さつまいもの病気対策とは?菌を増殖させないようにするにはどうしたら良い?さつまいもの病気対策はどうしたら良い?さつまいもの病原菌を防ぐポイントを徹底解説

さつまいもは病害虫に強く、家庭菜園初心者の方でも、比較的育てやすい野菜です。しかし丈夫なさつまいもとは言え、ひとたび病気になってしまうと、全滅することも少なくありません。しっかりと収穫に結び付けるには、病原菌を増殖させないように、病気対策をすることがとても大切です。この記事では、家庭菜園でもできる、さつまいもの病気対策をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

さつまいもの病気対策①:菌を持ち込まない

さつまいもの病気を防ぐために大切なのは、まず、畑の中に病原菌を持ち込まないことです。一度持ち込まれた病原菌は、簡単に除去することはできません。畑に持ち込まないような工夫をしましょう。

ウイルスフリーの苗を購入する

畑に病原菌を持ち込まないために、ウイルスフリーの苗を利用するのが、とても効果的です。さつまいもの苗は、親芋から出た芽を切り取って作られます。そのため、親芋が病気に罹っていると、最初から病気に罹った苗が作られてしまいます。病気に罹っていても、見た目では分からない場合も多いです。そのため、植え付ける苗の中に、病気の苗が1本だけでも混ざっていると、やがて他の苗に伝染してしまう可能性が高いのです。そこで、通常の苗作りではなく、組織培養などによって作られた、ウイルスフリーの苗を使用すると、畑への病原菌の持ち込みを防げます。最近では、ホームセンターでも取り扱いが多いので、入手は難しくありません。通常の苗に比べるとやや割高ですが、「安心」を購入できるのでおすすめです。

苗の消毒をする

ウイルスフリーではなく、通常の苗を使用する場合は、植え付け前に苗の消毒をしましょう。消毒方法は、お湯による消毒と、殺菌剤(農薬)による消毒があります。お湯による消毒は、バケツなどに47~48℃のお湯を張り、苗を15分程度浸します。長時間浸すと苗自体が弱ってしまうので、注意してください。お湯に浸すと病原菌の消毒とともに、発根しやすくなるメリットもあるので、おすすめです。殺菌剤による消毒は、「ベンレート水和剤」などの農薬で消毒します。バケツなどに殺菌剤を入れて、苗を浸します。なるべく、植え付け直前に消毒するようにしてください。実際に農薬を使用する際は、必ずラベルをよく読んで使用しましょう。

さつまいもの病気対策②:菌を増殖させない

植え付け前に対策をしても、すり抜けた病原菌がいたり、もともと土壌中に潜んでいたりする可能性もあります。その場合は、それ以上に病原菌を増殖させない工夫が必要です。

排水対策をする

排水性の悪い畑では、病原菌が増殖しやすいです。畑の排水性をよくして、病原菌が増えにくい環境を整えましょう。家庭菜園でも簡単に行えるものとしては、堆肥、腐葉土、もみ殻などの有機物を投入する方法がおすすめです。これらの有機物を投入することで、土壌中の微生物が増えて、団粒構造ができあがり、水はけがよくなります。土壌中の微生物が増えることで、排水性が高まるだけでなく、野菜全般が育ちやすくなるメリットも期待できます。しかし、すぐに効果が出る方法ではないので、長い目で計画的に行うのがポイントです。

発見したら速やかに持ち出す

病気の株を発見したら、速やかに畑の外に持ち出して処分しましょう。移動するときは、袋などに入れて葉、茎、根、芋に付着している土を落とさないように注意してください。多くの病気は周りに伝染し始めると、あっという間に広がることも多いです。こまめに観察をして、早期発見を心がけましょう。

農薬散布する

病気の株を外部に持ち出した後は、農薬を散布して、周りの株に広がらないようにしましょう。Zボルドー、ジーファイン水和剤といった、殺菌剤を規定量に薄めて散布します。できれば、定期的に複数回散布すると、より効果が期待できます。使用する際は、農薬のラベルをしっかりと読み、ムラがないように散布してください。

器具類を洗浄する

畑で各作業に使用したハサミや鍬、管理機、長靴、収穫カゴなどは、作業後にしっかりと洗浄しましょう。仮に病気が発生していなくても、病原菌が潜んでいる可能性があります。知らず知らずのうちに、他の畑に移してしまう可能性があるので注意が必要です。

さつまいもの病気対策③:菌を残さない

病原菌の多くは、土の中で越冬し、翌年に植え付けた苗に伝染して新たに病気が広がります。翌年の病気を防ぐために、収穫終了後に菌を残さないことが大切です。

残渣を敷地外で処分する

収穫した後のツルや根などの「残渣(ざんさ)」には、たくさんの病原菌がついています。この残渣を畑に残しておくと、越冬して翌年の病気の発生源となります。そのため、栽培していた敷地の外で処分するのが望ましいです。地域にもよりますが、少量ずつであれば、一般的な可燃ごみとして処理できることが多いです。また、ゴミ処理場に直接持ち込めば、処分してくれる地域も多いので、お住まいの自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

土壌消毒する

ビニールフィルムで畝を多い、太陽の熱を利用して土壌消毒する方法は、農薬を使いたくない方におすすめです。まず、通常通りにたい肥や元肥を施し、耕したあとに畝立てを行います。その後、雨が降るのを待つか、ジョウロなどで畝全体に水を行き渡らせます。十分に水分がないと、効果が薄いので注意してください。透明のマルチをかけたら、隙間が出来ないように、しっかりと土をかけて固定しましょう。この状態で2週間~1か月置くと、マルチの中が高温になり、病原菌を殺せます。苗を植え付ける直前にマルチをはがし、植え穴以外にはなるべく触れないよう、定植をしましょう。ただし、この方法は、有用な微生物や菌類まで殺してしまうデメリットがあります。前作で明らかに病気が発生した場合は有効ですが、むやみに行わないようにしましょう。

さつまいもの病気対策についてのまとめ

さつまいもの病気対策についてご紹介しました。さつまいもの病原菌を防ぐポイントは、菌を「持ち込まない」、「増殖させない」、「残さない」の3つです。ちょっとしたことを気にするだけでも、病気の発生はグッと抑えられます。せっかく植えたさつまいもが、病気で枯れてしまったら悲しいですよね。しっかりと病気対策をして、たくさんの収穫につなげましょう。