもの芽や緑色の部分には注意

さつまいもの芽や緑色の部分には注意

じゃがいもの芽に毒があることは有名ですが、さつまいもの芽や、光が当たって緑色に変色した皮の部分にも注意が必要です。これらには「ソラニン」という天然の毒素が含まれている可能性があり、犬が摂取すると中毒症状(嘔吐、下痢、腹痛、神経症状など)を引き起こすことがあります。中毒のリスクを避けるため、芽や緑色に変色した部分は調理の際に必ず厚めに切り取ってください

⑤人間用の味付けは絶対にしない

人間用の味付けは絶対にしない

飼い主さんが食べているさつまいも料理をおすそ分けしたくなるかもしれませんが、それは絶対にやめましょう。大学芋やスイートポテト、天ぷらといった人間用に調理されたものには、犬にとって過剰な糖分、塩分、油分、香辛料などが大量に含まれています。これらは肥満や糖尿病、膵炎などを引き起こす原因となり、愛犬の健康を著しく害する恐れがあります。

⑥与えすぎは肥満や下痢の原因に

与えすぎは肥満や下痢の原因に

さつまいもは美味しいだけでなく、比較的カロリーや糖質が高い食材です。良かれと思ってたくさん与えてしまうと、カロリーオーバーで肥満につながります。肥満は関節炎や心臓病、糖尿病など、さまざまな病気のリスクを高めます。また、食物繊維が豊富であるがゆえに、適量を超えて食べさせると、かえって下痢や便秘など消化器系の不調を招くことがあります。おやつとして与える場合は、一日の摂取カロリーの10%以内というルールを必ず守りましょう。

⑦持病のある犬は獣医師に相談する

持病のある犬は獣医師に相談する

健康な犬にとってはメリットの多いさつまいもですが、持病のある犬にとっては症状を悪化させる可能性があるため、与える前に必ずかかりつけの獣医師に相談することが重要です。

特に注意が必要な病気(腎臓病、心臓病、糖尿病など)

以下の病気を抱えている、または既往歴のある愛犬にさつまいもを与える際は、特に慎重な判断が求められます。自己判断で与えることはせず、まずは専門家である獣医師の指示を仰ぎましょう

病名 注意すべき理由と成分
腎臓病・心臓病 さつまいもに豊富な「カリウム」の排出がうまくできず、高カリウム血症を引き起こすリスクがあります。不整脈など心臓に負担をかけることもあります。
糖尿病・肥満 糖質が高く、食後の血糖値が上がりやすい食材です。血糖値のコントロールが必要な犬や、体重管理中の犬には与えない方が賢明です。
尿路結石症 結石の原因となる「シュウ酸」が含まれています。特にシュウ酸カルシウム結石の既往歴がある犬には、再発のリスクを高めるため与えるべきではありません。

犬のさつまいもアレルギーの症状と対処法

犬のさつまいもアレルギーの症状と対処法

栄養豊富で犬にとっても嬉しいさつまいもですが、人間と同じように食物アレルギーを起こす可能性はゼロではありません。さつまいもはアレルギー反応が出にくい食材のひとつとして知られていますが、個体差がありますので、初めて与える際は特に注意深く愛犬の様子を見守ってあげることが大切です。

犬が見せるアレルギーの主な症状

もし愛犬がさつまいもに対してアレルギーを持っていた場合、食後数時間から数日以内に次のような症状が見られることがあります。症状は一箇所だけでなく、複数の箇所に同時に現れることも少なくありません。

症状が現れる部位 具体的な症状の例
皮膚 体をしきりにかく、皮膚の赤み、ブツブツとした発疹、フケの増加、脱毛など
消化器 下痢や軟便、嘔吐、お腹が鳴る、食欲がなくなるなど
顔周り 目の周りや口の周りの赤み、しきりに床や家具に顔をこすりつける、耳をかゆがるなど
その他 元気がなくなる、くしゃみや鼻水、涙や目やにが増えるなど

これらの症状は、アレルギー以外の原因で起こることもありますが、さつまいもを食べた後にいつもと違う様子が見られたら、アレルギーの可能性を考えてみましょう。

アレルギーが疑われる場合の対処法

愛犬にアレルギーのような症状が見られたら、飼い主さんは落ち着いて対処することが肝心です。次のステップで対応を進めてください。

まずは、原因と考えられるさつまいもを与えるのを直ちにやめましょう。そして、いつからどのような症状が出ているか、さつまいもをどのくらいの量食べたのかを記録しておくと、後の診察にとても役立ちます。スマートフォンのカメラで皮膚の状態や便の様子を撮影しておくのも良い方法です。

