大学芋といえば、甘じょっぱい蜜とホクホクの食感が魅力の定番スイーツ。しかし、家庭で作る味に満足している方も、プロの技が生み出す一品には驚きを隠せないのではないでしょうか?。特に「大学芋発祥の地」とされる東京大学近くに店を構える「なり駒」では、職人技が光る大学芋が提供されています。黄金色に輝く蜜と絶妙な揚げ加減の組み合わせは、思わずもう一口と手が伸びる絶品の味わいです。更に、定番スタイルの大学芋とカリカリ食感の大学芋の2種類が選べるため、食べ比べも楽しめます。話題の観光スポットとしても有名な「谷根千」の散策ついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか?新しい大学芋の魅力を発見できるかもしれませんよ。
専門店の大学芋
さつまいもを使った料理として、真っ先に思い浮かべる人も多いであろう大学芋。昔から愛され続けているさつまいもの定番メニューは、令和の時代を迎えても不動の人気を誇り続けています。家庭で作るのも良いですが、さつまいものことを熟知したプロの方が作る専門店の味は、やはり別格の美味しさです。そのようなプロが作る大学芋の味をご紹介します。
大学芋は、日本の伝統的なスイーツとも言えるお菓子です。大学芋は、シンプルなお菓子で素材の良さ、甘い蜜の良さで味が大きく変わってきます。大学芋は、揚げたさつまいもに甘い糖蜜を絡め、胡麻を振りかけて仕上げたものです。外側はカリカリ、中はホクホクとした食感が特徴で、おかずやおやつとして親しまれています。その甘じょっぱい味わいは、子どもから大人まで幅広い世代に愛されています。大学芋の名前の由来には複数の説があり、大学生が手軽に満腹感を得るための食材として人気だったことや、学費を稼ぐために学生が売り始めたこと、そして、大正から昭和初期にかけて、「大学」と名のつく商品名が流行したこと、と色々とあります。
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なり駒
谷根千と呼ばれ、下町情緒を感じられる地としても近年注目されているエリアの一つである根津は駅から歩いて5分程の位置に東京大学の敷地が広がっています。実は大学芋の発祥はこの東京大学付近だそうで、学生たちに何とか甘い物を届けたいとの思いから生まれたと言い伝えられています。こちらのなり駒さんでは「当時の思いに馳せながら、お立ち寄りされる方々に少しでも幸せを届けたい」という思いで開店をされたそうです。谷根千エリアはさつまいもの専門店が都内でも集中している、いわばさつまいもの激戦区なのですが、中でも発祥の地である東京大学に最も近いさつまいも専門店がこちらになります。お店からは根津神社にも近いため、参拝帰りの方々が立ち寄られることも多いようです。実際にこの日も参拝帰りと見られる方が列をなしていました。さつまいもの黄金色は金運を高めるとされて、お祝いの料理に使われたりもしますが、根津神社のお膝もとで食べられる大学芋となると一層縁起も良く感じます。
不忍通り沿いに面しているため、お店の場所はとても分かり易く、改札を出て通り沿いに歩いて行くと早速美味しそうな大学芋の写真が見えてきました。お店はドアや段差がないカウンター形式で、立ち寄り易い構えとなっています。近くには大学病院も多いですが、このような店構えであると車椅子の方や高齢者の方も買い物しやすそうです。著者もベビーカーを伴って伺いましたが、とても助かりました。
さて、肝心の大学芋なのですが、通常の大学芋とカリカリと書かれたチップス状の2種類の用意がありました。今回はこの2つを食べ比べてみます!
カリカリの方は著者の注文後、直ぐに売り切れてしまい、並んでいる所が撮れなかったのですが、どうやらそれほど人気のようです。どちらも表記が200g単位でのお値段だったのですが、迷っているとお店の方が「お好みのグラムや個数単位でも大丈夫ですよ」と優しく声をかけて下さいました。常連と見られるお客様もいらっしゃいましたが、このような心遣いがお客様から愛されるのであろうと感じさせられます。
大学芋の他にもスイートポテトや干し芋などのさつまいも菓子が並んでいました。お伺いしたときは、スイートポテトを製造している最中でして、その光景を見ていると益々美味しそうに見えてきました。出来たてが並べられている証です。ちなみに、大学芋の黒ゴマも注文後に振って下さいます。会計の方だけでなく、製造を担当されている方もお客様一人一人にご挨拶の言葉をかけて下さり、とても温かい気持ちになりました。開店の志がしっかりと生きているお店だなと感じます。
まずは、一般的な大学芋の作り方を見てみましょう。大まかですが簡単にまとめると下記の流れです。
- 洗ったさつまいもを乱切りにして5分~10分ほど水にさらす
- 水気を切ったさつまいもを油で揚げる(二度揚げ)
- 鍋で調味料(タレ)を熱し、揚げたさつまいもと絡める
- 黒ゴマをふって完成
一方、揚げない大学芋の作り方をまとめると下記です。
- 洗ったさつまいもを乱切りにする
- ①に濡らしたキッチンペーパーをかけて電子レンジで加熱する(500Wで5分)
- フライパンに油をひいて、さつまいもに焼き色をつける
- 鍋で調味料(タレ)を煮詰め、余分な油を拭いたさつまいもと絡める
- 黒ゴマをふって完成
比較してみると、さつまいもを油で揚げるかわりに、レンジで加熱したさつまいもをフライパンで焼く、ということがわかりますね。さらに、焼いたサツマイモは、余分な油を拭きとってからタレに絡めることにより、一般的な大学芋よりもヘルシーな仕上がりになるようです。カロリーを気にする方にとっては嬉しいですね。それでは、いざ実践してみましょう。
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定番大学芋とカリカリ大学芋を食べ比べ
それでは、いよいよ食べ比べレポートに入りましょう!
