2024年4月10日、五島市農業法人協会の研修会が行われた。この日に合わせて大阪から五島市(福江島)に戻ってきた理由は大きなものがある。それは、京都市に本社を置く株式会社坂ノ途中の小野代表が講演に来られるからだ。小野代表は京都大学を卒業した頭脳派で、若くして2010年に起業し、株式会社坂ノ途中を設立した。とてもユニークな会社で、「環境への負担の小さい農業を広げよう」というミッションを掲げ、新規就農者の野菜をメインにお野菜便を販売している。最近では、「海の向こうコーヒー」という名のコーヒーサブスクを開始した。コーヒー好きの私にはうらやましいほどの仕事である。
オーガニックビレッジ構想
なぜ株式会社坂ノ途中の小野代表が来島したのか。複数の経緯、戦略、思惑がある。昨年から農林水産省が進める「オーガニックビレッジ構想」に向けた取り組みを五島市農業法人協会で行っており、その前年の2022年には野口市長を表敬訪問し、構想の着手を伝えたところ、「有機農家をもっと増やしてほしい」との要望があり、少しずつ前進していた中で、総合商社の株式会社双日が五島市(福江島)でアグリビジネスを始めるなど小さいながらも連携が生まれていた。株式会社双日が株式会社坂ノ途中と資本提携・業務提携を行ったことで、有機農産物の販売や新規生産者の教育、農業現場のIT化などの講演が実現した。
講演内容とサブスクモデル
講演内容は非常に面白かった。新規就農者と連携する狙い、サブスクでの野菜販売、海外のコーヒー販売をする経緯、ローカルビジネスからベンチャービジネスに拡大した理由など、アグリ・コーポレーションとは全く違う角度から農業ビジネスをしている会社である。私は野菜セットをサブスクで大きなビジネスにしていくことを難しいと考えていたが、ビジネスにするための構想が参考になった。難しいと感じる理由は、届いた野菜で料理をすることにある。私も五島市(福江島)では単身赴任の身であり、五島市三井楽町にある2つのスーパーマーケット(つばき屋、バリュー。閉店時間は19時)を利用する際には、今晩の献立を考えながら買い物をする。余った野菜で料理をする難しさと、届いた野菜で料理をする難しさが重なり、サブスクの離脱率に響くと考えていたからだ。自身の料理・買い物経験と、農産物直売所「旬の駅」を経営する知見からそのように推測していた。
凄いのは離脱率を低くするための対策である。詳細はかけないが、要点は野菜のおもしろさをお客様に伝えることだ。離脱率を低くするための対策が凄い。詳細は語れないが、要点は野菜の魅力、おもしろさをお客様に伝えることだ。非常に興味深い内容だった。さすが頭脳派といったところか。
盆栽モデルからソーシャルモデル
翌日に来社いただき、坂ノ途中と双日が連携する事業に、どのようにアグリ・コーポレーションが繋がれるのかを議論した。五島市(福江島)に農業参入者として移住する際の課題が大きく2点ある。それは、住居と農地である。当社はすでに空き家を6軒の改修実績があり、地域からの改修&購入依頼が続いていること、また昨秋にホテルを購入したことで従業員寮や長期滞在型ホテルの利用、有機認証農地の斡旋など連携が取れるのではないかと考えている。小野代表が言われるように、一社ではなく協力してやることを「盆栽モデルからソーシャルモデル」というのだろう。
五島市(福江島)に本社を置く株式会社アグリ・コーポレーションが掲げる「オーガニックをプラットフォームとした街づくり」を実現するための強力なチームメートを得た一日となった。ホームランではなく、打数を増やせる取り組みをし、オーガニックビレッジ構想に着手しよう。
最後に余談で個人的見解として書くが、他産業から農業ビジネスに参入したベンチャー企業が、大企業から出資を受けるパターンを発見した。それは、経営者の論理的思考能力が高いことだ。つまり偏差値の高い大学を卒業している傾向が高いように思う(笑)
今回の講演・来社で勉強になった言葉まとめ
- ローカルビジネスからベンチャービジネスへ
- タッチポイントを増やす
- 盆栽モデルからソーシャルインパクトへ
- 出資を受けるというのは、応援するチケットを渡し合ったということ
- 資本提携は目的を完全にすり合わせることは難しいので、一打一打の打数を増やすことが大事。
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地元の人、旅行で福江島へ訪れる人、出張で福江島へ訪れる人、夕食と同じくらい昼食、ランチを食べるのに…福江島のランチ情報まとめがない。「五島商店 佐藤の芋屋」の「福江島のこと」の記事の中にも多数のランチ、ディナー情報の記事があります。この「福江島のこと」の「ランチ情報」だけ抜き出してスピンアウトしたのが、「福江島ランチーズ」なのです。
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