そして最も重要なことは、動物病院で獣医師の診察を受けることです。飼い主さんの自己判断で様子を見続けたり、人間用のアレルギー薬を与えたりすることは絶対にやめて、速やかにかかりつけの動物病院を受診してください。獣医師が症状を正確に診断し、愛犬に合った適切な治療法を提案してくれます。

こんな時はどうする?犬とさつまいものQ&A

さつまいもを愛犬に与えるにあたって、飼い主さんが抱きやすい細かな疑問について、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。愛犬の年齢や、さつまいもの加工品など、気になる点を確認していきましょう。

子犬や老犬にさつまいもを与えてもいい?

子犬や老犬にさつまいもを与えてもいい?

はい、子犬や老犬(シニア犬)にもさつまいもを与えることはできます。ただし、成犬と同じように与えるのではなく、その年齢に合わせた配慮が必要になりますね。

子犬はまだ消化器官が十分に発達していません。そのため、必ず加熱したものをペースト状にすりつぶし、ごく少量から試すようにしてください。与え始める時期は、離乳が完了し、普段のフードを問題なく食べられるようになってからが良いでしょう。

一方、老犬は噛む力や飲み込む力、そして消化機能が衰えてきていることがあります。子犬と同じように、喉に詰まらせないようペースト状にしたり、非常に柔らかく煮て細かく刻んだりといった工夫が大切です。また、老犬は持病を抱えていることも少なくないため、与える前にかかりつけの獣医師に相談すると、より安心です。

人間用のさつまいも加工品は犬に与えられる?

私たち人間が美味しく食べているさつまいものお菓子や加工品。これを愛犬におすそ分けしたくなる気持ちもわかりますが、基本的にはおすすめできません。中には与えられるものもありますが、注意深く選ぶ必要があります。

焼き芋や干し芋について

焼き芋や干し芋について

スーパーの店頭などで売られている焼き芋や、おやつとして人気の干し芋。これらは比較的シンプルな加工品ですが、犬に与える際にはいくつか注意点があります。

焼き芋は、砂糖やシロップなどが何も添加されていない、さつまいもだけで作られたものであれば与えても大丈夫です。ただし、熱いまま与えるのは火傷の原因になるので、必ず人肌程度に冷ましてからにしましょう。皮は消化に悪いので、中身だけをあげるようにしてください。

干し芋も、砂糖や保存料などが使われていない無添加のものであれば少量なら与えられます。しかし、水分が抜けているため糖分やカロリーが凝縮されており、与えすぎは肥満につながります。また、粘り気があって硬いので、喉や食道に詰まらせる危険性が非常に高いです。小さくちぎるか、お湯でふやかして柔らかくしてから与えるといった配慮が欠かせません。

大学芋やスイートポテトについて

大学芋やスイートポテトについて

大学芋やスイートポテトは、犬にとって有害な材料が多く使われているため、絶対に与えないでください。これらのお菓子がなぜ犬にとって危険なのか、下の表で確認してみましょう。

加工品 犬への危険性
大学芋 大量の砂糖や油、みりん、醤油などが使われています。糖分や脂肪分の過剰摂取になるだけでなく、玉ねぎのエキスなどが含まれている可能性もあり、犬にとっては非常に危険です。
スイートポテト 砂糖、バター、牛乳、生クリーム、卵、香り付けの洋酒などが使われます。高脂肪・高糖分であることに加え、牛乳に含まれる乳糖をうまく分解できずに下痢をしてしまう犬もいます。洋酒のアルコールも犬には有害です。

このように、人間用に美味しく味付けされた加工品は、犬の健康を深刻に害する恐れがあります。愛犬には、犬用に調理したものだけを与えるようにしましょう。

さつまいもの茎や葉は食べられる?

さつまいもの茎や葉は食べられる?