先ずは定番の大学芋です。店頭でも真っ先に目に入ってきた大胆なカット。ゴロゴロした大きさだけで、ワクワク感があります。厚みのあるさつまいもを揚げるのは料理家目線で語ると、非常に難しい調理です。柔らかくするには長時間揚げる必要がありますが、高温過ぎれば表面が焦げてしまいます。焼き芋が良い例ですが、さつまいもはゆっくりと加熱をすることで甘みが引き出される性質がありますが、これを揚げ物でするとなると非常に高度な技術が必要です。しかし、流石の職人技。表面に焦げ色も無ければ、硬さもなく、まるで食感も味も焼き芋のように仕上がっています。餡がなくてもこれだけで芋菓子として成り立ちそうなものですが、やはり餡が絡むことで濃厚な美味しさに仕上がっています。はちみつのようなテクスチャーの餡はさつまいもとの馴染みがよく、あくまでもさつまいもの甘さを邪魔しない程よい味加減となっていて絶品です。これまた餡だけでも非常に美味しく、袋に残った餡も恋しくてスプーンですくって最後まで楽しませて頂きました。
次にカリカリです。定番の方とは真逆の薄いカットで、その名の通りカリカリになるまで揚げられています。餡も大学芋が蜂蜜状であったのに対して、少し飴状になった硬いテクスチャーであり、カリカリの良さを更に引き立てています。カリカリはその場でもチップス感覚で食べやすく。少々行儀が悪いと思いつつも、出来立てをその場で楽しませて頂きました。200gの袋を見た時、ちょっと多いかなと思いましたが、揚げたてのカリカリさつまいもの美味しさは想像以上で200gが直ぐに無くなりそうでした。カリカリになるまで揚げると、どうしても焦げ付きやすいものですが、そんなことは一切なく、香ばしさだけで留まっています。これだけ揚げても油っぽさが一切なく、こちらも職人技が感じられます。大きさも食べやすく、餡も甘すぎない上品な甘さのため、永遠に食べていられそうです。
同じさつまいもから作る大学芋であっても、全く別のものとして成り立っています。執筆当初はどちらが良いかを書くつもりでいたのですが、どちらも優劣のつけられない美味しさです。同時に二種類の絶品大学芋が食べられて、すごく満足感がありました。お立ち寄りされた際は二種類を食べ比べてみることをオススメします。きっと大学芋発祥当時の温かい気持ちに触れて、心も温まるでしょう。
普段の大学芋を想像していると固く、小さく感じるかもしれません。でも、軽い食感でどんどん箸が進んでしまいます。我が家では子供たちのおやつに出すと秒でなくなるレシピです。さつまいものビタミンCは揚げても壊れにくいともいわれていて、栄養もばっちり。美味しいのに市販のおやつと違って食物繊維やビタミンが豊富に摂れるので、罪悪感なく食べることができます。甘めの味付けがお好きな方はしょうゆの量を控えてみてください。砂糖を足さなくても甘さがアップします。さつまいも料理がマンネリ化してきたら、ちょっと斬新なこんなレシピを作ってみませんか?
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まとめ
大学芋は、家庭で作る定番の味わいだけでなく、専門店の技術が詰まった一品もまた格別です。今回、ご紹介した「なり駒」では、発祥地としての伝統を大切にしながら、定番のホクホク感とカリカリ食感の新たなスタイル、二種類の大学芋を提供しています。それぞれが個性豊かで、どちらを選んでも満足感を得られること間違いなしです。
また、谷根千の散策ついでに立ち寄れる立地の良さも魅力の一つ。歴史ある街並みや根津神社の参拝と合わせて楽しめるため、観光と食の両方を満喫できます。職人の技が生み出す絶妙なバランスの甘さと食感に、きっと心もお腹も満たされるはずです。