さつまいもの芋の部分ではなく、茎(つる)や葉の部分は食べられるのでしょうか。結論から言うと、食べること自体は可能です。茎や葉にも栄養は含まれています。

しかし、これらの部分には「シュウ酸」などのアクが多く含まれており、必ず茹でてアク抜きをする必要があります。また、繊維質が硬く消化しにくいため、与えるとしても細かく刻んで少量に留めなくてはなりません。特に、市販されている観賞用のさつまいもの葉や、道端に生えているものは農薬の心配もあるため、絶対に与えないでください。

下処理の手間や消化への負担を考えると、あえて茎や葉を与えるメリットは少ないかもしれません。愛犬には、安全で消化しやすい芋の部分を与えてあげるのが一番良い選択と言えるでしょう。

愛犬が喜ぶ さつまいもを使った簡単手作りおやつレシピ

さつまいもの自然な甘みは、多くの犬が好む味わいです。せっかくなら、そのおいしさを活かした手作りのおやつをプレゼントしてみてはいかがでしょうか。ここでは、特別な材料や調理器具がなくても挑戦できる、簡単で安心なレシピを2つご紹介します。愛犬が喜ぶ顔を思い浮かべながら、ぜひ作ってみてくださいね。

簡単さつまいもペースト

簡単さつまいもペースト

ペースト状のおやつは、歯が弱い子犬やシニア犬にも安心して与えられます。普段のドッグフードにトッピングするだけで、食いつきがぐっと良くなることも。なめらかさを調整すれば、様々な用途に使える万能レシピです。

材料

材料名 分量
さつまいも 適量(愛犬のサイズに合わせて)
水またはぬるま湯 少量

作り方

  1. さつまいもをよく洗い、皮をむいてから適当な大きさにカットします。
  2. 鍋にさつまいもと、かぶるくらいの水を入れて火にかけ、竹串がすっと通るくらいまで柔らかく茹でます。(電子レンジで加熱しても問題ありません)
  3. 茹で上がったさつまいもをフォークやマッシャーで丁寧につぶします。
  4. 様子を見ながら少しずつ水またはぬるま湯を加え、愛犬が食べやすいなめらかさになるまで混ぜ合わせたら完成です。

与える際のポイント

必ず人肌以下に冷ましてから与えてください。熱いまま与えると、口の中をやけどする危険があります。作ったペーストは密閉容器に入れ、冷蔵庫で2〜3日、小分けにして冷凍すれば1ヶ月ほど保存が可能です。与える際は、その日の主食の量を少し減らすなどしてカロリーオーバーにならないよう調整しましょう。

手作りさつまいもボーロ

手作りさつまいもボーロ

カリカリとした食感が楽しいボーロは、しつけのご褒美やコミュニケーションツールとしても活躍します。使う材料はさつまいもと片栗粉だけなので、アレルギーが心配な愛犬にも安心して与えやすいおやつです。

材料

材料名 分量
さつまいも(加熱してつぶしたもの) 50g
片栗粉 25g

作り方

  1. ボウルに加熱してつぶしたさつまいもと片栗粉を入れ、よく混ぜ合わせます。
  2. 生地が耳たぶくらいのかたさになったら、手で小さく丸めていきます。愛犬の口の大きさに合わせて、喉に詰まらないサイズにしてください。
  3. 天板にクッキングシートを敷き、丸めた生地を並べます。
  4. 170℃に予熱したオーブンで15分〜20分ほど、ほんのり焼き色がつくまで焼いたら完成です。

上手に作るコツ

さつまいもの水分量によって生地がまとまりにくい場合は、水を数滴加えたり、逆にべたつく場合は片栗粉を少量足したりして調整してください。焼きすぎると硬くなるため、オーブンの機種に合わせて焼き時間は加減しましょう。焼き上がったボーロも、しっかり冷ましてから与えるのがお約束です。

まとめ

生のままではなく加熱し、皮をむいて小さくしてから与えるのが基本の約束事

甘くて美味しいさつまいもは、犬にとっても嬉しいおやつの一つと言えるでしょう。豊富な食物繊維やビタミンは、愛犬の腸内環境や健康の維持を支えてくれる心強い味方です。しかし、その一方で与え方には注意が必要です。与えすぎは肥満や下痢を招くため、必ず適量を守ること。そして、生のままではなく加熱し、皮をむいて小さくしてから与えるのが基本の約束事となります。特に腎臓病や心臓病といった持病のある愛犬には、まず獣医師へ相談することが大切です。正しい知識をもって、愛犬との豊かな食生活を育んでいきましょう。